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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第六十四話 鬼達との決戦

            第六十四話 鬼達との決戦
「百鬼ブラーーーイ!」
「百鬼ブラーーーイ!」
百鬼帝国の宮殿。ブライの前にヒドラー、ゲラーを中心に百鬼帝国の戦士達が集まっていた。ブライはその彼等を前にして言うのであった。
「邪魔大王国は滅んだな」
「はい」
まずはこのことであった。
「竜魔帝王は戦死しました」
「他の者達も一人残らず」
「わかった」
ブライはヒドラーとゲラーの報告を聞いたうえで頷いた。
「そうか。ならばよい」
「倒す手間が省けたというものです」
ヒドラーはこう言い捨てた。
「どちらにしろ地上を制圧すれば戦う運命にありましたからな」
「その通りだ。所詮は一時的な同盟」
これはお互いがそうであった。
「そういうことだな」
「はい、ですから」
「手間が省けました」
ゲラーもこう言う。
「思ったより手強かったようですが」
「それでも敗れました」
「それでだ」
ブライは彼等の言葉を聞きながらまた述べてきた。
「我々だが」
「はい」
「それでは帝王ブライよ」
「うむ、全軍に告ぐ」
全軍に指示を出した。
「今より地上の制圧を開始する」
「はっ」
「わかりました」
「そのはじめとしてロンド=ベルを倒す」
やはりまずはそれであった。
「それでよいな」
「御意」
「それでは」
「その際手段を選ぶ必要はない」
ユウナの読み通りであった。
「何をしてもよい。これには我等の生存がかかっている」
「その通りです」
「ここで敗れれば我等は」
ヒドラーとゲラーの顔に緊張が走る。
「このまま滅亡です」
「この百鬼帝国もまた」
「だからこそだ。そうなるつもりは毛頭ない」
こうした意味で彼等も恐竜帝国と同じだった。
「我々もまた。生きて繁栄せねばならぬのだからな」
「だからこそこの度の戦いは」
「何としても」
「左様。ではヒドラー元帥、ゲラー博士」
「はっ」
「ではまず我等が」
「先陣を命じる」
まずは彼等だった。
「よいな」
「有り難き幸せ」
「願ってもない名誉です」
彼等にしてはまさにそうだった。栄誉を受けるということなのだから。
「それでは今より」
「出陣致します」
「わしも出る」
ブライも告げた。
「決戦だからな」
「帝王御自からですか」
「ならぬか?」
ヒドラーに対して問い返す。
「それは」
「いえ」
だがヒドラーはブライのその言葉に首を横に振った。
「非常によいことと存じ上げます」
「そうか、そう言ってくれるか」
「帝王御自身が出陣されればそれだけで皆の士気が上がります」
「そうだな、確かに」
「まさに決戦に相応しい」
「全くです」
ゲラーも述べる。
「ですからここは是非我等の全軍を以って」
「ロンド=ベルを討ち滅ぼしましょうぞ」
「うむ。ではあたらめて全軍に告ぐ」
ブライは命令を下す。
「これより地上に進撃しロンド=ベルを殲滅する!」
「百鬼ブラーーーーーーーーイ!」
「百鬼ブラーーーーーーーーイ!」
ブライを讃える声が響く。彼等もまた決戦に入るのだった。
ロンド=ベルでは。決戦前の準備におおわらわになっていた。これは誰もが同じである。シンとキラもまたその中で忙しい状況だった。その中でシンがキラに言う。
「なあキラ」
「どうしたの?」
「フリーダムだけで大丈夫か?」
不意にこうキラに言ってきたのだ。
「フリーダムだけでって?」
「だからだよ。これはかなり強いよな」
「うん」
それは認めて頷く。
「確かにね。フリーダムはかなり強力だよ」
「それでもだ。フリーダムでもやばい状況にならないか?」
「これから?」
「戦いはもっと激しくなるだろ」
シンはそれを危惧していた。
「そうなった時な。フリーダムじゃやばいかも知れないからな」
「言われてみれば」
キラもそれは否定できなかった。
「バルマー帝国軍もいるし宇宙怪獣も何時また来るかわからない」
「そう、それだよ」
シンは宇宙怪獣に対しても言及してみせる。
「宇宙怪獣の数は半端じゃないらしいな」
「そうらしいね」
二人はまだ宇宙怪獣と戦ったことがない為言葉は曖昧なものだった。
「何か億単位で来たりするらしいけれど」
「それで太刀打ちできるか?」
シンの言葉は真剣なものだった。
「フリーダムだけで」
「言われてみれば難しいかも」
キラは言った。
「皆もいるけれど確かにこれだけじゃ」
「俺考えてるんだけれどな」
「何を?」
「新型機が入るだろ」
それだった。
「そうしたらフリーダムはディアッカでな」
「うん」
まずはディアッカだった。
「ジャスティスはイザークで」
「何か合ってるね」
「そうだろ。一応考えてるからな」
シンは彼等の特性を考えて話しているのだった。
「それで俺のデスティニーはニコルだ」
「うん、かなりいいよ」
「で、俺とキラ、それにアスランが新型に乗る。これで随分違うと思うがな」
「そうだね。それに」
「それに?」
「アムロ中佐も」
アムロも話に出て来た。
「新型のニューガンダムに乗ったりしたら」
「ああ、それいいな」
これにはシンも賛成だった。
「鬼に金棒だぞ、それって」
「シンもそう思うよね」
「ああ、完璧だ」
こうまで言ってみせる。
「やっぱりアムロ中佐とブライト艦長がうちの要だからな」
「そうなんだよね、やっぱり」
これはロンド=ベルにおいては最早絶対のことであった。
「アムロ中佐とブライト艦長でね」
「ああ」
「二枚看板だよね」
「他にも看板は多いがな」
「御二人は大看板だよ」
キラはこうまで言ってみせる。
「僕もああなりたいんだけれどね。やっぱり無理だよ」
「しかしそれでも御前も随分変わったな」
「そうかな」
今一つ実感のない顔でシンに問い返す。
「シンはそう思ってるの?」
「俺も変わったしな」
シンは自分自身に対してもこう言及してみせた。
「それもかなりな」
「そうなの」
「ああ、それでだ」
そのうえでまた言ってみせる。
「どうだ?悪い考えじゃないだろ」
「さっきの新型ガンダムだよね」
「只でさえ戦局がハードになってきてるしな」
またそれについて言及する。
「やっぱりガンダムは必要かな」
「もっとな」
「はい、その通りです」
ここでセランが出て来た。アズラエル達も一緒だ。
「セランさん」
「アズラエルさんまで」
「それで私達考えたんです」
「これからの戦局の為にですよ」
セランとアズラエルは同時に二人に言ってきた。
「三人の為の新しいガンダムを」
「オーブの強力を得て」
「オーブの」
「そうだ」
次に出て来たのはロンド=ミナだった。
「キラ、シン、アスランの為のな」
「えっ、もうですか」
「随分早いな」
「考えることは同じということよ」
プロフェッサーが述べる。
「実際のところね」
「そうなのか」
「そういうことです、それでですね」
「ああ」
シンがセランに対して応える。
「三人専用のガンダムの開発を進めて」
「それで?」
「今使っているガンダムはディアッカ君達に回します」
「そうなりますか、やっぱり」
「それが一番なのですよ」
キラに対しても答えるのだった。
「何しろガンダムは基本性能が高いので」
「はい」
やはりこれが大きかった。
「これからの激戦には欠かせない兵器なのです」
「そうなりますか」
「無論オーラバトラーもだ」
ミナは今度はオーラバトラーを出してきた。
「ああ、そういえば」
ここでショウが出て来た。トッド達も一緒だ。
「今度の新規参加はオーラバトラーだそうだが」
「何者なんだい?」
トッドもそこを尋ねる。
「それも四人らしいが」
「何処の誰なんだか」
「二人は俺達さ」
「よお、久し振りだな」
ここでその二人が出て来た。彼等は。
「フェイ=チェンカ」
「それにアレン=ブレディ」
その二人だった。懐かしいと言えば懐かしい顔触れだ。
「あんた達だったのか」
「まさかと思ったけれどな」
「連邦軍から出向ってことだ」
アレンが不敵な笑みを浮かべつつ二人に述べた。
「ロンド=ベルにな」
「まさかこうなるとは思わなかったが」
フェイはフェイでシニカルな笑みを浮かべていた。
「まあこれも何かの縁だ」
「宜しくな」
「ああ、こちらこそな」
「これで聖戦士が二人加入か」
トッドは冷静にそのことを戦力的に分析していた。
「大きいな、やっぱり」
「俺はズワースだ」
「俺もだ」
二人が乗るのはそれだった。
「まあそれでいいよな」
「確かズワースはここにもう一機あっとと思うが」
「バーンの旦那が乗ってるぜ」
トッドが二人に述べる。
「それで一機か」
「ああ、そうか。じゃあいいな」
「好都合ってわけだ」
「ズワースが三機よ」
それをチャムも言う。
「何か凄いことになってきたね、ショウ」
「そうだな。戦力的にかなりな」
「で、あんた達で二人だ」
トッドはそこをまた指摘した。
「全部で四人だったよな」
「ああ、そうだ」
「俺達の他にもう二人だ」
「それは誰なんだい?」
トッドはそれを問う。
「ちょっとわからねえんだけれどな」
「ジェリルは死んだ」
ショウはまず彼女について言及した。
「それにあの女はそもそも俺達と一緒に戦うような女じゃない」
「まあそうだな」
そのことはフェイが認めた。
「あいつはな。御前とどころか誰とも一緒には戦わないさ」
「そうだな」
「だからああなっちまったんだ」
「破滅だ」
アレンもこう言う。
「仕方がないがな」
「じゃあ誰なんだ?」
トッドはまたそれを尋ねる。
「だとすると。ちょっと思い浮かばないんだがな」
「何か俺のことを話してるのかい?」
ここで出て来たのは実に意外な顔だった。
「ひょっとして」
「ひょっとしてって御前は」
「おいおい、御前さんかよ」
ショウとトッドはその男の顔を見て思わず声をあげた。
「誰かと思ったら」
「マジかよ」
「まあ色々とあってね」
そこにいたのはトカマク=ロブスキーであった。何と死んだ筈の彼だった。
「あの時撃墜されたと思ったらね」
「ああ」
ショウが彼の言葉に応える。
「地上に出て来ていたんだ、この前ね」
「この前!?」
「うん、そうなんだ」
こうショウに述べる。
「この前ここに出て来たばかりなんだ」
「馬鹿な、そんな筈がない」
ショウはすぐにそれを否定した。
「俺達はバイストンウェルでもこの地上でも随分戦ってるんだ。それでこの前なんてことは」
「ああ、それは聞いてるよ」
トカマクのほうもそれはわかっているようだった。6
「君達は随分戦ってきたんだよね」
「そうよ」
チャムが彼に答えた。
「本当に長い間よ」
「けれどどうしてそんな長い時間が経っていたんだ?」
トカマクはそれが不思議で仕方がなかった。
「俺が墜落してかたそれだけ」
「わからない。だが」
「だが?」
ショウの言葉に顔を向ける。
「これも何かありそうだな」
「何かなの?」
「ああ」
チャムに対して答える。
「どうやらな。ひょっとしたらセフィーロと関係があるのか?」
「セフィーロ!?」
「バイストンウェルも。シャドウミラーも」
ショウは言葉を続ける。
「異世界だ。これは横の世界だよな」
「うん」
「時間は縦の世界」
ショウはこう述べた。
「縦の世界もまた異変が起こっているのなら」
「そうよね。有り得るわね」
「あとだ」
トッドがここで言ってきた。
「最後の一人は誰なんだ?」
「ああ、これがな」
「また随分と変わっている」
フェイとアレンが述べてきた。
「シオン=サバっているんだよ」
「シオン=サバ!?」
「ああ、こいつだ」
二人がそれぞれの手で指し示した先には。何処かショウに似た男がいた。
「こいつだ」
「また随分変わっていてな」
「バイストンウェルから来た」
その男シオンはまずはこう言ってきた。
「私と一緒にね」
青い髪のミ=フェラリオも一緒だった。
「宜しくね。シルキー=マウよ」
「シルキー=マウ」
「俺達は七百年後の世界からこっちの世界に来た」
シオンは言うのだった。
「七百年後のバイストンウェルからな」
「七百年後の」
「なっ、妙だろ」
「俺達も最初は信じられなかった」
フェイとアレンはまた彼等に説明してきた。
「しかしな。こいつのオーラバトラーを見れば」
「嘘じゃないってわかる」
「オーラバトラーを」
「サーバインだ」
シオンが言う。
「俺の乗るオーラバトラーはな」
「サーバインか」
「全体的にはダンバインに似ているな」
「そうだな」
またフェイとアレンが説明する。
「ただ、遠距離兵器がなくてな」
「剣だけで戦うタイプだ」
「剣だけでか」
「まあオーラバトラーはそれでもいいからな」
トッドはそれを聞いても特に驚いた様子はなかった。平気なものであった。
「それさえしっかりしていればいいさ」
「そうだな。しかし」
ショウは言うのだった。
「どういうことなんだ。七百年後のバイストンウェルからだなんて」
「やっぱりおかしいわね」
「ああ。おかしなことが異常に起こっている」
チャムに応えて述べる。
「そこにも何かあるだろう」
「バルマーや宇宙怪獣だけじゃないのかしら」
「ひょっとしたら」
ショウはふと思うのだった。
「あるのかもな」
「あるの」
「まだわからない。だがその何かで大きなことになるのかも知れないな」
「不安ね、何か」
「不安だけれど今は戦うしかない」
結論はこれしかなかった。
「何はともあれまた仲間が入った。これで戦おう」
「そういえばよ、トカマク」
トッドがトカマクに声をかけてきた。
「御前さんの乗ってるマシンは何なんだ?」
「一つしかないと思うけど」
トカマクはトッドにまずはこう答えた。
「ダンバインだよ」
「やっぱりそれかよ」
「あの緑のね。あれに乗ってるのさ」
「そうか。三機のダンバインがまた揃ったんだな」
トッドはそのことに妙な感慨を抱いた。
「懐かしいのか腹立たしいのかわからねえな」
「どっちにしろ戦力には変わりないさ」
ショウはだからいいとした。
「それならな」
「それもそうだな。じゃあ行くか」
「そうね」
チャムはトッドの今の言葉に頷いた。
「百鬼帝国との戦いにね」
「これが奴等との最後の戦いか」
「また一つ敵の勢力が消える」
竜馬に対して隼人が答える。
「奴等がな」
「あの連中との闘いもかなりのものになっているな」
弁慶も言ってきた。
「だがこれも今回で最後か」
「けれどよ、気は抜けないぜ」
武蔵が忠告する。
「奴等も必死だからな」
「ああ。彼等も彼等で生存がかかっている」
竜馬の言葉はまさに恐竜帝国の時と同じだった。
「だからこそ」
「何はともあれ出撃しよう」
今回の作戦を担当するユウナが一同に告げた。
「ゲッターチームには作戦通り頼むよ」
「ええ、それは」
「任せてくれ」
こうして遂に百鬼帝国との決戦となった。まずはゲッターチームが出る。その中で隼人が竜馬と弁慶に対してふと言ってきたのだった。
「なあ」
「どうした、隼人」
「俺に考えがある」
まずはこう言ってきた。
「考え?」
「そうだ。まずは俺が囮になる」
「囮!?」
「隼人、何を考えているんだ」
「百鬼帝国も必死だ」
そのことをあえて言ってみせる。
「それなら俺を捕虜にすればどうすると思う?」
「間違いなく人質にするな」
竜馬が答えた。
「その場合はな」
「後は御前を盾にして戦いを進めてくるな」
弁慶もこう読んでいた。
「間違いなくな」
「そうだ、だからだ」
隼人はあえてそこを指摘する。
「俺がわざと捕虜になってだ」
「それであえて奴等の隙を作るのか」
「ユウナさんに言ったら止めるだろうな」
「ああ、それは間違いないな」
弁慶が今の隼人の言葉に応えて述べた。
「あの人は優しいからな」
「だから言わなかった」
そうだったのだ。
「あそこではな」
「だが隼人」
しかしここで竜馬が言ってきた。
「それは俺達も同じだぞ」
「そうだ」
弁慶も同じだった。
「御前にばかり無茶をさせられるか」
「そんなことはさせないぞ」
「三人一緒か」
「少なくとも御前一人で行くよりはいいさ」
「俺達はゲッターチームだろう」
弁慶はそのことを強調してきた。
「何時でも何処までも一緒だろ?だったら」
「いいな、三人でだ」
また竜馬が言う。
「それで囮になる。いいな」
「御前等・・・・・・」
「わかったらこのまま行くぞ」
「それでいいよな」
「・・・・・・ああ」
隼人も二人の言葉に頷いた。あえて何も言わないがそれでも確かなものが心にあった。
「じゃあ行くか」
「ああ、行くぞ」
「戦いにな」
まずは彼等が先行した。そうして単身百鬼帝国の軍勢に立ち向かうのだった。
「ゲッター一体でだと!」
「本気か!」
百鬼帝国の将兵達もそれに驚く。その間にもゲッターは突っ込んで来る。
「ヒドラー閣下!」
「どうされますか」
「何かあるのか?」
狡猾な彼は敵に対してもそういったような見方をする。これはこの時でもだった。
「まさか。ロンド=ベル主力はどうしているか」
「はっ、後方にいます」
部下の一人が彼に報告する。
「ゲッターの後ろに展開しています」
「あと二分程度で戦場に到着します」
「そうか、二分か」
「どうされますか?」
報告をしたうえであらためて彼に問うのであった。
「ここは」
「このままではゲッターの攻撃を受けますが」
「迎撃せよ」
ヒドラーはこう指示を出した。
「中央の軍だけでだ」
「中央だけですか」
「そうだ。しかも精鋭部隊でだけだ」
こうも指示を出す。
「わかったな」
「精鋭だけでですか」
「他の部隊はロンド=ベルを警戒せよ」
ヒドラーはさらに指示を出してきた。
「よいな、狙うのはあくまでロンド=ベルだ」
罠だと見抜いた。そのうえでの指示だった。
「わかったな。他の部隊は動いてはならん」
「はっ、それでは」
「そのように」
彼等はヒドラーの指示に従って動きだした。一部の精鋭達だけでゲッターを取り囲む。そのうえで攻撃を開始したのだがここでもヒドラーが言ってきた。
「よいか、まずは疲れさせよ!」
「疲れさせるのですか」
「そうだ」
それを部下達に伝える。
「まずはそれからだ。いいな」
「そしてどうされますか?」
「ふふふ、いい考えがある」
陰湿な笑みと共の言葉であった。
「この私にな」
「といいますと」
「いいか、殺してはならん」
こうも部下達に言う。
「何があろうともな」
「ですが閣下」
「それは」
「よいから聞け」
異議を呈する部下達にまた告げた。
「ただ捕らえるだけではないのだ」
「といいますと」
「餌だ」
こう言うのだ。
「奴等を人質にするのだ」
「人質ですか」
「そうだ、ロンド=ベルに対してな」
陰湿な笑みのままでの言葉であった。
「人質にしこの戦いを有利に進めるのだ」
「成程っ」
「その手がありましたか」
「そうだ。だからだ」
また部下達に言ってみせる。
「それで行くぞ。いいな」
「はっ、それでは」
「そのように」
彼等もそれで納得して頷いた。そのうえでゲッターに攻撃を仕掛ける。
ゲッターは百鬼帝国のマシンを次々と撃破していく。素早くそれぞれのゲッターになりつつ戦いを進める。その中で隼人が竜馬に言ってきた。
「リョウ!」
「どうした隼人」
「本隊が来るまであとどれだけだ」
「一分だ」
「そうか、一分か」
「敵は五十は倒したぜ」
弁慶も言ってきた。
「どうするんだ?」
「頃合いだ」
隼人はこう弁慶に対して答えたのだった。
「これでな。やるぞ」
「よし、わかった」
「それじゃあな」
二人は隼人の言葉に頷いた。これで決まりだった。それでここで演技をすることにした。
突如としてバランスを崩した。それで誤って敵の攻撃を受ける。そういった演技だった。
「むっ!?」
「やったか!?」
「今だ!」
ヒドラーは真ゲッター1が攻撃を受けたのを見て叫んだ。
「ネットを使え!」
「は、はい!」
「それで被せていけ。よいな!」
「わかりました!」
「それでは!」
皆それに頷き一斉にネットをかけていく。無論特別なネットだ。それでゲッターの動きを絡め取ってしまったのである。見事と言える連携ではあった。
「よし、やったな!」
「はい!」
「遂にゲッターを!」
彼等が会心の声をあげているその時に。丁度ロンド=ベルが来たのだった。
「な、ゲッターが!」
「まさか!」
甲児とアムロが捕らえられているゲッターを見て思わず声をあげた。
「リョウ!隼人!弁慶!」
「無駄だ!」
武蔵が叫ぶとヒドラーがそれに応えてきた。
「ゲッターは最早我等の手に落ちた!」
「何だって!」
「これが何よりの証拠だ!」
こう叫んでその捕らえられているゲッターを指し示してみせた。
「ゲッターの命が惜しくば進むな!」
「何!」
「これ以上進めば命はないぞ!」
ヒドラーはこうロンド=ベルの面々に宣言するのだった。
「わかったな!」
「糞っ、卑劣な!」
「そう来るというのか!」
「何とでも言うがいい!」
それで臆するヒドラーではなかった。
「こちらも生きなければならん!何としてもな!」
「だから人質もいいっていうのかよ!」
「そうだ!」
武蔵に対しても言葉は変わらない。
「来るなら来い!そのかわりこの者達の命はないのは確かだ!」
「くっ!」
「何という男だ!」
「構わん、先に進め!」
リーはそれに構うことなく前進を命じる。
「戦争に犠牲は付き物だ!」
「おい、艦長!」
その彼にアカネが抗議する。
「リョウ達がどうなってもいいのかよ!」
「言った筈だ。戦いには犠牲がつきものだとな」
「だからってよ!」
「それにだ」
「それに!?」
今度はリーの言葉を真面目に聞いた。少し冷静になったうえで。
「あの者達、いや神隼人だ」
彼は隼人に関して注目していた。
「あの男がそう簡単に捕虜になるのか」
「捕虜に!?」
「そうだ。何かがある」
彼はこう読んでいた。
「だからだ。安心して攻めればいい」
「絶対に助かるっていうのかよ」
「その通りだ。案ずることはない」
リーは言うのだった。
「必ずな」
「それならば今は尚更退くべきだ」
「何だとっ!?」
今言ってきたのはブレスフィールドだった。
「ここで戦えば何にもならないぞ」
「馬鹿な、今攻めずにどうするというのだ」
「そうだよ、ブレスフィールドさん」
作戦の発案者のユウナも話に入って来た。
「これがそもそもの作戦なんだし。もっとも僕はここまで考えていなかったけれど」
彼は百鬼帝国の面々がゲッターに気を取られている間に総攻撃を仕掛けるつもりだったのだ。しかし彼等が捕虜になるとは考えていなかったのだ。
「それでも」
「いや、もう少し待っていればより一層いい状況になる」
しかしブレスフィールドはまた言うのだった。
「だからここは一旦退こう」
「一旦ですか」
「そうだ。少しな」
「それじゃあ」
ユウナはそれに傾いた。
「撤退するかな、一旦」
「馬鹿な、ここで撤退すれば」
しかしリーはまだ反論する。
「敵に態勢を整えさせてしまうぞ」
「何、それもすぐに崩れる」
だがブレスフィールドの言葉は変わらない。
「だからだ。退くぞ」
「退くか」
「ゲッターチームが心配なのではあるまい」
「戦いに私情は挟まん」
これがリーの考えの基本だ。
「しかし」
「しかし!?」
「それが必要ならばそうする。それだけだ」
「それだけか。では退くな」
「まあいいだろう。それではな」
撤退を命じる。これで決まりだった。
ロンド=ベルは一旦退く。それと同時にブライと彼が率いる本軍が姿を現わした。
「ヒドラー元帥よ」
「はっ、これはブライ大帝!」
「やったようだな」
「ロンド=ベルは一時撤退しました!それに」
「ゲッターをか」
「見事捕虜としました!」
そのことをブライに対して告げるのだった。
「これで我等の勝利は間違いなしであります!」
「うむ、では皆に告げる!」
ブライはヒドラーのその言葉を受けてまた言う。
「我等はまずはロンド=ベルを退けた!」
最初にこう叫ぶ。
「そしてだ。次の戦いも必ず勝つ!その時こそ我が百鬼帝国の栄光のはじまりだ!」
「百鬼ブラーーーーーーーイ!!」
「百鬼ブラーーーーーーーイ!!」
ブライを讃える声が木霊する。彼にとっては勝利のはじまりだった。
捕虜となったゲッターチームはそのままブライが乗り込んでいる巨大要塞に収容された。言うまでもなくゲッターも同じである。
「さて、とだ」
竜馬は暗い牢獄の中で声をあげた。
「これでまずはいいんだな」
「ああ、その通りだ」
それに隼人が応える。
「これでな。まずはな」
「そうか。ならこれからは」
「ただ。脱出するんだよな」
弁慶はそれを隼人に問うた。
「尋常なことじゃないぜ。かなりな」
「それはもうわかっている」
しかしそれを言われても隼人の言葉は変わらない。
「とっくの昔にな」
「じゃあ逃げることはできるんだな」
「安心しろ」
こう言う隼人だった。
「それはな。すぐにな」
「そうか。それじゃあ」
「ゲッターが置かれている格納庫の位置も頭に入れておいた」
「それもか」
「大事なのはタイミングだ」
しかし隼人はここでこう言うのだった。
「タイミング!?」
「そうだ、何時外に出るかだ」
二人に語るのはそれだった。
「そこだけを考えてくれ。いいな」
「わかった。それじゃあな」
「今は大人しくしていよう」
隼人は今は動こうとはしなかった。
「いずれ騒がしくなる。その時だ」
「よしっ、じゃあ暫く身体を休めるか」
弁慶はとりあえず寝転んだ。
「今はな」
「そうするか。だが百鬼帝国」
「どうしたんだ?リョウ」
弁慶は竜馬の声に問うた。
「彼等も崩壊する運命なのか」
彼はこう考えていた。
「未来には彼等の姿はなかった」
「おそらくはな」
それに隼人も頷くのだった。
「だが。未来は変わる」
「ああ」
これもまた彼等がその身ではっきりとわかっていることだった。
「だからだ。俺達が敗れれば」
「そういうことだな」
「じゃあよ。時が来れば」
また弁慶が言うのだった。
「やろうぜ。三人でな」
「ああ」
「勝利の為にな」
竜馬と隼人もそれに頷く。今ゲッターチーム一世一代の大博打が打たれようとしていた。

第六十四話完

2008・5・28 
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