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【旧】銀英伝 異伝、フロル・リシャール

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プロローグ


これは銀英伝の二次創作です。またこれが初めての小説なので、下手かもしれませんが……悪しからず……。
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プロローグ

 肥大した銀河連邦が招いたゴールデンバウム朝から、自由惑星同盟が離脱して数百年。宇宙の歴史は人の営みを超越するように紡ぎ出されていた。宇宙に出た人間は己の卑小さをその本能として刻み付け、両国の長い戦争はその終わりの糸口を見せようとはしていない。
 宇宙歴766年、自由惑星同盟首都星ハイネセン、第二都市デンホフという街でその男は生まれた。
 フロル・リシャール。
 宇宙の歴史という悠久の流れの中ではそれもまた、儚く散り行く命に過ぎない。だがこのフロルという男の存在は、同盟にとって大きな意味を持つことになるのである。

 かのヤン・ウェンリーの養子にして、若き英雄として名を馳せたユリアンはのちに自伝で、このフロル・リシャールという男についてこう述べている。
「彼はまるで突然現れた旅人だった。彼は何かに達観しているような眼差しとその非凡な能力、そして何よりその人柄によって多くの人を魅了し、それは私も、そしてヤン提督も例外とはなりえなかったのである」

 彼が生まれたのは首都星ハイネセンの第二都市だった。彼はそこで幼少期を過ごし、そして志願してハイネセンの同盟士官学校に入学した。彼の人となりを知る士官学校前の友人は、みな不思議がった。彼らの口を借りて言うと、「彼は軍やら国家やらの為、なんて大義名分が大嫌いな男だった」と言うのである。だから彼らにとってはフロルの入学はまさに青天の霹靂と言えるものだった。その頃の悪友、ボリフ・コーネフはこう言う。
「フロルの阿呆が士官学校なんざに入学するって聞いてな、俺はあいつに聞いたんだ。『どうした、気が狂ったか?』ってな。するとあいつは言ったんだよ。『俺が馬鹿で阿呆なのは知ってるだろ? だけどな、これから楽しく愉快に生きるには、逆にこっちのほうが都合がいいんだ』ってな。なんのことかって話だぜ。フェザーン人の俺にとっては意味不明ってやつさ」

 さて、士官学校に入学したフロルはその一つ下の後輩、かのヤン・ウェンリーと知己となる。そしてそのヤン一派としてその後一角を担うダスティ・アッテンボローとも、先輩後輩の壁を越えた友人関係を結ぶのである。三つ後輩であるアッテンボロー氏は彼との初対面について、こう述べている。
「フロル先輩は不思議な人でしたよ。士官学校なのに後輩にも威張らない男で、先輩にもフレンドリー。まぁ、かっちかちの頭の固い奴からは疎まれてましたが、先輩を心底嫌ってる男なんていませんでしたよ。今でも思い出します。俺が士官学校に入学した時、先輩の方から俺に会いにきたんです。なんでだかは知りませんが……。一学年の教室に来て、いきなり俺を呼んだんですよ。『ダスティ・アッテンボローはいるか!』ってね。おずおずと手を挙げた俺に、先輩はにこやかに歩み寄ってきて『フロル・リシャールだ。よう後輩、飲みに行くぜ!』って。俺は入学式からバーに直行ですよ。初対面の俺に対してですよ? どこで知ったんでしょうね。随分変わった人でしたが、いやはや、楽しい出会いと申しましょうか」

 その当時、よくも悪くもフロル・リシャールは少なからず優秀と言われながらも奇人変人の類として扱われていた。当時の評価は、その後彼が手に入れていく名声と地位に対して、どんなに好意的に見ても、過小と言うべきものだったのである……。

























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いかがだったでしょうか? 今回はプロローグです。できるだけ投稿して行きたいと思います。面白い話になればいいなぁ。ご感想、ご意見、ご要望(?)、お待ちしております……。
 
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