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なりたくないけどチートな勇者

作者:南師
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9*真夜中電波通信

………

………………


……夜である。
盗賊の襲撃ののち、即座に睡眠を取った自分は、真夜中に目が覚めてしまったのだ。

理由は簡単、貧血による気絶で強制睡眠を取らされてたからである。

今、馬車には姫と近衛隊の面々が眠っており、とても静かだ。
ちなみにただ一人、ウサミミの……えと、あれだ………そう、スゥ君だけは見張りかトイレかしらんがこの場にいない。

目が冴えてしまった自分は、これからどうしようか考えた。
すると、近くに川がある事を思い出し、なんとも素晴らしい、革命的な考えを思いついた。


そうだ、風呂に入ろう!!

この世界にきてから、水浴びはすれど温かい風呂には入ってない。
そもそもあのお城に風呂が無かった。
ならこの際、ドラム缶風呂を造って心の洗濯をしようではないか。

思い立ったら即実行。
自分は意気揚々と馬車から降りた。


*********…☆

「テメェら殺すぞ!」

「縄解けゴルァ!」

「服返せカス!」

……なに、このカオス。
パンツ一丁に剥かれた男どもが縄で縛られながら悪態をついている。
多分、さっきの盗賊団だろうが…

なぜパンツ?

「あ、ナルミさん。」

「げっ!」

疑問を浮かべながら見ていると、みたことある緑と青のひとがいた。
たしかシャール君とラルムだっけか。
たしかゼノアの部下だったはず。

「よーす。」

とりあえず挨拶、そして質問。

「奴らなんで下着一枚なん?」

「んなこともしらねぇのか。」

……相変わらず口が悪いなラルムのヤロー

「ラルム、やめなさい。
あのですね、ああいう盗賊団って、脱走のために服とかに色々仕込んでるんです。
だからそーゆーので逃げれないようにしてるんです。」

ふーん、なんかル○ン三世みたいな奴ら。

「テメーら無視すんな!」
「俺ら捕まえていー気になってんじゃねーよ!」

「黙れ捕虜ども!殺されてぇのか!」

「どーせ殺すつもりねーんだろ!!あったらとっくに殺してんだろバーカ!」

盗賊うぜー。
ラルムの怒声も全く効き目ねぇし。

………そだ。

「ラルム、ちょいよけて。」

自分は、怒りに震えるラルムを一旦離れさせ、裸集団に近付いた。

まぁまずは交渉から。

「やぁ。」

「あぁ!?なんだテメェは!?」

「……すこーし静かにしてくれないかな?迷惑だから。」

「テメェらの迷惑なんか知るか!」

交渉決裂、分かってたけどね。
じゃ、本番いきまーす。

「はぁ、分かってたよ、じゃおやすみ。」

あえて大きくため息を、この盗賊さんにかけてみます。

「テメッ!わざとらしく息かけ……る………グゥー。」

するとあら不思議、眠ってしまいました。

フハハハハ、これがイン○ルダウン監獄署長のドクドクの能力!
まぁ吐いたのは毒ガスでなく催眠ガスだけど。

なにが起こったかわからない、近くの盗賊たちは、しばらく言葉を無くした後に。

「テメッ!なにやった!」

当然の反応、当然過ぎて逆につまんない。
いや、どんな反応が詰まるかはしらんが。

「いゃあ、自分のため息を吸って勝手に寝ちゃっただけだから大丈夫だよ。
ただ、あんまりうるさいとそれこそ絶対に覚めない眠りを引き起こすため息がついつい出てしまうかもだけど………
けどしかたないよね、ただのため息だし、生き物は呼吸しなきゃ死んじゃうからため息が原因で君達が死んでもしょうがない、ただの事故死だよねぇ………
で、まだ騒ぐ?
あ、それとももっかい君達を迎撃した技喰らってみんな仲良く気絶する?」

とりあえず一気にまくし立てる、笑顔のオプションも忘れずに。
しんと静まり返る盗賊たち。
顔は青ざめ、震えてる奴らもいる。

「……まだ騒ぐの?」

とどめの一撃。
彼等は必死に首を振って騒がないと意志表示をする。
もう騒ぐ事もなさそうだ。

「そ、分かってくれて安心だよ。じゃあね。」

そう言って二人の元に帰る。
シャール君は苦笑いしながら

「……相変わらず鬼畜ですね。」

うん、褒め言葉として受け取っとくよシャール君。

「…おまえ、何者なんだよ。」

ん?

「おまえは何者だって聞いてんだ!訳わかんねぇ力使うし、いつも飄々として!種族もよくわかんねぇし!ホントに何者なんだよ!」

なんだ?いきなし。
種族はゼノアに聞いとらんのか?

そもそも何者っつわれても…

「自分は長谷川 鳴海、それ以上でも以下でもない。」

…いっちゃった、テヘッ。

するとラルムは俯いて、拳を固く握りはじめた。

「…………俺は…」
そういいながら、右の拳を自分の方に突き出し、まっすぐ自分の目を見据えながら

「いつか、絶対あんたを超えてやる!」

突然のライバル宣言。

ヤベェ、こーゆーキャラ自分大好きだわ

「…やってみろ、待っててやる。」

そう言いながら自分も拳を突き出し、合わせる。
そして、二人揃って自然と微笑みあう。

なんか友情が芽生えた。
つか、今までの人生で一番青春してる気がする。

**********⊆☆

「ふひゅぅ?」

自分はいま、馬車の群れからちょっと離れたところで風呂に入っている。
明かりはテキトーな木の棒でルー○スを唱えてつけています。

いやぁ、風呂はいいね、やっぱり。
久しぶりだとなお気持ちいい。こんな間抜けな声が出るほど気持ちいい。

さらに満天の星空、最高の露天風呂だよ。

自分が入っているのはそこらへんの石で錬成したドラム缶風呂である。薪はそこらへんにいっぱいあったから困らなかった。

…以外に石ドラム風呂はいける!

ちなみに、あのあとシャール君にこの世界に風呂はあるか聞いたら

『え?フロってなんですか?』

と帰ってきたのでちょっと絶望した。
王都まで行っても大きいお風呂に入れないという事だからね。

とりあえず、心と体を清める儀式と言っておいた。
あながち間違ってないはず。


あー、にしてもこの世界きて初めてリフレッシュっつーかリラックスした瞬間でないか。
ビバ・日本人の知恵。

こんな時間がいつまでも続けば…

『久しぶり?』

いかったのになぁ?
で、どこにいる自称・神。

自分は奴の姿を探して周りをキョロキョロ見回した。

『お、よくわかったね。
でも残念、私はそこにいません。君の心に直接話かけてます。』

くそ!いないと殴れないではないか!
でてこい!

『やだ。』

チッ!
ならなんで出て来た。

『あぁ、君をそこに飛ばした理由をね。』

おぉ、まさに一番気になってたところ。
とくとく、とく教えよ。

『…使い方間違ってない?
まあいいや、で、理由なんだけど………前回送った瀬田 佐之衛門 惣次郎については聞いてるよね?』

あぁ、フルネームそんなんなんだ。
で、それが?

『いや、その瀬田が倒した悪い奴の城をさ、急がなくていいけどブッ壊してくれない?』

…なぜ?

『最初、瀬田が奴を倒した時はそーでも無かったんだけど、3000年経ったら霊域化しちゃってさ。
しかも悪役の魂の残滓を核にして、結構なモンスターが一体できちゃったんだよ。
霊域については、瀬田たちが封印してるから誰も入んないし霊域からモンスターも出れないから大丈夫なんだけどね。』

で?

『そのモンスターの討伐と霊域の浄化を君にして貰いたくてさ。
大丈夫、地図と封印に入るためのブツは君のポケットにいれといた。』

嫌だよ、誰がいくか。大丈夫ならほっとけばいーやん。
つか、自分が勝てる訳ないやん。

『いや、その霊域とモンスターの魔力に当てられて魔物達が活発化するから一概に大丈夫って言えないんよ。
それに君には出来るだけのスペック持ってるし、能力もあげたしょ。
まぁ、それが終わったらこの世界で自由に第二の人生歩んでいけるんだから。』

スペックなんかねーよ。
とゆうか、お前が直接やればいいじゃん。こんな素質もクソもない一般人連れてくるよか断然いーしょ。
そして人の最初の人生勝手に終わらすな。

『私は一応神様だから直接そーゆうのはできないの。それと、実は人間ってあの世界にしかいない貴重な種族なんよ?
さらにあの世界自体が魔法も無いから、負荷も他の世界より大きいの。
だからフツーに生きてるだけで、かなりの体力と精神力を手に入れれるんだよ。
だから私のあげた能力も苦もなくつかえるしょ?』


……まじでか。
人間ってそんなすごかったんだ。

『しかも、なんだかんだ言って魂はあっちの世界に繋がってるからただ生きてるだけで能力の強化が見込めます。
まぁ繋がってるから私が君に干渉できるんだけど。』

これ以上どう成長しろと。
いや、でもそもそも自分なんかよりもっと柔道部とかの…

『あーもう!グダグダうるさい!
とにかく君なの!もう来ちゃったんだからしょうがないしょ!恨むんなら己の不運を恨みなさい。
それと、一回送ったらこの世界の魔力が邪魔して君を送り返せないから。
つーわけで、バイバイ。』

まて、最後にお願いがあります。

『……急に敬語は気持ち悪い…。 で、何さ。』

いや、自分がこっち来てから出る漫画やラノベの新刊とかゲーム・アニメ等の続編が出次第随時ポケットに投入して欲しいなぁと。

今戻れないならしかたがない。
これで我慢してやろう。

『…ゲームとかはどうやってやんのさ。』

ん?
コンセント体に密着さして電気流してみたら普通にできたよ。

『……わかったわよ、じゃあそれで交渉成立ね。
でも普通そこまでしてゲームするかね。』

うるせ。それと、帰る方法わかったら即座に教えてくれ。

『だから無いって。
あ、あと地図と一緒にオマケも二、三冊いれといたから。』

なによ、オマケって。

『あとで見てみなさい。
それと、あのお姫様の教育係りのエルフ、今姫の部屋のクローゼットに丸一日押し込められてて衰弱しきってるから助けてあげな。
じゃあ、第二の人生頑張って。オーバー。』

………嵐のような奴だった。
そして哀れ、ゾーン爺。いないと思ったらそれが理由か。
つか、彼はエルフだったのか。






はぁぁぁぁ、変なモンスターの討伐だとか、めんどくさい。
つか恐い。


…………上がろう。
もう一時間は入っていただろうか、大分体はすっきりした。

………心は入る前よか断然重いけど。

…ハァ。


…………まぁ、無料で漫画やゲームが手に入るんだし我慢してやっか♪
 
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