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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 召喚士の軌跡

作者:ブレイア
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第9話 虎退治ですよ?

「嘘!」

「グルルルル」

そこにいたのはガルドではなく虎だった

「人間の姿をしていない」

「そんなの見りゃば分かるわよ!」

冷静な修也に飛鳥が突っ込みを入れる

「来る!」

「ガアアア!」

「戦闘開始だ!」

ガルドは咆哮を上げながら修也達に襲い掛かる

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「今のは…!」

虎の咆哮は、門前で待っていた黒ウサギと十六夜にも届いた。

「虎に変身した春日部だな」
「あ、なるほど。ってそんな分けないでしょう! 幾ら何でも今のは失礼でございますよ!」

スパァンッ、とハリセンで十六夜の頭をはたく。
はたかれた十六夜は気にした様子も無く言う

「なあ、見に行ったらまずいのか?ジャッジマスターとそのお付きってことでさ」

「ウサギの素敵耳は、此処からでも大まかな状況が分かってしまいます。状況が把握できないような隔絶空間でもない限り、侵入は禁止です」

十六夜はワザと黒ウサギに聞こえるように呟いた。

「……貴種のウサギさん、マジ使えねぇ」

「せめて聞こえないように言ってください! 本気でへこみますから!」

ハリセンでさらに叩く黒ウサギ。
だが、状況を聞き取れている黒ウサギは内心はらはらしながら四人の無事を祈っていた。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「ガアアア!」

ガルドは修也達に飛び掛るが

バアン

「春日部さん!?」

耀が振り下ろされたガルドの腕を受け止める

「逃げて!3人とも!」

耀は後ろを見ながら言う

「ちっヴォルザ !」

《スタンバイレディ・セットアップ》

キイン!

一瞬、修也が光に包まれ
ソレがはれると両腕を手から肘にかけて装甲が付き、その服装までもが変わった修也がいた

「炎刃拳!」

修也は右拳に炎を纏わせてガルドの眉間を殴りつける

「ガウウウ!」

ガルドはその衝撃に後ろへと吹き飛ばされる

「ジン! 飛鳥! お前らは逃げろ!」

修也は振り返らずに2人に言う
突然の事にあっけにとられる2人だったが我に返った飛鳥はジンの方を見ながら

「ジンくんは逃げなさい!」

「でっでも…」

渋るジンに飛鳥は威光を使う

「いいから。逃げなさい(・・・・・)!」

「…はい」

ジンはそう答え、飛鳥をお姫様抱っこし、走り出す

「何で逃げなかったの?」

「お前が心配だから。いくらグリフォンからもらったギフトがあるからと《来るぞ!》っち」

「ガアアア!」

再度飛びかかるガルドを修也は左腕に雷を纏わせ

「雷刃拳!」

叩きつける
“契約”で守られているガルドには、傷つける事はできずとも弾いたり逸らすことはできる
そんな時、修也の視界に壁に刺さった十字剣が映る

『春日部、あそこの壁に刺さってる剣、たぶんアレが指定武具だ』

「え? ホントだ」

突然頭の中に聞こえた言葉に驚くも冷静に壁の方を見て、壁に刺さった十字剣を見る

『俺があいつの動きを封じる。お前はあの剣を取れ!』

そう言って修也は両手をガルドの正面に構え

「召喚! 捕縛の鎖!」

虚空から鉄の鎖が出現し、ガルドを縛り付ける

「今だ!」

修也の言葉に頷き、剣の刺さっている壁に向かって跳躍する耀
そのまま耀は剣を引き抜き、着地。そのまま正面に剣を構える

ビキイン

「しまった!」

耀が剣を取ったのをみて、修也はガルドの拘束の手を無意識に緩める
それが仇となり、ガルドは鎖を引きちぎり耀に襲い掛かる
ガルドは右腕を振り下ろすが耀は横に飛んで間一髪でよけるが
ガルドは着地と共に方向転換し、耀に襲い掛かる

ガルドの爪が耀を引き裂かんとばかりに迫る
耀は死を覚悟し、目をつむる
しか一向に痛みは来ない
耀は恐る恐る目を開けると
血まみれになりながらも耀をかばうように立っている修也がいた

「修也…!」

「春日部…飛鳥達の、とこへ行け」

「でも! 修也は「早く!」っ!」

「早く…行け」

「ガアアア!」

ガルドは耀ではなく、修也に向かって跳びかかる

「っく、炎刃拳!」

修也は炎を纏わせた拳で排撃するが相殺しきれず、後ろへと吹き飛ばされる

「修也!」

耀は飛んでくる修也を受け止める
生ぬるい液体が耀をぬらす

「送還、春日部耀」

「修也―――!」

修也は耀を飛鳥達の元へと召喚の応用の送還をする

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耀がいなくなった部屋
そこにはガルドと血を床に落としている修也がいた
修也はのろのろと修也は立ち上がり、ガルドを睨みつける

「行くぜ、虎野郎」

修也はニヤリと笑い、8センチ程の柄の無い小さな刀を召喚した

「時間稼ぎ程度だが…コレで。十分だ」

修也はソレをグサリと左腕に刺した
修也は青い光に包まれ、その姿を変える

その体は鋼である
その爪牙は刃である
その翼は刃を弾く
それは
鋼の竜
人の姿をした竜
鋼の竜人である

「ギャオオオオオン」

鋼竜へとその姿を変えた修也は咆哮を上げる

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「ギャオオオオオン」

その咆哮は門の外にいる黒ウサギ達にも届いた

「今度はなんですか!」

「竜に変身した修也だな」

「そんなはず無いでしょうが!このお馬鹿様!」

バシーンと気持ちの良い音が響く
十六夜の冗談が事実だったのは後で分かることだった

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「ギャオオオオオン」

「何ですか! 今の声は!」

その咆哮は森の中にいた飛鳥達にも届いていた

「もしガルドだとしたら耀たちは大丈夫かしら」

飛鳥はガルドと戦っているであろう耀たちの心配をする

ガサッと言う音と共に茂みが揺れた

「誰!?」

「……私」

茂みから出てきたのは、血でぬれた耀だった。
右手に十字剣を持っている

「か、春日部さん! 大丈夫!?」

「私は大丈夫。でも、修也が…修也が…!」

耀は言葉に飛鳥は修也の身に何かが起こったことを悟る

「春日部さん! 落ち着いて! 修也くんの身に何が起こったの!?」

「修也が…私をかばって…どうしよう! 修也が死んじゃうよ!」

耀は頭を抱えてうずくまる

「そう、分かったわ」

飛鳥は剣を手に取り立ち上がる

「ジンくん、春日部さんのこと、よろしく」

「わかりました」

飛鳥は耀をジンに任せ、1人、屋敷の方へと向かうのだった

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残されたジンは耀の傷の具合を見る

「これは…」

しかし、耀には怪我など一つも無かった
それが意味しているのはただ一つ
誰かの血、つまりは修也の血である

「修也さん…飛鳥さん…」

ジンは空を見上げて同士の無事を祈るのだった

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「まだ、この中にいるのね」

飛鳥は館を見上げる
そこからは何の音もしない
それは修也がどこかへ逃げて隠れているか
ガルドに殺されたか
どちらかを意味する

飛鳥は前者である事を祈りながら館に火をつけ、中に入る

「ガウ!」

館の中に煙が立ちこめ、ガルドが扉を破って出てくる
その口は赤く、血に染まっていた
飛鳥は一瞬、修也が死んだという可能性が頭をよぎるが
ガルドに気付かれまいと気丈に振舞う

「ごめんなさい。せっかくの屋敷を、でも、貴方には地位も名誉もなにも残ってないんでしょう
ならせめて、森の王者として戦うべきじゃなくて?」

「グルルル…ガウ!」

ガルドは2階から飛鳥へと飛び掛る
しかし

「ギャオオオン!」

「なに?!」

屋敷の壁を突き破って左腕のもげた
鋼の竜人がガルドに突撃し、横へと飛ばす

「まさか…あなた、修也なの?」

鋼の竜人は飛鳥のほうを見、咆哮をあげる
壁へと吹き飛ばされたガルドは火の粉を振り払いながら
鋼の竜人へと飛び掛る
鋼の竜人はガルドを正面から体で受け止め、残っている右腕で拘束する

「ギャウ」

鋼の竜人は飛鳥の方を向き、鳴く
飛鳥は剣を正面に構え力を発揮する

「剣よ…力を!」

飛鳥の言霊に剣が赤く輝く

「はあああ!」

飛鳥はそのまま剣をガルドの眉間に突き刺す
すると、ガルドの体は剣の刺さった部分を中心に全身が黒くなり
砂となって消えた

拘束するものがいなくなった鋼の竜人は背中の翼を羽ばたかせ、天井を破り、空へと上がる
飛鳥はソレを見届けて呟く

「…ゲーム、終了ね」

その言葉が引き金となったのか周りの風景が一変する
木々に飲み込まれていた建物から、木々が消え、燃えていた屋敷からは炎が消えた 
 

 
後書き
修也の技、召喚物の説明

・炎刃拳

炎を纏わせた拳で殴る
接近戦においてはかなり殺傷能力が高い

・雷刃拳

雷をまとわせた拳で殴る
接近戦で相手に拳を押し付けるだけで感電する

・捕縛の鎖

鉄の鎖
基本的に相手を拘束するための鎖で、魔力を通すことで強度が上がる

・8センチ程の柄の無い小さな刀
自分の体のどこかに刺して使う
その武器が対応する動物に変身できる
見た目のイメージは魔法戦記リリカルなのはForceのサイファーのリアクター 
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