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『言霊使いと幻想郷』

作者:零戦
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第十五話





「……何で孝之が幻想郷に……」

 何でだ?

「それは此方の台詞でもあるぞ誠」

 まぁそれはそうなんだが……。

「何でお前は執事の服を着ているんだ?」

「これはな「ゴホゴホゴホッ!!」っとそんな場合じゃない、ほら薬だッ!!」

「お、おぅッ!!」

 俺は孝之から薬を貰い、水が注がれたコップを女性の唇に持ってきて女性がコクコクと飲み、薬を飲んだ。

「……ふぅ……ふぅ……」

 ……大丈夫みたいだな。

「恐らくは大丈夫だろう。小悪魔、パチュリー様をベッドに」

「はい、分かりました」

 小悪魔さんは女性――パチュリー――を抱えて図書館から出た。

「……さて、孝之。何でお前が幻想郷にいるんだ?」

「ん、まぁ簡単に言えば助けてもらったんだよ」

「助けてもらった? 誰にだ?」

「レミリア御嬢様にだよ」

「……それは今回の異変の首謀者か?」

「異変? 何かあったのか?」

「……お前は何も知らんのか?」

 俺は孝之に事情を説明した。



「……ふーん、レミリア御嬢様はそんな事を……ねぇ……」

「……お前、会わなかったせいか知らんが性格変わってないか?」

「気にするな。俺は紳士なんだよ」

 ……こいつは今此処で殺るべきか?

「それなら俺も協力するよ。ちょっと御嬢様に言わないといけないからな。フフフ……」

「……駄目だコイツ……早く何とかしないと……」

 本当に大丈夫だろうか……。



「そう言えば孝之は弾幕ごっこは出来るのか?」

「いや無理だ。俺には誠みたいに妖力や霊力はない。普通の人間だよ」

「……そうか」

「御嬢様は俺に血を吸われて吸血鬼になれと言っているけどな」

「そーなのかー?」

「……メタな発言すんな。御嬢様曰く「フランの遊び相手が欲しい」んだとさ」

「フラン?」

「あぁ、フランとは御嬢様の妹様だよ。地下室に幽閉されている」

「……何で地下室に幽閉なんだ?」

「……妹様の能力に関係している。妹様の能力は『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』文字通りあらゆる物を破壊するんだ。詳しい事は知らないが御嬢様はそれが原因で妹様を幽閉している」

「……それはまた厄介な能力だな……」

「……あぁ。御嬢様も本当は妹様を幽閉なんぞしたくないと思うよ」

「………」

 それから俺と孝之は上に上がり、首謀者――レミリア・スカーレット――のところへ向かった。




「……何だか上が騒がしいね。上に行ってみようかな♪」

 地下室で背中から宝石のような羽を生やした少女はパラパラと舞い落ちてくる粉塵を見てそう呟き、扉に近づいて扉を開けたのであった。



「……あれはどうする?」

「……終わるまで待っとこうか」

「……そうだな」

 紅魔館の主人であるレミリア・スカーレットと霧雨が外の時計塔付近で戦っていた。

「勝つのは?」

「意外性が無ければ御嬢様だ」

「……だろうな……ん?」

 その時、霧雨が懐から小さな物を出してスカーレットに構えた。そして小さな物から光りが集積され始めた。

「……嫌な予感がするな」

「奇遇だな孝之。俺は某宇宙戦艦の必殺の収束エネルギー砲を思い出したぞ」

 取り合えず少し離れとくか。

「恋符『マスタースパーク』ッ!!」

 そこへ霧雨がエネルギーを発射した。

「レーザーみたいだな……」

 パ○スレーザー……じゃないけどそれはそれだな。そしてスカーレットは

「『紅色の幻想郷』ッ!!」

「お、お、ああぁぁぁぁぉーーーッ!!」

「ぁ~……ぴちゅったな」

「この私に挑もうなんぞ千年は早すぎるわ。それで孝之、貴方の横にいるのは誰かしら?」

「ん? まぁ今ぴちゅった奴に連れて来られてな」

「あらそう。なら貴方も弾幕するのかしら?」

「いやいや、俺にはちとキツいよ。代わりに……」

「あら誠兄、此処にいたの」

「博麗神社の巫女が相手してやるってさ」

 俺の後ろに漸く到着した霊夢がいた。

「あら……貴女が自称楽園の素敵な巫女ね」

「自称じゃないわよ。ったく、あの鴉天狗……」

「……文句を言うなよ……」

 今度、文はぴちゅられるな。なんまだぶなんまだぶ……。

「ま、それは兎も角、さっさとあんたを倒して神社でお茶を飲みたいんだからね。さっさとやるわよ」

「フフフ、私に勝てるのかしらね」

 うむ……かなりの悪役だな。

「……カリスマブレイクしなきゃいいけど……」

「何か言ったか孝之?」

「いや、何にも……」

 それはさておき、霊夢とスカーレットの戦いが始まった。



~~少女格闘中~~



「これで決めるわッ!!」

 霊夢はそう言ってスペルカードを出した。

「霊符『夢想封印』ッ!!」

 スカーレットの元へ大量のカラフルな玉が飛んでいく。

「こ……この私がァァァーーーッ!!」

 スカーレットはそう言い残してぴちゅった。

「楽園の素敵な巫女様に逆らうからよッ!!」

 嬉しそうだな霊夢。

「それじゃあこの霧を晴らしてもらうわよ」

「……仕方ないわね」

 地面に倒れていたスカーレットが立ち上がろうとした時だった。

「あらお姉様。負けちゃったの?」

『ッ!?』

 俺の後ろから小さい少女の声がしたがこれは……殺気ッ!?

ドシュッ!!

「……ガハッ!!」

 少女は一瞬で巨大な炎を放つ枝状の剣を出して(恐らくスペルカード)俺の左脇腹を貫かせた。

「禁忌『レーヴァテイン』」

「誠ッ!!」

 くぅ~これは痛いな……。

「へぇ~凄いね」

「……ふん、にこやかに話すなよ」

 口から血の味がしてきたな。

「誠兄ッ!!」

「私の相手……してくれる?」

 ……それは困ったな。

ドクンッ!!

 ……何だ? 何かが俺の中から……。

ドクンッ!!

 そして俺は深い闇の中に呑まれた。






 
 

 
後書き
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