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Fate/stay night -the last fencer-

作者:Vanargandr
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第二部
聖杯戦争、始動
  激戦のその後に

「あぁ、くっそ」

 徐々に加速しながら落ちていく自分に舌打ちする。

 何を考えてオレは空中に飛び出したんだ。
 いや作戦自体は成功と言っていいが、間違ってもその後に続かない今の状況は望んでいない。

 まずどうやってあんな高度な重力制御魔術を行使した?

 どっかでそのへんの勉強してたっけかオレ?

 なんとかして地面との激突の衝撃を散らすにしても、無事に済まないのは分かりきっている。

 要はどうすれば被害少なくこの落下から無事に生還できるか。
 地面とのキッスまでもう数秒もないのに、こんなことを考えている自分はかなり間抜けだ。

 手段は幾つか思いついているが、どれも完全無事とはいかない。
 しょうがないのでもう適当にやるかーと、魔術行使しようとしたその時。

「でやーっ!」
「うぉおっ!?」

 横っ飛びに、ヘッドスライディングばりに飛び込んで来た、フェンサーに受け止められた。

 まさかフェンサーからのフォローが入るとは思わなかった。
 既にズタボロだったのでライダーに対処した後はもう力尽きるものかと思っていたのだが。

 飛び込んで来た勢いのままに一緒に地面を滑っていき、そこそこの距離を滑ってようやく停止した。

「ナイスキャッチ」
「…………はあ、もう」
「いやいや助かったぜ。どうしたもんかと考えてたんだ」

 硬い地面との激突という予想から、まさかの柔らかな抱擁で迎えられるとは思わなかった。

 完全に力が抜けて、そのままフェンサーの胸に頭を埋めた。
 いいよなこれ、不可抗力だよな。ぶっちゃけちょっと休みたい気分。

 正直全部放棄して眠ってしまいたいなーとか考えつつ、ぐーりぐーりと頭を動かしていると…………

 ガシっと、左肩を鷲掴みにされた。

「……」
「……」
「…………」
「…………」
「………………」
「………………」

 情けない声を上げなかったのは褒めて欲しい。
 みっともなく泣き叫びたい衝動を無理やり抑え込んだ。
 
 具体的に言うとそこはライダーの鉄杭で風穴が空いている。

 当然まだ塞がってなどいない。
 鷲掴みどころか軽く触れるだけでもかなりの激痛が走るポイントである。
 さっき宝具を撃った時点で、強化や補助等のほとんどの魔術効果が切れているので、色々我慢していたわけなのだが。


「お……おい、フェンサー……」

 オレの人生史上未だかつてないほどに震えた声だった。
 力の抜けていた身体も、信じられない激痛に無理やりにでも力が入る。

 とは言っても、フェンサーが何を言いたいのかはわかっている。

 まだ全部を終えたわけじゃない。
 二度身体を断たれたライダーは既に消滅している。学園を覆っていた結界も解けた。
 そして今回の一件は、サーヴァントを撃退して終わりというわけには行かない話なのだ。

「さて、と」

 とある場所へと向けて歩き出す。
 
 魔力は残り2割といったところ。
 これくらいなら、用件を済ませるには十分だ。

 そう。ライダーを打倒した後にやらなければいけないこと、それは──────

「なぁ、慎二。責任は取らせるぜ……?」
「ひ……ぁっ」

 フェンサーに受け止められた後、逃走封じとして慎二を束縛の魔術で拘束しておいたのだ。
 戦闘終了の安堵とともに、色々放棄して眠ってしまいたいと考えたことの一つはこれだった。

 ライダーのマスターにして、学園の生徒全員を生贄に捧げようとしたコイツの始末をつけること。
 今となっては後の祭りであり、あの時オレが見逃したせいでこうなったというのも結果論ではあるが。

 魔術師として聖杯戦争に参加し、戦いを挑み、一般人にまで手を出した。
 オレはケジメとして、その責任をコイツに取らせる必要がある。それこそ魔術師のルールに則って。

「待て黒守……僕はっ、むぐ!?」
「もう何も喋るな。何を口走ろうとしてるのかは大体わかる」

 右手で口を塞ぐように顔面を掴む。
 刻印から右腕にだけ強化を施し、頭蓋を軋ませるほどの握力で慎二を持ち上げた。

 言い訳も命乞いも聞きたくない。
 この期に及んでまだ何か聞き入れられるとでも思っているのか。

 せめて魔術師としての誇りを抱いたまま、潔く逝かせてやるのがオレに出来る最後の手向けだ。

「いい戦いだった。おまえは強かったよ、慎二」
「ん……ぐ、ん……ッッ!」

 右腕の魔術刻印の一つに魔力光が灯る。
 起動した刻印に秘められた意味は、炸裂。
 このまま右手で掴み上げている慎二の頭を、一瞬で吹き飛ばす。

 これがオレにとって一番の方法。

 俗に、人を銃で撃ち殺した場合、相手の命を奪った実感を持てないという。

 そういった話を聞いたことがある。
 だからこそこの手に命を奪う実感を刻むため。



 おまえを殺したという事実を、これから背負って進んでいくために………………



 校舎から出てきた士郎が何か叫んでいる。
 アイツのことだから、恐らくやめろなどと言っているのだろう。

 けどこれはオレと慎二の勝負の結果であり、他者に口出しされることではない。

 少しだけ、士郎と凛の方を一瞥する。
 士郎は必死な表情、対して凛は全て理解し納得した表情で。

 そして最期になるだろうもう一人の方へと視線を戻し。










 オレはこの手で、間桐慎二という友人の命を断ち切った。










 炸裂の魔術を直接叩き込まれ、慎二の頭部が弾け飛ぶ。
 腕を掴んで必死に足掻いていた姿が嘘のように、糸が切れた人形のように地面に崩れ落ちた。

 飛び散る肉片。ヒトの一部だったモノ。
 手は温かな血に塗れ、命の雫とも言うべき赤に濡れている。

 今この瞬間には、まだ慎二を殺したという実感は湧かない。
 ただ恐らくこの手に残った感触、温度。それらは一生記憶から消えることはないものになる。





 何故ならオレの手にはもう一つ分、親しい者の命を奪った記憶が永遠に刻まれているから。





 急に引き寄せられる感覚。余韻に沈んでいた意識も引き戻される。
 気づけばオレの元まで走り寄ってきた士郎に胸ぐらを掴まれ、必死の表情で問い詰められていた。

 けれど言葉は耳に入ってはこない。
 正確には聞こえてはいるが、意味を理解するために頭が働こうとしない。
 ただ茫然と……鬱陶しいと感じたので払いのけようとしたが、オレが行動するよりも早く彼女が動いた。

「私のマスターに無礼はやめてもらえるかしら──────それ以上は敵意とみなすわ」

 剣を首元に宛てがわれ、緊張した面持ちで士郎が三歩下がった。

 咄嗟に臨戦態勢に入ったセイバーを手で制するも、抗議の視線だけはこちらに向けている。

「よしなさい衛宮くん。黎慈がやらなければ、冬木を預かる魔術師(遠坂)として私がやるべきだったことよ。
 あなただってこれだけのことを仕出かした慎二が、無事に済むだなんて考えてはいなかったでしょ」
「……けど、決着はついてたじゃないか。わざわざ殺す必要まではなかったはずだ」
「そんなものは戦争の当事者である黎慈と慎二の問題よ、あなたが口を出すことじゃない」

 全くもってその通り。

 慎二の標的はオレたち3人だったとしても、アイツの始末を請け負ったのはオレだ。
 自身と慎二に関わる全ての責任を一人で背負うということは、負けて殺されようとも彼らに関係はなく、逆に相手をどうしようともオレの自由である。

 士郎の言いたいことはわからないでもないが、そんな理想は現実では何の意味もない。
 争いがあれば死は逃れられない結果として存在し、争いなどなくとも人は死んでいく。

 人を助ける、救うことは限りなく善に近いが、あらゆる状況でそれを押し付けるなら独りよがりもいいところだろう。

「これで一段落したわけだが……どうするつもりなのかだけ、聞いておこうか」

 問う声には未だ戦意が入り混じっている。
 いくらか気を抜いたつもりだったが、身体は本能的にまだ臨戦態勢を維持しているらしい。

 どうする、とはどういうことか。

 現状、ここにはもう一人サーヴァントがいる。
 さすがにあちらは即開戦という気はないのだろう、従者としての立ち位置を保持している。

 オレの残存魔力は2割ほど。フェンサーももう一度宝具を解放出来るかどうか。
 激戦を終えた直後ゆえに余力など皆無で、対してセイバーの消耗など1割にも満たないはずだ。
 正直なところ、ここで向こうが戦闘開始しようものなら、勝機などまるで見えないまま戦うことになる。

 戦略的に見ればここで弱っている敵手を見逃すこともない。
 休戦も学園に潜む魔術師を討伐するまでという契約だ。学園の結界が消滅し間桐慎二が脱落した以上、ここでその協定自体白紙に戻してもいいのだから。

 つまり休戦協定はどこまで有効か。

 ここで休戦終了とみなし、戦闘すら辞さないこともありえるのか。

「確かに、好機を前にして退く必要はありませんね」
「お、おいセイバー!」
「彼らに戦闘意思があるというのなら応えるまででしょう」

 前言撤回。士郎はともかくとして、セイバーは事によればすぐにでも応戦するつもりだ。

 今をして好機と言わしめたのは、彼女がこちらの状態をほぼ正確に看破していることの証明でもある。
 敵に余力はない……仮にまだ何か手を残していたとしても、それは自分にとって脅威となり得るものではないと。

 ましてやそんな詳細な戦力分析をするまでもなく、オレとフェンサーはボロボロの状態である。
 戦闘者としてセイバーの判断は正しい。逆の立場であるならオレ自身、その選択をすることに否はない。

「────────」

 静かに、オレとフェンサーは最後の戦闘態勢に入る。

 正直立っているだけでも限界なのだが、意志力だけで痛みや疲れをねじ伏せる。
 現在の身体(回路)の状態からどこまでの魔力運用が可能かを想定し、フェンサーのそれも同じように確認する。

 どうあろうと撤退戦になるが、セイバーを振り切る算段がまるで思い当たらない。
 一番有効と思えるのは士郎の足止め、もしくはセイバーが離れれば死の危険があるという状況に追い込むこと。

 マスターである士郎の守護、存命に努めるのか、目前の敵の排除を優先するのか。
 危険因子であるオレたちをまず排除してから士郎の治療にあたることも考えられる。

 セイバーが主の生命危機に対して、どう動くかの予想が付かない。
 この作戦を実行できたとして、思惑通りに運ぶ確率はよくて5:5といったところか。

 二騎のサーヴァントは互いに牽制し合っている。
 火ぶたはまだ切られていないが、何か切っ掛けがあればすぐにでも剣を抜くだろう。
 どうあっても生き残る術など見当たらない……が、状況は決してオレたちに不利ではない。



「待ちなさい。此処(学園)でこれ以上の戦闘は許さないわよ」

 当然といえば当然。

 今にも一触即発だったオレたちを止める第三者(遠坂凛)の存在。
 遠坂凛を正しく知っている者ならば、ここで彼女がどういう判断を下すかは想像に難くない。

「学園の結界が消えた以上、私が優先すべきは今にも衰弱死しかねない学園内の人間の安全の確保。そしてライダー、キャスターとの戦闘による魔術の痕跡の抹消よ」

 一瞬面食らったような顔をした後、すぐに凛に同意する士郎。

「そうだ。セイバー、今は戦ってる場合じゃない。助けなきゃいけない人はまだたくさん居るんだ」
「ですが……」
「私は士郎と黎慈、二人を信用して休戦協定を結んだ。そして二人も私を信用してそうしたはずよ。
 用済みになれば敵として切り捨てるような、粗末な契約を交わしたつもりはないの」

 凛の言葉に感動すら覚えるが、セイバーへの警戒は消さない。
 たとえ1%であろうと攻撃してくる可能性があるのなら、警戒を怠るわけにはいかなかった。

 これ以上の流血に意味はない。互いに引けと凛は言っている。

 とはいえ、こちらの状況は中々酷いものだ。
 簡単に気を抜くわけには行かず、万が一剣を収めた瞬間に奇襲を受ければ成す術なく倒されてしまう。
 余力、余裕がないのは事実であり、オレとしては出来ればセイバーの方から退いて欲しいところなのだが。

 しかしあちらも似たような心情なのだろう。
 警戒心は薄く、今すぐ戦うつもりはないとは思うが、完全に戦意を静めるのも迷っている。

 煮え切らない態度に我慢できなくなったか、凛が口火を切った。

「もう一つ、こっちの方針を口にしておくわ」
「え?」
「アーチャーが既に此処を狙撃出来る位置に付いてる。あなたたちが戦うのは勝手だけど、その場合こちらも勝手に介入させてもらうわ」
「っ……」

 即座に周囲に探知魔術を掛けるも引っかかる反応はない。

 確認できるのはオレ、凛、士郎の3人の魔術師、フェンサー、セイバー二人のサーヴァント。
 隠匿の魔術か何かで身を隠しているか、それとも探知範囲外からこちらに狙いをつけているか。

 結界が起動しているあいだは侵入出来なかったが、それが無くなれば関係ないということか。
 凛の危機を察知し駆けつけたアーチャーは外で待機しつつ、結界が解けた時点で次に必要なのは内部で生き残っている他のマスターとサーヴァント。

 今は自分に有利な場所で、こちらの様子を伺っているのだろう。

(フェンサー、アーチャーが何処にいるかわかるか?)
(ダメね、少なくとも半径3km圏内に居ないことだけは間違いないけれど……)

 サーヴァント同士での探知でも特定が難しいか。
 それだけ離れた距離から狙われているとすれば、こちらからは対処のしようがない。

 アーチャーの狙撃の威力は、バーサーカーとの共同戦線のときに見知っている。

 弓矢による通常攻撃で、速射砲のごとき驟雨が打ち付けるのだ。
 最後にバーサーカーを射抜いた爆撃でも撃たれようものなら、凛を除いたこの場にいる全員に被害が及ぶ。

 これでオレも士郎も、お互いに不用意に動けなくなった。
 
 アーチャーがどちらに攻撃を仕掛けてくるかわからないし、もしかしたら両方を狙い撃つことも可能かもしれない。
 ここで一番警戒するべき危険はマスターへの狙撃。超長距離からの一方的な攻撃を、確実に防ぐ手段は無きに等しい。

 ならば必然、防衛に回るべきはサーヴァントで、ここで膠着状態が生まれることになる。
 奇しくもオレとフェンサーが出会ったあの夜の巻き戻しのように、3組のマスターとサーヴァントが互いを牽制し合う形が出来上がっていた。

 一つ違うとすれば、あの時よりも幾分か物騒なことになっていることか。

「わかったでしょ、これ以上睨み合っててもしょうがない。休戦協定は今日が終わるまで有効! それでこの場は収めましょう」
「……じゃあ、後始末を手伝えなくて悪いがオレは撤退させてもらおう。気が向いたらどう始末がついたかだけ教えてくれ」
「機会があればね。学園もこの有様じゃしばらくは通常運営なんて無理でしょうし」

 さっさと行きなさいよと言わんばかりに手をひらひらと振りながら、凛は校舎へと向かって早々と去っていった。

 迷いのない行動ぶりには清々しさすらある。
 その後ろで呆然と見送りながら、慌ててついていこうとする士郎を呼び止める。

「士郎」
「……なんだ」
「オレのやり方は変わらない。一般人を巻き込むつもりはないが、敵のマスターを消すのは戦略上絶対に有り得る」
「ああ……納得はできないが理解はしてる。けど俺の考え方も変わらない。不必要な犠牲は絶対に出さない、そのために聖杯戦争に参加したんだ」
「それは敵対している相手を含めてか?」

 間髪入れずに問う。
 言葉では答えず、その強い意思を宿した目がその通りだと語っていた。





 救える命なら敵でも救うと。

 大した偽善、もしくは独善だが、それを貫くというなら評価しよう。
 もとよりそういう人間だと分かっていた。出会った当時から変わらない絶対の価値観。

 助けを乞われれば助けるし、目の前で困っていれば無条件に手を差し出す。
 だが無償の善意に返ってくるのは悪意だけだ。世の中は何事もバランスを取るように回っている。
 見方として属性というものでも割と間違っていない。善性と善性、悪性と悪性では帳尻が合わず、相殺するには善悪という別種のモノでなければならないのだ。

 財布を拾えば届ける人でも、道端に落ちてる100円は懐に仕舞うこともある。

 そう言う意味で、士郎のツケは溜まっていく一方だ。
 そして総ては自己責任…………最後には、謂れ無い悪意を受け続けて自壊する。

 オレや凛はそういうことに我慢できない質だが、どうにかしてやる気もない……というよりどうしようもない。
 出会ってからそうだと気づいていくらか改善の手段を試みても見たが、オレなりの試行錯誤も悉く失敗に終わってきた。

 こいつのことは、自分に可能な範疇を超えた問題なのだ。
 オレには限界だと感じた問題は放棄、破棄するのが信条の一つにある。
 無理難題に関わり続けていては、自身によくない結果にしか繋がらないという経験則。

 故に士郎については、そのうち助けるに相応しい誰かが現れるだろうと勝手に思っている。





「なら、オレはおまえの方針に沿わないマスターってことだ。だったら近いうちに倒しに来い、それがオレを止めるのに一番手っ取り早い方法だ」
「俺は自分から仕掛けるつもりはないけど、いつかはそうなるんだろうな。けど、次に一番どうにかしないといけないのはキャスターだ。遠坂も多分そうするだろうし」

 なるほど、現状理解は十分か。
 オレも次に倒すべきはキャスターと目標に定めている。

 一般人を巻き込むことすら厭わない戦術、他のマスターさえ利用しようとする狡猾さ。
 何より慎二が暴走したこの一件について、全てが丸く収まっただなんて考えてはいない。
 友人をこの手にかけた以上引き戻す道はない。オレと慎二の二人分、ツケられたものはキッチリとノシつけて返さなければ気が済まない。

「……了解した。それじゃキャスターを倒す前に道端でバッタリ、なんてことがないように祈っておくぜ」

 踵を返し、士郎と凛とは逆に校門へ向かう。

 戦闘の緊迫感に起因する気の抜けなさとは別に、身体の限界を無視している状態もそろそろ厳しい。
 こっちの方に関しては気を抜いてしまえばそのまま気絶してしまいかねないので、最低限家に帰るまでは気を張り続けていなければならない。

 校門を出て安全域まで離れたのを確認し、フェンサーを霊体化させる。
 霊体を実体化させている負担がなくなり、僅かだが身体が少し楽になる。

 後はこのまま、学園から家までの徒歩20分といった距離を踏破できるか。





 疲労困憊の身体を引きずり、俺はようやく今日一日を無事生き残ることが出来たのだと実感していた。

 
 

 
後書き
ある程度目処がついて読み返すと、このくらいの文章に自分どんだけ時間かかってるんだろうと思わないでもない。

今話は前話からの引用もあり新しい部分はそこまでなく、一話自体も短め?です。
一応前話のところどころに修正を施していますので、よろしければ改めて前話をお読みになってからこちらを読んで見られるとよいかもしれません。

更新が少々遅れましたこと申し訳ありませんですm(_ _)m 
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