| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十六話 プリティ=デビル  

                 第六十六話 プリティ=デビル
邪魔大王国及び百鬼帝国との戦いは終わった。今ロンド=ベルの面々はプールでくつろいでいた。
「いや、やっぱりあれだよな」
黒いビキニに身を包んだカガリが笑顔でプールビーチにいる。筋肉質だがかなりいいスタイルをしている。そこにははっきりと成長が見られる。
「泳ぐのが一番いいよな」
「ええ、そうよね」
カガリの今の言葉にエクセレンが頷く。
「これが一番美容にいいのよん」
「そういえばエクセレンさんって」
水色のフリルのキュートな水着を着ているプリシラがエクセレンのスタイルを見て言う。
「いつも凄いスタイルですね」
「プール大好きなのよ」
赤い露出のかなり多いワンピースで述べる。
「直射日光もないしね」
「そうそう」
今のエクセレンの言葉にアクアが頷く。
「やっぱり紫外線がないのが一番いいわ」
「そんなに紫外線が怖いのか?」
「当たり前よ」
すぐにヒューゴに言葉を返す。彼女はその見事なプロポーションを黒い競泳水着で覆っている。かえってそのスタイルがはっきりと浮き出ていた。
「お肌の天敵なんだから」
「また随分と内向きだな」
ジャーダがそれを聞いて言う。
「そんなに気にすることないだろうね」
「気にします」
それでもエクセレンは言う。真顔で。
「もう二十三歳なんだから」
「あれ、アクアさんって二十三なの?」
ピンクのビキニのカーラがそれを聞いて意外そうな顔になる。
「もっと若いのかって思っていたわ」
「若い?私が?」
「二十かなって。それか十九か」
「どうしてなのよ」
若く見られたら見られたらでそれはそれで不満そうであった。
「そんなに子供じゃないわよ」
「だってアクアさんって声可愛いから」
「声が」
「そうそう。女の子そのままの声なのよね」
ガーネットがそれに頷く。彼女は赤いビキニだ。
「可愛いのよ、それが」
「可愛いって」
「私の声とそっくり?」
プリメーラの格好は普段と一緒である。特に泳ぐつもりはないようだ。
「何か」
「それでいてモコナにも似とるしな」
カルディナはライトブルーのビキニだ。
「結構おもろい声しとるで」
「面白い声って」
アクアはこう言われて微妙な顔になる。
「何かどうも」
「別に悪いことじゃないですよ」
その彼女にリムが言ってきた。彼女は白い大人しいワンピースだ。
「別に」
「そうなのかしら。何か」
「確かにアクアさんって」
ここからの言葉は少しニュアンスが変わる。
「結構からかい易いところありますけれど」
「やっぱり馬鹿にしてるんじゃない」
「いえ、そうじゃなくてですね」
「何なの?」
「それでもスタイルいいし声も顔も可愛いし」
「顔も」
それを言われると顔が晴れやかなものになっていた。
「そうかしら」
「そうですよ。だからそんなに」
「気にすることはないってことなの?」
「今の水着だって似合ってるじゃないですか」
その競泳水着についても言及してきた。カーラの言葉が続く。
「ですからそんなに」
「気にし過ぎかしら」
「はい、全然大丈夫ですよ」
「それだったらいいのだけれど」
「アクアさんのスタイルはいいですよ」
スタイル抜群のユリカが述べる。彼女は虹色の派手なビキニだ。
「御顔だって」
「そ、そうかしら」
ユリカにまで言われると余計にまんざらではないものになる。
「じゃあ紫外線も」
「いえ、それは気をつけた方がいいわね」
しかしカナンがここで話に入って来た。
「カナン」
「紫外線はね。別よ」
「別なの」
「アクアって色白だから」
また褒め言葉であった。
「それを考えたらね。やっぱり」
「そうなの。それじゃあ」
「色が白い場合はそれを極めなさい」
くすりと笑ってアクアに告げた。
「色が黒いと黒いのを極めてね」
「そういえばカナンは」
白いワンピースがカナンの白い肌と見事なコントラストを成して映えさせていた。
「奇麗なお肌してるわね」
「私も気を使っているのよ」
こうアクアに答えるのだった。
「お肌の黒にね」
「黒になの」
「そういうことよ。これはこれで苦労するのよ」
「白は白で苦労するしね」
「お肌って大変よね」
「全く」
二人で美容に話になっていた。
「油断していたらすぐに荒れるしね」
「ええ」
「何かやけにシビアな話になってるな」
タスクは彼女達の話を聞いて言う。
「お肌がどうだとか」
「女の子には切実な話だよ」
リョウトがその彼に述べる。
「それもかなりね」
「俺なんか何もしなくてもニキビ一つ出来ないぜ」
「俺は紅茶が効いているのだろうな」
ユウキはビーチサイドでも紅茶を嗜んでいた。
「やはりな」
「お茶はお肌にいいのよ」
黒いパラオとビキニのリオがそれに突っ込みを入れる。
「毎日飲むとさらにね」
「そうだったの」
レオナは紫のワンピースだった。
「お茶はそんなに」
「知らなかったの!?」
「ちょっと」
実は知らなかったレオナであった。そうリオにも答える。
「じゃあこれからはお茶も」
「そうよ。レオナってお肌奇麗だし」
「そうかしら」
「奇麗よ」
リオはこう言って笑ってみせた。
「だから余計にね。奇麗にならないとね」
「奇麗に」
「何かあるの?」
「いえ、別に」
それはないというのだった。
「ただね。どうも」
「どうも?」
「奇麗にとかそういうのって考えたことなかったのよ」
真相はこうであったのだ。
「実はね」
「ふうん、そうなの」
「そういえば戦うことばかり考えていたわ」
「まあそれは仕方ないかもね」
これについてはリオもわかった。
「レオナの家は代々軍人だしね」
「ええ」
「それも仕方ないわね」
「けれど。ここにいると」
「何?」
「何か戦争のこと以外も考える余裕があるわね」
穏やかに笑ってこう言うのだった。
「ロンド=ベルだと」
「落ち着くのね」
「ええ」
やはり穏やかに笑っていた。
「どうもね」
「それはいいことね」
リオもまた微笑んだ。
「それは」
「そうね。ロンド=ベルの雰囲気は好きよ」
「僕もだよ」
「俺も」
これについてはリョウトもタスクも同じ意見だった。
「ここにいると戦争が多いけれどね」
「それでもよね」
「そうね。それにしても」
リオはまた言う。
「暫く戦いがないと少し不安になるわね」
「不安に?」
「ええ」
そう言うのだった。
「ほら、私達って毎日みたいに戦争してるじゃない」
「まあそうだね」
「それはな」
これについてはその通りだった。リョウトとタスクが頷く。
「それが暫くないだけでどうにもね」
「違和感があるのね」
「まあすぐに敵が向こうから来るんでしょうけれど」
それは彼等も考えていた。
「それでもね。こんな日が続くとどうにもね」
「まあ今はそれでいいじゃないか」
そのリオにタスクが笑って言った。
「休めてな」
「そうだね」
リョウトはタスクの今の言葉に微笑んだ。
「たまには落ち着かないとね。それで」
「羽根を休めればいいさ」
「ジガンスクードに翼あったっけ」
「ないぞ」
ユウキがカーラの言葉に応える。
「空は飛べるがな」
「ああ、それは言いっこなしだぜ」
タスクはそのところは誤魔化した。
「例えだからな、例え」
「そうなの。じゃあそれでいいけれど」
「とにかく。今はな」
タスクはまた言う。
「遊んでいればいいさ。明日にでも敵が出て来るだろうしな」
こう言ったその次の日だった。早速報告が入った。
「シベリアにですか」
「そうだ」
グローバルがフォッカーの言葉に応える。
「謎の物体が降下してきた」
「謎の」
「どうも戦艦らしいのよ」
クローディアがフォッカーに言ってきた。
「それが来たから」
「戦艦が」
「それでだ」
グローバルはあらためて言う。
「その調査に我々が向かうことになった」
「やっぱりそれですか」
「だからだ。全軍に告ぐ」
全軍でということだった。
「すぐにシベリアに向かうぞ。いいな」
「わかりました。しかし」
「しかし?」
「全軍ですか」
フォッカーが言うのはそれだった。
「それはどうも」
「本来ならその必要はない」
グローバルもフォッカーの言いたいことはわかっていた。
「しかしな。また新たな敵の影がするのだ」
「敵の」
「そうだ。それに」
「それに」
「シャドウミラーもまた出て来るかも知れない」
彼が危惧しているのはそれだった。
「若しかしたらな」
「出てきますかね」
「彼等の他にも敵はいるしね」
今度はクローディアが言ってきた。
「だからね」
「そうか。じゃあそれで行くべきか」
「そう判断した。それではな」
「ええ、それじゃあそういうことで」
こうして出撃が決まった。彼等はすぐにシベリアに向かう。そしてその謎の物体の落下地点に辿り着くと。そこでイサムが声をあげるのだった。
「んっ、あれは」
「そうだな」
ガルドがイサムの言葉に応えた。
「新マクロス級だな」
「ああ、それの居住区だな」
「新マクロス級!?」
トウマがそれを聞いて声をあげる。
「それは一体」
「メガロード船団の出航に合わせて新たに設計した長距離移民船団用の艦だ」
ガルドが彼に説明する。
「と言っても、実際には完成度六割の状態で地球を出航したのだがな」
「そうだったな」
イサムがそれに応えて言う。
「確か一番艦から七番艦がメガロードと一緒に地球を発ったんだったな」
「今ここにあるマクロスよりもずっと大きいな」
隼人が言う。
「何かな」
「超長距離の宇宙での航海を前提にしているからな」
ガルドは隼人にも答える。
「だから居住性を重視した設計になっているんだ」
「そうだったの」
「ああ、そうだ」
そのことも教える。
「しかしだ」
「しかし?」
イサムがクォヴレーの言葉に応える。
「何だ?」
「そんな艦がどうしてここにあるのだ」
「それは俺が聞きたい話だ」
イサムの方から言ってきた。
「何でこんなところにあるんだってな」
「そうか」
「ああ、訳がわからねえ」
こう言っているとそこに。何かが出て来た。
「!?あれは」
「シャドウミラー!?いや、違う」
違っていた。それは」
「へへへ、面白い場所に出たな」
そこにいたのはギギルであった。
「サンプル共の母星だな」
「何だあいつは」
「見たことねえ奴等だな」
ロンド=ベルの面々にとってはギギルははじめて見る顔であった。
「けれどあれだな」
「ああ、間違いない」
しかし彼等にはもうギギル達が何なのかわかっていた。
「敵だな」
「じゃあ戦うしかないだろうな」
「総員警戒態勢」
グローバルはこう指示を出した。
「何かあったらすぐに反撃を仕掛ける。いいな」
「了解」
「バルトフェルド艦長」
ラクスはこの中でバルトフェルドに声をかけてきた。
「はい」
「何だと思われますか、彼等は」
「まあ間違いなく敵ですね」
彼もこう呼んでいた。
「それはね」
「そうですね。しかし」
「しかし?」
「今までの敵とは違うようです」
彼女は直感でそれを感じ取っていたのだった。
「どうも」
「そうですか。違いますか」
「正体も一切わかっていません」
ラクスはそこも言う。
「ですからここは」
「わかっています、慎重にですね」
「はい」
彼女が言いたいのはそれであった。
「それで御願いします」
「了解。全軍に告ぐ」
バルトフェルドがラクスの言葉を全軍に伝えてきた。
「敵の正体がわからない。だから慎重にな」
「慎重にか」
ミリアルドがそれを聞いて呟く。
「確かにそうあるべきだな、今は」
「ミリアルドさん」
ラクスは彼にも声をかけてきた。
「何だ?」
「敵の攻撃を受けないで下さい」
彼にこう言うのだった。
「くれぐれも」
「敵の攻撃をか」
「はい」
そこを念押しするのだった。
「何かよからぬものを感じますので」
「わかった。では注意しよう」
「御願いします。これは皆さんもです」
他のメンバーに対しても告げていた。顔は真剣そのものである。
「受ければそれで大変なことになってしまいますから」
「何でそれがわかるんですか?」
ダコスタはそこを尋ねる。
「どうしてまた」
「何となくです」
ラクスの返事はこうだった。
「わかったのです」
「そうですか」
「私も。何か」
ここでくすりと笑ってみせてから述べた。
「ニュータイプの方と同じなのでしょうか」
「まあ少なくともあれですね」
その彼女にバルトフェルドが答える。
「今までの戦いで成長されたのは確かですね」
「そうですか」
「戦うからには誰かを倒さなくちゃいけませんね」
「ええ」
彼の言葉にこくりと頷く。
「敵を殺さなければならない時があります」
「そういうことですよ。殺さないともっと多くの人が死ぬことになる」
「そして悲しむ人も」
「グラドス軍なんかそうですよね」
ダコスタはいいタイミングでグラドス軍を話に出した。
「あの連中なんかは」
「ああ、それそれ」
バルトフェルドも彼等の名前に対して頷いてみせる。
「その連中のことを言いたかったんだよ」
「そうですか、やっぱり」
「あの坊やだってそうだね」
その坊やが今目の前でフリーダムを駆っていた。
「グラドス軍のSPTのコクピットを撃ち抜いていたね」
「はい」
「それでいいんだよ」
バルトフェルドはそれをよしとしたのだった。
「それでね。彼等を放っておいたら」
「そうです」
ラクスの答える言葉が強いものになっていた。
「犠牲者が増えます。ですから私はキラにも」
「ですね。やっぱり」
「戦えるからには戦わなくちゃいけない」
バルトフェルドが言う。
「誰かを護る為に」
「そして倒さなくてはなりません」
以前のラクスなら間違いなく言わなかった言葉だ。しかし彼女は今それを自分の意志ではっきりと言うのだった。強い声で。
「人々の幸せと生命の為に」
「それがおわかりになられたってことが成長ですよ」
「そうなりますか」
「それと一緒に勘も強くなったんでしょうね」
「勘もですか」
「戦場にいるとね。強くなるんですよ」
バルトフェルドは笑って述べた。
「生きる為にね」
「戦場は色々なことがあるのですね」
「そういうことです。じゃあいいですね」
「ええ。ミサイル発射」
ラクスの指示だった。
「攻撃目標前方です」
「了解、アイシャ」
「わかってるわ、アンディ」
それまで黙っていたアイシャがにこりと笑って応える。
「前ね」
「ああ、頼んだよ」
エターナルも攻撃を加える。彼等は敵の攻撃を警戒しつつ少しずつ前方に進んでいく。しかしここで。
「んっ!?」
「何だありゃ」
キースとモンシアが最初にそれに気付いた。
「何か出て来たけれど」
「敵の新手かよ」
「いや、待てよ」
だがここでヘイトが言う。
「あれは何か」
「女の子みたいですね」
「馬鹿言え、馬鹿を」
モンシアはヘイトとアデルのその言葉を否定した。
「何で戦場に可愛い娘ちゃんが生身でいるんだよ」
「BF団とかじゃないんですか?」
「だからあの連中は潰れたつってんだろ!」
何故かキースの言葉をムキになって否定する。
「サリー=ザ=マジシャンが本当に出て来たらどうするんだ!」
「じゃあビッグファイアは」
「その名前絶対出すんじゃねえ!」
さらなる拒絶反応を見せてきた。
「死んだことにしとけ!あいつ等は間違いなく死んだんだ!」
「けれど不死身なんじゃ、全員」
「うるせえ!今度言ったら手前から撃つからな!」
「それはそうと大尉」
「何だよ」
少し冷静になってコウに応える。
「飛んでますけれど」
「サイボーグが何かか」
モンシアはそういうことにしようとしていた。
「となると」
「いえ、どうも何か違いますけれど」
「バルマーのあのお嬢ちゃんなんだろ」
ロゼのことだ。とにかく認めようとしない。
「超能力者だから空を飛ぶ位はよ」
「だったらバルマーの大軍も一緒じゃねえのか?」
「そういえばそうですね」
スレッガーのその言葉にセイラが応えて頷く。
「彼女はバルマーの副司令官ですからこうした場合には」
「まず大軍が一緒だろうな」
「じゃああれは一体」
シローもその少女を見ていた。
「何者なんだ」
「!?舞って」
ここでアイラが声をあげる。
「どうしました、アイラ様」
「あの女の子」
ノリスに応えながら言うのだった。
「マクロスの居住区に向かっているわ」
「えっ、だとすると」
セレーナはそれを聞いて驚きの声をあげる。
「一般市民を狙っている!?」
「その可能性もあります。ここは」
「くっ、急げ!」
ヘンケンがそれを聞いて指示を出した。
「一般市民を戦闘に巻き込むわけにはいかん!」
「は、はい!」
「けれど!」
だがその前にはギギル達が立ちはだかる。その謎の敵が。
「おい、シビル!」
ギギルはその少女に対して声をかける。
「何処に行くんだ!」
「アニマ=スピリチュア」
だが彼女はこう言って居住区に向かう。そしてその中に入るのだった。
「シビル、シビル!」
ギギルはそれを見て指揮の場から離れた。そして彼も居住区に向かうのだった。ロンド=ベルの面々はそれを見て顔を顰めさせた。
「まさかあいつ等」
金竜が言う。
「居住区を本当に」
「させてたまるか、そんなこと!」
イサムがそれを聞いて激昂する。
「おい、行ける奴が行け!」
そしてこう叫ぶ。
「誰かいねえのかよ、何なら俺が!」
「そうしたいのはやまやまだが」
その彼にガムリンが声をかける。
「残念だが俺達は無理だ」
「くっ!」
見れば彼等の前には無数のバロータ軍がいた。彼等を前にして居住区に行くことは流石に無理だった。
「俺達はここで戦うべきだな」
「ちっ、わかったぜ」
「俺達が行く」
しかしここでヒイロが出て来た。
「幸い俺達の周りには敵が少ないからな」
「絶対に間に合わせる」
ウーヒェイはもう動いていた。
「安心して戦っておけ」
「さあ、そうと決まれば行くぜ」
ディオもまた居住区に向かっている。その手にサイズを輝かせて。
「クライマックスだぜ!」
「その通りだ」
トロワはもう居住区のすぐ側まで来ていた。
「ここで市民の犠牲を出すわけにはいかない」
「マグアナック隊の皆さん!」
カトルは彼等と共に強引に前線を突破していた。
「行きましょう!」
「了解、カトル様!」
「ここは火の中水の中!」
この五人が向かう。これで終わりかと思われたがここでまた一人出て来た。
「おら、行くぜ!」
「行くぜってバサラ!」
ミレーヌが敵の攻撃を信じられない身軽さでかわしつつ居住区に向かうバサラのバルキリーを見て驚きの声をあげる。
「あんたまさか!」
「おうよ!俺を前にして逃げるなんざ許さねえ!」
ここでもバサラはバサラであった。
「聴かせてやるぜ!俺の歌をあの連中にもな!」
「馬鹿、何言ってるのよ!」
流石にミレーヌも怒る。
「そんな状況じゃないでしょ!」
「周りの状況は俺に合わせるものだ!」
まさにバサラの言葉だった。
「だからだ!俺の歌を聴けーーーーーーーーーっ!」
いつもの台詞を叫んでそのまま居住区に突入するのだった。流石にこれには皆呆れてしまった。
「いやはや」
「何とも」
ユウナもアズラエルも言葉を失っている。
「これには流石に参ったね」
「まあ彼らしいが」
「驚いてる場合か!」
カガリがその二人に突っ込みを入れる。
「あいつをどうするんだ!」
「放っておいても生きていそうだけれど」
シンジも言葉がない。
「あの人だけは」
「同感」
今回ばかりはアスカも彼と同意見であった。
「無茶苦茶もあそこまで行くと」
「で、どうするの?」
しかしレイはこの状況でも冷静だった。
「あんな素敵な人を放っておくの?」
「素敵ってレイ貴女」
ミサトはここでまたレイの驚愕の異性の趣味を知った。
「ああいう破天荒なのが好みなの?」
「そういえばマスターアジアも」
リツコも言う。
「破天荒っていうか滅茶苦茶っていうか」
「似てるかも、彼に」
「正面から困難に突き進むのは美しいわ」
レイは言うのだった。
「だから私はバサラさんも」
「・・・・・・わかったよ。わかりたくないけれど」
シンジがそれに応える。
「じゃあ何とか居住区に向かってバサラさんを助けないとね」
「そやな」
今のシンジの言葉にトウジも頷く。
「ほな行こか」
「いや、いい」
だがここでスレイが出て来た。
「スレイさん」
「まずあの五人が行った」
ヒイロ達である。
「そして私達も行く」
「任せておいてくれよ」
アイビスが言ってきた。
「今からすぐに行って来るからな」
「ああ、頼みますで」
トウジは彼等に答えた。
「こっちは動けへんから」
「戦いはまだこれからだけれどね」
アスカも周りの敵を倒しながら言う。戦いはこれからだった。
アイビス達が居住区の中に入ると。そこではもうヒイロ達が既に激戦を繰り広げていた。
「バサラさん!」
ツグミがバサラに声をかける。彼はその中で舞っていた。
「本当に大丈夫なんですか!?」
「ミサイルだのそんなのは向こうからよけてくれるんだよ!」
バサラはそういわれても相変わらずだった。
「だから心配無用だぜ!」
「心配無用って」
「相変わらずだな、おい」
アイビスもこれには呆れた。
「攻撃を受けるかもっては思わないんだな」
「あの男らしいがな」
これにはスレイも呆れていた。呆れつつも認めてはいた。
「だが放っておくわけにもいかない」
「ああ、それはね」
これには同意するアイビスだった。
「何をしでかすかわからない相手だけれどね」
「そんな奴についていくのもあれだな」
レイが来た。
「全く。どうしたものか」
「どうしたものかはともかく」
ミレーヌも来た。
「あの馬鹿・・・・・・」
ミレーヌは少女に向かうバサラを見て歯噛みする。
「何処まで無茶苦茶やってるのよ!」
「最初からだな」
トロワがミレーヌの今の言葉に答える。
「それはな」
「いや、はっきり言ってもらったらあれなんだけれど」
ミレーヌも今のトロワの言葉には言葉を失う。
「それはその」
「だが。戦いがあるなら話は別だ」
ウーヒェイはトライデントを振り回し敵を薙ぎ倒していた。
「倒す!」
「単純だけれどその通り!」
デュオもそれに続く。
「どんどん倒していけばいいことだぜ!」
「バサラさんに向かいます!」
カトルはマグアナック隊を引き連れていた。
「いいですね!」
「しかしだ」
ヒイロはヒイロで敵を倒していた。
「あの女、何者だ」
「あの女・・・・・・あいつね」
ミレーヌはバサラが向かう女を見て言った。
「あれは一体何なの?」
「少なくとも地球人ではないな」
レイが言う。
「あれはな」
「それは見たらわかるけれど」
ミレーヌもそれはわかる。
「何なのかしら、一体」
「それにあの敵は」
アイビスは彼等を見ていた。バロータ軍を。
「これまでの敵とは違うよ」
「そうだ。それに」
スレイも言う。
「敵は何か私達から奪おうとしているのか?」
「奪う!?」
「そうだ」
アイビスに対しても答える。
「何か。そういう動きをしていないか。少なくとも攻撃の仕方がこれまでの敵とは違うな」
「そういえばそうね」
ツグミもアルテリオンに向かっている敵を見つつ述べた。
「この動きは。何か」
「吸血鬼」
スレイが次に呟いた言葉はそれであった。
「そんな感じがするな」
「吸血鬼ね。それなら!」
アイビスもアイビスで向かう。彼女もまた敵を恐れていないという意味ではバサラと同じであった。ただ彼の様に身軽ではないだけだった。
「こっちだってやり方がある!」
「やり方!?」
「そうだ!」
ツグミに応えたうえで今度はスレイに声をかけた。
「スレイ!」
「何だ、アイビス!」
「あれで行くよ!」
「そうか、あれか!」
「ああ!」
スレイにもそれが何かわかった。アイビスに動きを合わせる。
「久し振りにハイペリオンで行くよ」
「何でアルテリオンそのままじゃないの?」
「一人ならやられるかも知れない」
アイビスは今度はツグミに答えた。
「けれど三人なら。やられない!」
「そうね。三人なら」
「よし!」
ツグミもスレイもそれに応えた。
「ハイペリオンになって!」
「対抗するぞ!」
アルテリオンとベガリオンが交差して合体する。そうしてハイペリオンになったうえでこれまでにない速度で敵に向かって突き進み。彼等を倒していくのだった。
その間にもバサラは少女に向かう。だがそこにギギルが来た。
「何だ、こいつは」
「手前!シビルに何をするつもりだ!」
「シビル!?」
バサラを追うミレーヌが彼の言葉に気付いた。
「まさかあの女の名前って」
「どうやらそうらしいな」
レイもその言葉に頷く。
「あの女の名前はシビルだ」
「けれど。何なの?」
それでもわからないことがあった。
「あの女、いえこの連中は」
「わからんな。だが俺達の敵なのは間違いない」
「ええ、それはね」
「それは確かだ」
「敵だとかそんなのはよ!」
バサラは相変わらずだった。
「関係ねえ!俺の歌、聴かせてやるぜーーーーーーーーーっ!」
そう叫んで突き進みやがて。そのシビルの前に出て来た。
「さあ、準備はオッケーだ!」
バサラはもうギターを手に持っていた。
「俺の歌を聴けーーーーーーっ!!」
「歌っ!?」
ギギルはそれを聞いて声をあげた。
「歌!?何だそりゃ」
「痺れろ!」
バサラはそれに応えることなくギターを奏でだす。
「俺の歌を聴いてな!行くぜ!」
「スピリチア!」
「御前も俺の歌を聴けぇぇぇぇっ!!」
早速ギターを奏でる。曲は。
「プラネット=ダンス!」
「その曲か」
「選んだ!?いや、違うな」
アイビスとスレイはすぐにバサラがどうしてその曲を選んだのかわかった。
「直感だな」
「ああ、間違いないね」
アイビスにもそれがわかった。
「どうやらな」
「けれど。見なよ」
アイビスはツグミとスレイにこう言ってきた。
「どうしたの、アイビス」
「あの女・・・・・・シビルか」
シビルを見るように言うのだった。
「何か態度がおかしいな」
「!?確かに」
スレイもそれに気付いた。
「変わったぞ。おかしいな」
「あ・・・・・・ああ・・・・・・」
シビルが震えていた。
「あああ・・・・・・」
「!?どうしたんだよ」
バサラも前にいる彼女の異変に気付いた。
「悪いもんでも食ったのか!?」
「はあああああああああああああっ!」
「けれど気分が悪いわけじゃねえな!」
バサラは今のシビルの様子を見てさらにギターを奏でた。
「ならいいぜ!もっと俺の歌を聴きやがれ!」
「くううううあああああああああああっ!」
「シビル!」
シビルの異変にギギルが叫ぶ。
「どうしたんだ、一体!」
「バサラ!」
ミレーヌもバサラのところにやって来た。しかしシビルの異変はまだ続いている。
「うああああああああああああっ!」
「待てよ、何処に行くつもりだ!」
シビルは暴れだし姿を消していく。そうしてそのまま何処かへと去って行く。
「俺の歌はまだ続くんだぜ!」
「うあああああああああああーーーーーーーーっ!!」
「シビルーーーーーーーーーーーーッ!!」
ギギルが彼女を追う。そのまま二人は姿を消した。これで戦いは終わった。ロンド=ベルは何とか居住区を守り抜いたのだった。
「バサラの歌がシティ7を守った!?」
「まさか」
ミレーヌもスレイも半信半疑だった。
「だがあれは」
「おいおい、守ったんじゃねえ!」
だがそれでも当のバサラは不快なままだった。
「このままでよ!俺は終わらねえぜ!」
「終わらないってどうするのよ」
「さっきの奴を追うぜ!」
バサラはまた無茶なことを言ってきた。
「行くぜ!今からな!」
「ちょっと待ちなさい!」
ミレーヌはその彼を止める。
「まだ外に敵がいるのよ!」
「おっと、そうか」
「全く、何処まで周りが見えていないのよ」
「そうだな、そいつ等がいたぜ」188
やはり話を聞いていないバサラだった。
「今度はそいつ等に!聴かせてやるぜ俺の歌をな!」
「だからいい加減にしなさいって!」
ミレーヌもいい加減頭にきていた。
「そんなこと言ってるからあんたはね!」
バサラは相変わらずだった。しかしその間にも戦いは終息に向かっていた。戦いが終わるとロンド=ベルは居住区を保護するように囲んだ。だがそこに青い巨大な戦艦が来た。
「マクロス7だな」
イサムはその巨艦を見て言う。
「やっぱり地球に戻っていたのか」
「そうだな。だが」
ガルドは言う。
「どうして戻って来た?」
「それは俺もわからない」
そう答えるしかなかった。
「だが。異変があったな」
「ああ、それは間違いないな」
イサムもこれはわかった。そのうえで通信を聞くのだった。
「こちらマクロス7」
「お久し振りです」
グローバルが出て来た男に答えた。
「エゼキセル艦長」
「はい、グローバル艦長」
まずは懐かしい再会だった。
「三十五年振りですな」
「三十五年!?」
「はい、話せば長くなります」
エゼキエルはこう前置きしてきた。
「ですが。宜しいでしょうか」
「はい、是非」
こうして彼はマクロス7でのことを話すのだった。それは忽ちのうちにロンド=ベル全体に拡がるのだった。皆そのことを話し合うのだった。
「まさかとは思うけれどな」
「そうよね」
ビーチャの言葉にエルが頷く。
「有り得ないっていうかね」
「何でもかんでも有り得ないわよね」
ルーもそう思っていた。
「タイムスリップなんてね」
「けれどさ。今までその有り得ないことがどれだけ起こってるんだろ」
イーノが言うのはそこだった。
「今まで。凄い割合じゃないの?」
「まあ確かにね」
イーノの言葉にモンドが頷く。
「偶然なんてレベルじゃないよ」
「ええと。今まで凄い確率で何でもかんでも起こってて?」
ルナマリアは今までのことを思い出していた。
「最近別の世界から何でもかんでも出て来てね」
「おばさんも次から次に出て来てな」
シンはまた言わなくていいことを言った。
「全く。加齢臭がなあ」
丁度その後ろにハマーンがいた。そして。
「何でこう言わなくていいこと言っていつもこうなるんだよ、こいつ」
「黙ってればいいのに」
ジュドーとミリアリアがそれを見て呆れていた。シンはまたしても残骸になっていた。
「とにかく。何かおかしくない?」
メイリンが言った。
「時空までおかしくなってるなんて」
「時空がおかしいってこと?」
「時空だけじゃないかもな」
サイは冷静に見ていた。
「ひょっとしたら」
「ひょっとしたら?」
「全部がおかしくなっているような気がするんだ」
彼は考える顔になっていた。
「最近有り得ないことがどんどん起こってるし」
「こっちじゃたった二年なのにマクロス7じゃ三十五年」
トールはそれを呟く。
「何なんだろうね、これって」
「おまけにあの敵」
カズイは敵について言った。
「バロータだっけ。エナジーを奪う?」
「エナジー!?」
「そう、それ」
カズイはビーチャに対して答える。
「今までって撃墜するばかりだったじゃない、敵って」
「っていうかそれが常識なんだけれどな」
ジャックは言う。
「そんな敵が宇宙にいるなんてな」
「宇宙は一体どうなっているんでしょうか」
シホはそこまで考えていた。
「そんな敵までいるなんて」
「アニマ=スピリチュアですか」
フィリスはそれを呟く。
「それを糧としている?」
「それにあの女の子」
エルフィはシビルのことを口に出す。
「謎だらけでどうも」
「少なくとも充分なことは何一つわかっていませんね」
「そうなんだよな、結局のところな」
ディアッカはニコルの言葉に頷いた。
「何か最近の敵って全部そうじゃねえか?」
「確かに」
「シャドウミラー、あとそのバロータに何か妙な敵にな」
イザークは言う。
「あの敵も。何なんだ?」
「コウタ」
アスランはここでコウタに顔を向けた。
「何か知ってるか?」
「いや、全然な」
コウタは首を捻りながらアスランの問いに答えた。
「俺も知りたい位だ」
「そうか、悪いな」
「けれど何かあれよね」
ショウコがここで言う。
「あの敵って何か。凄い闘争心を感じるわ」
「闘争心!?そういえば」
キラもそれに気付いた。
「シンとはまた違ってかなり」
「ああ、この残骸ね」
メイリンの言葉は何の容赦もない。
「全く言わなくていいことばかり言っていつもこうなるんだから」
「けれどあれだな」
レイが言葉を出してきた。
「あの敵の闘争心は確かに以上だな」
「そうね、それはね」
「かなりのものよ」
彼等はこう言い合う。
「ガンダムファイターのそれに似ている?」
「それともまた違うわ」
セシリーはシーブックの言葉に答えた。
「また異質なものよ。むしろ」
「むしろ!?」
「命を削っているみたいね」
セシリーはこう感じていた。
「あの闘い方はそんな感じがするわ」
「何か世界が違うと本当に全部変わるのね」
リンダはつくづくといった感じで首を捻っていた。
「それでも色々なものがあって」
「ああ。俺もそれを感じて仕方がない」
宙がその言葉に応えた。
「とにかく。今度の敵は誰かわからない」
カミーユが言った。
「誰が出て来ても対応できるようにしておかないとな」
「ええ、それはね」
エマがカミーユのその言葉に頷いた。
「何時誰が出て来ても無事に戦えるようにね」
「今度の敵は誰かしら」
「少なくともまた戦力が加わったわ」
フォウはファに述べた。
「マクロス7がね」
「大きな戦力よね」
「ええ、それは間違いないわ」
フォウはそれを言う。
「確かなものがあるわ」
「これで戦艦は十六隻か」
カミーユはそのことを呟く。
「ロンド=ベルもかなりの戦力になってきたな」
「それは有り難いな、素直に」
シーブックは言う。
「少なくとも今後色々な敵が出てもな。安心できる」
「バルマーもいるしな」
ジュドーはバルマーのことも話に出した。
「その辺りも警戒しておくか」
「そうね。それはね」
エマは頷き話は終わった。とりあえず話はここで終わりだった。
ロンド=ベルは日本に戻った。しかしここである情報が入って来た。
「敵が出た!?」
「ああ、そうだ」
ブライトがアムロに言ってきた。
「あのパリで出た敵だ」
「あの連中か」
「そうだ、あの連中が出て来た」
ブライトはまた言う。
「アフリカの方にな」
「今度はアフリカか」
アムロはそれを聞いて少し溜息をついた。
「本当に色々と飛び回るな」
「仕方ない、それが我々の仕事だ」
ブライトはうっすらと笑ってこう述べた。
「それがな。戦うことがな」
「それもそうか」
「ああ、そうだ」
またアムロに言う。
「だからだ。すぐに向かう」
「わかった、じゃあ今からだな」
「場所はサハラだ」
ブライトは場所も言ってきた。
「そこで戦うことになるな」
「サハラか。エジプトだな」
「砂漠での戦いになる。整備は気をつけないとな」
「それもあるか。そういえば砂漠での戦いは久し振りだな」
「ああ、そういえばそうか」
ブライトも言われて気付いた。
「砂漠の虎との戦い以降か」
「それまではなかったな」
アムロはそれを確かめる。
「色々とあったけれどな」
「まあ話をしていても仕方がない」
ブライトは話を切った。
「とりあえずアフリカに行くか」
「そうだな。本当に行ってからだな」
「アフリカの基地はどうだ?」
アムロはそこを問うた。
「アフリカの方は。最近静かだったから大丈夫だと思うが」
「アレクサンドリアに整備基地が整えられている」
ブライトはそのことをアムロに告げた。
「まずそこに入ることになる」
「そうか、あそこか」
「すぐに来てくれと言われている」
ブライトが次に言った言葉はこれだった。
「すぐにだ。いいな」
「わかった。早速皆に伝えよう」
「よし、じゃあ決まりだな」
こうして彼等はすぐにアフリカに向かった。アフリカに行くとすぐにアレクサンドリアに入った。そしてそこでまずは整備と補給を受けて戦いに備えるのだった。

第六十六話完

2008・6・5
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧