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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第百二十一話 銀河の虎

               第百二十一話 銀河の虎

何とか宇宙に出たロンド=ベル。まず最初の行く先は月であった。
「月には連邦政府の軍事拠点が多くあります」
「それでそれは無事なのかよ」
「はい」
テッサは隼人の問いに答えていた。
「そこに入ります」
「そうか。じゃあ月に行くんだな」
「その通りです。その月ですが」
「ああ。どうしたんだ?」
「かなりの部分を帝国軍に奪われています」
こう言うのだった。
「残念ですが」
「そうだろうな」
しかし竜馬はそれを聞いて頷くのだった。
「地球がこの状況じゃな」
「残念なことですが」
「しかしだ。奪われたのなら奪い返せばいい」
竜馬のここでの言葉はかなり強気だった。
「そうじゃないのか?」
「だよな。簡単な話だな」
弁慶も竜馬の今の言葉に頷く。
「じゃあそうするか。一気にな」
「おうよ、派手にやろうぜ」
武蔵も言ってきた。
「久し振りによ、月で一戦だぜ」
「あちらの世界でも月で戦闘が行われているのですか」
「残念ながらそうだ」
隼人がまたテッサに答えた。
「こっちの世界も色々と大変でな」
「そうですか。本当に同じなのですね」
「そうさ。けれどこっちの世界の戦闘は終わらせたい」
竜馬の声がさらに強いものになった。
「だからだ。行くぞ」
「わかりました。それでは」
こうして彼等は月での一戦も意識するのだった。戦いに向かう彼等であったがその中で。グラハム達があれこれと話をしていた。
「先程の戦いでは乗らなかったがな」
「その余裕もなかったな」
「それが残念だった」
グラハムはビリーの言葉に応えていた。
「しかし。それでもこれだけガンダムがあるのは有り難い」
「そうだな。ソレスタルビーイングのものだが」
「よかったら使って欲しい」
ティエリアが彼等に告げる。
「好きなものをな」
「随分と気前がよくない?」
クロスロードはティエリアの今の言葉を聞いて言った。
「君達の大切なガンダムなんだろう?それなのにそんなに」
「構わない。今僕達はそれぞれのガンダムに乗っている」
「そうだったな。君はセラヴィーだったな」
「そうだ」
ティエリアは今度はビリーの問いに頷いてみせた。
「セラヴィーがある。だからいい」
「むしろね」
アレルヤも話に加わってきた。
「僕達の他の人達に乗って欲しいんだよ」
「またどうしてだ?」
カティも問うてきた。
「君達のガンダムをそこまで気軽に譲れる根拠は何だ?」
「戦力はその方が充実するから」
こう述べるアレルヤだった。
「だからね。それでなんだ」
「戦力の充実か」
「それか」
皆それを聞いて考える顔になった。
「確かにな」
そしてグラハムが言った。
「戦力は少しでも欲しいところだ、今は」
「ガンダムは貴重な戦力だ」
「その性能は」
「その通りだな」
「ああ」
皆で言い合う。そうしてあらためて今格納庫にあるガンダム達を見上げるのだった。
「しかし問題は誰がどれに乗るか」
「それが問題だが」
「さて、どうする?」
こちらの世界の連邦政府の面々はここで顔を見合わせるのだった。
「誰がどのガンダムに乗るか」
「それよね」
「いざ目の前にしてみると何に乗るのか」
「困ったな」
「好きなのに乗ればいいとは言えねえからな」
ロックオンはそれは言えなかった。
「適性ってやつがあるからな」
「そう言う君は遠距離射撃用のガンダムだな」
「ああ」
ビリーの言葉に対して頷く。
「そうさ。まあ俺には確かに合ってるな」
「遠距離射撃か」
ビリーはまずはそれについて考えた。
「それだと」
「私でしょうか」
アレクセイがここで名乗り出てきた。
「支援ですから」
「少なくとももうティエレンでは辛いものがある」
これはもう言うまでもなかった。
「それは最初からだったが。最早限界だ」
「はい、それもありますし」
「よし、では君にはデナメスュだ」
ビリーはアレクセイに対して言う。
「それを頼む。いいな」
「はい、わかりました」
アレクセイは敬礼で彼に応えた。
「それでは」
「これでまず一機決定した」
アレクセイがブルトーネに乗ることになった。
「そしてこれは」
「キュリオスだな」
アレルヤがそのオレンジのガンダムを見て述べた。
「僕がかつて乗っていたガンダムだよ」
「それに乗るのは?」
「俺が行こうか?」
パトリックが陽気な顔で出て来た。
「こういう機動力を重視したマシンって得意だからな」
「じゃあ御願いできるかな」
アレルヤの方から彼に頼んできた。
「キュリオス。頼んだよ」
「ああ、任せときな」
明るく親指を後ろに振りながらの言葉だった。
「きっちりやらせてもらうぜ。楽しくな」
「それで死なないようにな」
能天気な彼にいつも通りカティのきつい言葉が届く。
「死なれたら葬儀が面倒だ」
「大丈夫ですよ、俺は不死身ですから」
こう言われても態度を変えないのが相変わらずだった。
「安心して見ておいて下さいよ」
「ふん、その能天気さが何時か大事になるぞ」
パトリックのその能天気さに苦い顔をしながらもそれでも言うカティだった。
「それで私を困らせないことだ」
「へいへい」
「そしてだ」
ビリーの話はまだ続いていた。
「この重装備のガンダムだが」
「ヴァーチェだな」
ティエリアが声をあげた。
「僕が以前乗っていたガンダムだ」
「これに乗るのは誰だ」
「私が」
今度出て来たのはルイスだった。
「私に任せて」
「ルイス、君が」
「あの女。ガンダムに乗ってるから」
俯き気味にクロスロードに述べるのだった。
「だったら。私もガンダムに」
「それは駄目だ」
ここでビリーが彼女を止めてきた。
「ガンダムは個人的復讐に使うものじゃない」
「けれど。私は」
「ガンダムは平和を守る為に使うものだ」
彼は言うのだった。
「君はその為に使えるか?」
「その為に」
「そうだ。それならいい」
こう言うのだった。
「君のことはわかっているがな」
「わかりました」
ルイスもここで遂に頷くのだった。
「私も。平和の為にこのガンダムを」
「頼むぞ」
しかしビリーは答えはしてもわかってもいたのだった。
「是非な」
「はい」
わかっていることはあえて言わなかった。やはり彼女のことがわかっていたからだ。そしてそのうえでヴァーチャに乗り込むことになったのだった。
「次は」
「ブルトーネだな」
刹那の声だった。
「俺が以前乗っていたガンダムだ」
「それに乗るのは誰だ?」
「このガンダムは見たところ」
クロスロードが言ってきた。
「バランすが取れている分だけ扱うのが難しそうだけれど」
「難しいのは確かだ」
刹那もそれは言う。
「間違いない。扱うのは厄介だ」
「そうだよね。それに乗るっていったら」
「誰かだな」
刹那はまた言ってきた。
「俺の後に乗るのは」
「難しいのか」
カティはそこに反応を見せた。
「なら。乗れるのはだ」
「グラハムか」
ビリーはまず彼を見た。
「若しくはだ」
「私・・・・・・」
「そうだ、君だ」
ソーマを見ての言葉であった。
「そうだな。ここは君に頼めるか」
「私にですか」
「実はグラハムには彼専用のモビルスーツを開発していてね」
今それがここでわかったのだった。
「彼にはそれに乗ってもらいたいから」
「では私はこのブルトーネにですね」
「そうだ。頼めるか」
「はい」
ソーマもまた敬礼で応えるのだった。
「それでは。わかりました」
「有り難う。では四機これで決まりだ」
「それではです」
「後の三機のガンダムは」
「俺達ってわけだな」
残っていたハワード、ダリル、ジョシュアの三人が言ってきた。
「この三機のガンダムにそれぞれ」
「搭乗せよと」
「それでいいんだな」
「その通りだ」
カティもすぐに三人の問いに頷いてみせた。
「諸君等はこの三機だ。それでいいな」
「はっ」
「わかりました」
「じゃあそれでいいぜ」
三人は敬礼で応えた。そこでビリーが早速決めるのだった。
「それでは。それぞれだけれど」
「どのガンダムに乗れば」
「そうだな」
ここでカティが三人に対して言うのだった。
「ここはだ。まずジョシュア中尉」
「はい」
「貴官はアストレイアだ」
カティはジョシュアにはアストレイアを薦めた。
「ハワード少尉はサザルスード、ダリル少尉はアブルホールだ」
「わかりました」
「それでは」
これで三人の乗る機体も決まった。ガンダムは全て決定したのだった。
残るはグラハムだった。ここでビリーが彼に対して言ってきた。
「君にはマスラオだ」
「それが私の機体か」
「そうだ。接近戦に特化している」
それが彼のマシンだった。
「それに乗ってもらいたい」
「わかった。それではだ」
グラハムもそれで頷くのだった。
「それに乗らせてもらう」
「君の為に開発してもらったマシンだ」
ビリーは微笑んでグラハムに告げた。
「是非頼むぞ」
「これで私達は帝国軍を倒す」
「そうだ。まずは帝国だ」
ビリーは強い声で述べた。
「彼等を倒すぞ。いいな」
「貴官にしては随分と感情的になっているな」
カティはそうしたビリーの言葉を聞いて言うのだった。
「それだけ重要な戦いだとわかっているのだな」
「うん。ガルラ帝国には多くの人が殺されている」
軍人だけでなく一般市民もなのだ。
「その仇は取らせてもらう」
「そうか。ではまずはだ」
話がまた動いた。
「行くぞ。月にな」
「はい」
「それでは」
皆それに従い月に向かう。しかしその途中でであった。
「レーダーに反応です」
ミレイナが報告してきた。
「敵が来ます」
「来ることは予想していたけれどね」
スメラギはミレイナのその言葉を聞いてすぐに述べた。
「やっぱり来たわね」
「それでどうしますか?」
ミレイナは顔を見上げてスメラギに問うた。
「やっぱり戦いますか?」
「勿論よ」
スメラギの返答はもう決まっていた。
「総員戦闘配置」
「わかりました」
まずはこれであった。
「それで全機スタンバイね」
「それで敵はどれだけなんだい?」
ラッセがミレイナに問うてきた。
「何機だ?」
「十万機程です」
「今回はそれ程多くはないわね」
スメラギはそれを聞いて口に手を当てて考える顔になった。
「彼等にしてはね」
「そうですね。ただの遭遇戦でしょうか」
「そうかもね。じゃあすぐに迎撃用意ね」
「わかりました。じゃあ全機発進ですね」
「ええ。それじゃあ」
スメラギはそれを受けてすぐに発進命令を出す。そうして全機出撃する。そこにすぐに帝国の軍勢が出て来た。しかしどうにも様子がおかしかった。
「!?何だあいつ等」
剣人は彼等を見て目を顰めさせた。
「何かよ、俺達に向いていねえぞ」
「そうだな」
弾児も彼の言葉に頷く。
「妙だな。こちらには仕掛けて来ないのか?」
「っていうかあれ誰だ?」
ここで剣人は一機のマシンに気付いた。
「あの虎と人合わせたみたいなマシンよ」
「あれか」
弾児もそのマシンに気付いた。
「あのマシンは・・・・・・ガルラ帝国のマシンか?」
「そうじゃねえのか?」
剣人は一旦そう考えた。
「やっぱりよ。だとしたら」
「いや、待て」
しかしここでカティが言った。
「あれはガルラ帝国のマシンではないな」
「おばさん、そんなことわかるのかよ」
「私はおばさんではない」
すぐに言い返すカティだった。
「カティ=マネキンだ。それでだ」
「流石に強いわね」
「そうね」
ミリアリアとメイリンがそれを見てそれぞれ言い合う。艦の通信を通してだ。
「おばさんって言われてもあの程度って」
「もう何気なくって」
「いいか?」
カティはそのまま言葉を出してきた。
「帝国軍の動きを見るのだ」
「帝国軍の!?」
「そうだ。その動きは我々には向けられてはいない」
まずそこを指摘するのだった。
「それよりもあのマシンを向いている」
「そういえばそうね」
「確かにね」
ミリアリアとメイリンは今のカティの言葉に頷き合う。
「ってことはやっぱり」
「あのマシンを追っているの?」
「そうだ。追撃だ」
カティは言った。
「あのマシンを追っている」
「じゃあどうするんだよ」
剣人はそれを聞いてまたカティに問うた。
「ここはよ。帝国軍をぶっ潰すのか?」
「そうだ」
カティはまた剣人に対して答えた。
「どちらにしろ帝国軍は倒す」
「それは必ずだ」
「敵は倒せるうちに倒しておく」
厳しい声で述べた。
「だからだ。攻撃を仕掛けるぞ」
「わかったぜ。それじゃあよ」
「今から攻撃に移る」
弾児も言った。
「派手にやるか、今回もな」
「そうだ。全軍攻撃を開始せよ」
カティが指示を出した。そうして帝国軍に対して向かう。帝国軍にとってはこれは思いも寄らぬことであり忽ち混乱状態に陥った。
「くっ、ここでロンド=ベルだと!?」
「ここでか!」
彼等はそれを見て思わず言うのだった。
「よりによってこの時にか」
「銀河の虎をようやく捉えたというのに」
「どうする!?」
その中でカブトが同僚達に対して問う。
「ここは。あくまで虎を追うか」
「それともロンド=ベルと闘うかか」
「そうだ」
プロザウルスに対して述べた。
「どうするのだ?ここは」
「ふん、それはもう決まっておるわ」
ボイザーが言ってきた。
「ここはロンド=ベルを倒すだけだ」
「いや、それは駄目だ」
しかし彼にすぐにミズカが反論してきた。
「我々の任務はあくまで虎を追い詰め倒すことだ。だからそれは駄目だ」
「ふん、そんなことを言っている場合か」
しかしボイザーはミズカの今の言葉をつっぱねた。
「敵が前に来ているのだぞ。それで戦わずしてどうする」
「それはわかっている」
ミズキもそれはわかっていた。
「しかしだ。我等の任務は」
「クロッペン様」
カブトは争う二人を見てクロッペンに対して問うのだった。
「ここはどうされますか?」
「そうだな。ここはだ」
「はい」
「一部の兵を虎に向け主力でロンド=ベルに対する」
こう決断を下したのだった。
「虎には千機も送ればいい」
「千機ですね」
「足の速い者を千機向かわせよ」
すぐにこう言うのだった。
「いいな。そして主力でロンド=ベルに向かうぞ」
「わかりました。それでは」
「そのように」
彼等は早速ロンド=ベルに向かう。すぐに両軍は衝突し激しい戦闘に突入した。帝国軍はまずは数で彼等を圧倒しようと包囲を仕掛けてきた。
「来たぜ!」
「囲んできたかよ!」
ロンド=ベルの面々は左右に拡がってきた彼等を見て言う。
「ならよ、ここは!」
「こうするだけだ!」
それを見た彼等はすぐに正面に突進を仕掛けた。そのうえで一点突破を計るのだった。
「何っ、速い!?」
「しかもそれだけではないぞ!」
プロザウルスとボイザーがそれを見て驚きの声をあげた。
「強い、我等のマシンが次々と倒されていく」
「この強さは」
「邪魔だっ!」
シーブックがF91のヴェスパーを放った。それで敵を小隊単位で吹き飛ばす。
「囲まれるのは苦手だが正面の敵が相手なら」
「どうということはないですよね!」
トビアもその手の剣を煌かせ敵を次々と倒していく。
「これで。まず突破して」
「次だ!」
ここでまた敵を倒すシーブックだった。
ロンド=ベルは正面突破に成功した。そして軍を反転させ今度は後方から帝国軍に襲い掛かる。包囲せんとした途中で動きを止めている敵軍を。
「HAHAHAHAHA、シュート!」
ジャックが高笑いと共にリボルバーを乱射する。
「ユー達の動き、ベリースローリーね!」
「御前等の動き!」
凱はブロウクンナックルを放っていた。
「既に見切った!」
そしてその拳で敵を撃ち抜く。戦いは完全にロンド=ベルのものになろうとしていた。
十万近い敵軍は瞬く間に壊乱状態に陥った。クロッペンはそれを見て唸るより他なかった。
「ぬうう、相変わらず何という強さだ」
「クロッペン様、虎が!」
ここでミズカがクロッペンに対して言ってきた。
「虎が」
「虎がどうした?」
「我々が送った千機を倒してしまいました!」
「何だとっ!?」
クロッペンはそれを聞いてまた驚きの声をあげた。
「一千機を僅か一機でか」
「はい」
狼狽した声で答えるミズカだった。
「あれだけのマシンを。瞬く間に」
「何ということだ」
クロッペンはまたしても唖然となった。
「一千機をか」
「閣下、そしてです」
今度はプロザウルスが彼に述べてきた。
「我が軍も。最早」
「戦力が半分以下に陥っております」
カブトも言う。
「このままでは」
「くっ、やはり十万では数が少ないというのか」
クロッペンは歯噛みしつつ忌々しげに呟いた。
「あの者達を相手にするのは」
「そして虎もです」
ミズガがまた言ってきた。
「やはり。この程度の数では」
「止むを得んか」
クロッペンはここまでの話で決断を下したのだった。
「ここは撤退だ」
「では虎は」
「後でまた追う」
こう部下達に対して答えた。
「しかしここは撤退だ」
「それでは」
ボイダーが名乗り出てきた。
「私が後詰を」
「頼むぞ。それではな」
「はっ、お任せ下さい」
こうして帝国軍はここはあっさりと退くのだった。彼等はこれで終わった。しかしロンド=ベルの話はこれで終わりというわけではなかった。
「それでだ」
「あのマシンだよな」
皆その虎を見て言うのだった。
「一応敵じゃないみたいだけれどな」
「さてな。それはどうかな」
剣人の言葉に弾児が言ってきた。
「罠かも知れないぜ」
「おい、それは考え過ぎじゃないのか?」
「いや」
こう言われてもまだ懐疑の念を解かない弾児だった。
「考えてみろ。ガルラ帝国だぞ」
「ああ」
「どんな卑劣な真似してくるかわかったものじゃないんだぞ」
彼の根拠はここにあった。
「それで今回罠じゃないってはっきり言えるのか?」
「しかしだ」
今度は竜馬が言ってきた。
「あのマシンは追われていた」
「それ自体が罠かもな」
だが隼人も言ってきた。
「芝居の可能性もあるぜ」
「芝居かよ」
「そうだ。それ位はやる奴等だ」
今度は弁慶に対して言う隼人だった。
「その可能性もな」
「じゃあどうするんだよ」
武蔵はどうするかということを気にしていた。
「敵にしろ味方にしろ。どうするんだよ」
「そうだな。ここはだ」
「ああ」
「とりあえず話をしてみることだ」
彼の考えはまずは会話だった。
「それで少しでもおかしなところがあればだ」
「倒すのか」
「それだ」
かなり単刀直入ではあった。
「その場合は倒す。それだけだ」
「そうか。敵ならか」
「じゃあよ。早速やろうぜ」
勝平はそれに乗ってきた。
「話し掛けてよ。若しおかしなところがあったらよ」
「おい待て勝平」
「あんたは駄目よ」
彼は宇宙太と恵子に止められてしまった。
「御前みたいな馬鹿が言ったらまとまる話もまとまらないだろ」
「だから他の人によ」
「ちぇっ、何だよ」
二人に言われて引っ込むしかない勝平だった。
「俺ってそこまで信用ねえのかよ」
「まあ待て勝平」
今度は兄に言われた。
「ここは落ち着くことだ」
「兄ちゃんまで言うのかよ」
「そうだ。ここは年配者に任せろ」
父まで言う。
「わかったな」
「わかったから誰がやるんだよ」
「わしが行くか」
祖父が名乗り出てきた。
「ここはな」
「そうですね。兵左衛門さんなら」
「大丈夫ですね」
皆もそれで頷くのだった。とりあえず彼で決まろうとしていた。しかしここで」
「待って下さい」
ファーラが声をあげてきた。
「あれは確か」
「あれっ、姫さん」
「若しかして見覚えあるの?あのマシンに」
「はい。若しかしてあれは」
そのマシンを見て言うのだった。
「ガスコンでは」
「ガスコン!?」
「誰ですか、それ」
「たった一人でガルラ帝国と戦っている銀河の虎」
ファーラはその存在を皆に告げた。
「それではないでしょうか」
「銀河の虎」
「そんなのがいるのか」
「私も噂に聞いただけです」
ファーラはこうも言いはした。
「ですが。あれは」
「そうですか。噂に聞いただけですか」
「けれど銀河の虎って」
「俺に何か用か」
ここでそのマシンから声が返ってきた。
「さっきから色々と言っているが」
「あれっ、聞こえてた?」
「まさか」
「そのまさかだ」
また彼が言ってきた。
「如何にも俺はガスコンだ」
「やはり」
ファーラは彼の返答を聞いて頷いた。
「貴方がガスコンですか」
「そうだ。確かに銀河の虎と呼ばれている」
そのことも認めるのだった。
「そして帝国とも戦っている」
「それじゃあ敵じゃない?」
「俺達と」
「少なくとも帝国軍以外とは戦わない」
このことも確かに言う。
「しかしだ」
「しかし?」
「俺は御前達を知らない」
こう言うのだった。
「御前達をな。だから今は一人で戦わせてもらう」
「おい、それは幾ら何でも無茶だろ」
ジョナサンが彼の言葉を言って述べた。
「一人で帝国と戦うなんてよ。無茶だろ」
「俺はずっと一人でこうやってきた」
「それは確かに凄いけれどね」
カナンもそれは認める。
「けれどよ。一人じゃやっぱり無理よ」
「今はいいです」
「今はな」
カントとナッキィも彼に言ってきた。
「それでも。いずれは」
「やられるぞあんた」
「ではどうしろというんだ?」
「仲間になれ」
ヒギンズはダイレクトに彼に告げた。
「そして一緒に戦おう」
「そうだ。それが一番いい」
シラーもヒギンズの言葉に頷いて言う。
「ここはだ。一緒に戦うべきだ」
「そう思うがどうだ」
クインシィもまた珍しいことに誘ってきた。
「我々とだ」
「無理強いはしないが」
「悪くはないと思う」
ナンガとラッセも無理強いはしないがそういう考えだった。
「共に帝国を倒さないか」
「どうだ」
「悪くはない話だ」
ガスコンもそれは認めた。
「だが」
「何かあるの?」
「俺は御前達をまだ信じていないし御前達もまだ俺を信じてはいない」
こう言うのだった。
「だからだ。仲間にはならない」
「そんな。そんなのすぐにできるじゃない」
ヒメは今のガスコンの言葉にすぐに言い返した。
「同じだよ、同じ人だから」
「なら。どうすればいいんだ?」
勇は具体的に彼に問うた。
「あんたが俺達と一緒に戦うには」
「ここから先に収容所がある」
ガスコンはこんなことを話してきた。
「収容所がな」
「収容所かよ」
黄金はそれを聞いてすぐに顔を顰めさせてきた。
「あいつ等、やっぱりここでも」
「そうだったな。ガルラ帝国は奴隷制国家だ」
「やっぱりここにもありましたね」
「毎度毎度反吐が出る奴等だ」
錫石と黒銅も言う。
「放っておくわけにはいきません」
「ここはどうする?」
「そうだ。御前達はどうする」
ガスコンはここでまた彼等に対して問うてきた。
「御前達ならどうする」
「決まっている」
青銅が答えた。
「助けに行く。奴隷達を」
「そうだ、すぐに行くぞ」
「奴隷にされている人達を解放する」
「そうだ、すぐにだ」
皆青銅に続いた。
「今すぐに行ってだ。収容所を解放するぞ」
「それで場所は何処なんだ?」
「案内する」
ガスコンはまた言ってきた。
「丁度そこに行くつもりだった。一緒に来るか」
「一緒にか」
「勿論俺は敵かも知れない」
自分でも言うのだった。
「その場合は敵の大軍が待っている」
「だろうね」
万丈はそれを聞いて冷静に述べた。
「その場合はね。僕達を一気に倒すつもりだろうね」
「そうなる。それでもいいか」
「僕は乗るよ」
万丈はすぐに答えた。
「是非行かせてもらうよ」
「疑わないのか」
「自分でそんなこと言う人間はいないさ」
こう言うのだった。
「罠とか敵とかはね。後ろめたいものだからね」
「だからか」
「そうさ。それまでは疑っていたけれど今はね」
ないというのだった。
「ないよ。だから行かせてもらうよ」
「そうか」
「よし、俺もだ」
「私も」
「僕も」
皆次々と万丈に続く。
「罠ならまた派手にやらせてもらうさ」
「その時はその時でね」
「腹を括っているようだな」
ガスコンはまた彼等を見て述べた。
「その心意気はわかった。では行くぞ」
「よし、それじゃあ」
「行くか」
ロンド=ベルの面々はすぐに向かおうとする。こうして彼等はガスコンの先導で収容所の解放に向かうのだった。

第百二十一話完

2009・4・18


 
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