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ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者

作者:黒神
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第八十九話 鑑賞会


体育祭を終えた数週間後、闇慈達は一誠の豪邸でとある冥界アニメを観賞していた。

『ふはははは!遂に貴様の最後だ!乳龍帝よ!』

『何を!この乳龍帝が貴様ら闇の軍団に負ける筈がない!行くぞ!バランス・ブレイク!!』

この作品は『乳龍帝おっぱいドラゴン』と言う特撮作品で、冥界で絶賛放送中の子供向けヒーロー番組らしい。その人気振りは視聴者率50%を超える程だった。

「・・・始まってすぐに冥界で大人気みたいです」

闇慈の膝の上で猫の尻尾をフリフリさせながら小猫が説明する。

「小猫ちゃんって案外、冥界のテレビに詳しいよね?でもこの番組ってグレモリー家の人達が仕切っているんでしょう?これは凄く稼ぐ事ができるんじゃ?」

「・・・そうですね。それに闇慈先輩も出てますよ?」

「へっ!?」

闇慈が疑問の声を上げるとアニメの方で進展があった。
悪役に向かってダークネス・クロスに似た斬撃が飛んできて、それが見事に命中し、火花を散らした。そこには闇慈の死神姿とそっくりな人物が漆黒の大鎌を振り切った姿があった。そして主人公が声を張り上げる。

『またしても現れたか!!黒衣の死神!!貴様の目的は何だ!?』

『俺はただ平和を愛する・・・それだけだ』

主人公の言葉をそれだけ返すと、死神は悪役に斬りかかる。

「・・・先輩の設定はリアルでも同じ死神です。誰よりも平和を愛し、平和のために戦っている人です。主人公とは一緒に戦っている場面が多いですが、主人公はおっぱいのために戦っているため、それが平和を脅かす事になるかもしれないと監視も兼ねているそうです」

小猫の説明が終わる頃には戦闘も終わり、死神が主人公に何か告げている場面だった。

『乳龍帝よ・・・貴様は自分の欲望のために戦っている。しかし道を外した時は容赦はしない!!覚えておく事だ!!』

それだけを残すと死神は消えて行った。主人公のとなりには彼のヒロインを思わせる女性が立っていた。その女性はリアスと酷似していた。

『おっぱいドラゴン・・・』

『分かっている、スイッチ姫。何れ奴とも戦う事になるだろう・・・しかし俺は負けない!!世界中のおっぱいのために!!』

主人公の決め台詞と共にそのアニメは終了した。ここで闇慈が自分の感想を述べ始める。

「まさか、僕まで出ているなんて思いもしなかったよ。何で僕まで?」

「お前は冥界テレビでも有名になったからな。それ乗じて入れてみたら案の定、女性達にも大うけってわけだ。お前には感謝してるぜ?アンジ」

「まあ・・・良いですけど。アザゼル先生って何気に後先の事をよく考えているんですね。でも・・・スイッチ姫って何ヶですか?」

闇慈が『スイッチ姫』と言う言葉に首を傾げていたが、それを聞いたリアスは顔を赤面していく。
何でも一誠のジャガーノート・ドライブを解除しようとした時にリアスの胸で・・・と言うより乳首を一誠が触った事で解除されたらしく、それを見ていた美猴が『スイッチ姫』と命名したと祐斗が説明してくれた。

「・・・もう、冥界を歩けないじゃない」

「あはは・・・」

頭を抱えているリアスを見た闇慈は苦笑しか出来なかった。
イリナは、はしゃぎながら変身ポーズを取りながら言ってくる。

「でもでも!幼馴染みがこうやって有名になるって鼻高々でもあるわよね。そういえばイッセー君って小さい頃は特撮ヒーローが大好きだったよね。私も付き合ってヒーローごっこしたわ」

「確かにやったなぁ。あの頃のイリナは男の子っぽくて、やんちゃばかりしてた記憶があるよ。それが今じゃ美少女さまなんだから、人間の成長って分からない」

「もう!イッセー君ったら、そんな風に口説くんだから!そ、そういう風にリアスさん達を口説いていったのね・・・?怖い潜在能力だわ!堕ちちゃう!!私、堕天使に堕ちちゃうーーー!!!」

イリナが叫び声を上げると共に翼が白と黒に点滅し始めた。何でも、これが天使が堕天使になる前兆みたいだった。しかしそれを見たアザゼルは豪快に笑う。

「ハハハハ、安心しろ。堕天歓迎だぜ。ミカエル直属の部下だ。VIP待遇で席を用意してやる」

「いやぁぁぁ!!堕天使のボスが私を勧誘してくるぅぅぅ!!ミカエル様、お助けくださぁぁぁい!!!」

イリナはミカエルに助けを求めるように祈りを捧げているがゼノヴィアとアーシアが助言を入れる。

「でもイッセーさんやアンジさん・・・部員の方々が有名になるなんて自慢です」

「そうだな。私達、眷属にも良い宣伝になるからな」

確かにそれは良い意味でもあった。『おっぱいドラゴン』が放送される事によってグレモリーの名は一気に世間に広まり、その主役や重要人物もその関係者が関わっている。これほど宣伝になることはなっただろう。
そう言っている間に朱乃が一誠の背中に抱きつく。それ乗じて彼女の豊満な胸も一誠の背中に押し当てられる。

「イッセー君?イリナちゃんを仲良くするのも良いですけれど、約束を果たしてもらわないと困りますわ」

「約束?・・・ああ。ディオドラ・アスタロトの戦いの前に言ったあの事ですか?」

「ええ。勿論、叶えてくれますわね?私とのデート♪もしかして・・・ウソだったの?」

目元を潤わせて、一誠に尋ねる。

(あれをやられたら断るに断れないな・・・)

闇慈はそう思っていた。肝心の一誠も闇慈と同じ考えを持っていた。

「う、ウソじゃないです!!」

「嬉しい!じゃあ、今度の休日、私とデートね。うふふ、イッセー君と初デート♪」

朱乃は嬉しそうな顔をしていたが、一誠が好きな他の女性陣は嫉妬の表情を浮べていた。そして何かを企んでいるようだった。

(そう言えば、僕と小猫ちゃんって付き合ってからデートをやっていなかったな・・・今までの事も兼ねて誘ってみようかな?)

闇慈がそう心に決めると膝の上の小猫に尋ねる。

「ねえ、小猫ちゃん」

「何ですか?先輩」

「次の休日。僕達も何処かに遊びに行かない?」

「・・・それってデ、デートに誘ってるんですか?」

小猫は顔を真っ赤にしながら尋ねる。それを笑顔で闇慈が答える。

「うん。ほら最近、二人っきりで遊びに行ったりなかったでしょう?だから、行かない?」

「・・・嬉しいです!!私も行きたいです!!闇慈先輩と」

「決まりだね♪」

二人のやり取りを見ている他のメンバー達は見ていると仲の良さに微笑ましくなっていたようだった。
 
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