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真剣恋にチート転生者あらわる!?

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第9話

悠斗side



川神市を散策してから二月が過ぎた。街に吹く風は冷たく、冬の到来を予感させる。
揚原様は川神院で行われる死合に向けて、ヒュームさんと共に日々鍛練を行っている。
俺はヒュームさんが揚羽様と鍛練を行っているあいだ、紋白様のお世話を行っている。
今は、紋白様の部屋で家庭教師をしている最中だ。

「・・・で、あるからして、・・・となります。此処までなにか質問はありますか?」

「うむ。特に問題はない」

ゴーンゴーンと時計の鐘の音が部屋に響く。時計を見ると針が3時を指していた。

「では、今日は此処までにしましょう。直ぐにお茶の準備を致します」

「うむ!分かった。妾はかたずけをする」

紋白様がテーブルの上に出していた、筆記用具やノートをかたずける。
俺は授業に使用していたホワイトボードをかたずけてお茶の準備をする。 紋白様が筆記用具等をかたずけたテーブルクロスを剥がして、新しいテーブルクロスにする。
台車を押して紋白様の側に立ち、砂糖を1つ入れた淹れたての紅茶を紋白様に出す。
また、同時に茶菓子として焼きたてのクッキーも添えて出す。
紋白様がティーカップを持ち、紅茶を口にする。

「うむ。流石は悠斗じゃな。ヒュームやクラウディオに負けず劣らずの腕前じゃな。付け合わせのクッキーも、砂糖を入れる事を前提にしてあるから、甘さを控え目にしてあるの」

「いえ。俺の紅茶の腕前なぞまだまだでございます。クッキーに関しては、俺ではなくシェフ達を誉めて上げてください。
さすれば、彼等の励みになるでしょう」

実際俺の紅茶の腕前なんて、ヒュームさんやクラウディオさんに比べればまだまだ。クッキーに関しては、厨房を預かるシェフ達に紋白様の分と伝えておいたから、彼等が紋白様の好みを理解してるからの配慮だ。

「そうだじゃな。なら、夕食の際にシェフ達に伝えましょう。そう言えば、悠斗は九鬼家に来る前は何をしていたの?」

「俺ですか?まあ、傭兵等をしていましたよ」

「そうなのか。なら、悠斗の傭兵時代の話を聞いて観たいの」

「う~ん」

正直傭兵時代以前に、この世界の経歴事態が神様に作られたものだからな。俺は頭を回転させる。

(まあ、傭兵時代の話だから、向こう(マブラヴ)の話から適当に捏造した話をするか。ボロを出さないようにしないとな)

「ダメなのか?」

上目遣いで泣きそうな表情をして、俺を見上げる紋白様。まあ、適当にやるしかないか。

「ふぅ。まあ、仕方ありません。紋白様のご期待に答える事が出来るか分かりませんがお話しましょう」

「うむ!楽しみじゃ!」

「あれは、忘れもしない」

「ふははははは!!九鬼揚羽、修行を終えて参上!!」

紋白様に昔話をしようとした瞬間、紋白様の部屋の扉が開いて揚羽様が元気よく入ってきた。よく見ると、後にヒュームさんとボロボロになった小十郎がいる。3人とも、此方にやって来た。
俺は素早く揚羽様の席を用意する。無論、紅茶の準備もしておく。

「あ!姉上!修行お疲れ様です!修行はどうでした?」

「うむ。紋白。ありがとう。今日の修行は有意義であった。紋白。そっちはどうであった?」

「はい!悠斗の家庭教師はとても分かりやすく、大変勉強になりました!また、1歩姉上に近付きました!」

「ふははははは!!そうか。それは良いことだ。だが、我も日々進化してるゆえ、簡単には追い付かせんぞ?」

「はい。妾も頑張ります!」

揚羽様と紋白様が紅茶を飲みながら、楽しげに雑談を交わす。

(やはり、お二人とも仲が良いな。腹違いの姉妹なら普通は疎遠になりそうだが、揚羽様や紋白様はそんな事などどうでも良いように見える。向こうの世界で実の姉妹すら、家を分かつ等と言ってる古だぬきどもに見せてやりたい位だ。まあ、不可能なんだがな)

俺は内心で毒づきながら、二人の側で待機している。すると、ボロボロになっている小十郎が小さな声で話かけてきた。

「なあ、悠斗。紋白様との勉強って何をするんだ?」

「うん?まあ、一般教養の国語、数学、社会、理科、英語、なんかが基本だな。レベルは中学生から大学生位の幅があるがな」

「う!?そうなると、結構難しいのだな」

「いや、紋白様は凄いぞ。今日は、社会の勉強をされたのだが、高校1年生レベルの問題を楽々解いたからな。差し詰め、紋白様は努力の天才だな」

「へぇ~。まあ、努力の天才なら揚羽様も負けてはおられないからな!」

二人でそんなことをヒソヒソと話す。ヒュームさんは聞き耳を立てて聞いているだけだった。
俺は紋白様の紅茶が無くなりそうだったので、次のお茶をティーカップに注ぐ。無論、砂糖も入れておく。

「うむ。悠斗は何も言わずともおかわりを淹れてくれるな。流石は短期間で九鬼家侍従隊の一桁まで、登り詰めた実力者だね」

「当たり前だ。悠斗我の専属だぞ。生半可な、洞察力では無いゆえにな。そう言えば、悠斗と紋白は我が部屋に入ったときに何を話していたのだ?」

まさか、最初に紋白様に話そうとして忘れていた、俺の過去話を揚羽様が振って来ましたよ。
紋白様も、思い出したと言わんばかりの表情だ。

「そうじゃった!悠斗の過去の話を聞こうとしてたのじゃ!悠斗!話してくれ!」

「ほぉ~。それは、楽しみだな。悠斗。我からも命じる話してみせよ」

「悠斗の過去か!気になるな!きっと派手な武勇伝に違いない!」

「ほぉ。悠斗。早く話せ。お前の過去話はなかなか聞けそうに無さそうだからな」

全員が楽しそうに俺が話すのを待っている。

「(仕方ない。適当にゲームとマンガを参考にした話をするか。まあ、捏造だからな。後は適当に濁せばいいかな?)では、1つ話しますか。あれは」

俺は仕方なく今作った過去を話すことを決め、話し始めるのだった。




悠斗sideout



小十郎side



揚羽様とヒューム師匠と共に修行を終えて、紋白様のお部屋で揚羽様と紋白様がお茶を楽しんでいた。そしたら、いきなり悠斗の過去の話を聞くことになった。最初は悩んでいたが悠斗がゆっくりと語りだした。

「あれは・・・そうだな。ドイツで傭兵の仕事を引退して、直ぐの事だった。俺は日本に帰国するつもりだったんだが、ある依頼が舞い込んで来た」

「依頼?」

「ええ。紋白様。アメリカにいる古い友人からでした。今の彼はとある機関で仕事をしていてね。俺がまだ、MITにいた頃に仲良くなった友達がだったんですよ」

懐かしそうに目を細める悠斗。やはり天才と言われても、小さい頃は普通の子供だった様だ。
更に、話を進める。

「で、彼から来た依頼はある米軍特殊部隊が武装決起を起こしたため、鎮圧をする事だったんです」

「ふむ?悠斗。続きを話してくれないか?」

「分かりました。揚羽様。で、その事件にキナ臭い事が絡んでるのは明白だった。そこで、俺に内密に処理して欲しいと依頼が来たんです。莫大な報酬を餌にね。流石に大国の恥を曝す訳にはいかないからと」

「その、友人は余程金持ちなのか?莫大な報酬なぞ、一介の人間に出せるものではないはずだが?」

「ええ。普通なら不可能でしょう。まあ、払ってくれたのは彼ではなく、彼の所属していた組織ですがね」

成る程。確かに普通に働いているなら払えないが、彼のバックにある組織は余程余裕がある組織なのだろう。
更に悠斗は話を続ける。

「で、俺は日本に帰る前に依頼を承諾してアメリカに飛んだんです。で、友人の勤めている会社に行き、彼から話を聞いて調査に向かったんです。無論、簡単な依頼ではないと分かってはいましたがね」

「ほぉ。ならば、実際はどうだったのだ?」

ヒューム師匠が悠斗に問いかける。悠斗はため息を吐いて苦笑いをする。

「ええ。着いて早々に米軍基地に向かいました。そこで潜水艦に乗せられて、潜水艦の中で内容を説明されましたよ。作戦に使用する武器、道具は全て現地調達。何一つ持っていく事は許されませんでした。まあ、迷彩戦闘服は来ていきましたけどね」

「なんと!悠斗を丸腰で送り込んだのか!?」

「はい。紋白様。まあ、それから目的地の島付近で潜水艦から、発信して泳いで島に上陸しました」

悠斗は笑顔で紋白様の問いに答える。

(なんと危険な任務なんだ!悠斗はそんな戦場を生き抜いてきた猛者だったのか!)

俺は内心で悠斗の凄さに驚いていると、悠斗が話を進める。

「で、島に上陸してから気付いたんですが、島事態が要塞かされていたんですよ。しかも、かなり巧妙に隠されながら」

「ほぉ。成る程。おそらく、武装決起した特殊部隊は元々その島で何かを建設するために、外敵からその要塞を護るために送り込まれた部隊だったのだな」

「その通りです。ヒュームさん。どうやら、米軍が内密に建設した秘密基地だったんです。しかも、武装決起した部隊は最新鋭の武装で固められた部隊でした」

「なら、何故わざわざ武装決起する必要があったのじゃ?普通に必要な基地なら、存続させるべきであろう?」

紋白様が悠斗に問いかける。確かにそうだ。最新鋭の武装で固められた部隊を送るほど大事な基地ならは、隊員達が決起を起こす必要はないはずだ。俺は疑問に思いながらも、悠斗の説明を待つのだった。




小十郎sideout



ヒュームside



紋白様の部屋で悠斗の過去話を聞いている。先ほど紋白様が問いかけた疑問に悠斗が答える。

「まあ、彼等が武装決起した理由は、果てしない戦争を起こす事が目的だったのです。事態を重く見た米国政府が秘密りにかたずけたかったから、わざわざ俺に白羽の矢を立てたんです」

(成る程。あの頃の米国なら、イラク相手に忙しかったからな。ましてや、正規軍が武装決起等したことが世界に知れたら、国のメンツが無くなるからな。それで、有名な悠斗に依頼したのか)

下手すれば世界中から非難されかねない。大国としてのプライドが高いあの国ならば、決して容認出来る筈がない。

「なら、悠斗は要塞に潜入してから、敵を全滅させたのか?」

「ああ。そうだ小十郎。現地のレジスタンスと協力して、要塞の破壊と武装決起した隊員全てを殺害した。依頼を無事に達成した俺は、金を貰って日本に帰国したのさ」

まあ、日本に帰ってきてから揚羽様に拾われるまでは、遊んでいたけどな。と言って悠斗は話を終えた。

(成る程。やはり、悠斗は規格外だな。普通なら英雄扱いされても可笑しくない話だと言うのに、平然と話していてまるで凄いことをしたと、言った雰囲気を感じさせてないなとわな)

改めて悠斗の規格外差を感じさせられていると、悠斗が口を開いた。

「まあ、俺の武勇伝なんてこんなところですよ。寧ろ、俺よりヒュームさんの武勇伝の方が凄そうだと思いませんか?」

「む!確かに言われてみれば、ヒューム師匠の武勇伝を聞いたことがあまりないな。是非とも聞いてみたいものだな」

「確かに悠斗も凄いが、ヒューム師匠ならば、更に、凄い筈だ!!!」

「うむ。妾もヒュームの武勇伝を聞いてみたいな」

全員が楽しそうに俺を見る。雰囲気的に断れそうな空気では無かった。

「(まあ、仕方ないか。悠斗の過去を聞けたのだから、これくらいは付き合ってやるか)そうだな。あれは、まだ若かった頃だ」

俺は、内心で腹を決めて、自身の武勇伝を語り始めるのだった。




ヒュームsideout



揚羽side



紋白の自室で悠斗やヒュームの武勇伝を聞き終え、夕食を済ませ湯浴みを終えた我は部屋で悠斗と共に布団で互いに一糸纏わず横になっておる。今は、悠斗の左腕に頭を乗せ腕枕をしてもらっておる。

「なあ、悠斗よ」

「はい。揚羽様。なんでしょうか?」

悠斗が顔を横にして我を見る。互いの視線が交わる。我は悠斗の目から視線を外す事はしない。

「紋白の自室で言っていた過去の話の中で、不思議に思った事があるのだ」

「何がですか?」

「果てしない戦争とは、終わることのない戦争と言うことなのか?我には理解が出来ぬ。何故、平和を捨ててまで戦争をする必要があるのかが」

「う~ん」

悠斗は目を閉じて悩む。我にはどうしても理解が出来ない。人は平和な世で生きていきたいのだ。 確かに、世界中に多種多様な人種、宗教、文化など多彩なものがあるが、人々は皆平和を求めている。戦いのない平和な世をだ。それにも関わらず、何故決起した者達は終わりのない戦争を求めたのだろうか。
悠斗がそっと我を引き寄せる。互いの距離は息が触れ合う程の近さだ。

「おそらく、それは揚羽様が武人であって、戦士では無いからでしょうね」

「どう言う事だ?」

「俺の様にCQC等の特殊な技術を持った戦士は、戦場では貴重な存在ですが、平和な世では只の不器用な木偶に成り果ててしまいます」

「何故だ?平和な世でも充分生かせると我は思うぞ?」

少なくとも、警察やSP関係の仕事に就職すれば問題なく生かせる技術だと我は思うぞ。
悠斗が我の髪を優しく撫でる。

(うむ。悠斗の手で髪を撫でられると、とても落ち着くな)

我の髪を撫でながら悠斗はそっと微笑む。

「ありがとうございます。揚羽様。確かに今ならば、生かせるかも知れませんが決起した部隊の者達は違いました。彼等は自分達が生を感じられるのは戦場しかないと考えたのです。だからこそ、世界が平和になるのを恐れた。平和になれば軍縮により自分達が切られる。自分達が生を感じられる場所が無くなるのは困ると、だからこそ終わりのない戦争を引き起こす引き金になろうとしたのですよ」

「そうか。彼等は自分達の居場所が無くなるのを恐れたのか。彼等は武人ではなく、あくまでも戦士で在りたいか。少なくとも、常人の考えが及ばぬ場所よの。悠斗。わざわざ話してくれてありがとう。疑問が解けて胸がスッキリした。今宵もいい夢が見れそうだ」

「いえ。揚羽様の安眠を阻害するような事に、ならずに済んで良かったです」

我は悠斗の頭を両手で押さえ、唇を重ねる。

「ん・・・ちゅ・・・ちゅぱ・・・く・・ん・・・ちゅ・・・・・ちゅぱ」

我の舌と悠斗の舌が、卑猥な水音を響かせる。
それから暫くの間、我と悠斗は夢中になってキスを続ける。

(悠斗のキスは上手い。最初は我に主導権を与えてくれるが、途中からは我が悠斗の舌に合わせられている。たが、悠斗と繋がっていると思うと、胸の奥が暖かい気持ちに包まれる)

やがて互いの唇が離れる。我は悠斗の頭を解放する。キスの余韻を表すかの様に唾液で出来た、一本の糸が残るが悠斗が指で糸を絡めとる。
我はその指を口に銜える。

「あ、揚羽様?」

「ん・・・ちゅ・・・・・・ちゅぱ・・・・ん・・・く・・ん・・」

我は唾液の糸が付いた指を丁寧に舐める。口で、歯で、舌で、唾液の糸を取る。悠斗の味を最後まで味わい感じる。指に付いていた糸を全て舐めてから指を口から放す。

「ふふ。悠斗よ。美味で有ったぞ」

「ふ。そうでしたか。さあ、寝ましょうか。夜更かしは良くないですからね」

「うむ。そうだな。悠斗よ。愛しておるぞ」

「はい。揚羽様。俺も愛しております」

我は悠斗の腕を枕にして眠るのであった。




揚羽sideout
 
 

 
後書き
そろそろサルベージのストックが終わります。 
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