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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第2章:おてんば姫とチャラ王の冒険
  第18話:何時の間にやら武術の師匠………何で?

(サントハイム)
リュカSIDE

「たー!」「何の!」「うりゃぁ!」「まだまだ!」「トウ!」「甘い!」
俺は今、サントハイム城の中庭でアリーナに稽古をつけている。
何でこんな事になったのだろう?



塔の最上階でエルフが落としていったのは、探し求めていた囀りの蜜だった。
またアリーナを泣かせたくなかったから、率先してルーラでサントハイムに戻り、王様に薬を飲ませました。
うん。本当に効果があったみたいで治っちゃったらしい。(“らしい”と言うのは、その場に俺は居なかったから。堅苦しい場には居たくなかったから!)

お城の美女をナンパして今夜の約束を取り付けた頃、アリーナ達が俺の所にやって来て嬉しそうに言いました。
「お父様から世界を旅する許可が出たわ!」
ふ~ん良かったね…って感じ。

興味が全くないのがバレたのか、爺さんが経緯を話してくれた。(別にいいんだけど…)
何でもアリーナパパには予知夢を見る病気があるらしく、声を失う前にも怖い予知夢を見たんだってさ。
怖くておねしょして、恥ずかしくて声が出なくなったのかな?って言ったら、すんごく怒られた。

んで、今回見た怖い夢ってのが…
世界の何処かで邪悪な魔王が蘇ろうとしている…らしい。
それを倒せるのは勇者だけ…って言ってた。

だからアリーナに世界を見せようって思ったんだってさ。
何でそう言う思考に達したのかは分からんけど、そうなったんだって。
やっぱりここでも「あっそ!」って興味なく答えたら、隣国のエンドールへ行くって言ってきた。

どうやらエンドールでは、現在武闘大会を開催しているらしく、それに出場する為大興奮している…アリーナだけが。
すると、多大なる温度差を感じ取ったクリフトが、エンドールについて教えてくれた。

この世界の国の一つエンドールは、最も交易が盛んな大国らしい。
人も物も沢山集まるから、俺の家族の事も何か分かるかもしれないって…優しく教えてくれた。
コイツ本当に俺に気があるのかな? 最近優しいんだけど…キモイ。

と言う訳で、今夜一晩サントハイムで過ごしたら、明日の朝一で砂漠に戻り、そこから東へ旅立つ事になった。
それは良いんだよ…
すっかり忘れてたけど、家族とはぐれてるのも何とかしたいし。

でもね…
「だからリュカ! 私に武術の稽古をつけて!」
って………“だから”って何?

絶対拒否ろうと思い口を開いた途端、アリーナが瞳を潤ませて言ってきた…
「私…リュカに言われた通り、子供っぽいパンツを止めて大人な下着に替えたんだよ…大人な武闘家になりたいから、言い付けを守ってるんだよ!」

大人な武闘家って何だ!?
そうツッコもうとしたのだが、セクシーパンツを穿いたアリーナの蹴りを正面から観察するのも、結構良いんじゃね?って考えが巡って来ちゃって…

何だかんだ言っても、アリーナは可愛いんだよね!
クリフトが狙っていると思ってたから遠慮してきたけど、アイツってばゲイぽいじゃん!?
コレを切っ掛けに、俺の上での特訓も行っちゃおうかな?



そんな訳で、夕飯をたらふくご馳走になった後、中庭でアリーナのパンチラ鑑賞会を行っています。
お城のメイドのケーラちゃんと、この後約束があるからアリーナにはまだ手を出さないけど、良い感じでムラムラ来ちゃってるね!

リュカSIDE END



(サントハイム)
クリフトSIDE

昨晩は最悪な夜だった…
陛下のお声が戻り、大変喜ばしいハズであるのに…
疲労だけが蓄積されて行く。


事の発端は、陛下へのお目通りを断ったリュカさんが原因だ!
断る事自体不敬に値する事だってあるのに、断る理由が最悪だ。
『他人に畏まるのはイヤだから、僕は王様に会わないよ』って………何様だコイツは!?

それも陛下が居られる国王の間の前で、大声で言い出すから始末が悪い。
国王の間に居合わせた多数の家臣等も…勿論陛下ご自身も、このアホの台詞を聞いており、入室した我々を冷めた目で睨んでいた。

しかし、陛下のお声が戻られた事と、アリーナ様の『リュカが居たから、お父様の声を治す事が出来たのよ!』と言う必至の弁護により、取り敢えず水に流す方向で雰囲気も元に戻った。
リュカさんは優しいアリーナ様に感謝すべきだ!

だが、コレまでの事は序章にすぎなかった…
アリーナ様が必至で弁護する人物が気になった陛下は、お礼をする意味も込めて晩餐を共にしたいと仰った…
私もブライ様も『礼儀の“れ”の字も知らない男です! お止めになった方がよろしいかと…』と止めたのだが…

『よい! 余の恩人であり、(アリーナ)の信頼する人物でもあり…そしてフレノールの事件を速やかに解決させた人物だ。些細な言動に目くじらを立てるつもりはない! 他の者もそれを心得よ!』

と、半ば強引に晩餐列席が確定してしまいました。
勿論、これまで行動を共にし、そしてこれからも共に旅立つ我らも列席を許されました。
本来なら、陛下やアリーナ様とご一緒出来るなんて光栄の極みであるのに、リュカさんも一緒という事で心から喜べない。

案の定、リュカさんの言動は私の胃を苦しめる。
目の前には各地を巡ってきた我々でも、お目にかかれない様な素晴らしいご馳走が並んでいるのに、全く食欲がわかない程彼の言動が私を苦しめる。

最初に陛下が『この度は余の声を取り戻す手伝いをしてくれて助かった。礼を言うぞ』と、礼節を守りリュカさんに感謝を述べる。
ここで普通の人間なら“いえ…微力で大した事も出来ませんでした故、恐縮であります”的な、謙遜を示すのだろうが…

『別にお前の為にした訳じゃねーよ! 礼なら、涙ながらに訴えてきたアリーナに言え』と、出てきた食事を頬張りながら言い放つ。
私もブライ様も右手で顔を覆い、周囲を確認する…

思った通り列席した家臣の大半が、青筋をヒクつかせ拳を握り締めていた。
『じゃ、じゃぁ今回のは、私だけの功績って事ね!』
空気を読んだアリーナ様が、慌てて戯けて場を和ませたが、家臣等の表情は緩む事がなかった。

その後も食事をしながらの雑談は続き(彼のタメ口も続く)、エンドールの武術大会へ出る為、今後はリュカさんに稽古をつけて貰うという話しになった時、遂に事件は起きてしまった。

『どうかなリュカ殿…武術の師匠だけではなく、いっそのこと伴侶になってはみんか?』
無論冗談である事は陛下の顔を見れば一目瞭然。
リュカさんの直らないタメ口の所為で、陛下も会話中に冗談を織り交ぜだしていたのも、その証拠である。

だがリュカさんの返答が最悪…本当に、冗談抜きで、これ以上ないくらい最悪だったんです!
『イヤだよ! だって僕には奥さんが居るし…家に帰れば沢山愛人だって居るし……こっちの世界に居る間、エッチだけをする関係であればOKだよ。あ、でも今夜はダメね…もう先約が入ってるから☆』

断り方にも色々ある…
“畏れ多い”と謙遜したり、“妻を愛してるから”と柔らかく断ったり…
だがリュカさんは、アリーナ様に面と向かって『イヤだ』と言い切ったのです!
しかも、その後に肉体関係だけならOKと、ふしだら極まりない条件を付けてきたのです!

私やブライ様…そしてアリーナ様は、彼の事を多少は解っていたので憤慨しながらも諦めの境地に達しておりました…
しかし、リュカさんの隣で食事をしていた近衛騎士隊長殿には我慢の限度…
腰から剣を抜くや『こ、この無礼者!』と斬りかかってしまいました。

もう上を下への大騒ぎ…
この後の事を簡単に説明しますと、“リュカさんの言動は気にしない、目くじらを立てない”と告げていた陛下の面目は丸潰れ。

これまで擁護してきたアリーナ様の面目も丸潰れ。
一撃で負けてしまった近衛騎士隊長及び、近衛騎士隊の面目も勿論丸潰れ。
唯一残った面目は…『この城のメイドは美人が多いね!』だけでした。
誰の台詞かは言いませんけど…

クリフトSIDE END



 
 

 
後書き
哀れなサントハイム王家に励ましのお便りを… 
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