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孤独感からの脱却、そして

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孤独感からの脱却、そして

 
前書き
(!オリジナル要素満載です。) 

 
孤独感からの脱却、そして -DQ1勇者ハルカ-


かつて、伝説の勇者ロト様は仲間を連れ、共に大魔王ゾーマを倒したという。
ただ、この世界の人々は伝説の勇者ロトは一人で大魔王を倒したと思い込んでいる。僕が仲間を連れていたと知ったのは、僕の養母が残していた唯一の形見の本に記載されていたから。本来この本は、悪書として(ラルス13世が伝説の勇者ロトに仲間がいたという真実を認めたくなかったという理由で)がこれ以外すべて焼き払われていったらしいが、僕の養母さんの先祖は表装を変えることによってそれを乗り切ったという。今となっては、なぜ養母さんがその本を持っていたのかは謎なのだが。
……しかし、僕はほとんど孤独だった。特に勇者として旅立ってからそうだった。以前は優しかったラダトーム戦士団の一部の人達は、段々と僕に冷たい態度をとっていった。理由は嫉妬。戦士団でもランクは低かった僕。しかし、伝説の勇者ロトの子孫(の可能性)である僕は、特別な待遇をとられるようになった。それが戦士団の一部の人達には面白くなかったのだ。
国王は、質素ながら僕に一人用の特別な仮眠室を与えようとした。しかし、一部の戦士団の人達の妨害により、それは無くなった。時々僕に生卵を投げつける者もいた。
もちろん、一部だから皆が皆そうではなかった。国王(ラルス16世)や大臣は僕を応援してくれるし、戦士団の中にも、「気にすんな。皆つまらない嫉妬だよ。俺はお前を応援してるぜ」といってくれる人もいた。
ラダトーム城下町の巨大墓碑にいつも佇んでいる元戦士団の男、スピネルも僕の理解者の一人だ。
「ハルカ、特別な人間とはいえお前はまだ若い。…お前を死なせたくないものだな」
スピネルはそういってぽんっと僕の肩をたたく(僕は身長180cmあるが、彼は194cmもある)。
「ありがとうございます」僕は微笑しながら答えた。
と、このように理解者のいるが、僕は孤独感から抜けることは無かった。
伝説の勇者ロトの様に仲間はいない。仲間を募ろうとしたが誰も僕の仲間になろうとするものは居なかった。戦士団の理解者は恐怖で行きたがらないし、スピネルは体の負傷により戦闘能力が落ち、せいぜいガライの町にいける程度で旅に行ける状況ではない。

…僕はたった一人で竜王軍と戦っている。また、一部の戦士団のいじめとも戦っている。
孤独感が強くて辛かった。国王や大臣、別の一部の戦士団、スピネルが居なければ僕はどうなっていたんだろうか。…性格的に歪んでいただろうな。
いくら町の人が優しくしてくれても。僕の孤独感は拭えることは無かった。
正確には独りぼっちではないかもしれない。けれど僕は…。
そんな僕の気持ちを変える出来事が起きた。いや、起きるべきして起きたのかもしれない。
そう、僕の目的の一つ、ローラ姫救出である。

僕の目の前に現れたのは最初は人型の姿をした魔物だった。それは僕も知らない魔物だった。しかし僕が「お前がローラ姫をさらったのか!」と叫ぶと、その魔物は緑色のドラゴンへと変貌していった。
「貴様にローラは渡さん!ローラは竜王の妻となるのだ!」
後ろで悲鳴が上がる。ローラ姫の声に違いない。
「そうはさせない!」
僕は腰から鋼の剣を抜き、ドラゴンに切りつけた。
すると、ドラゴンは炎を吐いてきた!僕はあわてて鉄の楯で防ぐ。しかし、僕のむき出しの腕が少し焼けた。
「くっそおお!!」僕はまたドラゴンに向かって走る。
その後も僕とドラゴンの一進一退の戦いは続いた。ドラゴンの破壊力はすさまじく、僕は意識を失いかけたが、ホイミで何とか持ちこたえた。
しかし、魔力も尽きかけていた。ホイミがかけられる分の魔力さえ失ったら僕は死ぬだろう。
ローラ姫の泣き叫ぶ声が聞こえた。…僕は死ぬわけには行かない。
僕は力いっぱい剣をドラゴンに突き刺した。ドラゴンはけたたましい叫び声をあげ、息絶えた。
ドラゴンを倒したのだ。僕はローラ姫のほうを向く。ローラ姫は檻の中で泣き叫んでいた。

「…勇者様!」
ローラ姫が僕に向けていった第一声がこれだった。…勇者?なぜローラ姫は僕が勇者だと分かったのか(というか思っていたのか)?
ローラ姫は涙でぐしゃぐしゃになっていたが、可愛らしさは失われていなかった。
「ああ、勇者様、私を助けに来てくださったのね!私はラルス16世の一人娘、ローラです。あなたが助けに来てくれなければ私は竜王の妻に…そんなおぞましい事は嫌です。ああ、嬉しいですわ…!」
「僕が勇者だって…何故」
「…私にとって、貴方が私の勇者様なのですよ」
ローラ姫のは涙ながらに笑顔を向けた。とても、可愛らしい笑みだった。
ああ、そういう意味か。僕は苦笑いを浮かべた。
「ねえ、勇者様、貴方の名前を教えてくださらない?」
「僕ですか?僕はハルカ。ハルカ=R=ドランスフィールド。変わった名前でしょう?」
すると、ローラ姫はまた別の笑み、優しい微笑を浮かべた。
「いいえ。素敵な名前ですわ。ハルカ様…」
その時、僕は何か温かいものが心を満たしたような感覚になった。うまくはいえないが、それは心がプラスの方向へと向かっていることは確かだった。
「ああ、そうだ…」僕は床に落ちていた鍵を拾い、檻の鍵を開けた。ローラ姫が僕に抱きついてきた。そして泣きじゃくった。
「ローラ姫…。遅れてすいません…」
「いいえ……助けてくださって、…私は本当に嬉しいのですわ…」
ローラ姫は華奢な体つきで、ふわふわの髪が僕の体に当たって気持ちよかった。僕はそっと、ローラ姫を抱きしめた。
……温かい。ドラゴンとの戦いのときについた傷の痛みが全く気にならない。なんていえばいいのか解らないくらい、僕は喜びを感じていた。

僕はローラ姫を抱え(お姫様抱っこである)、洞窟の外へ出て、マイラの町へ向かった。
そして、温泉で体を癒し(ローラ姫には水着が貸し出された。とても清楚できれいだった。なお僕は水着持参である)、宿屋に泊まることにした。
僕とローラ姫は色々なお話をした。そう、僕は旅立ちからここまでの話を、孤独感から完全に抜け出すことができなかった話をした。ローラ姫は悲しんでくれた。
そして、なんと僕が勇者ロトの子孫ということも信じてくれた。信じない人も居る中、ローラ姫は僕を信じてくれたのだ。
「理由?よくわかりませんが、私は貴方が伝説の勇者ロト様の子孫だと信じられます。そして私を助けるために戦ったときのあの表情は、幼い頃に見た伝説の勇者の話が描かれた絵本の、伝説の勇者の表情にあまりにも似ていたのです。ハルカ様、私…」
ローラ姫は僕に、今までの生い立ちなどの話をしてくれた。気になったのは数年前に病死したローラ姫の母親、ラダトーム王妃のことである。僕の実の父親となんとなく…似ていたからである。ローラ姫のお母さんも僕の父さんも、不思議な感じのする人だったらしいのだ。
そうして話し合ううち、僕はローラ姫に対し、恋心を覚えた(私もハルカ様を愛したいと、ローラ姫も同じようなことを考えていたと後に語っていた)。
「ハルカ様…私…貴方の事…」
「ローラ姫!僕もです…っ!」
そして僕とローラ姫は………。

ローラ姫を救出した後、僕に対する世間の態度が違っていた。
今まで僕をいじめていた戦士団の人達は僕に深く詫びた。僕に半信半疑の人も、少しは信じてくれるようになった。信じていなかった人も、僕のことを認めるようになった。
僕を信じていた戦士団の人達は僕をより応援してくれる。仲にはローラ姫との仲をニヤニヤにしながらからかうものもいた。
スピネルも以前よりももっと厚く僕を信用してくれた。「お前なら竜王を倒せると俺は信じている」
僕はもう孤独感を感じなくなった。これからも戦うのは僕一人だけど、…もう僕は寂しいと感じなくなったんだ。

しかし、一番の存在はローラ姫だ。
そのローラ姫との愛の証は、また素敵な秘密がこめられていたのである……。

 
 

 
後書き


オリジナル満載(当然かもしれないけど)、オリキャラも登場。ドラゴンも捏造設定してるし。
ちなみにこの後は別の作品(DQ3勇者×僧侶とのコラボ小説)に続きます。 
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