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好き勝手に生きる!

作者:月下美人
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第十一話「ケーキと言ったらやっぱりショートでしょ!」

 
前書き

入院生活、暇……隣の数子さんと囲碁仲間になったまる
 

 



 レイナーレちゃんたちをぬっ殺すし部室に帰ってきた頃には話し合いはもう終わった様子だった。


 アーシアちゃんはソファーにちょこんと腰掛け、リアスちゃんたちと談笑している。


「レイ! 無事だったか!」


 イッセーが駆け寄ってきた。無事も無事、無傷ですよ。


「レイ!」


「レイさん!」


「レイくん!」


「レイ先輩……」


「レイくん」


 リアスちゃん、アーシアちゃん、朱乃ちゃん、小猫ちゃん、木場くんが安堵の声を上げた。心配させちゃったかな?


 リアスちゃんと朱乃ちゃんが駆け寄ってきて僕を抱き締める。前門のリアスちゃん、後門の朱乃ちゃん……。


「もう! どれだけ心配したと思っているの! いくらあなたが強くて死なないからって、堕天使を一人で相手にするなんて無茶だわ!」


「怪我はありませんか? どこか苦しいところは?」


 半泣き状態のリアスちゃんと眉をハの字にした心配性の朱乃ちゃん。


 その気遣いは嬉しい反面、どこか擽ったさがあった。


 リアスちゃんたちのサンドイッチから解放された僕の前にアーシアちゃんやってくると、大きく頭を下げた。


「あの、レイさん! 助けて頂いてありがとうございます!」


「にはは、気にしない気にしない。だって僕たち友達でしょ?」


「――はい!」


 嬉しそうに笑みを浮かべたアーシアちゃんの頭をナデナデする。身長差があるから自然と背伸びになるんだよね。なぜかリアスちゃんと朱乃ちゃんが鼻を押さえて悶えているが、気にしないことにする。


「それでイッセー、アーシアちゃんのことは?」


「ああ、それなんだがな。アーシアの話によると、奴らアーシアの神器を抜き取ろうと画策していたらしいんだ。で、部長に説明、というか相談したところ――」


「私の眷属として迎え入れることにしたのよ。アーシアの『聖母の微笑』は悪魔も治癒できる程に強力だし、何よりこの子を家族にしたいと思ったからね」


「家族?」


 戸籍にでも入れるのかな?


「グレモリー家は親愛深い一族でね、下僕を実の家族のように接するのよ。中には問答無用で眷属にして扱き使う所もあるけど、私はそういうのは好きじゃないわ。だからここにいる皆は私の可愛い下僕であり、家族なの」


 へー、悪魔でそういった思考は珍しいね。


「だから、あなたも家族にならない?」


 と、リアスちゃん。いい加減諦めてくれないかなぁ。ことあるごとに誘ってくるんだよね。


「んー、始めの頃に比べたらリアスちゃんのことは嫌いじゃなくなったよ?」


「それじゃあ!?」


「でも、好きでもないからなぁ。――やっぱヤダ」


 いつものように断ると、リアスちゃんは床に手をついた。こういうのを確か、おーあ~るぜっと、って言うんだっけ? 期待させちゃったみたいでゴメンネ!


 しゃがみ込んでズーンと沈んでいるリアスちゃんの頭をナデナデすると、たちまち復活した。


「……まあ、嫌われなくなっただけでも良しとしましょう」


 朱乃ちゃんが何やら羨ましそうな目で見ています。ナデナデを所望のようなので撫でましょう。ナデナデ……。


「ところで、レイの用事って何だったんだ?」


 と、イッセー。それはもちろん。


「ん? ちょっと教会を潰してきただけだよ」


 僕の言葉に皆が凍りついた。


「潰してきたって、あなた……一体どうやって?」


「んー、燃やした」


「本当に規格外ね……」


 やっぱり欲しいわ、なんて言うリアスちゃんの元から離れ、朱乃ちゃんの膝上に座る。何気に座り心地が良いのだ。朱乃ちゃんも嬉しそうにギュッとお腹に手を回した。


「でも手間が省けたわ。この街に堕天使が三人もいることが確認できたから、どうしようか考えていたところなの。ありがとう、レイ」


 優しい笑みで礼を言うリアスちゃんにビシッと親指を立てる。気に入らなかったから潰しただけだし、気にしないで。


「さて、新しい眷属になったイッセーとアーシアの歓迎会をしないとね。近いうちにパーティをするわよ」


 なんですと? パーティとな!


「あらあら、なら私はケーキを作りましょうか」


 ケーキ! 小猫ちゃんの食指が働いたのか、ピクッと反応する。無論、僕のセンサーもビンビンだよ! 苺が乗ったショートケーキがいいでふ!


「えっ、朱乃さんの手料理が食べられるのか!? マジで!? 生きていてよかったぁあああ!」


 ガッツポーズをして尋常じゃない喜び様で感涙するイッセー。その隣ではアーシアちゃんが可愛らしく頬を膨らませていた。


「私も料理を作ります! そうしたらイッセーさん、食べてくれますか?」


「食べる食べる! アーシアの手料理も食べれるなんて今から楽しみだな~」


 それを聞いたアーシアちゃんは嬉しそうに微笑んだ。


「じゃあ僕は飾り付けをしようかな」


「……では、私は試食係を」


 あ、ズルい! 僕も試食係がいい!


 というか今思ったんだけど、眷属どころか部員ですらない僕はパーティに参加できるのかな?


 僕は目を爛々と輝かせてリアスちゃんを上目遣いで見た。


「勿論、是非レイにも参加してもらいたいわ。今回の件でレイには随分と迷惑を掛けたし、助けてもらったからね」


 やったー! パーティなんて久しぶり! 今から楽しみ!


 上機嫌でニコニコと笑みを浮かべる僕を朱乃ちゃんは優しく微笑むのだった。





   †               †               †





 翌日の放課後。リアスちゃんに誘われ、僕はオカルトと研究部のパーティに参加していた。


 乾杯の音頭が終わり各々が好きに行動する中、僕は一心不乱に料理を口に運ぶ。隣にはいつの間にか小猫ちゃんが腰掛け、こちらも料理に釘付けになっていた。


 パーティは何故か立食形式。足が疲れますが、それよりも――。


「もっきゅもっきゅ……ふー、む……これは……なかなか」


「……レイ先輩、こちらのローストビーフも美味しいですよ」


「んー? もっきゅもっきゅ……おお、タレが美味……、こっちのコーンクリームスープも美味しいよ?」


「……頂きます」


 小猫ちゃんと料理を交換し合いながら食べる食べる食べる。


 リスのように次々と料理を口に詰める僕を朱乃ちゃんは微笑ましそうに眺めていた。ちゃんと味わってるんだよ? でも癖でついつい詰めちゃうんだ。


「もっきゅ……もっきゅ……もっきゅ……もっきゅ……もっきゅ……」


「美味しいですか?」


 コクコク頷く。微笑みを浮かべた朱乃ちゃんは煮豚を差し出した。


「良ければどうぞ。お口に合えばいいのですが」


 いただきます!


「うふふ、あ~ん」


「あー……パクっ」


 ――もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ。


「あらあら、お味はどうですか?」


 無言で一心不乱に口を動かす僕はビシッと親指を立てた。まいうー、ですよ!


「そうですか。……よかった」


 ホッと息を吐く朱乃ちゃん。朱乃ちゃんが作る料理はどれも美味しいんだよね。たまにお家にお邪魔して朱乃ちゃんとママさんの手料理をご馳走になっているし。


「一番、兵藤一誠! ドラゴン波をします!」


 向こうでは一誠が一発芸に興じていた。その周りにはリアスちゃんとアーシアちゃん、木場くんがワイワイと騒いでいる。


 賑やかだねぇ。


「では、そろそろレイのお待ちかねの物を披露しましょうか」


 粗方、料理も食べ終わった頃、とうとう待ちに待った時間が来た。そう、ケーキの登場である。


 美しい純白の『大地』(ホイップクリーム)。等間隔で円を描いた『赤い宝石』(イチゴ)。嬉しいことにホールで登場したソレは、僕の目にはキラキラとエフェクトの如く星が散らばって見えた。


 人数分に切り分けたソレがついに僕の前にやって来た。


 僕は震える手を抑えながらフォークで一切れ、口に運ぶ。


 ――ッ。

 ケーキを口に入れたその時、僕の中で革命が起こった。今まで数々のケーキを食してきた中でこれほど美味しいショートケーキは出会ったことが無かった。


 クリームの舌触りといい、絶妙な甘さ加減といい、スポンジの柔らかさといい、美しい見た目だけでなく味まで超一級品。


 ――僕が今まで食べてきたケーキは、一体なんだったんだろうか……。


「どうかしら? 私と朱乃の合作なのよ」


 な、なんと! この美しくも素晴らしい芸術のようなケーキをこのお二人が……!? まさか、そこまでの御仁だったなんて!





 ――僕は今日、神に出会った。





「ちょ、ちょっと! どうしたのレイ!?」


「あらあら」


「レイさん!」


「レイくん?」


「……先輩」


「うおっ、何で泣いてんだよ!」


 そう、気が付けば僕は涙を零していた。僕の意志とは関係なく双眸からポロポロと涙が溢れる。


 朱乃ちゃんが僕を抱きしめ、頭を優しく撫でてくれた。


「どうしたんですか?」


 されるが儘の僕はやっとの思いで口を開ける。


「……か」


「か?」


「感動した……」


「ケーキ一つでどんだけなんだよ!?」


 イッセーがなにやら喚いている。だが、そんなことよりも朱乃ちゃんとリアスちゃんにこの胸の想いを伝えたい。


「朱乃ちゃん朱乃ちゃん」


「あらあら、どうしました?」


 袖をクイクイと引っ張りこっち見てアピール。屈んでもらい、


「ありがとう」


 ――チュ。


 その頬にキスをした。


「……え?」


 呆然とした様子の朱乃ちゃんの元から離れ、リアスちゃんの所へ行き同じく感謝の口づけを。


「リアスちゃんも、ありがとう」


 ――チュ。


「なっ……」


 呆気にとられたリアスちゃん。朱乃ちゃんもまだ復活していなかった。


「レ~イ~……!」


 怒り心頭のイッセーが鬼の形相で迫ってくる。その横では木場くんが肩を竦め、アーシアちゃんが頬を赤らめ、小猫ちゃんがジト目でこちらを見ていた。


「はうぅ~」


「……先輩、不潔です」


 イッセーはやれけしからんだとか、羨ましいとか、何故お前ばかりがモテるんだとか、ガミガミと煩く言ってきた。どうやら怒っている模様。なじぇ? ただ感謝の気持ちを表しただけなのに。


 正座を強制させられ、イッセーに頬をグニグニと引っ張られた。いふぁい、いふぁい……。


 朱乃ひゃ~ん! たぁふけへ~!

 
 

 
後書き
なんでもいいので誰か感想下さい。寂しくて泣きそう……。
作者の励みにもなり創作意欲も湧くので、ジャンジャン下さい! 
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