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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第百三十四話 ガルラ帝国崩壊

                第百三十四話 ガルラ帝国崩壊
 決戦の場に向かうロンド=ベル。彼等はその中で今は休息も取っていた。
「でよ」
「どうしたんだ?勝平」
 シーブックがお握りを頬張る彼に応えていた。
「何かあったのか?」
「何かあったんじゃなくてこれからだけれどよ」
 彼は言うのだった。
「次の戦いに勝ったらガルラ帝国は終わりだよな」
「そうだ。皇帝は倒れた」
 ゴライオンによって倒されたのは彼等も把握している。
「後はシンクライン皇太子だけだ」
「じゃああと一度の戦いだけだな」
 彼はそれを聞いて頷くのだった。
「それで帝国は終わりかよ」
「そうしたら後は天使とゼラバイアだけだな」
「それでこっちの世界の戦いは終わりね」
 宇宙太と恵子がここで言った。
「それでな」
「長い戦いだったけれどね」
「いや、それはどうかな」
 しあkしここで二人に対してティエリアが言うのだった。
「先の戦いで戦場を離脱した帝国軍の部隊があったが」
「んっ!?そういえば」
「確かに」
 二人もここで気付いたのだった。
「あったな、確かに」
「帝国軍の中じゃ数はそんなに多くなかったけれど」
「どうやらあればイノベイターらしい」
 こう皆に話すのだった。
「どうやらな」
「そういえばよ」
 ビルギットがここで皆に言うのだった。
「誰もイノベイターとは戦ってねえよな」
「そうね。間違いなく帝国に組しているのに」
 それだもなのだった。
「誰も今回は会っていないし」
「じゃああれは」
「そう考えることが自然だ」
 ティエリアはここでまた言った。
「彼等がまだいる」
「そもそもよ」
 アレックスがここで言ってきた。
「イノベイターの目的って何なんだ?」
「そこがわからないな、確かにな」
 グラハムもそこに気付いた。
「我々の敵なのは間違いないが」
「彼等は一体何者ですか?」
 シンルーはティエリアに問うた。
「どうやら地球人のようですが」
「地球で生まれたのは間違いない」
 ティエリアの返事はまた妙なものだった。
「それはな」
「地球で生まれたのは?」
「何かおかしな言葉だな」
「そうだな」
 イワンもジュゼもハンスもこの言葉の意味がわからなかった。
「一体どういうことですか?」
「ちょっと意味がわからないが」
「この世界にラ=ギアスのような世界がない筈だ」
 彼等はそれはわかっていた。この世界の人間だからだ。
「まさかとは思いますが」
 しかしテッサはそれでも考えるのだった。
「人工生命ですか?」
「・・・・・・・・・」
 何故かここで沈黙するティエリアだった。
「まさかとは思いますが」
「人工生命っていうと」
「俺達の世界じゃ多いけれどな」
「クローンとかですよね」
 オズマとミシェル、ルカがここで言うのだった。
「あたしにしろそうだしな」
「そうそう」
 プルツーの言葉に頷いたのはプルだった。
「あたし達クローンだからね」
「こちらの世界でもクローンはあるが違うのか」
 プルツーはこちらの世界の仲間達に対して尋ねるのだった。
「それとは」
「その辺りどうなの?」
「クローンはあります」
 テッサが彼等に答える。
「そして人工生命を生み出す技術も」
「技術的なことでは君達の世界と変わりはない」
 サンドマンもこのことを話すのだった。
「それについてはな」
「じゃあそれもあるんだ」
「やっぱり」
 向こうの世界の者達はここで頷くのだった。
「けれどさ、イノベイター達の言葉って」
「ああ、そうだな」
 バサラがミレーヌの言葉に頷いた。
「やたら偉そうだな」
「自分が神様みたいよね」
「傲慢なな」
 レイも言う。
「あれはまた何でだ?」
「根拠のない自信なんて何処にでもあるさ」
 ロックオンが言ってきた。
「自分ではあるつもりでもな」
「実は違うってわけか」
「そういうことか」
 皆それを聞いてある人物を思い出したのだった。
「シャピロの野郎だな」
「そうね」
 忍と沙羅がそれぞれ言ってきたのだった。
「あいつがそのままだな」
「そう考えるとわかりやすいね」
「ああ、シャピロ=キーツだね」
 アレルヤもその話は聞いていた。
「あの連邦政府を裏切ったっていう彼だよね」
「とんでもない奴さ」
「奴にあるのは己だけだ」
 雅人も亮も忌々しげに切り捨てる。
「一度やっつけてやったけれどね」
「まだ生きていた」
「その彼と似てるね」
 アレルヤは彼等の話を聞いてまた述べた。
「こっちの世界のイノベイターも」
「人は神になれる」
 フォルカは言う。
「しかしだ。それが傲慢な神ならばだ」
「やがて淘汰される」
 答えたのがギリアムだった。
「人を支配しようとすればな」
「じゃあこの世界のイノベイターもそうなりますね」
 ラッセルがここで問うた。
「それなら」
「正直言って大した連中には思えないですね」
「ああ、そうだな」
「俺達が数え切れない程潰してきた奴等そのままだぜ」
 今度はアデル、ヘイト、モンシアが言うのだった。
「所詮は」
「まあ実際の力はそうでもないだろうな」
「手前等がどう思っててもよ」
「そんなものか。じゃあイノベイターは特に気にしなくていいかな」
「ええ、そうよ」
 アラドにはっきりと言い切るオウカだった。
「少なくともこの世界での敵勢力では一番小者ね。安心していいわ」
「そうか、じゃああいつ等は放っておいて」
「他の勢力ですね」
 ゼオラも言ってきた。
「ここは」
「まずは帝国だ」
 ダイテツが今戦おうとする敵について言及した。
「帝国を倒すぞ」
「ええ、それは」
「是非」
 彼等もそれに応えるのだった。
「向かいましょう」
「すぐに」
「そしてだ」
 ダイテツの言葉は続く。
「帝国を倒した後だが」
「どうしますか?」
「もう宇宙の敵は」
「そうだ、まずは地上に戻る」
 まずはそれであった。
「そうしてそのうえでだ。天使達と戦うことになるだろう」
「今のところですが」
 ここでシリウスがダイテツに言ってきた。
「天使達の動きはありません」
「静かにしているのか」
「そのようです」
 こう述べるのだった。
「彼等は数は多くなく以前の敗北がまだ尾を引いているようです」
「ならば尚更好機だ」
 ダイテツはそれを聞いて満足したように頷いた。
「帝国を倒し天使達との決着をつける」
「はい、是非」
「そうしましょう」
 テツヤとエイタも言う。
「その後でゼラバイアですね」
「彼等とも」
「ゼラバイア」
 サンドマンの顔がここで引き締まった。
「遂に彼等とも決着をつける」
「そうか、いよいよ」
「こっちの世界も最後の戦いが近付いているんですね」
「その終わりのはじまりが今だ」
 レイヴンの言葉だ。
「この土星で帝国との最後の戦いだ」
「はい、それじゃあ」
「今からいよいよ」
「諸君、この世界での終わりの時が来た」
 サンドマンがここでまた言った。
「戦いの終わりの時がだ」
「おうよ、じゃあよ」
 エイジがその言葉に気合を入れた。
「ガルラ帝国、一気に潰してやるぜ!」
「帝国を倒せば宇宙からの脅威はなくなります」
 ファーラも言う。
「これで遂に」
「そうだな、次で終わりだ」
 黄金も言う。
「この戦いが終われば地上に戻って」
「地上の敵を全部倒してそれで」
「イノベイターも倒してですよね」
 ルナとミヅキに対してエイナが言う。
「そうよ、この世界での戦いが終わるわ」
「そうね」
「その後ですけれど」
 ふとここでエイナは言うのだった。
「私達の世界の戦いが終わったら」
「ああ、俺達は多分帰ることになる」
 アムロが答えてきた。
「元の世界にな」
「そうですよね、やっぱり」
「シュウの野郎がまたで出て来てな」
 マサキが微妙な笑顔と共に述べた。
「またそうなるぜ」
「それで戻れるのですね」
 ファーラはこう返したのだった。
「貴方達は」
「あっ、まあそうだけれどよ」
 マサキはここで特に突っ込まれなかったのでいささか拍子抜けしていた。
「それはよ」6
「そうですか。それは何よりです」
「どうやらこの姫さんよ」 
 マサキは首を傾げながらシルヴィアに言ってきた。
「俺達のことは知らないらしいぜ、ゼオラよ」
「私ゼオラじゃないけれど」
 シルヴィアはその言葉にこう返した。
「悪いけれど」
「あっ、そうか悪い」
 ここでマサキも気付いたのだった。
「声が似てるからな。そう思っちまったぜ」
「マサキさん、全然キャラ違わない?」
 その当のゼオラがマサキに問うた。
「私とシルヴィアじゃ」
「けれどよ、確かに似てるんだよな」
 だがマサキはまだ言うのだった。
「そっくりな位にな」
「言われてみれば」
「確かに」
 そして二人もそれに頷きはした。
「そっくりっていうかね」
「同一人物みたいに」
「よくあることだ」
 ロックオンの言葉だ。
「そっくりさんがいるっていうのもな」
「何か貴方が言うと説得力があるわね」
 そのロックオンにスメラギが言ってきた。
「それも」
「そうなるか」
「私も最近そうだけれど」
 自分もだというのである。
「何かとね」
「それでよ」
 今度はムウが皆に声をかけてきたのだった。
「もうすぐなんだよな」
「そうですね」
 ミリアリアが彼の言葉に応える。
「土星の前に辿り着きます」
「そこで決戦だな、本当に」
 ミリアリアの言葉に応えてまた言うムウだった。
「長い戦いだったけれどな」
「そうですね。ガルラ帝国とも」
 サイもここで言う。
「それで敵ですけれど」
「ああ、どれだけいるんだ?」
「五千万です」
 今度はカズイが答えた。
「それだけ今展開しています」
「あれっ、それだけか?」
 ムウは五千万と聞いて拍子抜けしたような顔になった。
「それだけかよ、連中は」
「ええ、そうですが」
 トールも彼に答えた。
「それだけですよ、本当に」
「これが最後の戦いだからな」
 ムウは真面目な顔で述べた。
「てっきり十億はいるって思ったんだがな」
「もうそれだけ出すのは無理です」
 またファーラが答えてきた。
「出そうと思えば確かにそれだけ出せますが」
「じゃあ何故出さないんだ?」
「既に各地では不穏な空気が漂っています」
 こう述べるのだった。
「ですから。それへの抑えに」
「そうか。そういやそうだったな」
 ファーラの言葉に応え気付いたのだった。
「あの帝国は宇宙全土で圧政を敷いてるんだったな」
「その通りです」
「それでそこに兵力を向けてか」
 そういうことなのだった。
「抑えないといけねえけれどな」
「はい、ですから」
 だからだというのだった。
「彼等はもう兵力を向けられないのです」
「それでその五千万の兵で決戦か」
 ムウはあらためて述べた。
「じゃあ行くか、決戦にな」
「既にミーティアも用意しています」
 ラクスも言ってきた。
「五つ、全て」
「そう。だったらすぐに」
 キラが最初に応えた。
「ストライクフリーダムをそれに付けて」
「そうするといいな。俺はレジェンドでな」
「どうだ、レジェンドは」
 レイがムウにレジェンドについて尋ねてきた。
「乗り心地はどうだ」
「ああ、悪くないな」
 ムウは確かな声に応えて述べた。
「性能もかなりのものだな」
「あのガンダムは戦略兵器だ」
 レイは言った。
「一機でかなりの戦力になる」
「確かにな。ストライクもかなりのものだけれどな」
 彼のかつての愛機である。今はシホが乗っている。
「何か俺に合ってるっていうかな」
「ドラグーンが合っているか」
「ああ、合ってるな」
 自分でも言うのだった。
「かなりな」
「ではそれでいいな」
「ああ、このままレジェンドで行かせてもらう」
 こう述べるのだった。
「レジェンドでな」
「俺はこのままプロヴィデンスレジェンドで行かせてもらう」
 そのガンダムでだということだった。
「あのガンダムでだ」
「そうだな。しかしレイよ」
「何だ?」
「御前はやっぱり違うな」
 そしてこう言うのだった。
「あいつとはな」
「俺はレイ=ザ=バレルだ」
 こう自ら言うレイだった。
「ラウ=ル=クルーゼではない」
「もうそれは決めてるんだな」
「それがラウの望みだった」
 レイの目が遠いものを見る目になった。
「そして俺も」
「そうか、ならそのまま行けばいいさ」
 レイに対して微笑んで述べた言葉だった。
「そのままな」
「そうか。ではこのまま最後まで戦わせてもらう」
 また言うレイだった。
「最後までな」
「御前はもう一人じゃないしな」
 今度はこう言うムウだった。
「もうな」
「俺は一人じゃないか」
「そうじゃないのか?だからあいつと離れることができたんだろう?」
 微笑んで彼に告げた言葉だった。
「だからだろう?シンやルナマリアと一緒に戦いたかったんじゃないのか?」
「そうかもな」
 うっすらと認めてきた。自分でも。
「俺もな。だからこそか」
「そうさ。まあ俺だってな」
 ムウは言った。
「仲間がいるからな。それに」
「それに?」
「声が似ている奴等もいるしな」
「それは私のことですか!?」
 不意にガムリンが応えてきた。
「まさか」
「まあそうだけれどな」
 自分でもそれを認めるのだった。
「実はな」
「そうですか、やはり」
「他にもいるしな」
 そしてこうも言うのだった。
「あの博士といいな」
「シュウ=シラカワ博士ですか」
「俺も何か一人じゃないしな」
「そうですね。私もです」
 ガムリンもその言葉に頷く。
「私も一人ではありません」
「俺もか」
 そしてレイも気付いたのだった。
「シンやルナマリアもいる」
 まずは彼等だった。
「そしてか」
「俺もいるしな」
 デュオが応えてきた。明るく。
「それとな」
「僕もだね」
 今度はマサトだった。
「最後までクライマックスで行くんだね、やっぱり」
「そういうことになるな。こうしたことはザフトだけではなかった」
 そしてまた言うレイだった。
「では。行くか」
「おう、行くぜ」
 ムウの声は明るいものになっていた。
「波長が合う連中も一杯いるしな」
「それが一番いいんですよね」
 ガムリンがまた応える。
「やっぱり」
「それではです」
 ラクスが声をあげた。
「いざ、最後の戦いに」
「行くでごわすよ、キラどん」
「はい、御館様」
 キラは何故か大次郎をこう呼んだ。
「是非共」
「御館様?」
 ラクスは今の言葉を聞いてキョトンとした顔になった。
「キラ様、それは一体」
「あっ、何となくなんだけれどね」
 キラもラクスに答える。
「大次郎さんにはついついこう呼んでしまうんだ」
「そうなのですか」
「魔法、それは勇気の証」
 今度はこう言う大次郎だった。
「この言葉も好きでごわす」
「いい言葉ですね」
 ラクスもその言葉にはにこりと笑った。
「聞いているだけで励まされます」
「そうでごわすな、全く」
「どちらにしろそういう言葉があるのはいいってことさ」
 カイがその話に入って来た。
「俺だってデカがどうとか好きだしな」
「皆さん色々とあるのですね」
 あらためてそのことを知るラクスだった。
「私はそういうのはないのですが」
「安心すればいいさ」
 京四郎が彼女に言ってきた。
「そういうものは後からついて来る」
「そうなんですか」
「俺にしろだ」
 そして自分自身のことも言うのだった。
「色々と心当たりがあるしな」
「夕月様もですか」
「そうさ、俺達はそうした世界とは表裏一体らしいな」
 何故かやけに説得力のある今の京四郎の言葉だった。
「わしも最近のう」
 兵左衛門まで出て来た。
「何か猫になった気がするのじゃよ」
「私は蝙蝠だが」
 クワトロもだった。
「私はどうもその前からあるのだがな」
「ううむ、おかしな話じゃ」
「私なんか恐竜なのですが」
「私は何だ?」
 プレセアとクリフもなのだった。
「ワイバーンなのか?」
「俺は馬で」
「俺は龍か?」
 アルゴと忍も心当たりがあるのだった。
「どうもこの話になるとな」
「何かとおかしな話だぜ」
「まああれです。そうした気がするのもいいのでは?」
 ここでファーラは彼等にこう告げた。
「私はあまり心当たりがないのですよね」
「それはそれで寂しいですよね」
 ブリットがこう述べてきた。
「俺も散々蝙蝠だって言われてますけれど」
「私は犬だ」
 レーツェルはいささか不機嫌そうだった。
「しかし何故か嬉しいものがある」
「私も猫だが」
 ドレルはそれなのだった。
「不思議と嫌な気はしない」
「そういえば私もだ」
 クリフもふと気付いたのだった。
「あまりな。ワイバーンだからといってな」
「似ている人がいるだけじゃないってのも凄いですよね」
 キラがここで言った。
「縁があったり何か別の世界の存在に親近感覚えたり」
「俺なんかよ、それでかなり人気あるみたいだしよ」
 タップが言ってきた。
「結構いい感じなんだよな、本当にな」
「その気持ちはわかる」
 マイヨがそれに応えた。
「私もそうした役ではあまりだが一年ずっと出ていたからな」
「俺と同じだな」
「おいどんとも」
 彼に応えたのはカイと大次郎だった。
「結局よ、あれだぜ。そういう世界とも縁があるってことだよな」
「なら喜んで受けるでごわす」
「俺もそういうのなかったかな」
 一矢はふとこう考えたのだった。
「何か色々な役で出ていた気がするんだがな」
「あんたはまた特別だろ?」
 剣人が彼に言ってきた。
「何か俺あんたと他人の気がしねえしな」
「世紀末の世界だったか?」
 一矢は剣人にこう返した。
「確か」
「あとよ、まあ俺カイさんにも似てる気がするしよ」
「だよな。そっくりな感じがするな」
 カイもそれに応えて言う。
「何でかわからねえがな、これもな」
「それでだよ。俺一矢とは一緒の学校だった気もするしよ」
「世界は意外と狭いみたいだな」
 リュウが彼等の話を聞いていて呟いた。
「俺がロンド=ベルに戻ったら皆いたのは懐かしいと思ったがな」
「俺リュウさんとずっと前に会ってるって」
 ザズがこう主張する。
「あとジェオとザビーネさん似てるって思ったしよ」
「そうだな。俺もザズやマリュー艦長は他人の気がしない」
「僕もだよ」
 今度はクロトも出て来た。
「何でかな、本当に」
「俺もなんだよな。実はレインさん苦手なんだよな」
 マサキは困った顔になっていた。
「っていうかよ。どっかの世界ですげえいびられた記憶があるんだけれどよ」
「それは私にも言ってなかったかしら」
 アルシオーネがそのマサキに言うのだった。
「確か」
「そうだよ、あんたにもだよ」
 そのアルシオーネにも言うマサキだった。
「何かよ、すげえいびられた記憶がよ」
「二番手扱いされてよ」
「そういえば僕が一番手だったみたいな?」
 マサトが言ってきた。
「クライマックスの前にね」
「俺はウェルナーさんとやたら喧嘩していた記憶がある」
「そうだな。私は他にも京劇の仮面を着けて騒いでいた記憶がある」
 ウェルナーもウェルナーで複雑な事情があるようだ。
「何故だ?一体」
「そういえばザズさ」
 珍しくケーラがザズに声をかけてきていた。
「私あんたのライバルだったり友達だったりしていなかったかしら」
「ああ、そういえばそうなんだよね」
 ザズにも心当たりのあることだったらしい。
「何かね、ケーラさん一回仮面着けてなかった?」
「あんたを笑いに来たってね」
「私にとっては不愉快な話に思えるのは何故だ?」
 ここで首を捻っているのはギャブレーだった。
「ここで仮面が出て来ると。何故だ?」
「それは私もだ」
「私も。何故かな」
 そしてそれはバーンとサンドマンも同じなのだった。
「仮面というと馬鹿にされている気がする」
「何故かはわからないが」
「世の中は不思議なものじゃのう」
 アスカはここでふと呟いた。今度は彼女だった。
「わらわもそうした世界でレインやアヤやアクアと一緒だった記憶があるぞ」
「僕はプレシアさんと似てる気がしますし」
「あっ、そうよね」
 プレシアがサンユンのその言葉に応えた。
「何か妙にそんな気がします」
「わしもサイシー殿のお師匠の御一人にそんな親近感が」
 シャンアンも同じなのだった。
「世の中はまことに不思議です」
「そういえば姉様は」
「タータは遥さんとだったわね」
「そや、テュッティさんやアイナさんと似てるしな、雰囲気が」
「何か話がどんどんわからなくなってきてるような気がしてきたような」
「あれっ、何で話し方変えたのイーグルさん」
 アスカはうっかりシンジを彼と間違えたのだった。
「バカシンジみたいな喋り方して」
「僕そのシンジだけれど」
「げっ、本当にそっくり」
 これにはアスカもびっくりだった。
「同じ声じゃない、本当に」
「ははは、そうなんですよね」
 イーグルはそのアスカの横で笑っていた。
「僕もマオさんやシンジ君とよく間違えられたりしますよ」
「俺もな。本当によく間違えられる」
 今度言ったのはジェオだった。
「いいことだがな。気分的には」
「どうせあたしはそんな人いないわよ」
 アスカだけがすねることになった。
「綾波だってさ。クリスさんとそっくりだし」
「私はそんなに似てるのね」
「そっくりよ。本当にね」
 実際に彼女にも言った。
「あのドイツの変態忍者の声だってジブリールとそっくりだったし。あたしはどういうわけかそういう人が妙に少ないのよ、どういうわけかね」
「そりゃ御前あれだよ」
 またシンが言う。
「ドイツの雌猿に似てる奴なんかいねえさ」
「ちょい待ち」
 そしてそれを聞き逃すアスカではなかった。
「誰が雌猿ですって!?」
「そんなの決まってるだろうがよ」
 そしていつもの展開になるのだった。
「俺の目の前にいる赤いロングヘアの洗濯板だよ」
「言ったわね、このタツノオトシゴ!」
「誰がタツノオトシゴだ!」
「やかましいわよ洟垂れ小僧!」
 早速二人は正面からぶつかり合いだした。
「毎回思うけれどあんたのその馬鹿さ加減はどうにかならないの!」
「俺はアカデミー首席だ!」
「実技だけでしょうが!」
「実技だけでも天才は天才なんだよ!」
「字変えなさい、字!」
 二人の喧嘩はいつも通り激化していく。
「天災ってね!碌なことしないんだから!」
「御前に言われたかねえ!」
「それはこっちの台詞よ!」
「言ったな!」
「そっちこそ!」
 挙句に掴み合いの喧嘩になるのもいつものことだった。皆呆れながら彼等の喧嘩を見ている。そんなことを言い合っていると何時の間にか敵の反応がしてきた。
「おい、二人共」
「それ位にしておいて」
「あんっ!?」
「何かあったの?」
 二人は引っ掻き合い髪の毛を引っ張り合っていた。そうしてそのうえで言い合うのだった。
「敵でも来たのか?」
「ひょっとして」
「そのまさかだよ」
 万丈が彼等に言うのだった。
「だから喧嘩はそれ位にしておいてね」
「ちっ、今回はこれまでかよ」
「覚えておきなさいよ」
 二人共とりあえずは牙を収めるのだった。
「まあいいさ、次がある」
「今度こそは止めを刺してやるからね」
「しかしシンもよくやるわね」
「全くだぜ」
 ジェーンの言葉にエドが返す。
「毎日毎日誰かと喧嘩して」
「しかも女の子とばかりだしな」
 何故かその喧嘩相手はカガリやアスカ、フレイ等女組が多いのがシンの特徴なのだった。
「まあ喧嘩する程っていうしね」
「気にすることもないか」
 しかしこれで終わるのがシンの喧嘩だった。彼等は何はともあれ出撃準備に入る。今戦いは帝国との最後の決戦に入ろうとしていた。
 土星が側に見えるその場所で。両軍は対峙し今激突するのだった。
「よいか」
「はい」
 帝国軍はシンクラインの指揮下にあった。そのうえで彼の言葉に応えている。
「ここでロンド=ベルを倒すのだ」
「ここにおいてですね」
「切り札はある」
 既にそれも用意しているというのだ。
「それがこれだ」
「おおっ」
「それは」
「ソーラレイだ」
 見ればそれがあった。巨大な反射鏡の集まりがそこにある。それが帝国軍本陣のところにあった。それを用意しているのだった。
「これでロンド=ベルを一気に吹き飛ばすのだ」
「そうですか、それを使えば奴等は」
「一撃で消えてなくなります」
「その通りだ。ではこのまま戦うがいい」
 あらためて部下達に対して告げるのだった。
「勝利は我等の手にある!」
「はい!」
「了解です!」
 帝国軍の士気があがる。切り札を見て。そしてその切り札を背にした帝国軍が進み。そのうえでロンド=ベルに対して向かうのだった。
「帝国軍が来ました」
 ナタルがヘンケンに報告する。
「その数五千万です」
「数は予想通りだな」
「はい」
 まずは数について話された。
「しかしだ。あれは」
「ソーラレイですか」
「そうだな。間違いない」
 あちらの世界の面々はそれを見てすぐにわかった。
「まさかこちらの世界にもあるなんてな」
「見慣れた気もするけれど」
「あれっ、あんた達の世界にあれがあるのかよ」
「まさか」
「ああ、あるぜ」
 キースがこちらの世界の人間に答えた。
「ちゃんとな。コロニーレーザーなんてのもな」
「コロニーレーザーのことは御聞きしました」
 シンルーがチャック=キースのその言葉に答えた。
「コロニーを改造してレーザー砲にしたという」
「あとレクイエムもだったよな」
 今度はアレックスが言ってきた。
「巨大なレーザー砲兵器だよな」
「そう。それが俺達の世界にはあったんだ」
 今度はコウが話した。
「それと同じさ。一年戦争で使われた奴だ」
「それが今出て来たんですね」
「ふむ、それでは」
「向こうでは珍しくない兵器か」
 イワンとジュゼ、ハンスもここで言った。
「あのソーラレイも」
「なら攻略法は?」
「知っているか?」
「要は撃たせないことだ」
 バニングの返答は実に明快なものだった。
「撃たれる前に撃つ。それだけだ」
「撃たれる前にか」
「けれどそれが一番難しいんじゃ?」
「いや、これが案外楽なんだよ」
 モンシアは楽しそうに述べた。
「見ろよ。あれでかいだろ」
「ええ、確かに」
 マリンがそのモンシアの言葉に答えた。
「あの大きさは」
「だったら狙われたら終わりじゃないのか?」
「そうだよな」
 ジャックと雷太はそれを危惧していた。
「狙われたらそれで」
「おしまいじゃないのか?」
「いやいや、それがそうじゃないんだって」
 ヘイトが笑いながら言ってきた。
「大きいだろ?それだけ照準を動かすのも楽じゃないんだよ」
「あっ、そうだな」
「言われてみれば確かに」
「その通りだ」
 闘志也にジュリイ。謙作もこのことに気付いた。
「じゃあここはやっぱりあれか」
「俺達の機動力を活かして」
「それで狙わせないのか」
「しかもそれだけじゃないです」
 今度はアデルが説明するのだった。
「ソーラレイは確かに兵器としては威力は絶大です」
「それは否定できませんね」
 テッサが彼等に問い返した。
「やはり」
「だが守りは脆い」
 またバニングが言ってきた。
「守りはな。一撃でも何処かに攻撃を受ければそれで終わりだ」
「あの鏡面の何処かに受ければ」
「それで終わりだと」
「その通りだ。しかも僅かな攻撃でそれは壊れる」
 バニングはこのことも彼等に教えた。
「それでな」
「それならあれに一撃加えればそれで終わりかよ」
「それでもう」
「成程、わかりました」
 テッサはここまで聞いて決断を下した。
「これより我が軍はです」
「はい」
「どうされますか?」
 マデューカスとカリーニンが彼女に問う。
「この場合は」
「如何にして」
「機動力を活かしその照準から離れ」
 まずはこれであった。
「そしてそのうえでソーラレイに一撃を加えます」
「それなら俺に任せてくれ」
 ここで名乗り出てきたのはダバだった。
「エルガイムマークツーの機動力ならすぐにソーラレイに辿り着ける」
「あっ、そうよね」
 かなめが彼の言葉でそれに気付いた。
「エルガイムマークツーってブローラーに変形できるから」
「それで一気に近付いて変形してバスターランチャーを撃つんだ」
 彼の考えていることはこれだった。
「バスターランチャーならかなり遠距離から攻撃を加えられるし威力も充分だ」
「そうね、あれならね」
「すぐにケリがつくな」
 ダバの今の話に頷いたのはアムとレッシィだった。
「じゃあダバ、ここは」
「それで行くか」
「ああ、俺に任せてくれ」
 強い言葉で二人に答えるのだった。
「それでな。行こう」
「よし、それじゃあだ」
「ここはダバ、頼むぜ」
「任せてくれ。じゃあ行こう皆」
「よし、そうだな」
 キャオが陽気に笑って最初にダバの言葉に応えた。
「これで最後だ。もう容赦はいらねえぜ」
「それでは全軍」
 テッサが全員に指示を出してきた。
「作戦開始です」
「よし!」
「まずはソーラレイだ!」
 こうして彼等はまずはソーラレイを目指した。そうしてその照準をかわしながら進撃をはじめた。 
 ロンド=ベルのその動きは帝国軍からも確認された。シンクラインはそれを見て言った。
「小癪な、方角を変えよ!」
「は、はい!」
「すぐに!」
「一撃だ!」
 彼はその中で叫ぶのだった。
「ソーラレイならば一撃で奴等を消せる。照準が合ったならばすぐに撃て!」
「ですが殿下」
「ソーラレイは」
「どうしたというのだ?」
「あまりに巨大な為操縦が」
「かなり厄介ですが」
 恐る恐る彼に言うのだった。
「ですから照準を合わせようにも」
「すぐにかわされてしまいます」
「かなり困難ですが」
「甘えたことを言うな!」
 しかしそれを聞くシンクラインではなかった。
「敵は待つことはない!」
「は、はい!」
「その通りです!」
 演習ではない。これは当然だった。
「先読みなり何なりして狙え!そして撃て!」
「わ、わかりました!」
「それでは!」
「とにかく狙え!」
 彼は叫び続ける。
「よいな!」
「了解です!」
「それでは!」
 彼等は照準を合わせるだけで手が一杯だった。それが定まることはない。そしてその混乱はそのまま帝国軍全体に拡がっていた。指揮が混乱していた。
「くっ、こちらか!」
「あちらか!」
 素早い動きで進むロンド=ベルの動きを捕捉できないでいた。そうしてそーラレイに徐々に迫られ焦りをさらに増す悪循環に陥っていた。
「ロジャー、敵は混乱してるのね」
「その通りだ。我々の動きを計りかねている」
 ロジャーはこうドロシーに答えた。
「その機動力と後は」
「後は?」
「帝国軍自体が混乱している」
 ロジャーもこのことを見抜いているのだった。
「我々にとってはいいことだ」
「そうね。それはね」
「そこに付け込めば勝利はさらに近付いてくる」
「じゃあロジャー、ここは」
「そうだ。このまま左右に動きながら進む」
 やはりそれだった。
「それで行かせてもらう」
「わかったわ、ロジャー」
 ドロシーも彼のその言葉に頷いた。
「それじゃあ」
「もうすぐだ」
 そしてロジャーは今度はこう言うのだった。
「ダバ君、いいか」
「はい」
「いけます」
 ダバとリリスが彼に応える。
「じゃあ今からブローラーで」
「ソーラレイに近付いて」
「そうだ、撃ってくれ」
 また言うのだった。
「このままな」
「それじゃあ」
「ブローラー御願いします」
 テッサがここで指示を出した。
「前へ。そして」
「わかったよ。それじゃあ」
 こうしてダバの乗るエルガイムマークツーがブローラーに変形して一気に前に出た。そうしてそのうえで前に出るのだった。
「むっ!?」
「あれは確かエルガイムマークツー」
「何をする気だ?」
 帝国軍はその動きを見て眉を顰めさせた。
「僅か一機で来るか?」
「何を考えている?」
「迎撃せよ」
 シンクラインはすぐに彼等に告げるのだった。
「すぐにだ。いいな」
「はい、それでは」
「すぐに」
 彼等はソーラレイの危うさをわかっていなかった。そうでなければダバにより指示を出した。そうしてそのうえでただ迎撃部隊を向かわせただけだった。
 しかしエルガイムマークツーはすぐに彼等を退けてしまった。
「この程度なら!」
「いけるわよね、ダバ」
「ああ、大丈夫だ!」
 ダバはすぐにセイバーで彼等を斬り倒してしまった。瞬く間だった。
「じゃあ後は」
「やるのね」
「決める」
 ダバの言葉は真面目なものになった。
「これで!」
「やってダバ!」
 リリスがバスターランチャーを出した彼に告げた。
「今ここで!」
「よし、これで決める!」
 ダバもまた応える。そうしてそのうえでソーラレイに照準を合わせ。今一条の巨大な光を放った。それが今ソーラレイを貫いた。
 その一撃で決まった。光に貫かれたソーラレイは割れてしまいそこから砕け散っていった。帝国軍の切り札はこれで潰えたのだった。
「ば、馬鹿な」
「一撃だと!?」
「ソーラレイが」
 帝国軍は大爆発の中に消えるそのソーラレイを見て呆然としていた。
「あれで終わりだというのか?」
「我等の切り札が」
「そうやらソーラレイのことを何も知らなかったようだな!」
 ここでバニングが彼等に叫ぶ。
「ソーラレイは守りは弱い。攻めればそれで終わりだ!」
「くっ!」
「それを知ってのことだったか!」
「そうだ。これで貴様等の切り札はなくなった」
 今度はこのことを言う。
「今度こそ終わりだ!」
「抜かせ、猿共が!」
 だがシンクラインはまだ諦めてはいなかった。こう叫ぶのだった。
「全軍攻めよ、怯むな」
「は、はい・・・・・・」
「わかっています」
 だがそれへの返答は弱々しく。動きも鈍かった。そしてその動きの鈍さに気付かないロンド=ベルではなかった。すぐにそのまま攻撃を仕掛けるのだった。
「よし、今だ!」
「攻めろ!」
「一気にだ!」
 彼等はその帝国軍に対して一気に攻撃を仕掛けた。完全に機先を制し叩き潰していく。そうしてそのまま流れも自分達のものにした。
 そしてそこに。彼等も来たのだった。
「!?あれはまさか」
「奴等か!?」
 帝国軍は彼等の姿を見て不穏な声をあげた。
「どうやらロンド=ベルは完全に流れを掴んだな」
「そのようだな」
 テラルがローザに対して答えていた。
「帝国軍のソーラレイとやらを潰したか」
「そして一気に攻撃を仕掛けたな」
「そのようだ」
 クロッペンも答えていた。彼等はその軍を進めるのだった。
「では我々もだ」
「そうだな、ここではな」
「一気に攻めるか」
「うむ、では我々も」
「テラルか?」
 闘志也は彼等の軍を見て声をあげた。
「御前も来たというのか」
「そうだ、私達も戦わせてもらう」
 こう彼に答えるテラルだった。
「それでいいな」
「ああ、頼むぞ」
「こちらこそな」
 ジュリイと謙作もそれに応えるのだった。
「ではだ。帝国の奴等を倒すぞ」
「私達は決めたのだ」
 テラルは彼等に応えて述べてきた。
「帝国を倒しそしてもう一度そこから国家を作る」
「国家をか?」
「帝国のような圧政を敷く国家ではない。誰もが平等に暮らせる国家をだ」
「奴隷制じゃないんだな?」
「そうだ」
 今度はクロッペンが剣人の言葉に答えていた。
「奴隷ではなく。誰もが同じだ」
「共和国ってことか?」
 闘志也はそれを聞いて述べた。
「つまりはよ。それか?」
「そうだ、それだ」
 ローザが彼の問いに答えた。
「帝制ではない。共和制だ」
「奴隷のいないか」
「限られた一部の者だけが贅を尽くす社会」
 それこそまさにガルラ帝国であった。
「そのような国家にはしない」
「もっとずっとまともな国家ってわけだな」
 隼人は斜に構えているがそれでも言うのだった。
「そうだな。まともな国家だな」
「そうだ。奴隷は解放され身分制度はなくなる」
 クロッペンが言った。
「誰もがな。平和に暮らせる国家を築くのだ」
「理想はいいがな。しかしそれでもだ」
 また言う隼人だった。
「少なくとも今の帝国よりはずっとましだな」
「あのような国家には決してなりません」
 ファーラが断言してきた。
「ガルラ帝国はあまりにも非道に過ぎますから」
「それはあの皇太子のせいだな」
 黄金がそのシンクラインの乗艦を見ていた。
「だからだ。あいつさえ倒せれば」
「いや、それはどうかな」
 しかし隼人はここで彼に対しても言うのだった。
「それはな。どうかと思う」
「!?どういうことなんだ隼人」
「一体何を言いたいんだ!?」
 竜馬と弁慶も彼の言葉の意味がわからず怪訝な顔になった。
「まさかまたガルラ帝国みたいになるっていうのか!?」
「まさかそんな」
「可能性は否定できない」
 そして今度ははっきりと言うのだった。
「何故なら立ち上がったのはローザ達だけだからな」
「だからだってのかよ」
「そうだ」
 今度は武蔵に対して答えたのだった。
「皆がそれを拒まない限りはだ。またあんな国家になるぞ」
「まさかそんな」
「そんなことは。絶対に」
「いや、有り得る」
 まだ竜馬と弁慶に話すのだった。
「それもな」
「何だよ、じゃあ帝国を倒しても同じかよ」
 宙は隼人のここまでの言葉を聞いて言った。
「それだったらよ」
「そうだ。誰もがそれを拒まない限りはな」
 そして隼人はまた言った。
「そして新しい国家を築こうと思わない限りはだ」
「何だよ、それってよ」
「俺達が戦う意味がないってことかよ」 
 宙だけでなく闘志也も言った。
「そんなことじゃよ」
「同じじゃねえかよ」
「いえ、同じではありません」
 しかしファーラがまた彼等に話すのだった。
「帝国は倒れます。ですから」
「けれどよ。隼人が言ったじゃねえか」
「それでもよ。そんなのだと」
 皆の言葉に迷いが見られた。これでは勝利を収めても同じではないのかと。しかしここで。思わぬ者達がやって来たのだった。
「!?モニターに反応です」
「これは・・・・・・十億!?」
「何だこの大軍は!」
 彼等はその十億の大軍で攻めてきたのだった。
「援軍か!?」
「まさか。そんなことは」
「有り得ないです」
 一同にファーラが血相を変えて言ってきた。
「これ以上兵を出しては帝国も反乱に対処できません。ですから」
「けれどよ、姫様」
 その彼女に黄金が言う。
「実際に来てるんだよ、これはどう説明するんだ!?」
「それは」
「十億・・・・・・流石にこれは」
「まずいぞ」
 全員血相を変えていた。
「このままでは」
「包囲されます、このままでは!」
「くっ、どうする!?」
「ここで戦えば!」  
 だがそれは杞憂だった。その十億の大軍から通信が入って来た。それは。
「地球の方ですか?」
「何っ、地球の方!?」
「何だこの言葉は」
 まず方という言葉に誰もが耳を疑った。
「敵意はねえのか?」
「まさか」
「我々はガルラ帝国の奴隷でした」
「奴隷!?じゃああんた達が」
「そのガルラ帝国の」
「そうです、その通りです」
 こう言葉を返してきたのだった。
「我々も立ち上がったのです」
「帝国を倒す為に」
「そして自分達の手で新たな国家を築く為」
「ここに来ました」
「そうか」
 隼人はそれを聞いて微笑むのだった。
「これで大丈夫だ。帝国を倒してもな」
「そうだな。皆立ち上がった」
「御前が願った通りにな」
 竜馬と弁慶がまた二人に言ってきたのだった。
「これでもう帝国を倒しても新しい国家ができるな」
「本当の意味で真っ当な国家がな」
「隼人、だったらよ」
 今度は武蔵が言ってきた。
「このまま帝国を」
「そうだ、やるぞ皆」
「おうよ!」
「今こそな!」
 誰もが彼の言葉に応えて頷く。
「帝国の奴等をぶっ潰すぜ!」
「完全にな!」
「覚悟しろ帝国!」
「今こそ我等も!」
 その十億の大軍も帝国軍に殺到する。彼等は今まさに倒されようとしていた。
 五千万の軍勢はロンド=ベルと反乱軍、そして彼等が奴隷として虐げていた者達に次々と倒されていく。そうして遂に。残るはシンクラインと僅かの戦力だけになった。
「殿下、最早」
「残ったのは我が軍だけです!」
「おのれ、下郎共が!」
 シンクラインはまだ諦めていなかった。
「私に歯向かうとは。思い知らせてくれるわ!」
「はい、ですが今は」
「これでは」
「撤退するぞ」
 歯噛みしつつの言葉だった。
「そして然るべき場所で再起を期す。いいな」
「はい、それでは」
「このまま」
 彼等はこのまま落ちようとする。だがそれは適わなかった。無数の大軍が彼等を完全に包囲してしまっていた。逃げることはもうできなかった。
「駄目です、何処にも逃げられません」
「これでは」
「あれだ!あれがシンクライン皇太子の乗艦だ!」
「沈めろ!」
 民衆達が彼の旗艦を見つけて叫ぶ。
「帝国を倒せ!」
「暴君を許すな!」
 彼等が倒そうとしていた。シンクラインはそれを聞いていよいよ怒りの形相になる。しかしここに来たのは。彼が最も憎む相手だった。
「ロンド=ベル。貴様等のせいで私は」
「自業自得だ」
 宗介が彼等に述べた。
「御前のやり方ではいずれはこうなっていたことだ」
「何だと!?」
「大人しく最期を迎えろ。潔くな」
「ほざけ、私は諦めん!」
 まだ叫ぶシンクラインだった。
「生き残りそして宇宙を治め続ける。永遠にな!」
「いえ、それはできません」
 だがここでファーラが彼に告げてきた。
「皇太子シンクライン、貴方はもう終わりなのです」
「ふん、まだ戯言を言うか」
「戯言ではありません」
 ファーラは彼に言い返した。
「それは」
「何を根拠に言っているのだ?それは」
「根拠ですか。それは彼等です」
 周りにいるその十億の大軍を指し示しての言葉だった。
「彼等は立ち上がりました。帝国の圧政を終わらせる為に」
「奴隷達に何ができるか!
 彼はそれも否定した。
「奴隷は奴隷だ。私の犠牲になる為のな!」
「こいつはもうどうしようもねえな」
「わかってたけれどな」
 皆シンクラインの言葉を聞いて呆れた声を出した。
「まあもうそれも聞き納めだな」
「これでな」
「ほざけ!」
 シンクラインはまだ吠えていた。
「私はまだ!諦めんぞ!」
「それならそれでいいさ」
「じゃあよ、このまま終わらせてやるぜ」
 全員彼の旗艦に照準を合わせようとする。しかしそこで彼等が出て来たのだった。
「皆、ここは」
「私達に任せて下さい」
 ゴライオンだった。黄金とファーラが皆に話す。
「こいつは俺達で決着をつけたい」
「ですから」
「ああ、そうだな」
「やっぱりこいつ等の相手はあんた達しかいない」
 皆も彼の言葉に頷くのだった。
「じゃあな。頼むぜ」
「それでな」
「よし、じゃあやるぜ皆!」
「はい!」
 黄金の言葉にまずファーラが答えた。
「これで最後です」
「そうだ。これで決める!」
「わかったよ、黄金兄貴!」
「これでな!」
「終わらせるんだ!」
 錫石に青銅、黒胴も彼の言葉に応える。
「行くぞシンクライン!」
 黄金はゴライオンの剣を抜かせた。
「この十王剣で貴様を今度こそ倒す!」
「おのれ、おのれ!」
 まだシンクラインはあがく。
「撃て!ゴライオンを倒せ!」
「は、はい!」
「迎撃を!」
 次々と砲撃を行う。しかし全く当たらない。そうしてその間にもゴライオンはその剣を両手に構え。そうしてそのうえで真一文字に切り裂いたのだった。
「十王剣稲妻落とし!」
 それで旗艦を一刀両断したのだった。かわすことは不可能だった。
 戦艦は中央から真っ二つになりその中で炎に覆われる。そうしてその中で。シンクラインは炎に包まれ。シンクラインも最期を遂げようとしていた。
「馬鹿な、馬鹿な!」
 彼はその炎に包まれる艦橋でまだ喚いていた。
「この私が、何故だーーーーーーーっ!」
 これが最期の言葉だった。彼は死んだ。炎の中に包まれこれでガルラ帝国もまた完全に崩壊し消滅したのであった。遂にであった。
「終わったな」
「ああ」
「これでな」
 誰もがその爆発を見て言い合う。
「ガルラ帝国は崩壊した」
「その通りだ」
「これで。やっとな」
 皆それぞれ言う。
「それでだ」
「ローザ」
 マリンが彼女に応えた。
「我々は新たな国家を築く」
「新たなか」
「そうだ。宇宙連邦と言うべきか」
 そして今度は国家の名前を話すのだった。
「身分なぞない。新しい国家をだ」
「そうか。共和制としてだな」
「その通りだ。これからが大変だろうがな」
「そうだな。しかしな」
 隼人が笑みを浮かべて彼に言ってきた。
「これだけの数が立ち上がったんだ。大丈夫だ」
「新しい国家を築けるというのだな」
「ああ、いける」
 微笑んでローザに述べる隼人だった。
「安心しろ。いける」
「そうか。それなら我々は」
「期待しているぞ、ローザ」
 マリンは微笑んで彼に告げた。
「これからのことをな」
「ああ、それではな」
 これで彼らも新たな国家の建設の為に旅立った。後には何ロンド=ベルだけが残った。
「よし、これで終わりだな」
「そうだな」
「じゃあ土星にいる必要もないな」
 また皆で話すのだった。
「それでは諸君」
 大河もまたここで皆で話す。
「これから地球に戻る」
「はい、これで」
「やっとですね」
「長い戦いだった」
 黄金もまた言うのだった。
「しかしそれもこれで終わりだな」
「いえ、まだ終わりじゃないわ」
 しかしここでシルヴィアが言うのだった。
「まだ天使達がいるわ」
「それにゼラバイアもいる」
 サンドマンも言葉を出してきた。
「まだ戦いは残っているのだ」
「後は地球での戦いか」
 グラハムは彼等の話を聞いて述べた。
「まずはそこまで戻ることだな」
「思えば遠くへ来たもんだぜ」
 甲児も言う。
「土星までなんてよ。何処まで来たってんだよ」
「何言ってるのよ、甲児君」
 しかしその彼にさやかが言ってきた。
「宇宙怪獣との戦いじゃ雷王星まで行ったでしょ」
「ああ、そういやそうだったな」
 言われてそのことを思い出す甲児だった。
「随分昔だったよな」
「そんなに昔かしら」
「大昔のような気がするぜ」
 またさやかに対して言った。
「もうよ。それこそよ」
「言われてみればそうだけれど」 
 さやかもそれに頷くのだった。
「もうね。大昔よね」
「だろ?本当に昔じゃねえかよ」
 甲児はまた言った。
「けれどまあ。それでもだよ」
「それでも。何?」
「本当に地球に戻れるんだよな」
 そのことをしつこいまでに噛み締めていた。
「やっぱりよ、嬉しいよな」
「そうだな、確かにな」
「甲児君の言う通りだ」
 鉄也と大介も彼の言葉に頷いた。
「違う世界とはいえやはり地球だからな」
「今では僕にとっても故郷だ」
「そうね。故郷に戻るんだから」
「家に帰るのと同じなのね」
 ジュンとひかるも言うのだった。
「だから懐かしいのね」
「それで嬉しいのね」
「じゃあさ、皆」
 マリアも言うのだった。
「地球に戻りましょう、いいわね」
「じゃあよ」
「皆さ、戦いが一つ終わったんだし」
「いいか」
 オルガ、クロト、シャニが言ってきた。
「食おうぜ、飲もうぜ」
「早速ね」
「楽しむ」
 もう早速何かを出してきていた。それはこれまたラグクラフトの小説に出て来るような得体の知れない実に不気味な物体であった。
「何、あれ」
「さあ」
「何だろうな」
 皆その物体を見て眉を顰めさせた。
「食べ物には見えないし」
「生き物!?それじゃあ」
「その割りには何か違うような」
 つまり誰もわからないのだった。その奇怪なものが何かは。
 何なのか全くわからないまま見る。そうしてそのままいぶかしんでいるとだった。ここでミナキが出て来てその皆に言うのであった。
「あれは私のよ」
「えっ!?」
「じゃあまさか」
「ええ。私が作ったオムレツだけれど」
 オムレツだというのである。
「あれは。オムレツよ」
「オムレツ!?」
「あれが!?」
 皆オムレツと聞いても信じなかった。
「あれがねえ」
「嘘だよなあ」
「なあ」
 誰も信じようとはしないのだった。
「あれがかよ、マジで」
「オムレツだなんて」
「嘘じゃないの!?」
 やはり皆誰も信じないのだった。
「動いてるよな」
「ええ」
「今ピクリって」
「こんな美味そうなのねえぜ」
「活きがいいよね」
「食いがいがある」
 しかし三人はこう言うのだった。
「じゃあよ。早速な」
「皆で食べようよ」
「クスハのジュースもある」
 おまけにそれもあるのだった。
「この奇麗な緑色いいよな」
「そうだよね。如何にも身体によさそうだし」
「早く飲みたい」
「まあな。味覚はな」
 ロウがその彼等の横で話す。
「人それぞれだからな」
「だよなあ。だからな」
「それはいいか」
 とりあえず三人で食べるにはいいとする一同だった。
 そうしてそのうえで。また彼等は言い合うのだった。
「あれだけは食べないけれど」
「クスハのジュースもちょっと」
 二人には聞こえないように言う。
「まあ今はともかく」
「戦いは終わったし」
「それじゃあ」
「そう言うと思って用意しておいた」
 一太郎が皆に言っておいたのだった。
「神ファミリー女性陣が皆で作った御馳走があるぞ」
「おっ、流石は神ファミリー」
「じゃあ皆で早速」
 食べるというのだった。
「飲んで食べて」
「地球に戻るか」
「そうだな」
「地球か」
 黄金の言葉は懐かしむようなものになった。
「そうだな。俺達はやっと地球に戻るんだな」
「あれっ、黄金よ」
「妙なこと言うじゃねえか」
 皆今の彼の言葉を聞いて怪訝な顔になった。
「もう戻って結構経つのに」
「どうしてそんなこと言うの?」
「何でかな」
 黄金の言葉はまだ懐かしむものだった。
「それは。俺にもわからないな」
「そうなの。わからないの」
「ああ、少しな」
 こう言うのだった。
「わからないな。ちょっとな」
「だが地球に戻れるんだな」
 一矢がそんな彼に言った言葉はこれだった。
「御前達もな。これでな」
「ああ、そうだ」
 黄金は今度は明るい声で答えることができた。
「これでな。戻れるんだ」
「そうだな。とにかく完全に戻れるんだ」
「地球へ」
「最早銀河に敵はいないか」
 ハマーンは喜ぶ一同の中で呟いた。
「有り難いことだ・・・・・・むっ!?」
 しかしであった。ここでまた彼女は何かを感じ取った。
「!?これは」
「どうしたの、ハマーン」
 鋭い顔になった彼女にミネバが問うてきた。
「急に険しい顔になったけれど」
「いえ」
 一旦ミネバに対して否定で返した。
「何でもありません」
「そうなの?」
「ただ。イノベイター達ですが」
「イノベイターっていうとあの?」
「はい、地球にいながら帝国に与したあの者達です」
 ハマーンも知っているのはこの程度でしかなかった。
「あの者達ですが」
「そうね。姿を消したけれど」
「あのまま終わるとは思えません」
 ハマーンは幼い主にこう述べるのだった。
「また。必ず」
「戦うことになるというのね」
「そう思っておくべきです」
 ミネバにまた告げた。
「あの者達とて目的がありますから」
「そうね。それがよからぬ目的であっても」
「はい」
「あるのならまた動いてくるわね」
「そう思います」
 このことをミネバに話すのだった。
「私もまた」
「わかったわ。じゃあ今後は」
「彼等の存在も頭の中に入れておくべきです」
「そういうことね」
「それではミネバ様」
 話が終わったところでイリアが彼女に声をかけてきた。
「そろそろお休みの時間です」
「あらっ、もうなの?」
「はい、戦いは終わりましたし」
「後は我等にお任せを」
「どうかお休み下さい」
 イリアに続いてランスとニーも言ってきたのだった。
「既に食事も用意しております」
「ですから」
「そう。それなら」
「ハマーン様」
 イリアはハマーンにも声をかけてきたのだった。
「ハマーン様の食事も用意してありますので」
「済まないな」
 そのイリアに対して礼を述べるハマーンだった。
「それではだ。私もまた」
「はい、お休み下さい」
「ゆうるりと」
 ランスとニーはハマーンにも声をかけた。
「それでは後は我等が」
「艦橋にいますので」
「ええ。じゃあハマーン」
「はい」
 ハマーンはミネバの言葉に応えた。
「一緒に食べましょう」
「私と一緒にですね」
「そうよ。最近そんな機会があまりなかったから」
 少し寂しそうにハマーンに述べた言葉だった。
「だからね。二人でね」
「私で宜しければ」
「ハマーン、暫くは二人でいられるわよね」
 まるでハマーンに甘えるような言葉だった。
「地球に着くまではずっと」
「警戒は必要ですが」
 ハマーンもまたミネバのその言葉に応える。
「それまで。戦闘がなければ」
「わかったわ。それじゃあ」
 ミネバはハマーンの今の返事に機嫌をよくしてさらに言うのだった。
「明日は御願いがあるのだけれど」
「御願いとは?」
「またお菓子作って」
 こうハマーンに言ってきた。
「お菓子をね。いいかしら」
「ミネバ様の御願いとあらば」
 こう言ってまた微笑むハマーンだった。
「喜んで」
「パンケーキがいいわ」
 ミネバはハマーンのその言葉に機嫌をさらによくさせて言葉を続けてきた。
「ハマーンが作って焼いたパンケーキが」
「そうですね。それではです」
 ハマーンはパンケーキを頼まれてさらに言ってきたのだった。
「パンケーキにフルーツやクリームを乗せてそれで宜しいでしょうか」
「いいわ、それで二人で食べましょう」
 ここでも食べるのは二人なのだった。
「二人でね」
「はい、それでは」
「ハマーン、この戦いが終わっても」
 ミネバの話はさらに飛躍してきた。
「一緒よ」
「一緒とは?」
「ずっと側にいて、ハマーン」
 これがミネバの願いなのだった。
「私にとってはハマーンがお母さんでお姉さんだから」
「私が、ですか」
 ハマーンはミネバに母であり姉であると言われて流石に驚いた顔になった。
「この私が」
「そうじゃない。父様も母様もいなくなった私をずっと育ててくれて」
 実際にそうしてきていた。ハマーンにとってもミネバはかけがえのない存在になっていた。二人の絆はかなり深いものであったのだ。
「だから。ずっとね」
「わかりました、ミネバ様」
 ハマーンはその顔から鋭いものを完全に消してミネバに答えた。
「私はこれからもずっと。ミネバ様のお側に」
「母様として、姉様として」
 また言うミネバだった。
「御願いね。ずっとね」
「はい、では私は」
 ミネバに応えての言葉だった。
「ミネバ様の母として姉として。そして」
「そして?」
「最も忠実な友人として」
 そうでもあるというのだった。
「お側にいましょう」
「ええ。これからもね」
「ずっと二人でいましょう」
 二人は絆を確かめ合っていた。彼女達は一人ではなかったのだ。
 ガルラ帝国との戦いは完全に終わった。ロンド=ベルは地球へと帰る。そしてまたあらたな戦いにその身を投じることになるのだった。


第百三十四話   完


                           2009・6・12 
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