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ハイスクールD×D ~ 元聖女の幼なじみはエクソシスト ~

作者:ラドゥ
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第七話『交渉』

 
前書き
連投です。とりあえずアットノベルスに掲載している分はこれで最後になります。 

 
教会でウィル・ガーランドと対峙した俺は戦闘になるのを覚悟していたのだが、ガーランドは予想に反してあっさりと退いた。なんでも今回は自分の後任の俺への挨拶だけだったつもりらしい。

あまりにあっさりと退いたために一瞬戸惑ってしまいそのまま逃がしてしまう失態を犯してしまったほどだ。仕掛けてくると思いこみ警戒しすぎていたのが仇となってしまった。

まあ逃がしてしまったものはしょうがないので、第二席、ヴァン・ヘルシングに教会で起こったことを報告した。罠だったことに対してはその可能性も考えていたのだろうかそれほど驚いていなかったが、ガーランドが現れたことに対しては完全に予想外だったのか、電話越しだが珍しく動揺しているのを感じ取れた。

まあそれも仕方ないと思う。俺はガーランドが教会を去ってからエクソシストになったのであまり詳しくはないが、それでもやつがどれだけの働きをしたのかは耳に入っている。間違いなくはぐれエクソシストの中では最強クラスの力量を持つ男だろう。それほどの男がコカビエルと組んでいる可能性がでてきたのだ。動揺するのも当然だろう。…これは今回は本気をだす必要があるようだな。

まあそんなわけで報告をすませた俺はゼノヴィアたちにもガーランドのことについて報告しようと連絡しようとしたところで、ちょうどよくあちらのほうから連絡がきた。なんでも話したいことがあるので街の中にあるファミリーレストランに来てほしいとのことなのでちょうどいいからガーランドのことは着いてから話そうと思い、二人が待っているというファミレスにやって来たのだが、


なぜグレモリーの眷属たちがここにいる?」
「あははは…」


待ち合わせ場所のファミリーレストランには、なぜかイリナとゼノヴィアだけではなく、俺たちが学園に訪れた時に会った兵藤一誠とグレモリーの眷属悪魔の一人がいた。最後の一人は確かソーナ・シトリーの兵士(ポーン)だったか?グレモリーへの仲介を頼んだときに彼女の側で控えていたのを見ていたので顔は覚えている。
とりあえずゼノヴィアに彼らがここにいる理由を聞いてみると、その責任はイリナにあることが発覚した。

なんでもあの後、彼女たちは食事のできる場所を探して街を散策していたらしいのだが、その途中にあった画廊もどきに出店されていたとある絵画に一目惚れし、ゼノヴィアが止めるまもなく俺の渡した金のほとんどを使いその絵を購入してしまったのだという。

そのせいで昼食を買う金が無くなってしまったのでしょうがなく路上で募金を募っていたところをとょうど俺たちを探していた兵藤一誠たちに出くわし、そのまま彼らにこのファミレスで昼食をご馳走になったという。そしてその対価として彼らが要求してきたのが俺への仲介をしてくれとのことだったらしいのでゼノヴィアは俺にここに来るように連絡してきたらしい。

そのことを聞いて俺は頭を抱える。仮にも悪魔払いが悪魔にご馳走になるっておい…。

とりあえず、


「イリナ。お前減俸な」
「えー!」
「えーじゃねえよ…」

任務の経費でそんな物買うんだから自業自得だ。念のためイリナに渡した金とは別に費用はとってあったからいいが。

イリナに今回の処罰を言い渡した後、俺は先ほどからこちらを窺っていた三人の悪魔たちのほうに視線をむける。

「それで、イリナたちに仲介を頼んでまで俺になんの用事だ?リベンジマッチなら今は忙しいので今回の任務が終わってからにして欲しいんだが?」
「いや、今回はあんたたちに頼みがあって来たんだ」

頼み?

「悪魔である君たちが、教会の人間である俺たちにか?」

俺のその言葉に兵藤は頷き、口を開いた。




「エクスカリバーの破壊に協力したい」









「エクスカリバーの破壊に協力したい」

俺の告白にゼノヴィアとイリナは目を丸くさせて驚いている様子だった。互いに顔を見合わせてもいた。

まあその反応も当たり前だろう。二人には俺たちがこいつらに接触した理由を話していなかったのだから。

最初は彼女たちと接触した時に目的について話しておこうと思ったのだが、ゼノヴィアがそこにまったをかけたのだ。

「私たちのリーダーはシオンだ。つまりこの任務での物事への決定権は彼にある」

そういって彼女が仲介役としてシオンをこの場に呼び寄せてから三人にまとめて目的を話すということになったのだ。

そのシオンはしばし無言で目を瞑った後に口を開いた。

「…まあ、破壊できるのならば一本くらい任せてもいいだろう」
「!?本当か!!」
「まあそちらの正体をバレないようにするという条件つきだがな」

予想外にあっさりと許可がでたので、俺は口をポカンと開けてしまった。

え?いいのかマジで?そんなあっさりと?


「ちょっと、ラザ君いいのそんなこと言って?相手はイッセー君とはいえ悪魔なのよ?」

異を唱えるイリナ。まあ普通はそういう反応だろうな。敵である俺たちに自分たちの特別な武器である聖剣の処遇を一本とはいえ簡単に任せると言ったシオンの方がおかしいんだ。まあそれを頼んだ俺の言えることではないが。

「イリナ。俺には三つの義務がある。最低でも三本のエクスカリバーを破壊することと堕天使幹部コカビエルの討伐。そしてお前ら二人を無事に生還させることだ。彼らが俺たちを手伝ってくれて君たちの生存率が少しでも上がるなら俺は喜んで彼らと手を取りあおう」

…あれ?これって言い換えればゼノヴィアたちを生かすために俺たち利用するっていうことじゃね?

イリナはそんなシオンの言葉に対して憤りを隠せない表情で詰め寄る。

「バカにしないでよラザ君!私たちだって神の使徒の一員なのよ?殉教する覚悟はいつだってできてるわ」
「だが避けられるはずの無意味な殉教は主だって望まないはずだ。それよりも任務を遂行して無事帰ることこそが本当の信仰だと思う。そうしてこれからも主のために戦うことこそが主も喜んでくださるはずだ。違うか?」
「…違わないけど、でも」

シオンの言葉を聞いてもイリナはまだ納得しきれないようで言葉を詰まらせる。

そこに割って入った者がいた。ゼノヴィアだ。

「私もシオンに賛成だな」
「!?ゼノヴィアあなたまで!!」
「私だって死ぬ覚悟はあるさ。だが進んで死にたいとは思ってない。それに我らが隊長は私たちのことを思って彼の提案を呑んだんだ。ならばそれにあまえてもいいのではないかな?」
「でもやっぱり悪魔の力を借りるなんて信徒として…」
「だからこそだよ」

そこでゼノヴィアの視線が俺へと向けられる。

「だからこそ悪魔の力は借りない。代わりにドラゴンの力を借りる。上もドラゴンの力を借りるとは言ってないしね」


ーーーードラゴン。

俺のことだ。俺の左腕に宿る存在ーーーー赤龍帝。

「悪魔になっていたとはいえドラゴンの力は現在と見ているよ。伝説の通りなら魔王並の力にもなれるんだろう?それならエクスカリバーも楽に破壊できる。これも主のお導きと見るべきだね」
「た、確かにドラゴンの力は借りるなと言ってなかったけどそれって思いっきりヘリクツじゃない!やっぱりあなたの信仰は変だわ!」
「変で結構だ。しかし、イリナ。彼はキミの幼なじみだろう?信じてみようじゃないか」

ゼノヴィアの言葉にイリナも黙り、承知の空気を出し、シオンが「決まりだな」と議論を締めくくりこちらを見る。

「こちらの意志は決定した。君たちの提案を受けよう」
「OK。商談成立だ。俺はドラゴンの力を貸す。じゃあ、今回の俺のパートナーを読んでもいいか?」

提案が受け入れられたことに安堵した俺は、さっそくケータイで木場に連絡を入れることにした。









「…話はわかったよ」

兵藤一誠が呼んだ彼のパートナー、『騎士』木場優斗は兵藤の話を聞くと嘆息しながらもコーヒーに口をつけた。

「正直言うとエクスカリバー使いに破壊を承認されるのは遺憾だけどね」
「ずいぶんな言いようだね。そちらが『はぐれ』だったら、問答無用で切り捨てているところだ」

「こらこら落ち着け」

敵同士とはいえ、今は共同作戦前なんだから。

「やはり『聖剣計画』のことで怨みを持っているのね?エクスカリバーとーーーーーー教会に」

イリナのその問いに木場は目を細めながら「当然だよ」と冷たい声音で肯定した。

まあ当然の反応だろうな。いくらあの計画のおかげで聖剣使いの研究が飛躍的に伸びたといっても被害者の彼らからすればそれがどうしたと言いたいところだろう。

「その事件は、私たち協会の人間の間でも最大級に嫌悪されたものだ。処分を決定した当時の責任者は信仰に問答があるとされて異端の烙印を押され、今では堕天使側の住人さ」
「堕天使側に?その者の名は?」
「ーーーーーーバルパー・ガリレイ。『皆殺しの大司教』と呼ばれた男だ」

ゼノヴィアの言葉を聞いて木場の瞳に暗い炎のような光が宿る。あれは昔見たことがある。なにかを決意した者の目だ。

「僕も情報を提供したほうがいいようだね。先日エクスカリバーを持った者に襲撃された。その際、親父を一人殺害していたよ。ーーーーーー相手はフリード・セルゼン。この名に覚えは?」
「フリード・セルゼンだと?」

まだ生きていたのか?

「知ってるのか?」
「ああ。フリード・セルゼン。元ヴァチカン法王庁直属のエクソシストだ。十三機関に入れなかったとはいえ十三歳でエクソシストになった天才だよ」
「悪魔や魔獣を次々と滅していく功績は大きかったわ」
「だが奴はやりすぎた。同朋すらも手にかけたのだからね。フリードには信仰心なんてものは最初から無かった。あったのはバケモノへの敵対意識と殺意。そして異常なまでの戦闘執着。異端にかけられるのも時間の問題だった」

だがやつは戦闘能力の他はただの狂人だ。今頃はどこかの勢力に突っ込んだあげくにつぶされていると思っていたんだが…甘かったか。

「そうか。フリードは奪った聖剣を使って私たちの同朋を手にかけていたか。あの時処理班が始末できなかったツケを払うことになるとはね」

そこで俺はひとつ忘れていたことに思い出す。

「そういえば言うのを忘れていたのだが先ほどこの町のはずれにある教会に中級以上の堕天使たちが集まっていたと情報が入って行ってみたのだが…」
「なんだって!?大丈夫だったのかあんた!」

俺の言葉に驚愕の声を上げる兵藤。まあ確かに下級悪魔の彼からしたら中級以上の敵が集まっている場所に行くのは危険だと判断するのはしょうがないが、それは無用の心配というものだ。そんな状況は仕事で慣れてるし、実際は数こそ多かったがほとんど下級の存在だったしな。

そう言って俺は話を続ける。

「その時に一人逃がしてしまったが尋問した堕天使によるとコカビエルの他にもう一人大物が参加しているらしい」
「大物?誰だそれ?」
「ウィル・ガーランド」
「ウィル・ガーランドだって!?」

俺が告げた名前にまず最初に驚愕の声をあげたのは木場優斗だった。見れば横にいる女悪魔に(確か子猫という名前だったか?)シトリー眷属のポーンも驚いている様子からどうやらやつの名前は悪魔サイドでも有名のようだ。…一人を除いてのようだが。

兵藤が疑問の声をあげる。

「なあ、皆驚いているけどウィル・ガーランドって誰だ?そんなにすごいのか?」

そういえばグレモリ―が彼は悪魔になったばかりだと言っていたっけな。だったら知らなくてもしょうがないか。

「ガーランドは俺の前任。元十三機関のメンバーだ。…はぐれエクソシストとしてはまちがいなく最強クラスの実力を持つ者として見ていいだろう」
「!?まじかよ…。そんなやばいやつが今回の事件に関わってるのか?」
「おそらく間違いないだろうな」

俺は懐からメモ用紙を取り出し、自分の連絡先を書いて渡す。

「やつは剣士ではないから聖剣は使ってこないはずだがそれでも元十三機関のメンバー。並大抵の実力では倒せない。




忠告だ、兵藤一誠。やつに会ったら絶対に戦うな。少なくとも今の君たちでは勝てる相手ではないからな。―――――それが俺の連絡先だ。エクスカリバーかガーランドを見つけたらとりあえずそこに連絡してくれ」
「あ、ああわかった。じゃあ俺たちの方も―――――」

メモを受け取った兵藤が慌てて自身の連絡先を渡してこようとするが、それをイリナが遮る。

「あ、それなら大丈夫。イッセーくんの連絡先はおばさまからいただいているわ」
「な!?マジかよ母さん、勝手なことを!」

そういえばイリナは兵藤と幼なじみだったんだっけな。それなら連絡先の一つも貰っていてもおかしくないか。兵藤自身は知らなかったようだが。

俺は時計を見る。話したいことも話し終えたし、今回はこの辺でいいか。

「それじゃあ、俺たちはそろそろお暇するとしよう。―――いくぞ、二人とも」

俺のその言葉にイリナとゼノヴィアの二人も続けて席を立つ。

「では、そういうことで。食事の礼、いつかするぞ。赤龍帝の兵藤一誠」
「食事ありがとうね、イッセーくん!また奢ってね!悪魔だけど、イッセーくんの奢りならアリだと主も許してくれるはずだわ!ご飯ならOKなのよ!」

こうして俺たちは赤龍帝たち四人の悪魔たちと共同戦線をはることとなった。

さて、どうなることやら。  
 

 
後書き
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