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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第六十八話 放たれた凶獣

                  第六十八話 放たれた凶獣

カイロで英気を養うロンド=ベル。バルトフェルドがやけにはしゃいでいる。
「やっぱり砂漠はいいねえ」
「いいか?」
「さあ」
これに忍も沙羅も懐疑的な顔で応えるだけだった。
「暑いしよ」
「砂埃もあるし」
「そこがいいんじゃないか。砂漠はこうでないと」
「バルトフェルドさんの趣味って変わってるね」
「そうとしか言えないな」
雅人と亮もそうとしか思えなかったのだった。
「砂漠が好きってこと自体が」
「おかしな趣味だ」
「趣味は人それぞれ。ケバブにヨーグルトをかけるのが邪道だっていうのと同じでね」
「確かに。それは間違っている」
アランはそれに同意した。
「ケバブといえばそのまま胡椒をかけてシンプルにだ」
「・・・・・・それも違うんだけれどね。とにかく」
彼の上機嫌が続く。
「久し振りの砂漠だ。楽しくやろうよ」
「楽しく。そうだよな」
光は純粋に彼の言葉に賛成していた。
「折角歴史の街に来ているんだしな」
「光は何処でもそうなのね」
海の声は呆れていたがそれでも微笑んでもいた。
「らしいっていえばらしいけれど」
「そうですわね。ピラミッドだって」
風はもうそれを見ていた。
「奇麗にありますよ」
「あそこの墓から何か取ったらミイラ男が出て来るんだっけ」
アムは何故かこう言い出してきた。
「この前やったゲームではそうだったけれど」
「随分面白そうなゲームやってんだな」
キャオは今のアムの言葉に突っ込みを入れた。
「確かドラゴンがどうとかってゲームだったよな」
「そうよ。やってみたら面白いのよこれが」
「酒を飲みながらな」
レッシィも話に加わる。
「やってると最高にいいな」
「結局酒なのだな」
ギャブレーはこのことに少し呆れてもいた。
「まあ私も同じだが」
「同じか、結局は」
ダバがこのことに連鎖そのもので呆れている。
「皆酒からは離れられないか」
「そういうダバだって最近かなり飲んでない?」
そのダバにリリスが突っ込みを入れる。
「美味しいから?」
「皆と飲むと確かに美味しいな」
ダバもそれは認める。
「それもかなり」
「そうなの、やっぱり」
「ピラミッドねえ」
バルトフェルドはここでそのピラミッドに顔を向けた。
「流石にそんなのはないと思うよ、今はね」
「今は、か」
それを聞いて何か嫌なものを感じる一同だった。
「じゃあやっぱり過去は何かがあったんだ」
「行方不明になった者数知れず」
ミレーヌの言葉に何故か楽しそうに言うのだった。
「墓泥棒の墓場でもあるんだよな、これが」
「やっぱりとんでもないところなのね」
「そうだな」
それにアムとレッシィが呟く。
「入らない方がいいわね」
「下手に入ったら死ぬな」
「いや、流石に今はそういう罠もないけれど」
バルトフェルドの説明は少し必死になっていた。
「まあ大丈夫だよ、何もないさ」
「その通りだ。安心して入ればいい」
アハマドがここでバルトフェルドの言葉を援護してきた。
「何も問題はない。生きて出られるからな」
「生きて出られれば問題はない」
「そうですね」
ティアンとデメクサの言葉はかなりずれていた。
「では参ろう」
「のんびりのんびりと」
「マサキは止めておいた方がいいね」
「ああ、その通りだね」
「何で俺は駄目なんだよ」
シモーヌとベッキーの言葉に抗議めいた突っ込みを入れる。
「俺が何か駄目なのかよ」
「だからあんた方向音痴でしょ」
「ピラミッドの中に入ったらそれこそ一生出られないわよ」
「ちっ、何でこうボロクソに言われないといけねえんだよ」
「自分の胸によく手を当てて考えることニャ」
「全くだニャ」
クロとシロの言葉も容赦がない。
「一体何回道に迷ったか」
「この前だって」
「御前等までそう言うのかよ」
マサキもこうなってはどうしようもなかった。結局彼は言われるがままであった。何はともあれ彼等は観光を楽しんでいる。その中でキョウスケは何かを感じていた。
「妙だな」
「どうしたの、キョウスケ」
その彼にエクセレンが声をかける。彼等も観光を楽しんでいるのだ。
「いきなり妙だなんて。どうしたの?」
「何か感じる」
顔を顰めさせての言葉だった。
「これは一体」
「!?修羅でも来るの?」
「いや、違う」
だが彼は修羅は否定したのだった。
「この感触は。違う」
「違う!?じゃあ何が」
「それはわからない。だが間も無くまた敵が来る」
彼はこう呟く様にして述べた。
「それは間違いない」
「あらら、もうなのん」
何故かそう言われても緊張感のないエクセレンだった。
「早いわよね、何か」
「けれどエクセレンさんって」
ゼオラが呟く。
「こんな時でも緊張感ないのよね」
「そうなんだよな。それが何だかな」
アラドもそれに同意する。
「らしいっていえばらしいけれどな」
「そうだけれどね。けれど」
ゼオラはここでまた言う。
「ナンブ大尉の言葉、気になるわね」
「そうだよな。大尉」
アラドは実際にキョウスケに声をかけてきた。
「何だ?」
「やっぱり来ますか、敵が」
「来る」
これは確信していたのだった。
「間違いなくな。明日もな」
「来ますか」
「そうだ。多分観光は今日で終わりだ」
こうも言った。
「戦いはこのカイロになるだろうな」
「砂漠での戦い!?何か連続ね」
エクセレンはそれが少し嫌そうだった。無理をして作った笑顔になっている。
「足を取られたり砂嵐に巻き込まれたりするからどうもね」
「それが嫌なのか」
「ええ、嫌よ」
今度ははっきり述べたのだった。
「何でバルトフェルドさんあんなにはしゃいでいるのかしら」
「それ、私もわからないです」
「俺も」
ゼオラもアラドもそれはわからないのだった。
「砂漠で戦うのって海中で戦うのと同じで」
「凄い動きにくいから」
「それがあの人にとっては違うのだろうな」
だがキョウスケは三人に対して話した。
「合っているんだ」
「合っているねえ」
「そうだ。合っている合っていないは重要だ」
キョウスケはそこを指摘したのだった。
「戦場についてもな」
「そういえば俺って」
「そうね、アラドは」
ゼオラはアラドの言葉に応えた。
「接近戦や格闘戦が合っているんだよな」
「私は遠距離戦やサポートね」
「そういった相性は重要だ」
キョウスケはまた言う。
「一つ一つ取ってもな」
「ってことはあの虎さんは虎さんなのに砂漠が合ってると」
「そういうことになる。モビルスーツでは特にそうだな」
「あのバクゥね」
もっとも今では全く乗っていない。艦長に専念しているのだった。
「あれは確かに砂漠戦に向いているわねえ」
「そうだ。モビルスーツの設計一つ取ってもな」
「けれどあれですよね」
またゼオラが言ってきた。
「ムウさんはストライクをそのまま使われるみたいですね」
「ああ、換装しないんだ」
アラドがそれに応えた。
「そのまま戦われるんだ」
「空を飛ぶ方が都合がいいんだって」
「まあそうだよな」
それにアラドはすぐに頷いた。
「砂嵐はあるけれどな」
「砂嵐、大丈夫かしら」
「天気予報ではないらしいわ」
「だといいけれどな」
こうは言っても不安なままだった。そしてキョウスケの言葉通り本当に次の日に敵が来た。それはあの三人の子供達であった。
「あの三人か」
「何なんでしょうね」
ラウルとフィオナはその子供達を見て述べる。
「修羅ではないのは間違いないし」
「何はともあれ戦闘だな。いいな」
「ええ、わかったわ」
こうして彼等は戦いに入る。戦いがはじまるとだった。あの三人はまずは動かなかった。
「動かないか」
「どうやら」
見れば後方にいるままだった。
「敵はそのままだしな」
「攻めて来る気配はないか」
通常のマシンを相手の戦闘だった。しかしだった。
「来るぞ」
キョウスケがその中で言った。
「敵がな。来るぞ」
「!?敵っていえば」
「あれじゃない」
ロンド=ベルの面々は目の前の三人の子供達を敵だと思っていた。
「新手だというのか!?」
「まさか」
「いや、そのまさかだ」
だがここでリーが言ってきた。
「出て来るぞ、これは」
「!?この感触」
エクセレンもまたここで何かを感じたのだった。
「気持ちが悪い。この感触は一体」
「何かが来る」
キョウスケもまた言った。
「これは」
その瞬間だった。その敵が姿を現わしたのだった。
「こんにちは」
戦場に姿を現わしたのはアルフィミリィだった。そして。
「あの植物みたいな敵か」
「そうね」
キョウスケとエクセレンがそれぞれ言う。
「ここで出て来るなんて」
「どうしてここに」
「私も戦わないといけませんし」
アルフィミリィはこうキョウスケに応えるのだった。
「ですから」
「言っている意味はわからねえが敵なのはわかるな」
「そうだな」
タスクの言葉にカチーナが頷く。
「それ以外の何者でもないな」
「ですよね。じゃあ」
「構うことはない。総員攻撃」
リーもすぐに指示を出してみせた。
「容赦なく潰せ、いいな」
「言われなくてもわかってらあ!」
「行くぜ一機残らず撃墜だ!」
「何かまた出て来たわね」
ティスはアルフィミリィを見つつ言う。
「ここでまた変なのが。何なのかしら」
「わからないわ。ただ」
「ただ!?」
デスピニスの言葉に顔を向ける。
「これっておかしいわよ。妙だわ」
「妙って言うか何かこの世界は」
ラリアーが言う。
「妙なことが次々に起きている。非常に不安定な世界だ」
「あたし達もいるしね」
ティスはラリアーに応えて述べた。
「おかしいって言えば凄いおかしな世界よ」
「ええ。それでティス」
デスピニスが彼女に問うてきた。
「何?」
「どうしようロンド=ベルとは別の敵が出て来たけれど」
「構うことはないわ」
ティスの返事は一つだった。
「やってやるわよ、このまま」
「そう。それじゃあ」
「あたし達も動くわよ!」
他の二人にあらためて声をかけた。
「いいわね。三つ巴結構!」
「情報収集にもいいね」
ラリアーは冷静にこう判断していた。
「それじゃあこのまま僕達は」
「行くのね」
デスピニスはまだ怯えが見られた。
「やっぱり」
「デスピニス、安心して」
そんな彼女にティスは言う。
「何があってもあたしがいるから」
「ティス・・・・・・」
「安心していいから。いいわね」
「有り難う。それじゃあ」
「行きましょう」
こうして三機も前線に出て来た。彼等の相手はラウルとフィオナ、それにコウタが相手をしていた。三対三での勝負がはじまろうとしていた。
「おいラウル!」
コウタが彼に声をかける。
「何だ?」
「こいつ等に何か心当たりはあるか?」
「いや」
だがラウルはその問いには首を横に振るのだった。
「前から妙に気になっているんだけれどな」
「そうか」
「じゃあフィオナさんもですよね」
「ええ、そうよ」
フィオナはショウコのその問いに対して答えた。
「やっぱり知らないわ。けれど」
「けれど?」
「何か引っ掛かるのは確かね」
彼女もまたそれを感じているのだった。
「あの三人。修羅よりもずっと」
「修羅か。こいつ等と組んでいる」
「お喋りは嫌いよ!」
だがここでティスからの攻撃が来た。
「あまり余計なこと言っていて余所見していたら死ぬわよ!」
「ちっ、来たか!」
「死になさい!」
ラウルは何とかティスの攻撃をかわす。三機と三機の勝負に入っていた。
そしてキョウスケとアルフィミリィが激突している。エクセレンがそのサポートを務めている。
「キョウスケ、何か見える?」
「この動きは」
キョウスケはアルフィミリィのその動きを見て応えた。
「似ている、確かに」
「似ている!?」
「そうだ、御前にだ」
そしてこう言うのだった。
「この動きは。何なのだ」
「私に似ているなんて何か嬉しいわねん」
エクセレンはそれを聞いて機嫌をよくさせた。
「人気者の証拠よん」
「そうなるのか?」
「なるじゃない。前から何か私に似ているって思っていたけれど」
「似ているか」
「そう思わない?何か」
「そういえばな」
それにキョウスケも多少頷くところがあった。
「似ていないわけではないな」
「ら、あまり賛成していなさそうじゃない」
「断言はできない」
彼は言うのだった。
「まだな」
「そうなのん」
「しかし。似ているとならばだ」
キョウスケの目が光る。
「何かあるのか。そうだとすると」
「また謎が謎を呼びってことなのね」
軽口を叩きながらだったが二人もまた戦っている。三つ巴の戦いは激しさを増すばかりだった。
その中でフィオナはデスピニスと戦っていた。フィオナの攻撃が彼女を襲う。
「きゃっ・・・・・・」
「きゃっ!?」
今のデスピニスの戦場に似つかわしくない言葉に眉を顰めさせた。
「何、今のは」
「そいつは何か戦闘向きじゃねえみたいだな」
「いえ、そうも言えないわ」
コウタのその言葉は否定するのだった。
「戦い方を見ればそれはとても」
「言えねえってのか?」
「ええ。素早いし」
まずはそれを見ていた。
「それにこれは受けたらやばいわよ」
「そうか。じゃあ」
「ただ。これは」
「!?どうした?」
「姿は子供だけれど」
フィオナは言うのだった。
「この動きは。何か」
「子供の動きじゃねえっているのかよ」
「かといって大人でもないわね」
今度はラウルに対して述べた。
「そう思わない?ラウル」
「言われてみればな」
自分から攻撃をかけそれがかわされたのを見てラウルも気付くのだった。
「これはな。普通の動きじゃない」
「やっぱりこれって」
この中でショウコが言ってきた。
「どうした?ショウコ」
「何処か人形めいてるわ」
ショウコはこう兄に応えるのだった。
「そう思わない?お兄ちゃん」
「言われてみればな」
言われて見てみればその通りだった。やはり敵の動きは何処かマリオネットめいている。それを感じつつ攻撃を仕掛けるがやはりそうであった。
「今の動き、見たな」
ラリアーの動きを見るように声をかけていた。
「今の。間違いないか?」
「間違いないわ。やっぱり」
ショウコは兄の言葉に対して答えた。
「この動きは」
「そうか、じゃあこの連中は」
「人形ね」
今度は断言だった。
「この動きは」
「人形か。こいつ等」
「僕達の動きを見ているようだね」
ラリアーの方から二人に対して声をかけてきた。
「何を見るんだ、そこから」
「別にな。ただな」
コウタの目が光る。
「御前等、何者だ!?」
「何者か」
「そうだ、名前でも言え」
「名前位ならいいわよ」
ラウルと戦っているティスが応えてきた。
「好きなだけ言ってあげるわ」
「また随分と生意気な言い方だな」
「五月蝿いわね、言ってやるって言ってるのよ」
ティスの口調は変わらない。変えるつもりがないのがわかる。
「それでいいのなら聞く?どうなの?」
「じゃあ何なんだよ」
それもいいからとティスに応えるコウタだった。
「早く言え。御前等の名前は何ていうんだよ」
「デュミナスよ」
「デュミナス!?」
「そう、私はティス」
自分達も名乗ってきた。
「デスピニスです」
「僕はラリアー」
「ティス、デスピニス、ラリアー」
ラウルはこの名を心の中でも口でも反芻した。
「それが御前等の名前なんだな」
「まあ名前位はね、言っておかないとね」
「宜しければ覚えておいて下さい」
「構わない。この程度は」
「それにしてもこの連中」
「ええ、何か」
ショウコはコウタの言葉に対して応えて言った。
「何もかもが決まったみたいに話すな」
「まるでお人形みたいに」
「お人形!?」
ティスは今の二人の会話に眉を顰めさせてきた。そうして言うのだった。
「それは聞き捨てならないけれど」
「しかしよ、実際に」
「ええ」
それでも二人は言う。
「御前等、一体何者だ!?」
「ただの人!?」
「へっ!?何言ってるのよ」
この言葉に対する返答はこうだった。
「あたし達は人よ。それ以外の何者でもないわ」
「そう。デュミナス様の為に動く」
「人なんだ。それ以外の何者でもない」
「いや、あれは」
だがゼンガーは彼等を見て。あることに気付いたのだった。
「人ではない」
「そうだな」
そしてそれにレーツェルが頷くのだった。
「イミテーションだ」
「うむ。人ではあるがな」
「何言ってるかわからないんだけれど」
「私達は本当に人間です」
「僕達が言っているから間違いない」
しかし彼等はこう主張するのだった。だがその言葉も何かがおかしかった。少なくともゼンガーはそう見抜いていたのである。
「御前達はわかっておらん」
「わかっていないってどういうことよ」
「私達はちゃんとわかっています」
「貴方はどうしてそんなことを」
「わかる時が来るだろう。だが」
ゼンガーは彼等にさらに言うのだった。
「その時には手遅れかも知れぬ。それを覚悟しておけ」
「何が何だかわからないけれどあたし気分が悪くなったわ」
ティスはこう言って不機嫌な顔を見せるのだった。
「何なのよ、一体」
「そういえばもうこちらの戦力は」
「うん、なくなっている」
デスピニスとラリアーはそのことに気付いていた。
「潮時だね」
「撤退しろってことね」
「そう。もう時期だ」
ラリアーはティスに対して述べた。
「僕はそう思う。どうかな」
「そうね」
ティスは少し考えたが彼の言葉に頷いたのだった。
「癪に障るけれどね。その通りよ」
「じゃあここは」
「うん」
ラリアーは今度はデスピニスの言葉に頷いた。
「撤退だ。いいね」
「わかったわ」
「それじゃあ」
ティスとデスピニスがそれに頷く。これで決まりだった。
デュミナス達は戦線を離脱した。瞬く間に姿を消していく。ラウル達はそれを見送りつつ怪訝な顔になり呟くのだった。
「デュミナス」
「やっぱり修羅とは違っていたわね」
「ああ」
ラウルは妹の言葉に対して頷いた。
「予想していたがな」
「それにしても。目的がまだわからないね」
「目的か」
「今後はそれもわからないと。何かこんなことばかりだけれど」
「なぞばかり増えてきやがるな」
今度のラウルの言葉は忌々しげなものであった。
「ったくよお、何が何なんだよ」
「焦ってるの?ラウル」
「まあな」
やはり忌々しげにフィオナに答える。
「次から次に訳のわからねえ奴が出て来やがる」
「全くだ」
ラウルの今の言葉にコウタも同意する。
「どうなってやがるんだ、この戦いは」
「どんどん変なことになってるのはわかるわ」
ショウコも言う。しかし彼女は少し変わっていた。
「ただ」
「ただ。どうした?」
「焦ったらかえって駄目よ」
こう三人に対して言うのであった。彼女は。
「焦ったら駄目!?」
「ええ。見えるものも見えなくなるから」
これが彼女の考えだった。
「だから。三人共それは御願いね」
「そうね」
最初にそれに頷いたのはフィオナだった。
「焦ったら負けだしね」
「そうです。ですから」
「わかった」
次に頷いたのはラウルだった。
「そうするか。ここはな」
「ええ、御願い」
そのうえでショウコは今度は兄に声をかけるのだった。
「お兄ちゃんもよ」
「俺もかよ」
「だってお兄ちゃんが一番わかってなさそうだし」
妹の言葉としてはかなり厳しいものだった。
「だからよ」
「ちぇっ、信用がねえんだな」
「信用がないんじゃなくて心配なの」
これが彼女の意見だった。
「無鉄砲なんだから」
「ふん」
妹に言われて実に面白くなさそうだった。
「何でここまで言われないといけないんだよ」
「それはそうとしてね」
だがここでフィオナが言ってきた。
「何だ?」
「まだ戦いが続いているわ」
「ああ、そうだったな」
ラウルがそれに気付いた。
「あの植物共か」
「そうよ、連中も何とかしないと」
「ああ、そうだな」
「ラウル君!フィオナちゃん!」
ここでクスハが二人を呼んだ。
「悪いけれどすぐにこっちに来て!」
「敵の援軍だ!」
ブリットも言ってきた。
「横から彼等を突いてくれ!」
「わかった。じゃあ」
「行くぞ!」
そして二人はすぐにそれに応えたのだった。
「コウタ!ショウコ!」
「わかってるぜ!」
「はい!」
そして二人もそれに続く。ロンド=ベルは今度はアルフィミリィ達に向かう。戦いは彼等との全面対決に入った。しかしそれもほんの数分のことであった。
「それでは皆さん」
「むっ!?」
「もう撤収かよ」
「はい、わかりたいことはわかりましたので」
アルフィミリィはにこやかに笑ってロンド=ベルに対して述べてきた。
「これで。さようならです」
「何だ、やけにあっさりしてやがるな」
甲児はアルフィミリィのその言葉を聞いて言った。
「こいつはいつもこうだな」
「そういえばそうですね」
洸が甲児のその言葉に頷く。
「何か異様に撤退も早いです」
「戦うだけじゃねえのか?」
「だとすると何だ?」
神宮寺もそれはわかりかねているようだった。
「こいつの目的は。最初は確か」
「バルマー軍にいました」
猿丸が答える。
「銀河辺境方面軍に」
「そうでしたね、タケル君のお兄さんの」
麗もそれを思い出した。
「今は独自勢力になっていますが」164
「その別れた理由もわからないし」
マリも気付いた。
「何なのかしら、この娘は」
「それもまた謎か」
「謎が謎を呼びって状況じゃなくなってきているわねん」
キョウスケとエクセレンはそれぞれ正反対の反応を見せた。
「では皆さんご機嫌よう」
「しかし」
だがキョウスケは。その撤退するアルフィミリィを見て言うのだった。
「やはり。何かを感じる」
その感じることを呟くのだった。
「何なのだ、この感触は」
それすらもわからないまま姿を消す彼女を見ていた。何はともあれ戦いはこれで終わった。カイロでの戦いにもまた生き残ることができたのだった。
しかしそれでも。彼等は釈然としないのだった。
「今度はデュミナスか」
「全く。謎が謎を呼ぶな」
ミリアルドとムウはそれぞれの口で述べた。
「もうそれどころの状況じゃあねえな」
「今幾つ謎あったっけ」
「百から先は覚えてねえぞ」
ミリーナに対してゴルディマーグが述べる。
「もっとも謎なんて俺にはどうでもいいがな」
「俺もだ!」
バサラもそれは同じだった。
「謎がどうとかうじうじ考えるのが駄目なんだよ!何でも突破しやがれ!」
「突破してどうするのよ」
「謎なんてな!無理矢理こじ開けるものなんだよ!」
彼らしい破天荒な言葉であった。
「俺は歌で!それをやってやるぜ!」
「全く。相変わらず滅茶苦茶言ってるじゃない」
「そうね。けれど」
だが未沙はここで。珍しくそんなバサラを擁護するのだった。
「バサラ君のこの勢いが時として謎も何もかも解決してくれるから」
「勢いも大事なんですね」
「ええ。特に今みたいな状況はね」
前の未沙からは考えられないような言葉であった。
「彼みたいに正面突破も有り得るわ」
「そういえばバサラさんって」
トウマが言う。
「かなり考えてるよな」
「そう!?」
ミレーヌは今の彼の言葉には懐疑そのものの目で応えた。
「とてもそうは思えないけれど」
「いや、考えてるよ」
しかし彼はまた言う。
「バサラさんの考えでね」
「そうかしら」
「わかりにくいけれどね。ちゃんとね」
「全然そうは思えないんだけれど」
ミレーヌにとってはどうしてもであった。
「そんなの」
「私はトウマ君と同じね」
未沙の言葉はやや懐疑的だが真実を語っていた。
「バサラ君はバサラ君でね。ちゃんと考えていると思うわ」
「だといいんですけれど」
「ただ。それがどうなるかはまだわからないわ」
「ですね」
これだけは納得できるミレーヌであった。
「あいつ言っても聞かないですし」
「言って聞くのならバサラじゃない」
これはレイも言うところだった。
「だからそれはそれでいいんだ」
「無茶苦茶なんだから。全く」
「いや、ミレーヌも結構」
「ねえ」
アラドとゼオラはミレーヌを見て話をしていた。
「人の話を聞かないところが」
「っていうか頑固だし」
「頑固?私が」
「って自覚ないの」
アイビスもこれには呆れる。
「参ったな、これは」
「ある意味ミレーヌらしいが」
スレイの言葉はいささか彼女を認めているものではあった。
「それでもな。どうにもこうにも」
「まあミレーヌも音楽はかなり凄いしな」
「何だかんだでファイアーボンバーの二枚看板よね」
アラドとゼオラはミレーヌの才能はちゃんと認めてはいた。
「それがどうなるかは未知数か」
「パイロットとしては超一流なんだけれど」
「血だな、それは」
イサムはミレーヌのパイロットとしての才能の秘密をそこに見ていた。
「マックスとミリアの姪だからな。やっぱり」
「姪か。いや」
しかしここでガルドはふと言うのだった。
「どうした?ガルド」
「いや、どうもな」
彼はイサムに応える形でさらに言葉を続ける。
「ミレーヌは。二人にあまりにも似ている」
「そりゃ姪だから当たり前だろ」
「いや、二人にだ」
ガルドが言うのはそこだった。
「ミリアの妹の子だ。それでミリアに似るのは当然だが」
「ああ」
「しかし。二人に似ているのはまず考えられないが」
「そういやそうだな」
言われてやっと気付くイサムだった。
「何か二人のいい部分だけを受け継いだみたいな操縦するんだよな」
「何故かな。あの運動神経といい」
ミレーヌの運動神経もかなりのものである。それもまた有名になっているのだ。
「どうにも。二人にあまりに似ている」
「そういやそうだな。けれどな」
イサムはここでさらに言う。
「普通にねえだろ。二人の娘さんっていうのはな」
「まあそれはな」
ガルドもそれはわかっていた。
「ない。完全にな」
「だろ?偶然っていうか他人の空似さ」
「そうだな。間違いなくな」
「そうだよ。それでだ」
イサムはここで話を変えてきた。
「次の戦いは何処になると思う?」
「さてな。ただ」
「ただ?」
ガルドの言葉に顔を向ける。
「相手がデュミナスにしろ修羅にしろ今度は向こうから仕掛けてくるかも知れないな」
「向こうからかよ」
「そうだ。奴等はかなり攻撃的だ」
ガルドはそれを正確に見抜いていたのだった。
「それを考えれば仕掛けて来ることは充分考えられる」
「そうなるか」
「アレクサンドリアでの戦いも考えられる」
ガルドはこうまで言った。
「特に修羅ならばな」
「へっ、だったらそれはそれで返り討ちってわけだ」
イサムはいつもの強気を見せてみせた。
「やってやるぜ、思う存分な」
「その通りだ」
イサムの今の言葉に頷いたのはコウタだった。
「フォルカの奴、今度こそ」
「お兄ちゃん、血気にはやるのはいいけれど」
ショウコはここで兄に言葉をかけてきた。
「何だよ」
「少しは落ち着いてね。あまり周りを見ないとそれで大変なことになるわよ」
「何だよ、そんなこと言っていたら勝てる話も勝てなくなるぜ」
彼にとってはそうなるのだった。やはり彼は短気だった。
「ここは一気によ」
「いや、その通りだな」
だがここでコウタに言ったのはテツヤだった。
「テツヤさん」
「ショウコの言う通りだ。少しは周りを見ることも大事だ」
「周りを見ることも」
「コウタ、御前は今あの修羅のことしか考えていないな」
「それが悪いのかよ」
「少なくともいいものじゃない」
こう言うのだった。
「そうした戦い方は何時か身を滅ぼす」
「俺を」
「その通りだ。だから止めておけ」
彼もまたコウタを制止するのだった。
「わかったな。くれぐれもな」
「ちぇっ、俺ってそんなに滅茶苦茶かよ」
「だから少しは周りを見てよ」
ショウコが言うのはそれなのだった。
「私だって心配で仕方ないんだから」
「その通りだぜ、コウタ」
何とここで彼を説教したのはカチーナだった。
「御前はもっと周りを見て戦え、いいな」
「あ、ああ」
コウタはカチーナに顔を向けて少し驚いた顔になっていた。
「わかったぜ。ただ」
「ただ?何だよ」
「まさかあんたに言われるなんてな」
彼もまたそれに驚いていたのだった。
「意外っていうか何かな」
「意外かよ、あたしがこんなこと言うのは」
「意外っていうか驚きですよ」
ラッセルが横からカチーナに言ってきた。
「まさかそんなことを大尉が仰るなんて」
「あたしはそんな破天荒か?」
「自覚がねえ・・・・・・」
「まさかと思っていたけれど」
これにはタスクもレオナも驚きだった。レオナの顔が強張っている。
「大尉、ある意味すげえ人だ」
「物凄いことね、本当に」
「何かあたしも随分と思われてるんだな」
カチーナも言われてそれを認識するしかなかった。
「全く。どうしたものだよ」
「どうしたもこうしたもないですよ」
またラッセルが彼女に声をかける。
「大尉ももう少し御自身をですね」
「見ろって言いたいのかよ」
「はい」
また随分とはっきりと答えてみせてきた。
「是非共御願いします」
「頼まれるとは思わなかったぞ、おい」
「けれどまあいいんじゃないですか?」
「そうよねえ」
ショウとチャムがここでカチーナに声をかけてきた。
「それだけ皆に気にかけてもらえてるってことですし」
「カチーナさん何だかんだでいい人だもん」
「あたしがいい人か」
「自覚ないの?」
チャムはカチーナの耳元まで来て話す。
「ひょっとして」
「そんなことは全然考えたことなかったぜ」
やはりそうであった。
「あたしは戦うことが生きがいだからな」
「たこ焼き程度の頭しかねえしな」
絶好のタイミングでシンが言わなくていいことを言ってみせた。
「赤い彗星ならぬ赤い蛸。蛸女ってわけだな」
「ちょ、ちょっとシン」
今のシンの言葉に統夜が言う。
「今の言葉はかなり」
「危険よ」
カルヴィナも顔を曇らせてシンに囁く。
「今のタイミングでその言葉は」
「何だよ、俺は本当のことを言ったまでだぜ」
やはり全然反省のないシンだった。
「蛸は蛸ってよ。嘘は言っていないぜ」
「あ~~あ、この人また」
「言っちゃいましたね」
テニアもメルアも呆れてしまった。
「これで後はまた」
「お決まりのパターン」
「お決まりって何がだよ」
シン本人だけがわかっていなかった。
「俺は別に」
「あの、シンさん」
今度はカティアがシンに声をかけてきた。
「御冥福をお祈りします」
「御冥福!?俺が?」
「せめてここで逃げないと」
「だからまた」
統夜もカルヴィナも胸の前で手を合わせるだけだった。
「いつものパターンになるんだね」
「懲りないんだから」
かくしてカチーナに残骸にされるシンであった。皆その残骸を見て呆れるだけであった。
「で、とにかくだよ」
「ええ」
ジョッシュの言葉にリムが応える。
「次はアレクサンドリアでの戦いも考えられるんだよな」
「そうね。修羅だとやりそうね」
リムもまた修羅をそう見ていたのだった。
「だからやっぱりここは」
「すぐに戻って整備と補給だな」
ジョッシュの出した結論はこれであった。
「その通りです。それでは」
「はい」
ユンはレフィーナの言葉に頷く。
「全軍すぐにアレクサンドリアに帰還です。そしてそこで」
「整備と補給ですね」
「その通りです。ではすぐに戻りましょう」
「わかりました。それでは」
ショーンがレフィーナの言葉に頷いてみせてきた。
「帰りましょう。いいですな」
「了解」
「それでは」
皆それに頷く。これは話は決まりだった。
全軍アレクサンドリアに戻りすぐに整備と補給を受ける。そうして次の戦いに備えるのだった。あらたなる戦いに。

第六十八話完

2008・6・21  
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