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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第三次篇最終部第一幕 取り戻された絆

            第三次篇最終部第一幕 取り戻された絆
   冥王星に降り立ったロンド=ベルは。すぐにバルマー軍の基地に向かった。
その案内をするのはシュウであった。
「それではですが」
「ああ、その場所だよな」
「それもわかってるのね」
「はい、既に」
わかっていると一同に答えるのだった。
「既に」
「そうか、それなら」
「今から」
皆彼の誘導に従って基地に向かう。その中でこんなことも話されていた。
「敵は七個艦隊全部潰したけれど」
「後は」
「直属部隊か」
「それだけよね」
「数はどうなのかしら」
最初に数のことが話に出て来た。
「それで」
「それはあまりないらしいぜ」
「そうなの」
「数はな」
それは言われるのだった。
「ただ」
「ただ?」
「質は相当みたいだな」
このことも話された。
「何しろ直属部隊だからな」
「けれど」
「そうよね、それを倒したら」
「いよいよ」
「決められるんだよな」
甲児の言葉である。
「本当にな」
「そうよね、タケル君本当にね」
今言ったのはリンダだった。
「お兄さんを」
「やっぱりあれよね」
ロザミアもここで言うのだった。
「お兄ちゃんがいるってことは」
「まだ本当のお兄ちゃんだって思ってるわけではないんでしょう?」
「それはわかってるわよ」
微笑んでリンダに返すロザミアだった。
「ちゃんとね」
「それならいいけれど」
「それでも私もお兄ちゃんがいて嬉しいから」
言うまでもなくカミーユのことである。
「だから」
「そうよね。誰かがいてくれるのなら」
「しかも敵味方なら」
「余計に」
二人にも心当たりにあることだった。
そうしてだった。ロザミアはリンダに問うののだった。
「やっぱりリンダもお兄さんが敵だった時は」
「不安だったわ」
実際にそうだったと話すリンダだった。
「ケーンが死ぬのか、兄さんが死ぬのかって」
「そうよね、それは」
「それに」
リンダは不安な顔でさらに話す。
「兄さんの生死がわからなくなった時は」
「その時はやっぱり」
「不安で不安で仕方なかったわ」
その時は特にだというのだ。
「生きていることを祈っていたわ」
「それじゃあ今は」
「戦いは続いているけれど」
そのことはあっても、であった。
「それでもね。一緒にいられるとね」
「嬉しいのね」
「有り難いわ」
こうまで話した。
「一緒にいられる。そのことがね」
「そうよね、やっぱり」
「それによ」
リンダはさらに話していく。
「兄さんと一緒にいられるから」
「私もだ」
そのマイヨが出て来た。
「私も実はだ。リンダも父上も敵同士でだ」
「不安だったのね」
「そして悲しかった」
その感情もあるのだという。
「それは御前もだな」
「ええ」
「私もよ」
さらに話すリンダだった。
「それでその悲しさに」
「彼もまた同じだ」
「タケルさんも」
「そうだ。同じだ」
そうだというのだ。
「いや、より悲しい筈だ」
「お兄さんは洗脳されていて」
「そうよね。それは」
「だからだ。何としてもだ」
「助け出さないとね」
ロザミアは言った。
「何があっても」
「いや」
しかしだった。ここでマイヨは言うのだった。
「それはどうか」
「どうかって?」
「どうしたの、兄さん」
「彼は自分自身の手でマーグを取り戻す筈だ」
そうだというのである。
「絶対にだ。やり遂げてみせるだろう」
「やり遂げるのね」
「それを」
「そうだ。してくれる」
必ずだというのだ。
「絶対にだ」
「じゃあ私達は」
「そのお手伝いを」
「私達ができることはそれだけだ」
することではなかった。できることであった。
「だからこそだ」
「わかったわ。じゃあ」
「私達はタケルさんの為に」
「戦う。しかしだ」
マイヨはまた言った。
「それは彼の手で成し遂げられることだ」
こう言って戦いの場に赴くのだった。その戦いの場はだ。
凍て付いた大地だった。そこに来るとだ。
既にバルマー軍が展開していた。確かに数は大したものではない。
「やはり数は大したことがないな」
「そうですね」
セイラがスレッガーに対して述べた。
「数は」
「ただな。質はな」
「かなりみたいですね」
「じゃあ気合入れていくか」
「そうだね」
ハヤトがカイに応える。
「どれだけ敵の質がよくてもな」
「勝たなければならないからね」
「じゃあ行くか」
リュウもいた。
「今ここでな」
「よし、行こう」
アムロが全軍に告げた。
「そして地球圏での戦いを終わらせてだ」
「タケル」
万丈がタケルに声をかけた。
「いいね」
「わかっている。兄さんをここで」
「全軍攻撃開始」
彼等は一斉に前に動いた。そのうえでバルマー軍に向かうのだった。
マーグもそれを見てであった。指示を出した。
「それではだね」
「はい」
ロゼがマーグの言葉に応えた。
「今よりですね」
「うん、最後の戦いだ」
「ゴッドマーズですが」
「わかっているよ」
それはもう言うまでもないことだった。
「ここで最後の戦いだから」
「ではここで」
「私も時が来ればこの戦艦から出る」
その巨大ヘルモーズからだという。
「そしてあの男と」
「わかりました。それでは」
「その時の指揮は頼むよ」
「お任せ下さい」
その時の話も為されるのだった。
「何があろうとも」
「じゃあロゼ」
「はい、マーグ様」
「行こう、私達も」
「わかりました」
こうしてバルマー軍も前進をはじめた。そのうえでロンド=ベルに向かう。両軍は正面から激突しそのうえで最後の戦いをはじめるのだった。
兵器の質で押そうとするバルマー軍だった。だがロンド=ベルはそれに対してである。
「各個撃破だ!」
「一機ずつ攻撃を集中させろ!」
「はい!」
「わかりました!」
皆それに頷いてであった。果敢に攻撃を浴びせる。それによってバルマーのマシンを一機ずつ倒していく。まさに各個撃破であった。
そしてそれが功を奏した。バルマー軍はその数を確実に減らし劣勢に追い込まれていった。そしてマーグの旗艦も露わになった。
ゴッドマーズは既に善戦に出ている。タケルはそのゴッドマーズを巨大戦艦に向けた。
「よし、これで!」
「俺達もだ!」
「行かせてもらうわ!」
皆そのタケルのフォローに回る。しかしだった。
そしてそれを見たマーグは。遂に言うのだった。
「来たか」
「司令、それでは」
「さっきも言ったけれど」
「お任せ下さい」
敬礼と共にマーグに告げるのだった。
「ここはです」
「それではね」
「司令」
ロゼの言葉は切実な響きを帯びたものだった。
「どうか」
「どうか?」
「御無事で」
こう告げてきたのである。
「どうか」
「安心してくれ」
マーグは微笑んでそのロゼに言ってみせた。
「私は必ず戻って来るよ」
「必ずですね」
「うん、必ずだよ」
こう言って微笑んでみせているのであった。
「嘘は言わないよ」
「それでは」
「行って来るよ」
「はい!」
こうしてマーグは出撃した。そのゴッドマーズでだ。二人のゴッドマーズが対峙した。
「兄さん・・・・・・」
「地球の戦士よ」
二人は見合いながら互いに言い合う。
「この戦いで最後だ」
「そうだ、最後になるんだ」
タケルもまたであった。切実そのものの顔でマーグを見ている。そのうえでの言葉であった。
「これで。俺と兄さんは」
「貴様の最期の時だ」
だがその言葉はそれぞれ違ってしまっていた。
「二度と離れはしない」
「二度と起きることのないように」
「終わらせる!」
「ここで!」
それぞれ剣を構えそのうえで突き進みであった。剣と剣を打ち合わせる。
激しい音が響き渡り火花が散る。そうしてだった。
その打ち合いが続いた。二十合三十合となり遂には百合を超えた。しかしそれでもだった。
勝負はつかなかった。二人はやがて超能力も使いはじめていた。
「これなら!」
「どうだ!」
だがそれも伯仲していた。お互いのその力と力で打ち消し合っている。勝負は千日手に近くなろうとしている。そんな状況になっていた。
しかしである。二人は同時にコクピットから出た。
そうしてであった。ゴッドマーズから出てである。空中で激突した。
「何っ!?」
「外に出た!?」
「そのうえでか!」
「ゴッドマーズじゃラチが明かない!」
「それならだ!」
互いに生身で決着をつけようと考えたのだ。二人同時にである。
「これで!」
「終わらせる!」
互いに空中で超能力を出し合った。衝撃波と衝撃波がぶつかり合う。
その後でそれぞれ着地してだ。また衝撃波を出し合う。しかしそれでも決着はつかない。
戦いは既にロンド=ベルに有利となっていた。だが戦いは実質的に最早二人の闘いであった。
「凄い・・・・・・」
「あれは超能力と超能力の戦い」
「本当の」
誰もが二人のその闘いを見て呆然となっていた。
「何て凄まじい」
「冥王星が壊れてしまいそうな」
「けれどその先には」
「ええ、絶対に」
「間違いないわ」
それを言う彼等だった。まさに確信していた。
「何があっても」
「お兄さんを」
「そうしてくれる」
ケンジは安心した顔でその闘いを見ていた。
「タケルならな」
「ああ、それはな」
「間違いなくね」
ナオトとアキラも彼を信じていた。
「やってくれるさ」
「何があっても」
「そうね」
ミカもであった。じっと闘いを見続けて言うのだった。
「タケルならきっと」
「兄ちゃん、待ってるよ」
ナミダも完全に信じていた。
「きっとだからね」
そしてであった。タケルは今。
一旦マーグから間合いを離してであった。そのうえで。
「これで!」
「むっ!?」
「終わらせる!」
こう言ってであった。両腕を交差させて衝撃波を放つ。それで、であった。
マーグを撃つ。だがマーグはそれを身体を左に捻ってかわしたのだった。
「これで!」
「何っ、今の攻撃を!」
「この程度ならどうということはない!」
攻撃をかわしたうえでの言葉である。
そうしてであった。そのまま態勢を戻して反撃に転じようとする。しかしだった。
「なっ!?」
「兄さん!?」
何とその足元にクレバスがあったのである。そこに足を踏み外してしまった。
「し、しまった!」
「危ない!」
兄がその中に落ちようとしているのを見てだ。タケルは慌てて前に出た。
そして兄の手を掴んで引き寄せようとする。だがそれは間に合わなかった。
「くっ!」
「兄さん!」
マーグだけではなかった。タケルもまたクレバスに落ちようとする。しかしそこに宙が駆けて来てである。そのうえで彼を慌てて後ろから抱き止めたのだ。
「タケル!」
「宙か」
「大丈夫か?」
タケルをクレバスの縁から何とか引き戻して言うのだった。
「危ないところだったな」
「ああ。けれど」
「マーグか」
「兄さんは」
気遣う顔で再びクレバスの中に向かおうとする。そこはまさに無慈悲な獣の口であった。
「あの中に落ちたら」
「確かめてみるつもりか?」
「ああ」
宙の後ろからの問いに答えた。
「そのつもりだ」
「そうか、ならだ」
「言っていいんだな」
「何があっても行くつもりだろう?」
こう言って微笑みさえする宙だった。
「今の御前は」
「済まない」
彼のその言葉を受けてであった。
「今からな」
「なら今から行くんだ」
「行って来る」
意を決した顔でクレバスの中に飛び込んだ。その中は凍て付いた岩場であった。その中に入るとである。マーグはその下に横たわっていた。
頭から血を流している。しかしそれでもだった。息はあった。
「兄さん、生きているのか」
それは確かだった。しかしであった。
「俺のことはどうしても覚えていないのか」
そのことを思ってだ。悲しみがこみ上げてくるのを抑えられなかった。それでその顔を苦渋に満ちたものにさせているとであった。
「どうしてだ、それは」
「う・・・・・・」
そしてであった。マーグが目を覚ましてきた。
「兄さん、また目が覚めたら」
「マーズ・・・・・・」
ここで彼は言ってきた。
「マーズなのか」
「マーズ!?」
「覚えている」
上体を起こしながら言ってきたのだった。
「私を何度も助けようとしてくれたな」
「覚えていたのか、そのことを」
「そうだ、覚えている」
そうだというのである。
「私は今まで」
「まさかとは思うけれど」
「レツィーラ」
不意にこの名前を出してきたのである。
「レツィーラ=トーラーによって」
「トーラー!?誰なんだそれは」
「バルマー帝国の祭司長」
こう語る。
「十二支族トーラー家の女当主でもある」
「トーラー!?そういえば」
タケルはその話を聞いてだ。あることを思い出した。
「レビもまた」
「レビ。レビ=トーラーか」
「あの娘のことを知ってるのか」
「知っている」
彼女もだというのだった。
「レツィーラによって洗脳されてだ。私と同じように」
「バルマー戦役では洗脳されて地球側と戦っていたと聞いていたが」
「そういうことだ。そして私も」
「兄さんも」
「洗脳されていた。だが」
しかしここで言うのだった。
「私はそれでも。御前と」
「それはいいんだ」
タケルは微笑んでマーグに対して告げた。
「いいんだよ、それは」
「私を許してくれるのか」
「許すも何も」
そういう問題ではないというのである。
「この世でたった二人きりの兄弟じゃないか」
「兄弟・・・・・・」
「そう、俺達は兄弟じゃないか」
またこのことを兄に告げるのだった。
「それでどうして」
「兄弟か」
「これからどうするんだい?」
今度はこう兄に問うた。
「これからは」
「決めている」
こう弟に答えるマーグだった。
「私も御前と共に」
「俺と共に」
「バルマーと戦おう。あの国を救う為にも」
「バルマーを救う為にも」
「今のバルマー帝国は間違った道を歩んでいる」
憂いに満ちた顔で言うのだった。
「ただひたすら膨張し続けているだけだ」
「この銀河全体に」
「そして霊帝と十二支族だけが栄えている」
これはバルマーが封建制であるがこそ起こることだった。
「そしてその力も衰微してきている」
「だとすると」
「このままではバルマーはかえって滅ぶ」
そのことを危惧しているのである。
「だからだ。ここは」
「ここは」
「私は御前と共に戦いそして」
「バルマーもまた」
「救う」
はっきりと言った。そのうえで立ち上がりであった。
「ではマーズよ、今からだ」
「うん、今から」
「私の命は御前に預けた」
こうまで言うのであった。
「そして共に戦おう」
「俺もだ」
タケルもだった。澄んだ目でマーグに告げるのだった。
「俺も兄さんと共に」
「戦うのだな」
「俺の故国は地球だ」
この認識は変わらないのだった。
「だが。兄さんがそうするというのなら」
「共に戦ってくれるのだな」
「行こう、兄さん」
澄んだ目はそのままだった。
「一緒に」
「うむ、これからは何があろうともだ」
「俺達は一緒なんだ」
両手で握手をしてで、であった。そのうえでクレバスを出る。二人の戦いが今はじまった。
だが。そこに待っていたのは。ロゼのゼーロンだった。
「あれは!?」
「ロゼ!?」
「マーグ司令!」
そのロゼが言ってきた。
「お助けに参りました!」
「馬鹿な、撤退しなかったのか!?」
「既に軍は退かせました」
その言葉は偽りではなかった。確かにもう軍はいなかった。一方にロンド=ベルがいるだけだ。
「ですが私は今」
「君だけで来たというのか」
「早くお乗り下さい」
切実な顔で彼に継げた。
「どうか。今すぐに」
「いや、それは」
言おうとした。しかしであった。
「貴様!そこをどけ!」
ロゼは今度はタケルに対して告げた。
「司令から離れろ!」
「くっ!」
タケルに向けてビームを放ってきた。彼はかろうじてかわす。
「ビームを」
「離れなければ命はない」
完全に彼がマーグを捕虜にしていると思っていた。
「だからこそ。私は」
「馬鹿な、止めるんだ!」
マーグは彼女が弟の命を狙っていると見て咄嗟に叫んだ。
「私はもう」
「マーグ司令、どいて下さい!」
あくまで彼を救おうとするロゼだった。
「さもないと巻き添えに」
「止めろ!」
なおも言うマーグだった。
「止めるんだ!マーズは私の」
「司令から離れろ!」
こう叫んで、であった。
「さもなければ!」
「くっ、マーズ!」
そのマーズの前に出た。そこにゼーロンからビームが放たれた。
「えっ!?」
「そんな、兄さん!?」
ロゼが気付いた時はもう遅かった。ビームを放ってしまっていた。
そしてマーグはそれに撃たれ。大きく吹き飛ばされてしまった。
「司令!」
「兄さん!」
ロゼとタケルはそれぞれ割れた鏡の様な顔になってしまった。そうしてそのうえで。天高く舞うマーグの身体を見るのだった。
「わ、私が司令を・・・・・・」
「兄さん、そんな・・・・・・」
「嘘、こんなことが」
ロゼはゼーロンのコクピットの中で顔を強張らせ震えていた。
「こんなことが・・・・・・」
「兄さん、大丈夫か!」
ロゼは呆然としたまま姿を消してしまった。そしてタケルは兄に駆け寄る。起こってはならない惨事が起こってしまったのであった。
戦いは終わった。しかしであった。
「そうか、マーグは」
「ええ」
「重症で」
「助かる可能性は?」
「正直なところ危ないわね」
リツコが浮かない顔で一同に述べる。
「あれはね」
「そうですか。危ないですか」
「そんなに」
「全力は尽くすわ」
それは絶対だというのだった。
「期待して待っていて」
「期待ですか」
「何があっても死なせないから」
彼女もまたその顔に強いものを見せていた。
「タケル君の為にもね」
「何時になく真剣ね」
その彼女にミサトが言ってきた。
「何か思うところがあるのね」
「ずっとあそこまで熱いものを見せられたらね」
親友にこう返すリツコだった。
「誰でも応えたくなるわよ」
「そう。だからなの」
「その通りですね」
メイシスもリツコのその言葉に頷いてきた。
「私も赤木博士と同じ立場だったら間違いなくそう言っていました」
「有り難う」
「あんた達も似てるからね」
ミサトはこうリツコとメイシスに告げた、
「それもかなりね」
「否定はしないわ、気が合うのは確かだから」
「何かずっと昔から一緒にいたような気持ちになります」
お互いを見ながらの言葉だった。
「だからね」
「その言葉、喜んで受けさせてもらいます」
「わかったわ。それでだけれど」
「私も協力させてもらいます」
ミサトの横にシュウが出て来た。そのうえで言ってきたのである。
「彼の救命に」
「貴方もなの」
「少なくとも死なせてはなりません」
こう言うのである。
「何があろうともです」
「手前は感化されたってわけじゃねえな」
マサキはそのシュウを見て述べてきた。
「考えがあるな」
「あの方はまだ死んではなりません」
それが理由と言わんばかりの態度であった。
「ですから」
「それでか」
「そう思って下さるならそれで」
いいとさえいうのだった。
「それでは私は」
「私も行きます」
ウェンディも向かうのだった。
「医学の心得もありますし」
「さて、これでどうなるかだな」
アランが述べた。
「だが。彼は戻って来る」
「確信ですか」
「そうだ」
まさにそうだと未久にも答えるのだった。
「それに木原も行ったな」
「はい、マサト君にも知識がありますから」
「秋津マサトと木原マサキ」
彼はその二人の名前を同時に出した。
「心は秋津で力は木原か」
「完全に一つになっています」
「二つのものは一つになれる」
ここでこうも言うアランだった。
「それなら余計にだ」
「できるんですね」
「あの男は戻って来る」
また言うアランだった。
「必ずな」
「そうですか」
「我々は待つだけだ」
そして言った。
「それではだ」
「どうしろってんだ?」
「それで」
忍と沙羅がアランに問うた。
「戦いはまだあるけれどよ」
「敵の残りがね。そっちに向かうってのかい?」
「そうだ」
その通りだというのだ。
「それに対する」
「そうだね。あの馬鹿でかい戦艦がまだあるし」
「それを何とかしなければな」
雅人と亮もこう話をした。
「だからだね」
「戦いはまだ終わってはいないな」
「わかっていればいい」
アランは静かに述べた。
「ではそれに備えておこう」
「敵の数はもう殆どないがな」
葉月博士もいた。
「それでもだ。敵も死を覚悟しているだろう」
「特攻か」
勇が言った。
「若しかしてそれも」
「有り得ないとは言い切れないですね」
トビアが言ってきた。
「ここまで状況が動くと」
「総員決して油断するな」
ブライトの言葉である。
「何をしてくるかわからないからな」
「はい」
ノリスは冷静にその言葉に応えた。
「それでは」
「間違いなく最後の戦いになるね」
シーブックも言った。
「今度が」
「そうね。後は」
「あのロゼって奴だな」
セシリーとビルギットも言ってきた。
「副司令官だけが残って」
「あいつもかなりの超能力者だからな」
「安心してくれ」
今度名乗り出て来たのは宙だった。
「俺がやらせてもらう」
「何としてもなのね」
「ああ、その通りだ」
こうアンナマリーにも言葉を返した。
「あいつは俺が止める」
「そうするのね」
「それでだ」
さらに言う宙だった。
「この戦い、次で完全に終わらせる」
「ええ、そうね」
「今度で」
誰もが勝利を誓っていた。戦いはまだ行われている。しかしその終わりは近かった。それを誰もがはっきりと感じていたのである。

第三次篇最終部第一幕完

2010・1・29  
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