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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第百五十四話 未来をこの手に

          第百五十四話 未来をこの手に

彼等が今いる場所。それは銀河の彼方であった。
遥か向こうに銀河系が見える。そこにいるのであった。
「何ていうかな、ここまで見事な演出されるとな」
「どうかしらね」
ロンド=ベルの面々はまずはこう言い合った。
「まあ最期の戦いっていうだけはあるな」
「そういうことね」
「そうだ、最期だ」
「御前達の墓標はここにできる」
「この銀河の彼方でだ」
アル=イー=クイスの面々がここで言う。
「では行くとしよう」
「さあ、出るのだ」
「この愚か者達を倒しに」
次々と出て来たのはロンド=ベルの面々がこの世界で倒してきた敵達であった。十万はいた。
「流石に神様達ばかりじゃないってことね」
「そうみてえだな」
ルナとエイジがクラヴィオンの中でこう話した。
「まあ最期に相応しいけれど」
「派手な戦いになるからな」
「それでは諸君」
サンドマンは冷静にグラヴィゴラスの艦橋から指示を出した。
「総攻撃だ」
「最早何も言うことはないわ」
レイヴンも今はアヤカになっていた。仮面を外しその美しい顔を見せている。
「思う存分戦って」
「よし!」
「やってやるわよ!」
この言葉を合図に神々の前に集まる敵達に向かう。こうして銀河の彼方での戦いが幕を開けた。
「いい、皆」
「はい」
「もう何の節約も必要ありませんね」
「そういうことよ」
マリューはサイとミリアリアの言葉に応えて頷いた。アークエンジェルも敵の中に飛び込んでそのうえで激しい戦闘の中にいた。
「イーゲルシュテルンもゴッドフリートも」
「ローエングリンもですね」
「それも」
「勿論よ」
トールとカズイの言葉にも応えるのだった。
「もうエネルギーや弾薬の心配はしなくていいわよ」
「倒すだけですね」
ノイマンが彼女の言葉に応える。そうして今周りに群がる敵達を見るのだった。
「来ました、艦長」
「バリアントで弾幕を張って!」
すぐに指示を出すマリューだった。
「それでまずは寄せ付けないことよ」
「わかりました!」
その弾幕で敵を寄せ付けずゴッドフリートで撃墜していく。彼等は的確に戦っていた。
それはクサナギもだった。ユウナはトダカの言葉を聞きながら戦局を見ていた。
「さて、今は突撃しているけれど」
「このまま周りの敵を倒していきましょう」
「そうだね。それがいいね」
トダカのその言葉に頷くユウナだった。
「一気に勝負を決めないといけないからね」
「そのうえで、です」
「アル=イー=クイスを」
トダカだけでなくキサカも彼に言ってきた。
「倒さなければいけませんので」
「ここは是非」
「わかっているよ。早いうちにあの神様達を倒さないとね」
「僕達ごと世界が消えてしまいますからねえ」
艦橋にはアズラエルもいた。彼も言うのであった。
「あっちの世界でビジネスもできなくなります」
「何か随分余裕ですね」
ユウナは今の彼の言葉を聞いて突っ込みを入れた。
「あの、今決戦なんですけれど」
「わかってますよ。だからこそリラックスしてるんですよ」
「だからですか」
「緊張し過ぎるとかえってよくありません」
彼の考えであった。
「ですからあえてリラックスするようにしているのですよ」
「そうなんですか」
「はい。ですから」
さらに言うアズラエルだった。
「落ち着いて周りをよく見ましょう」
「そういえば」
アズラエルの言葉に従い周りを見るとだった。左斜め上でゴライオンが苦戦しているのが見えた。
「あれはまずいね」
「ええ、確かに」
「あのままではゴライオンが」138
「援護に向かおう」
すぐにこう判断を下したユウナだった。
「いや、それよりも」
「それよりも?」
「どうされますか」
「あちらに主砲を向けよう」
こうすることにしたのであった。
「それで援護射撃をしよう」
「あちらには向かわれないのですね」
「ゴライオンの方には」
「それよりもここに位置しておいた方がいいね」
こう判断するのだった。
「今はね」
「そうですか。今は」
「ここで」
「うん、ここにも敵が来ているし」
見ればその通りだった。前方からまた敵が迫っていた。
「彼等の相手もしないといけないからね」
「そうですね、確かに」
「それでは」
「主砲、ゴライオンの方に」
冷静に指示を出すユウナであった。
「それでゴライオンの周りの敵を撃って」
「了解です」
「それでは」
すぐにクサナギから主砲が放たれた。その光がゴライオンの周りの敵を一掃していく。これでゴライオンは救われたのであった。
「ふう、助かったな」
「そうですね」
ファーラが黄金の言葉に応える。
「クサナギのおかげで」
「ユウナさんに助けられたな」
「何、いいってことだよ」
今の黄金の言葉にすぐに反応してみせたユウナだった。
「困った時はお互い様だからね」
「その通りです。ゴライオンには普段から助けてもらっていますしね」
アズラエルも言うのだった。
「ですから御気にならさずに」
「それはいいんですけれど」
「アズラエルさんが言うと」
「僕が?」
ここでその黄金とファーラの言葉に返すアズラエルだった。
「僕が言うと何かあるのですか?」
「後で何か売りつけられそうで」
「ちょっと」
「ははは、それはありません」
二人の今の言葉を笑って否定した。
「戦いでは見返りは一切考えませんから」
「本当ですか!?」
「それは」
「何故なら命の貸し借りをしていますからね」
だからだというのである。
「ですからそういうことは言いませんので」
「命をですか」
「だから」
「はい、そうです」
アズラエルはさらに言う。
「ですからそういうことは心配して頂かなくてもいいのです」
「それならいいんだがな」
横から凱が言ってきた。
「あんたがそう言ってくれるとな」
「ライオンロボ君は何か仰りたいようですが」
「あんたはどうも他人の気がしないからな」
だからだというのである。
「そういうことを言ってもらえると俺も有り難い」
「そうですか」
「ああ。とにかく今は正念場だからな」
「ええ。ですから」
「倒す!」
凱は今度は一言であった。
「アル=イー=クイスをだ!」
「ではライオンロボ君」
「わかっている。行くぞ皆!」
「おうよ!」
「わかりました隊長!」
ゴルディマーグとボルフォッグが彼の言葉に応える。
「このままな。叩き潰してやるぜ!」
「そして世界を消させはしません!」
「こんなもの!」
言いながら一直線に突き進み前の敵を倒す凱だった。
「俺達を阻めるものか!」
「おうよ、その通りだ!」
「今の私達は!」
まさに鬼神だった。そしてそれは凱達だけではなかった。ロンド=ベル全てがだった。
まずは真ドラゴン達が来た。彼等はアヴィと対峙する。
「この真ドラゴンなら!」
「やれる!」
「神を!」
「ならばだ」
アヴィは彼等を傲然と見ながら言葉を返してみせた。
「見せてみるのだ」
「倒すことをか」
「それを今」
「見せろというのか」
「人に神は倒せぬ」
アヴィの言葉はここでも同じ調子だった。
「それを言っておく」
「ならば!」
「それを覆してみせるわ!」
「ゲッターのこの力で!」
彼等はこう叫んでアヴィエスレルムに向かう。彼等の戦いがここではじまった。
そしてロジャーはジェイに向かっていた。その神とだ。
「ロジャー、この白いマシンが私達の相手なのね」
「そうだ」
まさにそうだとドロシーに答えるロジャーだった。
「この神が私達の相手になる」
「そう。わかったわ」
ロジャーのその言葉に静かに頷くドロシーだった。
「それじゃあ」
「人でありながらよくあがく」
ジェイの言葉はアヴィと同じ響きのものだった。
「我々に対して」
「それは違うな」
ロジャーはそれを否定してみせたのだった。
「私は、いや私達は」
「私達は?」
「あがいてはいない」
こう言ってみせたのだった。
「あがいてはな。いないのだ」
「では何だというのだ?」
「道を切り開いているのだ」
それだというのである。
「これからの人の道をだ」
「道をというか」
「そうだ。神にはわからないことだ」
彼はこうも言うのだった。
「己の座に満足している神ではな」
「己の座だというのか」
「御前達は自らを絶対の存在と思っているからこそわかる筈もない」
彼は言った。
「人の道を開くという行動を。そして」
「そして?」
「その時の力の大きさをわからないのだ」
「所詮我等の掌で踊っているだけの存在がか」
「それもまた違う」
彼はあくまでジェイを否定し続ける。
「それが違うということを今教えてやる」
「じゃあロジャー」
「行こうドロシー」
ドロシーに対しても述べる。
「神を倒し。そして」
「私達の未来を切り開く為に」
彼等もまた神に向かう。だが神はまだいるのだ。
ヴァル=アにはだった。彼女に向かうのは。思いも寄らぬ相手であった。
「何っ!?」
「まさか」
ヴァル=アだけでなく遥も声をあげてしまった。
「貴様が我の相手は」
「嘘、そんな」
彼女の前に姿を現わしたのは彼だった。綾人だった。
姿は神人になったままだった。その姿で今ヴァル=アノ前に姿を現わしたのである。
「綾人君、ここで」
「やはりここで姿を現わしたか」
ここで言ったのはサンドマンだった。
「神人、遂にここで」
「サンドマンさん、まさか」
遥は今のサンドマンの言葉を聞いて言った。
「貴方はわかっておられたんですか?」
「いや、わかってはいなかった」
彼はそれは否定した。
「だが」
「だが?」
「予想はしていた。神人はこの世を護る為に戦う存在だと」
「この世を護る為に」
「そうだ。だからこそここに姿を現わした」
その彼を見ながらの言葉だった。
「今ここに」
「綾人君、じゃあ貴方は」
「まさしく最期の戦いだ」
サンドマンは高らかに言った。
「諸君、最早退くことはない!」
こう言うのであった。
「この世界を護る為の戦い、勝ち抜くのだ!」
「おうよ!」
「思う存分やってやるわよ!」
「ここで!」
彼等は一気に向かうのだった。今神々との戦いもはじまった。まずは真ドラゴンがアヴィエスレルムに対して突き進み今その攻撃を繰り出した。
その途中アヴィエスレルムの攻撃を受ける。しかし彼等は怯まなかった。
「まずは!」
「ええ!」
「行けゴウ!」
ケイとゴウがガイに対して叫ぶ。
「御前の力を見せてやれ!」
「わかったわ!」
「チェンジ真ポセイドン!」
叫ぶと今真ポセイドンになるのであった。禍々しいまでに巨大な海の神に。そして。
そのうえで突き進む。そして今巨大な三つの竜巻を繰り出した。
「ゲッタートリプルサイクロン!」
「何っ!」
三つの巨大な竜巻が襲う。それがまず神を大きく上に吹き飛ばした。
「次は私ね!」
「そうだな」
「任せた!」
ケイに対してゴウとガイが告げた。
「この真ライガーで!」
今度はドリルそのものと言ってもいいライガーだった。その姿で下に落ちてきたその神を突き刺す。しかしまだ神は死んではいなかった。
「それなら!」
「行くのねゴウ!」
「今度は御前がか!」
「そうだ!やってやる!」
まさに竜と一体化しているドラゴンだった。その竜の右腕の斧が一閃された。
「うおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーっ!」
「ぐうっ!」
攻撃を受けたアヴィの動きが止まった。しかしまだ彼女は死んでいなかった。
「まだだ」
「くっ、まだ立っているのか!」
「流石神を自任するだけはあるわね」
「これだけの攻撃を受けてもまだ」
「我は神だ」
炎を真ドラゴンに放ちながらの言葉だった。攻撃もまだ繰り出していた。
「敗れることはない」
「それなら」
「ゴウ」
「あれをやるぞ」
「そうか、あれだな」
ゴウはケイとガイの言葉に対して応えた。
「あれをやるんだな」
「もうあれしかないわ」
「だからだ」
「よし、わかった」
ゴウは二人のその言葉に頷いた。
「やる!あれでな!」
「ええ!」
「やるぜ!」
「真ドラゴンチェンジアタック!」
技の名を高らかに叫んだ。そうしてその攻撃を神に繰り出す。
まずはポセイドンが攻撃を仕掛け続いてライガーが。最後にドラゴンが白く巨大な光となって体当たりを浴びせた。
「シャインスパーーーーーーーーーーーック!!」
「何だとっ!!」
その一度の攻撃は神とて凌ぎきれるものではなかった。アヴィエルレルムもその動きを完全に止めてしまった。遂に、であった。
「我が。まさか」
「言った筈だ!」
「私達は切り開いてみせる!」
「自分の世界を!」
三人はマシンの各部から炎を出し潰えようとしている神に対して告げた。
「だから俺達は勝った」
「今こうしてね」
「御前にな」
「おのれ・・・・・・」
アヴィはその中で呻きながら呟いた。
「この世界を消させんというのか」
「その通りだ!」
「あんたを倒せばそれで!」
「世界は救われる!」
「確かにな」
アヴィもそれは認めるのだった。
「しかしだ」
「しかし?」
「何だっていうの?」
「負け惜しみか?」
「違う。私は倒れるがだ」
アヴィの最期の言葉は負け惜しみではなかった。
「全ての世界はやがて消える」
こう言うのであった。
「あの御方にな」
こう言い残して彼女は炎に包まれた。そしてその時ジェイもまた。ロジャーの最後の攻撃を受けようとしていた。
「ロジャー」
「ああ、わかっている」
ドロシーの言葉に応えている。ビッグオーは神の攻撃の前に既に満身創痍であった。
「もう一撃受ければ」
「終わりよ」
「しかし終わるのは」
ここでロジャーは言った。
「神だ」
「あいつの方なのね」
「そうだ、終わる」
彼はまたドロシーに告げた。
「これでな」
「ええ」
「誠意を以ってお相手しよう」
そう言うと共にであった。今ビッグオーから巨大な砲が現れた。
「ビッグオー、ファイナルステージ!」
その言葉が出て。
砲撃が行われた。白い光が放たれるのだった。
「ロジャー=スミスの名において!」
ロジャーは攻撃を放ちながら叫ぶ。
「これで終わらせる!」
「何っ!」
その光は神とて避けられるものではなかった。瞬く間にその神を貫きそのうえで倒してしまったのであった。
「馬鹿な、神を。神である私を」
「これでこの世界での責務は果たされた」
ロジャーは今爆発しようとするジェイクラップスを見ながら述べた。
「これでだ」
「おのれ・・・・・・だが」
「だが?」
「この世界が残るのは僅かな間だけだ」
呪詛の言葉ではなかった。
「僅かなな。間だけだ」
「それはどういうことだ?」
「やがてわかる」
ジェイは断末魔の中で言うのであった。
「やがてな。それだけは言っておこう」
「そうか。どうやらだ」
ロジャーはジェイのその言葉を聞いてそのうえで述べた。
「私の戦いはまだ続くというのだな」
「そして思い知るのだ」
炎に包まれていくコクピットの中での言葉であった。
「己の。人の無力さを」
こう言い残し消えていくジェイだった。何はともあれロジャーは神を倒したのだった。
「ロジャー」
「ここでの戦いは終わった」
ロジャーはドロシーに告げた。
「これでな」
「そうだな。それはよしとしよう」
「そうね」
「しかしだ」
だがそれでも彼は言うのだった。
「まだ戦いは続く」
「まだなのね」
「だが。必ず終わる」
ロジャーの言葉は続く。
「人の勝利でな」
「そうね。じゃあ」
「行こう」
今度は一言だった。
「次の戦いの場にだ」
彼は既に決意していた。そうして今立っていた。戦いはこれで終わりではなかった。
綾人はヴァル=アと対峙している。戦いは彼が有利に進んでいた。
「おのれ・・・・・・」
綾人は神を圧倒していた。苦い声を出しているのはヴァル=アであった。
「我より上の神だというのか」
「それは違うね」
ここでも万丈が言ってきたのだった。
「綾人君は人間だ」
「人間!?戯言を」
ヴァル=アは彼のことばを否定しようとした。
「現に我を」8
「確かに姿はそうさ」
その姿は万丈も確かに見ていた。
「しかし」
「しかし?」
「その心は人間だ」
こう言うのであった。
「だからさ。今君達と戦っているのさ」
「人間だからか」
「何故彼が今ここで姿を現わしたのか」
このことまで話す万丈だった。
「それは」
「それは?」
「遥さんの為さ」
「えっ・・・・・・」
いきなりこう言われた遥は驚きの声をあげるしかなかった。
「万丈君、今何て」
「そのままですよ。綾人君はまず遥さんの為に来たんですよ」
にこりと笑って彼女にも話すのだった。
「その次に僕達の為ですけれどね」
「まず私の為にって」
「彼は待っていたんです」
万丈の言葉は続く。
「自分の力が彼女達を超えて」
「アル=イー=クイスを」
「多分その存在に気付いて今は姿を現わさなかったんだと思いますよ」
そう予想するのであった。
「そして彼女達の力を超えて機を窺っていた」
「アル=イー=クイスが私達の前に姿を現わすその時を」
「そう、それが今だったんです」
こう話すのだった。
「そして今。現にこうして」
「私達の前に」
「遥さんを護る為に」
「そうだったの、綾人君」
ここで彼の心を知った遥だった。
「私の為に、今」
「その綾人君に君は勝てない」
万丈はあらためてヴァル=アに告げた。
「そう、何があってもね」
「おのれ、人が」
ヴァル=アは万丈のその言葉に呪詛を返すだけしかできなかった。
「そう言うのならば今ここで」
綾人を倒そうとする。しかしであった。
「ラアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーッ!!」
綾人が歌った。その無限の力が神を撃つ。それで。
ヴァルディスキューズは動きを止めてしまった。その全身が瞬く間に崩れていく。
「くっ・・・・・・」
「神々の終末だね」
万丈は今言った。
「これでね。完全に終わりだね」
「おのれ・・・・・・」
炎に包まれる中でも呻くヴァル=アだった。
「人が。我を」
「この世界は護られた」
万丈は言うのだった。
「確かにね」
「言っておこう」
ここでヴァル=アが断末魔の中でロンド=ベルに告げてきた。
「私は死ぬ」
「確かにね」
「だがこれで終わりではない」
こう言うのであった。
「全ての世界は。すぐに・・・・・・」
これが最後の言葉になった。神は炎の中に消えた。こうしてアル=イー=クイスは完全に潰えたのであった。
「勝ったな」
「ああ」
「神を倒したのよ」
「世界は救われたんだね」
皆このことを確認し合った。
「この世界の危機は救われたんだ」
「これでもう」
「さて、後は」
ここで万丈がまた言った。
「どうやってここから帰るかだけれど」
「甘いぞ!」
「油断するでないわ!」
しかしここで、であった。シュバルツとマスターアジアが彼等の前に姿を現わしたのであった。
「アル=イー=クイスは確かに倒した」
「だがそれで終わりではないぞ」
「何っ、師匠」
ドモンがその言葉に驚いて師に問うた。
「それはどういうことですか?」
「見るのだドモンよ」
マスターアジアは弟子の言葉に応えた。
「今我等がいる場所をな」
「何っ、ここは」
「左様、ここは異空間よ」
見ればその通りだった。何時の間にか皆漆黒の世界にいた。
「そしてわし等をここに誘ったのは」
「あの者だ」
シュバルツが前を指差した。そこにいたのは。
「この世に禍を為す者だ」
『くっ、貴様は』
『そう、この世界でも出て来たわね』
ロアとエミィがその禍々しい姿を認めて言った。
『ダークブレイン』
『ここでも私達と戦うのね』
「ダークブレイン?」
「何なのそれは」
コウタとショウコがそれぞれのパートナーに対して問う。
「禍々しい名前だけれどな」
「この世界に害を与える存在なの?」
『そうだ、ショウコの言う通りだ』
『ダークブレインこそまさに』
それだというのである。
『そして俺達の宿敵だ』
『全ての世界において』
「我が名はダークブレイン」
ダークブレイン自身からも告げてきた。
「この世を破壊する者だ」
「僕達とアル=イー=クイスの戦いの決着がつくのを見守っていたのかな」
「如何にも」
こう万丈にも言葉を返してきた。
「その通りだ」
「用意周到って言うべきかな」
万丈は彼の言葉を聞いてまずは軽く返した。
「彼女達とは関係ないみたいだけれどね」
「我はまた別の存在」
そのことを彼自身も認めてきた。
「そしてその力もな」
「くっ、このプレッシャー」
アムロが最初に感じ取ったのだった。
「アル=イー=クイス達を全て合わせた以上だ」
「そうですね。これは」
続いてカミーユも言う。
「ここまで強いのは今まで」
「しかしだ」
ここでまた言うシュバルツだった。
「戦うしかない」
「あ奴を倒せば元の世界に戻ることができる」
「元の世界に?」
「それじゃあ」
「わし等の世界にだ」
こうロンド=ベルの面々に告げるマスターアジアであった。
「戻ることができるのだ」
「あれっ、っていうと」
「そうですわね」
ルナとエイナがここで気付いたのだった。
「私達の世界じゃなくて」
「シンさんやルカさんの世界になりますわね」
「へっ、いいじゃねえか」
「そうだよ。皆にはわざわざ僕達の世界で助けてもらったんだから」
エイジと斗牙が言った。
「義理と人情ってな」
「それは返さないとね」
「そうね、それはね」
「その通りです」
このことに異存が出る二人ではなかった。すぐに彼等の言葉に頷いた。
「これからどうなるかわからないけれど」
「ここまできましたら」
「行くしかないわね」
ミヅキも言う。
「何処にでもね」
「よし、それでは諸君!」
サンドマンがここでも高らかに告げる。
「我々の今の作戦はだ」
「ええ」
「ダークブレインを」
「倒す。そして別の世界に行く。または」
言葉を言い換えもした。
「元の世界に戻る。いいな」
「了解!」
「それじゃあまずは」
「やってやりますか!」
ダークブレインを前にして口々に言うのだった。
「それで向こうの世界に行って」
「別の敵と戦うんだね」
「向こうも凄いわよ」
ルナマリアがくすりと笑ってエイジと斗牙に告げてきた。
「もうね。色々な敵がいるから」
「そんなに凄えのかよ」
「色々って」
「考えようによっては向こうの方が凄いかもね」
こうも言うのであった。
「何せ敵の数が違うし」
「そうか」
それを聞いて静かに頷いたシリウスだった。
「ならばそれを楽しみにしておこう」
「シリウス、楽しみなのね」
その彼に麗花が問うてきた。
「あちらの世界での戦いも」
「そうだな。皆といられることが楽しみだ」
ここでこう言うのだった。
「そうした意味で楽しみにしている」
「そうなの」
「では行こう」
あらためて言うシリウスだった。
「ダークブレインを倒し向こうの世界にもな」
「さて、どうなるかな」
剣人も楽しそうに言ってみせる。
「ダークブレインとの戦いもな」
「それは俺達次第だな」
弾児はその彼に冷静に告げた。
「ここで踏ん張れるかどうかだ」
「そうだな。じゃあ」
「行くぞ」
ガスコンの言葉だった。
「別の世界に行く為の戦いにな」
「ああ、やってやらあ!」
神々を倒したのも束の間であった。今度は突如として姿を現わしたダークブレインとの戦いに入るのだった。戦いは何時果てるともなく続くのだった。

第百五十四話完

2009・9・28







 
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