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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第九十七話 サイコドライバー

                  第九十七話 サイコドライバー
「おや、どうしました?」
 他のものよりさらに巨大なヘルモーズの司令室においてだ。孫が明るい声でハザルに問うていた。
「ご機嫌が宜しくないようですが」
「下がれ」
 ハザルは不機嫌そのものの声でその孫に告げた。
「余計な媚は不要や」
「媚ですか」
「そうだ。御前はエツィーラとつるんでいればいい」
 こう孫に対して言う。
「それでいいのだ」
「これは異なことを」
 しかし孫はいつもの態度でこう返すのだった。
「私はゴラー=ゴラムの一員です」
「そう言うのか」
「はい、貴方の忠実な部下でございます」
 言葉ではこう言う。
「それは先の戦いでも明らかではないですか?」
「では聞こう」
 ハザルは鋭い目で孫に問うた。
「御前の血族はだ」
「はい」
「そして御前のマシンはだ」
 真龍王機についてもだった。
「地球のガンエデンに付き従うものだったな」
「はい、その通りですよ」
「ガンエデンの代行者を追う俺に忠誠を誓う」
 そのことについてだった。彼はさらに問う。
「裏があってのことだな」
「否定はしません」
「認めたか」
「ですがそれは過去の話です」
「過去のものだというのか」
「はい、そうです」 
 こうだ。孫はいつもの飄々とした調子で述べる。
「私の先祖も真龍王機も」
「どちらもか」
「いわばガンエデンに力で抑えられていました」
 そうだったというのである。
「ならばです」
「より大きな力が現れたならばか」
「そちらにつくのが道理というものでしょう」
「それが俺ということか」
 その孫を見ながらの言葉である。
「このハザル=ゴッツォだというのか」
「そのつもりですが」
「そうか」
 ハザルは暫し考え込んだ。そしてそのうえでだ。
 孫に対してだ。あらためて言うのだった。
「いいだろう」
「有り難うございます」
「御前にはあの二人を任せる」
「龍と虎の」
「好きにしろ。だがだ」
「あの坊やをですね」
「あいつは俺が始末する」
 リュウセイにだ。ただならぬ憎悪を見せての言葉だった。
「それは言っておく」
「わかりました。それではです」
 孫も彼のその言葉を受けて話す。
「司令のお力を拝見させてもらいます」
「うむ、そうしろ」
「無限の力である絶対運命」
 孫の言葉が続く。
「アカシックレコードに選ばれし者」
「それが俺だな」
「サイコドライバーの力を」
「言われるまでもない」
 ハザルも彼の言葉を受けて話す。
「俺はシヴァー=ゴッツォの息子」
「はい」
「ハザル=ゴッツォだ」
 ここでもだ。己のその拠って立つ自負を見せた。
「父上の為にもだ」
「そのサイコドライバーで」
「奴等を消滅させてやる」
 そしてだ。横にいるエイスを見た。
「エイスよ」
「はい」
「御前の力を使うことになるかも知れん」
 彼にも告げた。
「準備をしておけ」
「了解です」
「では私はこれで」
 孫はここで退室した。そしてそのまま艦を出てだ。
 今度はだ。エツィーラとだ。ある場所で話すのだった。
「来たんだね」
「ええ、そうしました」
「相変わらずだね」
 エツィーラはこう孫に言うのだった。
「腰が軽いな」
「そういう性分でしてね」
 そう言われてもだ。孫は平然としている。そのうえでこう彼女に返した。
「御気に召しませんか?」
「いや」
 だが、だった。エツィーラはそうではないというのだった。
「その己に忠実なところはね」
「如何ですか?」
「嫌いじゃないね」
 こう言うのだった。
「いいね、そういうところは」
「左様ですか」
「それでだけれどね」
「司令のことですね」
「ああ、どう思う?一体」
「そうですね。同じだと」
 エツィーラを見ての言葉だった。
「神官長と」
「あの子はその為にね」
「用意された存在」
「シヴァーが用意した鍵だからね」
 それだというのだ。
「やってもらわないと困るね」
「クロスゲートの制御についてはほぼ成功しているようですが」
「あれだね」
「はい、あれについては」
「あれが限界だろうね」
 エツィーラの言葉は見限ったものだった。
「おまけにあの地球の坊やとの戦いでね」
「リュウセイ=ダテですね」
「ああ。神経を消耗しているよ」
 このこともだ。指摘するのだった。
「所詮はまがいものだよ」
「そう仰いますか」
「アカシックレコードにアクセスする鍵としては使い捨てレベルだね」
「それは手厳しい」
「しかしそっちもそう見ているだろう?」
 孫にだ。笑いながら問うた。
「そうじゃないかい?」
「さて、それは」
「まあいいさ。とにかくね」
「次の戦いですね」
「面白いものが見られそうね」
 こう言うのであった。
「これはね」
「あの二人の」
「そのどちらでもいい」
 エツィーラの笑みがさらに深くなる。
「私に見せておくれ。この銀河の全てを」
「では今は」
「そうさせてもらうよ」
 こんな話をしていた。そうして。
 アルマナとルリアはだ。宴の場に案内されていた。マクロス7のシティの中華レストランに皆が集まってだ。そのうえで御馳走を食べていたのだった。
「銀河にも戻れたし」
「整備も補給も万全になったし」
「後はいよいよ」
「あの連中を倒して」
「一気に行くか!」
「ああ!」
 彼等の士気がだ。最高にまであがっていた。
「生きて帰るか!」
「ここまで来たんだしな!」
「リュウセイ達も戻って来た!」
「それなら!」
「あの」
 アルマナはその底抜けに明るい彼等に驚きながら尋ねた。
「皆さん。確かに銀河に戻れました」
「ああ、だからな」
「今こうして祝ってるんだけれどな」
「そこのことをね」
「ノンアルコールだけれど」
「またすぐ戦いになるから」
「次はいよいよ最後の戦いなのですが」
 アルマナが言うのはこのことだった。
「それでどうして。そこまで」
「明るいっていうのか」
「いよいよ敵の本物の総攻撃だってのに」
「ここまで明るい」
「それだよな」
「そうです。それでそこまで喜んでいいのでしょうか」
「やるからだ」
 ヒイロがアルマナにこう答えた。
「俺達は必ずだ」
「必ずですか」
「そうだ、やる」
「次であいつ等を倒す」
 シオンも言った。
「だからな。その決意を固めてるんだ」
「そうだというのですか」
「うん、そうだよ」
 万丈も笑顔で話す。
「だから今はね。こうして騒いで」
「そうだったのですか」
 アルマナは全てがわかった。そうしてだった。
 おずおずとした動作でだ。こう言ったのだった。
「すいません、私は」
「姫様、それは」
 ルリアが驚いて彼女に言う。
「地球人に詫びるなど」
「それは」
「いえ」
「いえ!?」
「はい、そうです」
 こうルリアに話すのだった。
「私達は感謝しなければなりません」
「感謝ですか」
「この気高い席に呼んでもらったことを」
 それをだというのだ。
「そうしなければなりません」
「左様ですか」
「この方々の謝意の表れなのです」
「今こうしてここにいることが」
「そうです。私は」
 アルマナはだ。すぐに言葉を言い換えた。
「私達は」
「私もですね」
「はい、バルマー帝国のアルマナではなく」
「同じクルリアではなく」
「一人の人間としてです」
 こう話すのだった。
「彼等に感謝しその思いを受け取るべきです」
「そうだというのですか」
「私は今そう考えます」
「何か変わったわね」
 セレーナはアルマナの今の言葉を受けて言った。
「姫様もね」
「そうでしょうか」
「ええ。あとね」
 ここでセレーナはこうも話した。
「私達は絶対にあんたを守るからね」
「私をですか」
「そこの白鳥さんもね」
 ルリアを見ても話すのだった。
「ちゃんとね。あの銀髪からね」
「見返りはないぞ」
 ルリアは強い目をしてこう返した。
「そんなものを期待しても」
「ああ、そんなんじゃないんだよ」
 ムウがそれを否定する。
「何ていうかな」
「あれだろ?つまりな」
 サブロウタが話す。
「あんた達がシティに入ったのは」
「それがどうかしたのか」
「俺達に助けを求めてって意味もあっただろ」
「それは」
「そのことは」
「無意識のうちでもそう思ってたところがあるんだろうな」
 こう二人に話すのだった。
「それだったらな」
「助けを求めてきたならだ」
 ダイゴウジも言う。
「それを放っておくことはできないからな」
「だから安心してくれないかな」
 アキトも優しい声で話す。
「俺達は貴女達を守るから」
「ルリア」
 アルマナはここまで聞いてだ。沈黙したルリアに声をかけた。
「どう思いますか」
「素直に申し上げて宜しいでしょうか」
「今はそうするべきだと思います」
 アルマナは穏やかに笑ってルリアに告げた。
「ですから。是非」
「それでは」
 姫に言われてだ。彼女はロンド=ベルの面々に向かい合ってだ。こう述べた。
「済まない」
「ああ、宜しくな」
「それじゃあな」
「恩に着る」
 こう言うのであった。これで決まりだった。 
 そしてだった。アルマナにだ。クスハがあるものを差し出したのだった。それは。
「どうぞ」
「これは」
「おむすびっていいます」
 にこりと笑ってだ。御飯を三角にして海苔で包んだものを差し出したのだった。
「美味しいですよ」
「地球の食べ物ですね」
「お口に合うかどうかはわかりませんけれど」
「結ぶ」
 アルマナはこの言葉について言った。
「縁起のいい言葉ですね」
「地球の日本ではです」
 OVAが話す。
「この食べ物には特別な思いを込めるものです」
「アルマナさんにはですね」
 クスハ自身が握ったおにぎりだった。その中身は。
「女の子らしくチョコむすびと梅ジャムむすびを」
「おい、待て」
「何、それ」
 ヒューゴとアクアがその御握りの具に唖然となる。
「それが御握りなのか」
「どんな創作料理なのよ」
「そんなものを食えば」
「とても」
 二人は止めようとする。しかしだった。
 アルマナ達は先に食べてしまった。そして言うのだった。
「美味しいですね」
「そうですね」
 その恐ろしい御握りを食べながら。にこにことしているのだった。
「この味は」
「馴染みますね」
「お、おいキラ」
「そうだねシン」
 シンとキラが二人で唖然となっている。
「あのピンクの馬ですら殺せる代物を」
「平気で食べるなんて」
「ちょっと待ちなさいよ」
 フレイが今のシンの言葉にすぐに反応してきた。
「あんた今何て言ったのよ」
「ああ、そのピンクの馬じゃねえか」
「誰が馬よ、誰が!」
「その髪型と頭の中身がそうなんだよ!」
「人を馬呼ばわりとはいい度胸ね!」
「じゃあ鹿もつけてやるよ!」
「それどういう意味よ!」
 フレイがシンの胸倉を掴む。シンも掴み返す。
「私が馬鹿だっていうの!?」
「じゃあ何て呼べってんだ!」
「あんた一回死になさい!」
「そっちこそな!」
 二人はそのまま喧嘩に入る。この二人の仲も悪い。
 キラも引きながら苦笑いである。そしてこんなことを言った。
「このカードの喧嘩って結構久し振りなんじゃ」
「止めるつもりはないのか?」
「だって。止めに入ったら絶対に二人から殴られますから」
 こうクランに答えるのだった。
「蹴りもあるし」
「まあそうだな。この二人の喧嘩は見境がないからな」
「けれど。シンってよく喧嘩しますね」
「全くだ。それは同意だ」
「死ね、この馬女!」
「くたばりなさい辰の子太郎!」
 二人の喧嘩もはじまった。しかし皆それは放置している。
 そしてだ。クスハは今度は。茶を差し出したのだった。
「今度はお茶を」
「お茶ですか」
「はい、私特製の健康茶です」
 それだというのだ。
「どうぞ」
「いい香りですね」
「おい、蝿が落ちたぞ」
 アポロが茶の周りを飛んでいた蝿が落ちたのを見て言った。
「まさかあの茶の匂いで」
「間違いないな」
 シリウスもそれは見ていた。
「あの茶のせいだ」
「バルサンみてえだな、そりゃ」
「飲むと確実に死ぬな」
 皆そのことを確信した。しかしであった。
 二人はだ。それを飲んでも平気であった。
「美味しいですね」
「身体の底から活力が蘇るようだ」
 こう言う有様だった。
「流石健康茶というだけあって」
「見事だ」
「宇宙の神秘かしら」
 ユングはこう言うのであった。
「これは」
「ちっ、美味いもの食いやがってよ」
「そうだよ。クスハの料理って最高なのに」
「羨ましい」
 オルガ、クロト、シャニは違っていた。
「あの白鳥女、むかつくぜ」
「オルガあの女嫌いなんだね」
「前から」
「何かいけ好かないんだよ」
 実際にこう言うオルガだった。
「あの女はよ」
「私もだ。前に何かあったな」
「ああ、あったな」
 お互いに言い合いだす二人だった。
「鏡が絡んでな」
「御前あの時詐欺師だっただろ」
「そんな覚えはないが」
「やたらと俺に絡んでくれたな」
「あれは貴殿が敵を作り過ぎたせいだ」
 こんなことを言い合う二人だった。アズラエルはラクスの作ったサンドイッチを食べながらこんなことを言った。
「二人共妙な縁がありますからね」
「そういうあんたもだな」
 シローがそのアズラエルに突っ込みを入れる。
「何かとあるだろ」
「それは否定できませんね」
「わかるさ、それは」
 この二人にもだった。それがあるのだった。
 その中でだ。メイリンがクスハに言った。
「あんた多分だけれど」
「どうしたの?」
「帝国の人達と上手くやっていけるよ」
「そうみたいね」
 にこりとして応えるクスハだった。
「私もそうなりそうで何よりだわ」
「ううん、似てるから甘えてちょっと皮肉言ってみたけれど」
 メイリンは苦笑いだった。
「これはちょっとね」
「天然ね」
 ミリアリアが言った。
「クスハはやっぱりね」
「そうみたいね」
 そんな話をした。そしてだ。
 リュウセイがだ。アルマナ達に問うた。
「なあ。それでだけれどな」
「はい」
「何かあるのか?」
「あのハザル=ゴッツォのこと。教えてくれないか」
 こう二人に頼み込むのだった。
「よかったらな」
「姫様、どうされますか」
 ルリアは怪訝な顔になりアルマナに問うた。
「ここは」
「わかりました」
 アルマナはいいとした。
「それでは」
「左様ですか」
「ハザルは陛下へ叛旗を翻しました」
 今までとは一転してだ。アルマナの顔は険しい。
「それを知った私達は」
「決して生かすことはない」
「ならばこの方々にお話することは」
「陛下を御守りすることになりますね」
「そうです、ですから」
「わかりました」
 ルリアも頷いた。そうしてだった。
 アルマナは話す姿勢を見せた。すぐにヴィレッタが問うた。
「あのゴラー=ゴラムは私も知りませんでした」
「あくまで秘密部隊でしたから」
「だからですか」
「はい」
 まずはこのことからだった。ヴィレッタはさらに問う。
「そして彼等は霊帝を倒す為に動いているのですか」
「おそらくは」
 そうだというのだった。
「ガンエデンの代行者を探していたのも」
「イルイちゃんを」
「それも」
「じゃあ」
 ロンド=ベルの面々もここでわかった。
「はい、同じくガンエデンの代行者である」
「そちらの霊帝にか」
「対する為に」
「その為にか」
「そう思います」
「やはりそうか」
 ここでヴィレッタは納得して頷いた。
「覚醒したサイコドライバーとガンエデンでもなければ」
「霊帝には対抗できない」
 ライも言った。
「だからですね」
「そうだ。おそらくはな」
「ハザル=ゴッツォはです」
 アルマナの話がさらに続く。
「本星で宰相を務めるシヴァー=ゴッツォの息子です」
「たった一人のか?」
 今問うたのはアラドだった。
「ひょっとして」
「はい、そうです」
 アルマナはアラドの問いにも答えた。
「彼は子供には恵まれませんでした」
「それであいつがか」
「あそこまで幅を利かせてるんだな」
「嫌な奴だと思ってたけれどな」
「虎の威を借る何とやらか」
「昔は違ったというのに」
 ここでルリアがこんなことを言った。
「しかし今は」
「ルリア」
 アルマナがそのルリアを止めた。
「気持ちはわかりますが」
「すいません」
 こうして彼女の話は止めた。そのうえでだ。
 アルマナはだ。さらに話すのだった。
「帝国軍外銀河方面軍司令官でもあります」
「それでか」
「あれだけの軍を率いているのか」
「それはわかっていたけれど」
「あの部隊は」
 ゴラー=ゴレムの話にもなった。
「一体何なんだ?」
「それで」
「やけに強いけれど」
「そのゴラー=ゴレムはです」
 アルマナはその部隊についても話した。
「シヴァー=ゴッツォの直属部隊です」
「ああ、そうか」
「じゃあ黒幕はそいつか」
「そのシヴァー=ゴッツォ」
「帝国宰相の」
「おそらくは」
 そうではないかというのであった。
「宰相である彼はです」
「自らの権力を使い」
 アルマナだけでなくルリアも話す。
「着々と独自の戦力を蓄えていたようです」
「つまりは私兵だね」
 万丈はこう看破した。
「そうなるね」
「はい、結果として」
「その通りです」
 二人も万丈の言葉にこう答えた。
「バルシェムと呼ばれるあの部隊の兵達はです」
「全て人工培養されたクローン兵士と聞きます」
「じゃあ」
「そうだな」
 プルとプルツーがここで顔を見合わせる。
「アクシズと」
「同じだな」
「あれは誤りだった」
 ハマーンは難しい顔で言った。
「グレミーも愚かなことをした」
「あれっ、あの部隊はあんたが作らせたんじゃなかったのか」
「私はクローンは好まぬ」
 ハマーンは毅然としてジュドーに返した。
「戦いとは生身の人間が戦うものだ」
「だからか」
「そうだ。だからそれは好まぬ」
 また言ったのだった。
「あの叛乱の時にあの男がしたのだ」
「そうだったのかよ」
「しかし。同じことをする者がいるとはな」
 ハマーンのその目に普段以上に険が宿っている。
「因果なものだな」
「シヴァー=ゴッツォはです」
 ある魔なの話が続いていた。
「宰相であると同時にです」
「同時に?」
「っていうと」
「帝国最高の科学者でもあります」
 そうした人物だというのだ。
「ゴラー=ゴレムの平気は全て彼の設計によるものです」
「何だよ、それじゃあよ」 
 ここまで聞いてだ。リュウセイが忌々しげに言った。
「裏から糸を引いてよ」
「そうだな」
 レビもだ。忌々しげに言う。
「そして最後に全てを持ち去ろうとするのは」
「ユーゼス=ゴッツォと同じだぜ」
「あの男ですか」
 ルリアはその名前に反応した。
「銀河辺境方面軍第七艦隊の参謀だった」
「ああ、あいつだよ」
「彼はそのゴッツォ家の者です」
 こう話すのだった。
「クローンではなくです」
「じゃあそのシヴァーってのが地球に目をつけたのも」
「地球にこだわったのも」
「それでか」
「そうだな」
 ヴィレッタが言った。
「バルマー戦役から封印戦争」
「そしてその後の冥王星での戦いから今までか」
 クォヴレーも続く。
「全ての戦いは」
「一本の線で結ばれているな」
 また言うヴィレッタだった。
「銀河の中心と辺境に分かれた二つのガンエデンによって」
「二つのガンエデンか」
「それによってか」
「私達の全ての戦いは一つに」
「結ばれていたんだ」
「ゼ=バルマリィと地球」
 アルマナは考える顔になっている。
「この二つの星にどの様な因果があるのでしょうか」
「今はな」
 だがここでだ。リュウセイが意を決した顔で言った。
「そんなことはどうでもいい」
「それはですか」
「どうでもいいと」
「ああ、次の戦い」
 言うのはその戦いのことだった。
「それに勝たないとな」
「はい、その通りです」
 これまで沈黙していたシュウが出て来て話す。
「何にもなりません」
「ゴラー=ゴレムは全戦力で来る」
 ヴィレッタはそのリュウセイを見て話す。
「そこがリュウセイにとっても正念場になる」
「俺の、なんだな」
「いいか、リュウ」
 ライも普段以上に真剣だ。
「この戦い必ずだ」142
「ああ、勝つ」
 こう話してだ。彼等は宴の後で出撃した。そしてだった。
「来いゴラー=ゴレム!」
「こっちは準備万端整ってるんだ!」
「何時でも来やがれ!」
「やってやらあ!」
「宇宙に帰ることはできた」
 ヒイロはそれはいいとした。
「だが。生きて帰るのはだ」
「これからだな」
「そうだ」
 こうマサキにも言うのだった。
「全てはそれからだ」
「へっ、じゃあやってやるぜ!」
 マサキも気合が入った。
「あの銀髪野郎をぶっ潰してな!」
「マサキも本気だニャ」
「気合充分だニャ」
「当たり前だ!ここは死に場所じゃねえ!」
 マサキはクロとシロにも言う。
「絶対に生きて帰るからな!」
「そうだな。じゃあ俺もだ」
 霧生もいる。
「ゴラー=ゴレムの奴等全滅させてやるぜ!」
「しかし。何かこの三人もねえ」
 ここでミオがこんなことを言った。
「似てるよね」
「そうですなあ」
「何か外見は違っても」
「中身は同じ」
 三匹のカモノハシ達が言う。
「まさにその通り」
「いや、見れば見る程」
「そっくりなこの三人」
「だからそれは言うなよ」
 マサキもこの三匹のファミリアにはバツの悪い顔になる。
「それ言ったらおしまいだろうがよ」
「そういえば私もだニャ」
「おいらもニャ」
 そしてそれはクロとシロもなのだった。
「マリーメイアさんと」
「カトルとだニャ」
「だから言うなって。そもそもクロなんてそっくりさんどれだけいるんだよ」
 こう言うとだった。何故かカズミがこんなことを言った。
「それを言ったらね。ちょっとね」
「あっ、お姉様って前から思ってたけれど」
「クロちゃんと似てるでしょ」
「他にはニナさんやラーダさんにも似てますよね」
「ええ、よく言われるわ」 
 ノリコに苦笑いで答えるのだった。
「他にも。結構ね」
「私もハーリー君と」
「そういうことは言ったらきりがないから」
「そうですね。本当に」
「だからその話はするなって」
 マサキはノリコにも言った。
「本当にキリがないからな」
「全くだ」
 レイヴンも参戦してきた。
「私もそう思うぞ」
「そうだな。そしてだ」
 ここでヒイロがまた言った。
「来たぞ」
「よし、最後の戦いだな!」
「ハザル=ゴッツォ!今度こそ!」
「倒してやるぜ!」
 彼等の前方にだ。遂にゴラー=ゴレムが姿を現したのだった。そしてその中心にはだ。やはりあの男が愛機と共にそこにいた。
「ハザル=ゴッツォ!」
「さて、いいな」
 ハザルが怒りに満ちた目でリュウセイに応えて言う。
「御前達のだ」
「最後だってんだな」
「そうだ、ここで終わらせる」
 こう言うハザルだった。
「実際にな」
「望むところだ!」
「しかしね」
「ところが」
 ここでゴーショーグンの三人が言った。
「ことの結末はだ」
「あんたの思い通りになるかどうかは」
「それはわからないぜ」
「ほう、そう言うのか」
 ハザルも三人のその言葉に目を向けた。
「では聞かせてもらおうか」
「おや、話に乗ってきたな」
「ふざけるなとでも言うかって思ったけれど」
「まあ意外な展開だな」
「そのおとぎ話がどうなるかな」
 こう言うハザルだった。
「是非聞かせてもらおう」
「ああ、そう来たか」
「傲慢さを見せてきたってわけね」
「そういう選択肢もあったな」
 そう言われてもだ。真吾達の余裕は変わらないのだった。
 そしてだ。ここで言ったのは凱だった。
「正義は勝つ!」
「正義か」
「そうだ、悪に屈しはしない!」
 こう言うのであった。
「絶対にだ!」
「僕達がそれを身を以て教えてやろう!」
 万丈も言った。
「ハザル=ゴッツォ!」
「手前はどう見ても悪党だ!」
「しかも上にドがつくね!」
「それならだ!」
「俺を倒せるというのだな」
 ハザルは彼等の言葉を聞き終えてから。また言った。
「いいだろう。では見せてもらおう」
「よし、やってやるぜ!」
 忍も叫んだ。
「手前こそな!ここで死にやがれ!」
「では見せてやろう」
 ハザルの余裕は変わらない。
「俺の力、サイコドライバーの力をな!」
「今度こそ手前を倒す!」
 リュウセイが応える。
「大尉の仇!」
「全軍攻撃開始!」
 こうしてだった。ロンド=ベルが前に出てだった。
 両軍の戦いがはじまる。そこでまた、だった。
 ハザルがだ。リュウセイに対して言うのであった。
「あれだけ痛めつけてやったというにか!」
「あれ位でやられてたまるか!」
 これがリュウセイの反論だった。
「俺は諦めねえ!」
「諦めないというのか」
「そうだ、何度倒されようとも!」
「その通りだ!」
 レビも言う。
「俺達は!」
「この生命ある限り立ち上がり」
「手前に俺達の受けたこの痛み!」
「倍にして返そう!」
「ならばその心をだ!」
 ハザルも前に出て言う。
「この戦いで完全に砕いてくれる!」
「行くぞハザル!」
 パンプレイオスがだ。まずはミサイルを出した。
「リュウ、あれか」
「ああ、あれだ!」
 こうライに返す。
「あれでまずは!」
「わかった、それではだ」
「テレキネスミサイル!」
 無数のミサイルが一旦上に放たれ。そこから分かれてだ。
 雨となって降り注ぎ。それでヴァイクランを撃つ。
「くっ、これは!」
「これならどうだ!」
 リュウセイはミサイルを放ったうえでハザルに問うた。
「これならな!」
「ふん、程度ではだ!」
「まだやるってんだな!」
「そうだ、俺に敗北はない!」
 こう言ってのことだった。
「俺に敗北なぞあってはならんのだ!」
「!?」
「あれは!」 
 ここでだ。ブリットとクスハが声をあげた。
「サイコドライバーの力!?」
「それを!」
「俺はハザル=ゴッツォ!」
 己の名を口にした。
「シヴァー=ゴッツォの息子!」
「駄目だ、リュウセイ!」
「避けて!」
 二人はすぐにリュウセイに注意を促した。
「今のあいつは」
「危険よ!」
「何っ!?」
 リュウセイもだ。今それを感じ取ったのだった。
「この力は」
「父上の銀河制覇の力となるサイコドライバーだ!」
 ハザルからだ。無限と思われるエネルギーが放たれてだ。そしてだった。
「あの力をまた」
「ここで出すというのか」
「あの男!」
 リュウセイだけでない。ライもレビも言う。
「あの力は」
「どこまであるんだ!」
「見せてやる!」
 ハザルは力を出しながら叫ぶ。
「俺のサイコドライバーの力を!」
「避けろ!」
「危険よ!」
 ブリットとクスハがまたリュウセイに告げた。
「さもないとあの力で」
「リュウセイ君も!」
「いや、違う!」
 しかしだった。ここでリュウセイは言った。
「俺は避けない!」
「何っ、けれどそれは」
「死ぬわ!リュウセイ君が!」
「大丈夫だ!俺は死なない!」
 こう二人にも、仲間達にも言うのだった。
「そしてハザル!」
「何だ!」
「そんな力は必要ない!」
 こう叫んでだ。そしてだった。
 リュウセイはバンプレイオスをヴァイクランにさらに突っ込ませた。そしてだった。
 拳で吹き飛ばしてだ。また叫んだ。
「何がサイコドライバーだ!」
「ぐっ!?」
「何が神の力だ!」
 言いながらだ。その攻撃を続ける。
「そんなものがなくたってな!」
「どうだというのだ!」
「俺には仲間がいる!」
 こう主張するのだった。
「戦う心がある!」
「それでどうするというのだ!」
「戦う!」
 これがリュウセイの言葉だった。
「それがあれば戦える!」
「くっ!」
 最後の一撃が繰り出された。それでヴァイクランは大きく吹き飛ばされた。
 かなりのダメージなのは事実だった。動きが鈍くなっていた。
 だがそれでもだ。ハザルはまだ言うのだった。
「まだだ!」
「まだやるっていうのか!」
「まだ終わってたまるか!」
 こうだ。まだ言うのだった。
「エイス!」
「・・・・・・・・・」
「俺の下に来い!」
 こうだ。エイスを呼ぶのだった。
 するとだ。ハザルのヴァイクランとエイスのディバリウムがだった。
 合体した。そして一つの姿になったのだった。
「何っ!?」
「合体した!?」
「まさか!」
「あの二体のマシンが」
「そんな」
「見たか!」
 ハザルはそのマシンに乗りながらだ。勝ち誇って言うのだった。
「これが俺とヴァイクランの真の力だ!」
「その合体した姿がか!」
「それだってのかよ!」
「そうだ。ゲドル=ヴァイクラン!」
 その機体の名も告げた。
「御前達の機体を研究して造り上げたものだ!」
「俺達の!?」
「じゃあゲッターやコンバトラーなんかを参考にして」
「そのうえで造り上げたってのかよ!」
「如何にも。これこそが最強のマシンだ!」
 そのゲドル=ヴァイクランがこそだというのだ。
「この力で貴様等を倒す!」
「俺達のマシンを研究してか」
「そうして造り上げた」
「あれがあのマシン」
「ゲドル=ヴァイクランだってのかよ」
「あの男、ユーゼス=ゴッツォはだ」
 ここで彼の名前が出て来た。
「面白いデータを残してくれた」
「面白い!?」
「何がだ!?」
「あの男が残したデータ」
「それは」
「御前達地球人の力」
 まずはそれだというのだ。
「もう一つの死海文書とガンエデンだ」
「もう一つの死海文書!?」
 ミサトはそれを聞いてすぐに声をあげた。
「まさかバルマー帝国にもあれがある!?」
「みたいだな」
 加持も言う。176
「どうやらな」
「じゃあますます」
「そうね」
 リツコはミサトのその言葉に頷いた。
「私達と似ているわね」
「ガンエデンと共に」
「それに」
「それに?」
「碇司令だけれど」
 リツコはここで彼の名前も出した。
「若しかしてだけれど」
「生きている?」
「そんな気がするわ」
 こう話すのだった。
「まさかとは思うけれどね」
「俺もな」
 加持もまた話す。
「これまでは死んだと思っていたけれどな」
「加持君もなのね」
「けれど死体がないんだ」
 加持が指摘するのはこのことだった。
「死体がな。見つかってないんだよ」
「そういえばそうね」
 ミサトも加持のその言葉に頷く。
「司令は。そうした意味では」
「行方不明だな」
「ええ」
「そして行方不明は生きている可能性もある」
 こうも話した。
「そうなるな」
「確かにね。それはね」
「少なくとも司令は行方不明だ」
 それは間違いないというのだった。
「死んだことは確認されていない」
「それが事実ね」
「ああ、それはな」
「じゃあまさか」
「まだ」
「俺もまさかと思うけれどな」
 こうは言ってもだ。加持の顔は曇っていた。
「ひょっとしたら」
「じゃあ何を考えているのか」
「何処かで動いているのか」
「気になるところだな」
 ゲンドウについても話されるのだった。そして。
 ハザルはだ。そのゲドル=ヴァイクランでバンプレイオスに向かった。
「死ねっ、リュウセイ=ダテ!」
「また来やがったか!」
 リュウセイも受けて立とうとする。
「それならな!ここで!」
「御前のことは父上から何度も聞かされてきた」
 こうだ。ハザルは突き進みながら言うのだった。
「銀河の辺境にだ」
「それがか!」
「そうだ。サイコドライバーとして覚醒しつつある奴がいる」
 そしてそれが誰かというと。
「一人は御前だ」
「俺に。そして」
「クスハ=ユズハ、貴様もだ!」
「私も!?」
「そうだ、銀河に三人もいらん!」
 ハザルは断言した。
「サイコドライバーは俺一人で充分だ!」
「だからかよ!」
「私達を!」
「そうだ、俺は決めた!」
 こうだ。そのリュウセイとクスハに叫んだ。
「貴様らを抹殺することを!」
「ちっ!」
「やらせはしません!」
 クスハが前に出てだ。ゲドル=ヴァイクランに対しようとする。
「貴方がそのつもりなら!」
「何っ!?クスハ!」
「貴方の様に他人を犠牲にしても何も思うことのない人に!」
 クスハもだ。力を見せていた。
「決して。やられはしません!」
「抜かせ!小娘が!」
 ハザルがサイコドライバーの力を出した。そしてクスハも。
「うおおおおおおおっ!」
「くっ!」
 そしてだ。その二つの力が共鳴し衝突する時にだ。
 皆感じた。その念を。
「な、何だこりゃ」
「このドス黒い念は」
「あいつの念かよ」
「ハザル=ゴッツォの」
「これがあいつの」
「あいつの心だってのか」
 皆ここでだ。ハザルのそれを知ったのだった。
「何て暗いんだ」
「これがあいつの正体か」
「あいつの心」
「あいつはサイコドライバーを使って」
「暴走しかけている」
「念がさらに強くなっている!」
「何だよこりゃ・・・・・・」
 リュウセイもだ。ハザルのその念を感じてだ。唖然として言った。
「あの野郎、傲慢の裏にはこんなものがあったのかよ」
「歪み、それもこの上ない」
 レビもだ。頭を両手で押さえて言う。
「くっ、何という暗さだ」
「ちっ、この暗さがあいつをあそこまで歪めてたのかよ」
 リュウセイはだ。今それがわかった。
「ハザル、手前はそういう奴だったのかよ」
「ふん、貴様等は今はこうして止める!」
 二人はまずは置くというのだ。
「その前にだ!」
「!?あの野郎!」
「シティ7に向かうぞ!」
「まずい、あそこには!」
「市民が!」
「そしてアルマナが!」
 皆それを察してだ。慌ててシティに向かおうとする。
 しかしだ。それは間に合わなかった。
「ま、まずい!」
「どうしてもかよ!」
「あの姫さんを!」
「消すつもりなのね!」
「全ては父上の御為に!」
 ハザルはここでも暗い情念を見せる。
「アルマナ、死んでもらう!」
「くっ、間に合わん!」
「ぬかったか!」
 マスターアジアとシュバルツが今出て来た。しかし遅かった。
「ここからではだ!」
「今から行こうとも!」
「仕方ありませんね」
 しかしだ。まだシュウがいた。
 彼はだ。ネオ=グランゾンのリミッターの一つをここで外した。そうして言うのであった。
「ここは私が」
「御主人様、やっちゃうんですね」
「彼をあのままにしてはおけません」
 そのハザルを見てだ。チカに答えた。
「ですから」
「そうですよね。いけ好かない奴ですし」
「人間性も好きにはなれませんがその行動がです」
「好きになれませんか」
「所詮人形です」
 何かを知っている言葉だった。
「人形のまま。眠ってもらいましょう」
「はい、それじゃあ」
 ネオ=グランゾンが一気に動こうとする。しかしだった。
 その前にだ。シティの前方にだ。バルマーのマシンが現れたのだった。
「あれは!?」
「アルマナが!?」
「まさかあのマシンの中に」
「あの姫さんが」
「私も一緒だ」
 ルリアの声がここでしてきた。
「私は。常に姫様と共に」
「ほう、アルマナ」
 ハザルは己の前に出て来た彼女を見て笑みを浮かべた。
「自ら出て来るとは潔い」
「戻れ姫さん!」
 リュウセイがアルマナを止めようとする。
「ハザルはあんたを殺す気だ1」
「いえ、これ以上はです」
 だが、だった。アルマナはこうリュウセイに返した。
「私を匿っていては」
「どうだってんだ!」
「皆さんに迷惑がかかります」
 こう言うのであった。
「ですから」
「健気だな姫よ!」
 ハザルはその決意したアルマナに対して言った。
「自らを犠牲にしてこの場を収めようというのか1」
「黙りなさい、ハザル=ゴッツォ!」
 アルマナはそのハザルを一喝した。
「ここに宣言します!」
「ほう、何をだ!」
「霊帝ルアフの名の下に」
 まずは彼女の仕える皇帝の名前からだった。
「ズフィルードの巫女である私が」
「どうするというのだ、それで」
「アルマナ=ディクヴァーが」
 他ならぬ彼女自身である。
「ここで逆賊ゴラー=ゴレムを討ちます!」
「結構なことだ!」
 ハザルはその傲慢さでアルマナに返した。
「それでこそバルマーの臣民の希望だ!」
「ふむ。ここはです」
 シュウがアルマナの言葉を聞いて述べた。ネオ=グランゾンは停めている。
「暫く見させてもらいましょう」
「あれっ、行かないんですね」
「彼女の決意を見ます」
 こうチカに述べた。
「そうさせてもらいます」
「だからですか」
「はい、ただいざとなればです」
「出られるんですね」
「あの方は死なせてはなりません」 
 そのアルマナを見ての言葉だった。
「ですから」
「わかりました。それじゃあ」
 チカも主の言葉に頷いた。そうしてだった。
 彼等は見守った。その間にだ。
 アルマナは共にいるルリアに対して謝りの言葉を述べたのだった。
「御免なさい、ルリア」
「何故謝罪されるのですか」
「こんなことになってしまって」
「いえ、それは」
「いいのですか?」
「姫と共に陛下に仇なす逆賊を討つなぞ」 
 そのことをだ。微笑んで言うのだった。
「光栄の極みです」
「だからですか」
「はい、例え相手があの男でも」
 複雑な顔でだ。ハザルを見ての言葉だった。
「私は一歩も引きません」
「わかりました。それでは」
「はい、共に」
 こうしてだった。二人も戦う決意をした。そしてそこに。
 バンプレイオスが来た。このマシンだけは間に合った。
「させるかよ!」
「!?リュウセイさん」
「来たというのか!?」
「ハザル!」
 こうだ。ハザルを見据えながら言うのだった。
「手前の好きにはさせねえ!」
「どけ!貴様は後だ!」
 だが、だった。ハザルは彼を退けようとする。
「アルマナの後で相手をしてやる!」
「何でも手前の思い通りになると思うなよ!」
 今はだ。カの方が勝っていた。
「アヤの為、他の皆の為にも!」
「何だというのだ!」
「手前は絶対に許さねえ!」
「今だ、ルリア!」
 ヴィレッタは両者が戦闘に入ろうとするところでルリアに声をかけた。
「今のうちに!」
「え、ええ!」
 ルリアはアルマナを庇い咄嗟にマシンを動かした。そうして何とか逃れた。
 シティにはマスターガンダムにガンダムシュピーゲル、それにネオ=グランゾンがついた。鬼の如き万全の備えを敷いたのであった。
 だがハザルはシティに構わずだ。そうしてだった。
「俺に敗北は許されない!」
「まだ言うってのかよ!」
「俺は勝つ!」
 目が血走っていた。
「勝つのだ!勝たなくては!」
「!?またこいつ」
「いかん、危険だ!」
 リュウセイとライも気付いた。
「また力が」
「暴走しだしている!」
「勝たなくては!俺は!俺は!」
「コアであるパイロットの念動力の暴走は!」
 ヴィレッタがどうなるかを話す。
「そのままあの機体の暴走を意味する!」
「何っ!?それじゃあ」
「あのままだと!」
「そうだ、危険だ!」
 ヴィレッタはこう仲間達にも話す。
「リュウセイ!」
「何だ!?一体!」
「逃げろ!」
 ヴィレッタは今度はリュウセイにこう告げた。
「あまりにも危険だ!」
「くっ、けれどよ!」
「戦うことは何時でもできる!」
 ヴィレッタは躊躇するリュウセイにまた言った。
「しかし今はだ!」
「生きろってのか!」
「その為に避けろ!」
 リュウセイにこうも告げる。
「いいな!」
「わ、わかった!」
 リュウセイも遂に頷いた。そうしてだった。
 バンプレイオスを避けさせようとする。だが。
 ゲドル=ヴァイクランは止まらない。ハザルはその中で叫んでいた。
「消えろ!消えろ!」
「まずいぞリュウ!」
 マイがそれを見て言う。
「あの男!」
「ちっ、間に合わないか!」
「リュウセイ=ダテ!」
「くっ!」
 リュウセイは覚悟を決めた。そしてだった。
 避けることを止めてだ。ゲドル=ヴァイクランに突き進んだ。
「こうなったらな!」
「死ね!」
「いかん!」
 ヴィレッタはそれを見てだ。危機を確信した。しかしだった。
 何かがだ。ここで起こったのであった。


第九十七話   完


                                  2011・2・12
 
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