転生とらぶる

　しばらく部屋でマリューと話をしていたが、当直だという事でマリューは既に帰り、部屋には俺一人になっていた。そのまま何となくムウから貰ったグラビア雑誌を読んでいると、唐突に艦内にアラートが鳴り響く。

「……キラか」

　恐らくラクスを連れ出してザフトに返そうというのだろう。

「アクセル・アルマー、至急MS格納庫へ向かってくれ！」

　部屋に通信を送ってきたのはナタルだった。その顔は珍しく焦っているように見える。
　……無理もないか。偶然とは言え折角捕虜にしたプラント最高評議会議長の一人娘が連れ出されたのだから。

「ああ、構わないが……このアラームは何だ？」
「キラ・ヤマトがラクス・クラインを連れ出した。もしかしたら追撃を頼むかもしれん。フラガ大尉のメビウス・ゼロも修理は完了しているが、さすがにMSを相手にするのは厳しい。ブリッツの出撃準備をしておけ」
「了解」

　短く答え、ムウに貰った雑誌をベッドに放り出してパイロット控え室に向かうと、そこには既にパイロットスーツに着替えたムウの姿があった。

「アクセル、坊主が嬢ちゃんを連れ出した！」
「ああ、ナタルから聞いている。ザフトに返すつもりだろう」
「だろうな。だが、あのクルーゼがそのままで済ませると思うか？」

　……なるほど、クルーゼ。クルーゼか。あの危険な男をこの場で始末するチャンス……か？　少なくても可能性はあるだろう。特にブリッツはミラージュコロイドで敵に気が付かれる可能性も少ない。

「無理だな。恐らく人質を返した途端に牙を剥くだろう」
「お前もそう思うか。なら」
「ああ。出撃準備だな」

　お互いに頷き、MS格納庫へと移動して各々の機体へと乗り込む。
　OSを起動させると、キラがオープンチャンネルで流している放送が聞こえてきた。

「こちら地球連合軍。アークエンジェル所属のMS、ストライク。ラクス・クラインを同行、引き渡す。ただし、ナスカ級は艦を停止。イージスのパイロットが単独で来る事が条件だ。この条件が破られた場合、彼女の命は保証しない」

　……さて。

「ブリッジ、聞こえるか」
「アクセル？　どうしたの？」

　こちらからの通信に出たのはマリューだった。部屋で話していて既に慣れたのか、俺の名前をアクセルと呼び捨てにしても特に違和感はない。

「ムウとも話したが、あのクルーゼがストライク一機で出撃しているこのチャンスをみすみす見逃すとは思えない。恐らく仕掛けて来るぞ」
「……そうね。確かに」
「メビウス・ゼロは相手が動いてからでないと出撃出来ないが、ブリッツにはミラージュコロイドがある。ミラージュコロイドを展開したまま慣性移動で出撃したいと思うが、許可を貰えるか？」
「……バジルール少尉はどう思いますか？」
「え？　あ、その……アクセル・アルマーの言う事には一理ありますし、いざという時のフォローも可能ですので問題ないかと」

　先程の俺の部屋でのアドバイスを早速実践しているのか、ナタルへと意見を求めるマリュー。逆にナタルの方がつい数時間前にはラクス・クラインを人質にした為に、強く対立した筈のマリューから意見を求められて慌てている。

「そう、分かりました。アクセル、お願いするわ」
「了解。ミラージュコロイド生成開始」

　ミラージュコロイドを生成し、ブリッツの装甲の表面へと定着させる。

「兄ちゃん、武器はどうする？」
「今回は戦闘になるにしても基本的には短期決戦になるだろうから、ブリッツ本来の物で構わない」
「了解だ。じゃあ気をつけてな」
「ああ。ブリッジ、聞こえているか？」
「何？」

　ミラージュコロイドが無事装甲に定着したのを確認してから再度ブリッジへと通信を送る。

「カタパルトデッキをストライクの方に向けてくれ。ミラージュコロイドを使って移動する以上は慣性で移動する事になる。そうなれば方向転換するとすぐにザフトに知られてしまうからな」
「分かったわ。……アクセル、気をつけてね」
「ああ。ブリッツ、アクセル・アルマー出るぞ！　格納庫内にいる奴はバーニア噴射に巻き込まれないように注意してくれ」

　格納庫内に響く俺の声に、整備員達は一斉に避難を開始する。それを確認してから、カタパルトデッキへとブリッツを移動し、バーニアを噴射して宇宙へと飛び出す。もちろんカタパルトデッキから宇宙に出る直前にバーニアは停止させて慣性での移動へと切り換えている。
　本来ならリニアカタパルトを使っても良かったのかもしれないが、それでアークエンジェルからMSが発進するのを悟られでもしたらミラージュコロイドを使った意味がないからな。

「さて、後は上手く話が進んでくれるのを祈るだけだが」

　最初のバーニア噴射による慣性移動でキラのいる宙域へと向かっていると、その向こうからイージスが現れたのが確認できた。後はラクスを返してそこにクルーゼのシグーが来れば完璧だ。攻撃出来るのは恐らく最初の一撃のみになるだろうが、それでシグーを撃破出来ればこの先の展開はかなり楽なものになる。
　ストライクとイージスは少しの間会話をし、ストライクのコックピットからラクス・クラインがイージスのコックピットへと向かう。その様子を見ながら、既にブリッツはストライクの近くにまで移動していた。
　そしてストライクとイージスが離れていく……来るっ！
　ナスカ級からシグーが発進する。良しっ！　クルーゼだ！
　ミラージュコロイドをその身に纏ったブリッツは未だ慣性による移動を続けており、既にストライクの横を通り過ぎてイージスに接近中だ。
　シグーもその速度を活かし、イージスの横を通り過ぎ……

「ここだっ、愛！」

　精神コマンドの愛を使用し、身体中に不思議な力が漲ってくる。それを確認しながらミラージュコロイドを展開したままの状態でトリケロスに内蔵されているビームライフルを発射。当たる……いや、直撃じゃない！？
　何もない空間から突然発射された一条のビーム。それをシグーはどう感知したのかは判らないが、機体をロール回転させる事によりコックピットへと命中する筈だった一撃を下半身を盾にする事で致命的な損傷を回避したのだ。

「くそっ！」

　まだ必中と加速の効果は残っている。……なら、ここでトドメを！
　咄嗟にPS装甲を展開し、同時にトリケロスのビームサーベルを展開してから精神コマンドの加速の効果で素早くシグーへと接近。イージスがシグーを庇おうというのか、こちらへと急速に接近してきているがこの距離なら間に合わないタイミングだ。既に下半身が動かないシグーのコックピット目掛けて斬りかかろうとしたその時、オープンチャンネルで通信が入ってくる。

「ラウ・ル・クルーゼ隊長。そちらの地球連合軍MSのパイロットの方も。この場での戦闘はやめて下さい。ユニウスセブンに対する追悼慰霊団代表の私のいる場所を戦場にするおつもりですか？　そんな事は許しません。ここにはユニウスセブンの方々が安らかに眠っているのです。すぐに戦闘行動を中止して下さい」

　その通信を聞き入れたのだろう。クルーゼ操るシグーはイージスの手を借りながらもナスカ級の方へと帰還していく。同時にイージスもこちらを警戒しながら自分の艦へと戻っていった。
　俺としてもこの場で奴を追う訳にもいかずに、ただその場で見送るしか出来なかった。
　……くそ。ミラージュコロイドを使った不意打ちでも仕留めきれないというのは予想外だった。だが、一体どうやって何も見えない所からのビームライフルを回避したんだ？

「アクセルさん！」

　ストライクから通信が入る。

「……無事か？」
「ええ。でも、なんであんな……」
「そんな甘い事が通用しないというのは分かっているだろう？　現にあちらからもクルーゼが出撃してきたしな。幸いあの通信で退いてくれたが」
「2人とも、何だか知らんがこれ以上戦闘にならないんなら艦に戻るぞ。追撃して藪蛇にでもなったらつまらんしな」

　俺と同じくアークエンジェルから出撃してきたムウのメビウス・ゼロが近くまで来て通信を送ってくる。
　確かにここでクルーゼに対する追撃を行えば藪から蛇が出てくる可能性が大だろう。下手をしたらキラのストライクまで敵に回りかねないか。

「了解」

　短く返事をし、ブリッツをアークエンジェルの方へと移動させる。キラも微妙に納得のいかない表情をしながらも俺達の後を付いて来た。

「それにしても、とんでもねぇお姫様だったな」
「ああ、カリスマ性に満ちている、とでも言うべきか」
「プラントの歌姫だっけ？　さすがにコーディネーターの中でもそんな地位にいると一種のカリスマが身に付くんだろうな。まさかあのクルーゼに言う事を聞かせるとはおもわなかったよ。なぁ、キラ？」
「……」

　ムウに声を掛けられたキラだったが、沈黙したまま返事を返す事はなかった。
　自分の小さい頃からの親友であるアスランとの決定的とも言える別れを、今になって実感しているのだろう。

「キラ、いいんだな？」
「……」
「お前はアークエンジェルに残って戦う事を決めた。つまりこれからザフトは敵になる」
「おい、アクセル」

　ムウの咎めるような声は無視する。

「お前が友達を守りたいから戦っているのは知っている。だが、その為にはお前の同胞を敵に回すという事になる」
「……ってます」
「その時に躊躇えば……死ぬのはお前だぞ。そして、お前が死ねばサイ達だって悲しむ」
「分かってますよ、そんな事！　でも、じゃあどうすればいいっていうんですか！」

　激高したキラの叫び。俺はそれにどこか懐かしいものを感じながらも口を開く。

「守りたい者に優先順位を付けろ。何もかも全てを守ろうとすると……死ぬぞ」

　脳裏に浮かぶのは、幼年学校時代の親友だったユーリアの姿。その親友ですらも俺はある意味では切り捨てたのだ、自分が生き残るというその目的の為に。そしてユーリアもまた、自分を慕ってくれる部下を見捨てて俺と共に来る事が出来なかった。それはある意味で俺を切り捨てたと言ってもいいだろう。
　……あぁ、そうか。ついさっきキラに感じた懐かしいもの。それはかつて俺が通った道なのだ。守りたい者に優先順位を付け、守りきれない者は切り捨てる。そんな冷徹とも言える判断をする事が出来なかった時の俺。

「僕は、アクセルさんみたいに強くはありません」

　それだけ言うと、ストライクはブリッツとメビウス・ゼロをその場に残して先にアークエンジェルへと戻っていった。

「言い過ぎだったんじゃないのか？」

　どこか気遣うようなムウの声。

「確かにそうだったかもしれない。だが、いずれは通る道だ。それなら選択は早い方がいい」
「……悪いな、憎まれ役を任せてさ」
「いいさ。こういうのは外様の俺がやった方がいい。嫌われるのには慣れてるしな。それよりも俺達も早くアークエンジェルに戻るとしよう。この脱走騒ぎだ、俺はともかく大尉であるムウは色々と忙しくなるだろう？」
「あー……確かにな。会議とかそういうのは好きじゃないんだが」

　会議……まぁ、軍法会議みたいなものだし会議の一種で間違いはないのか。 

名前：アクセル・アルマー
LV：35
PP：510
格闘：246
射撃：264
技量：256
防御：253
回避：281
命中：303
SP：422
エースボーナス：SPブースト（SPを消費してスライムの性能をアップする）
成長タイプ：万能・特殊
空：S
陸：S
海：B
宇：S
精神：加速 消費SP4
　　　努力 消費SP8
　　　集中 消費SP16
　　　直撃 消費SP30
　　　覚醒 消費SP32
　　　愛　 消費SP48

スキル：EXPアップ
　　　　SPブースト（SPアップLv.9&SP回復&集中力）
　　　　念動力 LV.10
　　　　アタッカー
　　　　ガンファイト LV.9
　　　　インファイト LV.9
　　　　気力限界突破
　　　　ギアス（灰色）
　　　　???
　　　　???
　　　　???
　　　　???
　　　　???

撃墜数：259