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ソードアート・オンライン ~人形使いの集い~ フェアリーダンス

作者:人形使い
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会社つくるぞ~

我々がBOTを使うようになって数ヶ月が経過、既にマードックキャラやスパイダーマンキャラを
遥かに凌駕するスキルレベルに到達している
朝起きたらBOTのインベントリを整理、設定しなおしてFull Auto
仕事から帰宅したら再びインベントリの整理、設定しなおしてFull Auto
夜になったらまたまたインベントリを整理、設定しなおしてFull Auto
ほぼ24時間の連続稼動してれば当たり前だ
ユルドも潤沢なので金で手に入る最高級の武器防具を揃えている

「ねえ、RMTでユルド売却してみない?」とキャシャーン(=シャルル=ゾルゲ=4Fバイトリーダー)
「そういやヤフオクとかで売れるんだよね?」
「本当に売れるのかな?」
「いまどれくらい持ってるんだっけ?」
「うんとね、100Mユルドくらいあるね」
「それっていくらくらいになるの?」
「1ユルドの買取価格がだいたい0.5円くらいだから50万円?」
「マジで?」
「それ凄くね?」
「売ろう、売ろう、皆で山分けだ」
「1人4万ちょいだから支払った月額課金を余裕で回収できるじゃん」
「実はさ、RMTの事で皆に話したい事あるんだけどいいかな?」
「何?」
「俺、中華様とフレンド登録してるじゃん、シャルルキャラで」
「あー、そういえばしてたね、スーパーマだっけ?」
「実は彼とは今もやりとりしてて、ALOの外でもメールとか電話でやり取りしてたんだよね」
「え、キャシャーンて中華語わかるの?」
「いやいや、ブロークンな中華語での会話だよw」
「それでもスゲーな」
「それでね、連中の稼いだユルドを日本のRMTサイトで俺たちに売却して欲しいんだって」

なるほど、話したい事ってのはのはそういう事か
なんでも中華様は普段、中華国内のブローカーに卸してるんだけど凄い安い値段で買い叩かれちゃうのだそうな
なので日本人の知り合いを作って、そちら経由で売買する事ができるようになれば利幅が増えるらしい
そういう事ならやってみようかということで、まずは中華のスーパーマから100Mユルドを受け取って試す事になった

とりあえずヤフオクやマツXOなどの各RMT会社のサイトを調べ、一番高い所で買取手続きを行う
買取価格は随時変動しており、今日の時点での最小取引単位は1Mユルド、一番高い買取レートは5200円だった

・買取:1Mユルド=5200円
・販売:1Mユルド=10200円

売却と購入で5000円もの差額があるのだが、これが普通らしい
ちなみに中華の国内ブローカー相手だと、さらに1/10の金額、1Mユルド=520円で買い叩かれるという
随分酷いな話だなと思ったが、普通の中華人は日本語なんかわからないので言い値で売るしか無いのだとか
そして中華の卸売業者は、1Mユルド=520円で仕入れたユルドを日本の業者に1Mユルド=5200円で売却し
差額の4680円を儲けているといった感じらしい

一応、4Fバイトリーダーがスーパーマに1Mユルド=5200円での売却で良いかを確認すると、それでかまわないらしい
さて、業者とのユルド受け渡しだ、メールに書いてある取引手順の指示にしたがって央都アルンの西口広場へ移動
そこに行くとで「ラブミートスティック」なるキャラクターが雑貨屋を開いているので
毛糸玉を単価9900ユルドで101個、動物の皮を100ユルドで1枚買い取ってくれとの事
随分と変なやりかただなと思ったが、なんでも単品単価が1万ユルド以上の取引はログが調査されてしまうのだそうな

ユルドの引渡しが終わったのでログアウト
パソコンのメールを開くとユルドの受領確認、及び指定銀行口座への振込みを行った旨の通知がきた
ネットバンクにログインすると約束通り52万円が振り込まれているようだ
謝礼に1割もらえる事になっているので差し引き46.8万円分のWebマネーを購入
スーパーマにはメールでWebマネーナンバーを通知
スーパーマはWEBマネーから「銀聯カード」(银联卡/銀聯卡)にチャージする仕組みだ

「これ一般ユーザーへの小売も俺達でやったら、さらに儲かるんじゃない?」
「そこまで本格的にやると商売になっちゃうから色々と面倒臭くならんか?」
「最近は競馬予想やセドリ転売で細々と稼いでいた連中が所得税法違反やら脱税容疑だので
 ビシバシとタイーホされているし少し危険じゃないかね」
「モグリじゃなく、きちんと法人にして経理をしっかりして運営すれば問題無いよ」

「あ……まさか……まさかそれは……」
そこまで考えて、ようやく俺の脳裏に電撃的な啓示が閃いた。
「それは……!」
 振り向き、4Fバイトリーダーの顔を見る。
 4Fバイトリーダーは、大きく一回頷くと、興奮を隠せない声で言った。
「そうさ。俺達で――RMT会社を作るんだよ」

ぬぉ、まさか、そんな、でも、だが、しかし、俺達に出来るのか?
こんな中途半端に毎日ダラダラ生きているだけの俺達にそんな事が
でも、これはチャンスじゃないのか、このままフリーターの日々を続けたって何があるわけでもない
今はまだ若いし体力もあるのでなんとか暮らしているが先の保障は何も無い
だったら一発・・・
もしかして、やっちゃうのか?
でも、だが、しかし、今のままでもジリ貧だし・・・

「それ、本気なのか?」
「うん」
「こんなニート無職フリーターみたいな生活をいつまでも続けられるわけないよね」
「やるか!」
「やろう!」
「本当にやるんだね」
「俺どこまでもついていくよ」
「みんな、ありがとう」

                        ~ 第二部 完 ~  
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