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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第五十九話 怒りの強念者

                 第五十九話 怒りの強念者
「じゃああんたカメレオンは好きじゃないのか」
「ああ」
アスランがコウタに答えていた。
「何かな、あまりな」
「何か変わってるな、それってな」
「何故かシンやレイが羨ましい」
アスランはそのうえでこう言う。
「クライマックスだの答えは聞いていないだの言えるからな」
「そういえば最近あれですよね」
ショウコもここでふと気付いたことがあった。
「ユウキさんとか京四郎さんとか最近」
「ああ、汚れがどうとか言ってるよな」
「あれって何なんでしょうか」
「何となくだがわかる」
アスランにはそれがわかった。
「おじゃるって言葉を聞くとな」
「そうですか」
「しかし。そう考えるのは俺だけじゃない筈だ」
何故かアスランはまた力説する。
「特にリュウセイやサブロウタは。最近何か」
「そうですよね。ラッセさんなんか特に」
「頭が高い。鳥が好きになったしな」
「そういえばザフトから何か凄い大きな雀さん達が来ましたね」
「ああ、ミグキャリパーだな」
イザークがそれに答える。
「あれのことだな」
「はい、あれは何なんですか?」
「プラントで色々と生物の研究をしているうちにできた」
「雀を?」
「食用にと考えていたらしいがそれでも大型化してしかも知能まであがってな」
「何処をどうやったらそんな訳わからねえことになるんだ」
コウタはイザークの話を聞いていて思わず突っ込みを入れた。
「最初何なんだと思ったぞ、あれは」
「まあ気にするな」
「随分と強引に話を進めてるな」
隼人が今のイザークの言葉に突っ込みを入れる。
「流石にあれは無理だぞ」
「俺もあれには驚いた」
それはイザークも同じだったのだ。
「食べられないしな」
「そういえば雀って食えるのか?」
アスランはそれが気懸かりだった。
「鶏とかならともかく」
「何言ってるんだよ、食うだろうが」
しかしそれにディアッカが突っ込みを入れる。
「普通に焼き鳥にしてよ。小骨が多いが美味いぜ」
「そうなのか」
「そうだよ。ちゃんと勉強しとけよ」
「雀は食えたのか」
「というかディアッカよくそんなこと知ってますね」
「料理なら任せとけよ」
こうニコルにも言う。
「焼き鳥も得意だしな」
「その才能ちょっとミナキに分けて欲しいな」
トウマがさりげなく呟く。
「あれはちょっと」
「うちの部隊って料理の腕が極端だからね」
ユウナも話に入って来た。
「カガリなんてねえ。それこそ何やっても野戦食、キャンプファイアーの食事だし」
「それは褒めているのか?」
「お世辞にもプリンセスの食事じゃないね」
当人を前にして堂々と言ってのける。
「まあそれでも作れないよりはましかな、とか思っているんだけれど」
「料理を作ってもらえるだけ有り難いと思え、女の子にな」
「そうだね。せめて普通の食事を」
「全く。好き勝手言ってくれる」
「御前はガサツ過ぎるんだよ」
シンがまた言わなくていいことをここで言う。
「そこへ行くとマユなんてな。まだ小さいのにそれこそ最高の手料理を俺に」
「御前は妹の料理だと何でも美味しいんじゃねえのか?」
バサラがそのシンに突っ込みを入れる。
「まあそうかもな」
「料理はハートだけれどな」
「ハートなのか」
「ああ、それがあるのとないのとで味が全然違うんだよ」
カガリにも述べる。
「少なくとも姫さんの料理はハートがあるぜ」
「それはそうだね」
ユウナもそれは認める。
「食べられるものではあるよ、確かにね」
「そこに至るまで様々な紆余曲折がありました」
「全く」
キサカとトダカの言葉が実に感慨深い。
「胃薬が手放せなくなった時もあれば」
「気が遠くなった時も」
「・・・・・・御前等、よくそこまで言えるな」
「こいつがそもそも料理みたいな繊細なものできねえしな」
またシンが言う。
「男に生まれても全然よかったのによ。多分神様が間違えたんだな」
「ふん、シスコンが」
「何ィ!?」
ここでいつもの様に喧嘩に入る。
「今何つった!」
「シスコンと言った!しかもロリコンだろうが!」
「それじゃあまるで俺が変態みたいだろうが!」
「そっくりそのまま変態だ!」
カガリも言い返す。
「このど変態が!警察に突き出すぞ!」
「面白い!やってみろ!」
お互いの胸倉を掴み合っていた。
「ザフトのトップガンを舐めるな!」
「オーブの国家元首を舐めるな!」
「まあこの二人は置いておいて」
ユウナはフォローすらしようとしない。
「バサラ君の言う通りだね。料理はハートだよ」
「そうですね、確かに」
「それは」
皆それに頷く。その通りだった。
「相手にどれだけ美味しく食べてもらうか、それだね」
「そういえばレオナは」
タスクはレオナのことに気付いた。
「自分の味と逆にしたらすっげえ美味いもんな」
「あれは味覚の問題だよ」
「そうね」
それにヒメとカナンが頷く。
「レオナは普通の人と味覚が少し違うんだ」
「ただそれだけよ」
「じゃあ。フレイは何なんだ?」
ミゲルはフレイについて言及した。
「あの味付けは」
「あれはただの経験不足じゃないかしら」
キーンはこう予想する。
「お嬢様だしね」
「そうか」
「それよりも問題は」
キーンの顔が曇る。
「マリューさんとかミサトさんとかクスハちゃんとかそのミナキさんね」
「えげつない顔触れになってるな、また」
ニーも少し引いていた。
「そもそもミサトさんは料理するのかい?」
「見たことないけれど」
ショウとリムルが突っ込みを入れる。
「いつもビールとおつまみとレトルトだよな」
「女の人でも痛風にならないかしら」
「とにかく。料理下手だととことんだな」
トッドはこう結論付ける。
「ロンド=ベルはな」
「特に凄いのは誰かしら」
マーベルは恐ろしいことを考える。
「ラクスも凄いけれど」
「あれ食って平気なのって宙さんだけ?」
「俺でも無理だ」
ミリアリアにその宙が答える。
「一発で故障する」
「そうですか、じゃあ駄目ですね」
「オルガ達は普通に食べてるよ」
勇が三人を話に出した。
「そのメンバーの食事をどれも奇麗に平気に」
「あの三人はな」
「特別だな」
ナンガとラッセが言う。
「時々致死量を遥かに超える量を超えても全然ですし」
カントはそこまで分析していた。
「あとアズラエルさんもです」
「ああ、あの旦那もだったな」
ナッキィがアズラエルに言及した。
「よく考えたらすげえおっさんだな」
「普通の人間なのか?」
「わからないな、それは」
クインシィがシラーに述べる。
「違う可能性もある」
「そうか、やはりな」
「そのクスハのジュースだが」
「うげっ」
皆今のヒギンズの言葉を聞いて思わず声をあげる。
「まさかここに」
「そうだ、ある」
ジョナサンに答える。
「どうだ、ジョナサン」
「悪いがそれは遠慮させてもらう」
流石のジョナサンも逃げた。
「俺は駄目だ」
「そうか、やはりな」
「な、何で皆俺の方を見るんですか」
一同の視線は自然にブリットに向けられていた。本人もそれに気付いて狼狽する。
「ひょっとして皆俺を」
「多分死なないよ」
トールの言葉が温かい。
「多分だけれど」
「そうだよ。ブリットなら大丈夫さ」
カズイの言葉は漫画めいていた。
「ひょっとしたら」
「ひょっとしたらっておい」
「僕達にこれを飲む資格はないしね」
サイも既に逃げている。
「あの三人もアズラエルさんもここにはいないしね」
「だからって何で俺を」
「皆、ブリット君の健闘を祈ろう」
「彼は今英霊になるのだ」
キサカとトダカがもう彼を死んだことにしていた。
「さあ、一杯ぐっと」
「それだけでいいから」
「だ、だから俺は!」
何時の間にか両手を左右から羽交い絞めにされ。そして遂に。
「敬礼っ!」
「うわああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーっ!!」
まずはブリット以外は平和だった。しかしその次の日に。レーダーに反応があった。
「このパターンは」
「あいつなのね」
「はい、間違いありません」
「あの男です」
グワダンの艦橋でランスとニーがミネバに答える。
「孫光龍です」
「どうされますか?」
「ハマーン」
ミネバは彼等の言葉を聞いてまずはハマーンに顔を向けた。そのうえで問うのだ。
「やっぱりここは」
「はい、そうするべきです」
ハマーンの返答もまた決まっていた。
「すぐに向かいましょう」
「孫光龍。またここで」
「問題はあの二人です」
「クスハとブリット」
「何か妙なものを感じます」
ニュータイプの直感だった。ミネバもまた同じものを感じていた。
「何なの、この嫌な感じは」
「ミネバ様、お気をつけ下さい」
さりげなくミネバを気遣う。
「無闇に攻撃されぬよう。宜しいですね」
「わかったわ。それじゃあ」
「はい。総員出撃」
ハマーンはミネバに慎重に動くように進言したうえで指示を出した。
「まずは艦隊の周囲で守りを固めよ。よいな」
「それでハマーン様は」
イリアはハマーンも出撃するかどうか問うた。
「どうされますか?」
「無論私も出る」
これもいつも通りだった。
「ミネバ様には指一本触れさせん。いいな」
「わかりました。それでは」
ハマーンのその言葉を聞いたうえで一礼して述べる。
「艦橋は我々が」
「頼むぞ。ではミネバ様」
あらためてミネバに顔を向けて一礼してから言う。
「言って参ります」
「頼むわ、ハマーン」
ここでも二人の絆は強いものだった。
「クスハ達を宜しくね」
「はい」
自分のことよりもと言うのだった。ミネバも変わってきていた。ハマーンもまた。ロンド=ベルの中でかなり変わった二人であった。
ハマーンの指示に従い総員出撃する。彼等の前にはその孫がいた。
「孫光龍!」
「久しぶりだね、諸君」
孫は明るい顔でブリットに対して応える。
「そとそろ来ると思っていたよ」
「わかっていた!?」
「そうだよ。運命なんだろうね」
クスハに対しても答える。
「僕蜂は巡り合う。いや」
ここで顔が変わった。今までにない残忍な笑みを浮かべてきていた。
「殺し合う運命か。訂正するよ」
「どうしてここにいるんだよ!」
「そうよそうよ」
勝平と恵子が彼に問う。
「そもそも御前はもうガンエデンとは何の関係もないだろ!」
「それでどうしてここに」
「しかも何度もだ」
宇宙太も言う。
「何かあるな、絶対に」
「まあ色々と付き合いがあってね」
「付き合い!?」
「そうさ。まああえて言わないけれどね」
「秘密ってことか」
「やはり怪しいな」
健一と一平も言う。
「この人、まさか」
「まさか!?」
「どうしたのめぐみ姉ちゃん」
大次郎と日吉がめぐみに問う。
「バルマーと」
「!?まさか」
「そんな筈が」
「だからあえて言わないのさ」
いぶかしむ一同を前にしても余裕を崩さない。
「謎は多い方が楽しいものだしね」
「ちっ、舐めやがって!」
カチーナがそれを聞いて激昂する。
「この野郎、前からいけ好かない奴だったが余計にな」
「けれど待って下さい」
しかしラッセルが彼女を止める。
「今迂闊に動いたらそれこそ」
「ちっ!」
「まあ巡り合わせには感謝しているよ」
孫はその余裕のまま言う。
「では楽しませてもらうよ。退屈しない程度には抵抗してみせてくれ給え」
「くっ・・・・・・」
「クスハ、どうしたんだ!?」
「あの気、何だか」
ブリットに対して答える。
「邪悪なものがあるわ。あのユーゼス=ゴッツォとはまた違った」
「邪悪なもの?」
「これが力なの?」
言葉に迷いが出て来ていた。
「念動力」
「ああ、勿論僕も念動力を持っているよ」
またクスハに対して言って来た。
「君達と同じくね。それを正しく使っているのさ」
「正しく・・・・・・」
「そう、正しく」
笑いながら言葉を続ける。
「少なくとも君達よりもね」
「正しく使うと。邪悪なものまで」
「!?おいクスハ」
その念動力を持つリュウセイがクスハに声をかける。
「どうしたんだよ、おかしいぜ」
「そ、そうかしら」
「おい、ブリット」
彼はブリットに対しても言った。
「クスハ、いけるか?」
「それは」
「あ、大丈夫だから」
しかし本人はこう言うのだった。
「だから。安心して」
「だといいけれどな」
「気にしてくれて有り難う」
「ああ」
「けれど。正しく使うと邪悪なものに」
(まずい)
ブリットは今のクスハの異変に気付いていた。
(迷いがある。このままじゃ)
「ブリット君」
その迷いを隠してブリットに声をかける。
「行きましょう」
「いいんだな、本当に」
「え、ええ」
それでも迷いのある言葉だった。
「私は大丈夫よ。本当にね」
「わかった」
(俺がやるしかない)
心と口で言葉が違っていた。
(ここは)
「おやおや」
しかし孫はそのクスハに声をかけるのだった。
「クスハ君だったかな」
「何ですか?」
「今日の君は普段とは違うね」
探るような、それでいて楽しんでいる声だった。
「迷いがあるね」
「それは・・・・・・」
「迷うことはないんだよ。別にね」
「どういうことですか、それは」
「何、簡単なことさ」
笑ってまた言ってきた。
「僕が君を楽にしてあげるからだよ」
「うっ・・・・・・」
「永遠の安息の地へ誘うことでね」
「貴様っ!」
今の言葉に怒ったブリットが前に出る。虎王機に変形させて。
「それ以上言うな!俺が相手になる!」
「おっと、騎士殿、いや侍の登場だね」
クスハに見せた邪悪な笑みを消してまた楽しむ笑みになっていた。
「これは面白くなってきたね」
「答えろ孫光龍!」
剣で真・龍王機に向かいながら彼に問う。
「今度は一体何を企んでいる!」
「だから謎のままだって言ってるじゃないか」
その巨大な姿からは思いも寄らぬ素早さでブリットの攻撃をかわしつつ応える。
「それに」
「それに?」
「答えろと言われて素直に答える僕と思うのかい?」
「なら!」
それならそれまでだ、ブリットは思った。
「力づくで聞き出すまでだ!」
「やれやれ、乱暴だねえ」
それには少し引いてみせる。
「それじゃあ彼女に嫌われるよ」
「黙れ!」
しかし彼の言葉を聞かない。
「その薄笑いの仮面を俺と雷虎が剥ぎ取ってやる!」
二人の戦いになった。戦いは熾烈なもので真・龍王機もかなりのダメージを受けている。だがそれはブリットも同じだった。立っているのが不思議な程になっている。
「ブリット!」
「大丈夫か!」
「くっ・・・・・・」
「おやおや、ブリット君」
孫がそのブリットにまた声をかける。仲間達も彼を気遣っていた。
「そんなことじゃ君の正義も守れないね」
「まだだ・・・・・・」
「やれやれ、相変わらず諦めが悪いねえ」
そう言って今度はとぼけたような顔を見せる。
「いい加減に諦めたらどうだい?門、そして鍵に触れたら」
「門・・・・・・鍵・・・・・・」
「君もそれで結末はわかる筈だよ」
「それはゲートのことか!?」
「随分ヒントはあげたよ」
しかし孫は答えない。やはりと言うべきか。
「それでわからないのならどうしようもないね」
「ゲート・・・・・・あれは」
「どうした、エイジ」
「ああ、あれはグラドスの刻印」
彼は大介に答えた。
「あれのことなのか?ひょっとして」
「そうなのか!?」
「まだ確信は持てない」
今はまだであった。
「けれど。グラドス人はバルマーの直系だからひょっとしたら」
「そうなのか」
「俺は、それでも!」
ブリットはまだ剣を持っている。
「少なくとも御前に一矢報いる!」
「それでどうなるのかな」
「後はクスハがやってくれる」
「えっ・・・・・・」
今まで迷っていたクスハの心がその言葉で動いた。
「ならそれでいい!」
最後にこう叫んで孫に向かう。剣が唸る。
「おおおおおおおおおおおおおおっ!」
「ブリット君!」
「やれやれ、熱血だねえ」
その剣を前にしても孫の余裕は変わらない。
「まあいいさ。その心意気に免じて一撃で」
「!?」
「死になよ」
またあの残忍な笑みになった。真・龍王機が唸り声をあげその口から雷を放つ。それをまともに受けたブリットは。
「うわああああああーーーーーーーーーっ!」
「ブリット君!」
「ま、まだ大丈夫だ」
しかし彼はまだ生きていた。かなりのダメージを受けているにしろ。
「俺は・・・・・・戦える!」
「けれど、もう」
「せめて奴に一矢!」
「まさかまだ立てるなんてね」
一応はそれに感心するような顔をする孫だった。
「いやあ、見事見事」
「貴方、どうしていつも私達の前に」
「だから。それは言わないんだよ」
孫は相変わらずの様子でクスハに答える。そのうえで彼女に声をかけてきた。
「それよりもクスハ君」
「何ですか!?」
「どうだい?よかったらだけれど」
こう前置きしてから彼女に告げる。
「僕と一緒に来ないかい?」
「貴方と・・・・・」
「そうさ、君も超機人に選ばれ者」
クスハをこう呼んでみせた。
「だから僕と一緒に人界を救う為に大いなる力の下に向かおうじゃないか」
「・・・・・・さない」
「おや!?」
だがクスハはそれに答えない。かわりにこう言ってきたのだ。
「許さない」
「許さないって誰をだい?」
「孫光龍、貴方を!!」
「!?これは」
「クスハ!!」
孫とブリットが今のクスハを見てそれぞれ叫ぶ。
「ブリット君をこんな目に!私は貴方を許さない!」
「な、何っ!!」
「何だよこれ!」
トウマとリュウセイが叫んだ。
「この力は」
「念動力か!それでもこれは!!」
「今までにない強さだわ」
アヤも半分言葉を失っている。
「ここまでの力は。どうしてこんな」
「絶対に!!覚悟!!」
「これは・・・・・・」
龍王機になる。それで孫に突進してきた。その力で。
「許さない孫光龍!!」
クスハはまた叫ぶ。
「これ程誰かを憎いと思ったことはありません!」
「くっ!」
あの孫が気圧されていた。
「この僕が気圧されるとは。まさかこれが」
「うおおおおおおおおおおおっ!」
「これがサイコドライバーの。クスハ=ミズハの力か!」
棒を受けた。何とその一撃で。真。龍王機が大きく吹き飛ばされたのだ。
「お、おい。嘘だろ」
巨大な龍が吹き飛ぶのを見て甲児は言う。
「あの龍があそこまでやられるなんてよ」
「いや、これは真実だ」
だが大介が彼にこう答える。
「あれこそがクスハ君の。そして」
「龍王機の真の力なのですね」
「そういうことになる」
鉄也にも答えた。
「だが」
「だが!?どうしたんだよ大介さん」
「大丈夫なのか、クスハ君は」
彼はクスハのことを心配していたのだ。
「大丈夫なのかって?」
「あれだけの力を一気に使って」
「許さない・・・・・・許さない!」
まだクスハは激昂していた。
「孫光龍!ブリット君を傷つけて。許さないっ!」
「まさか。まだ」
「うわああああああああああっ!」
また攻撃を仕掛けようとしたその時だった。戦場に何者かが姿を現わした。
「あれは!」
「ペミドバン!」
「バラン=ドバン!出て来やがったか!」
「暫く振りだなトウマよ!」
バランはまずはトウマに対して応えた。
「元気そうで何より。相変わらずのようじゃな!」
「おう、あんたこそな!」
二人は笑い合い言葉を交えさせる。心も。
「しかし。あんたがどうしてここに」
「義により参った」
「義!?まさか」
「左様。孫殿!」
ここで彼は孫に顔を向け彼を呼んだ。
「御無事か」
「これはバラン殿」
孫も彼に応える。
「助けに来て頂いたのですね」
「うむ。このバラン=ドバン友軍を見捨てることはない」
流石はバランであった。
「それは安心せよ」
「どうも」
「しかしだ。まだ安心はできぬ」
「ええ、そうですね」
「さあ、ロンド=ベルの勇者達よ!」
今度はロンド=ベルの面々に顔を向け大音声で叫ぶ。
「ワハハハハハ!」
まずは笑いだした。
「ワーッハッハッハッハッハッハッハッ!!」
「頭がおかしくなったのか?」
「たわけ者!」
甲児に対して叫ぶ。
「わしは何時でも正気よ!」
「じゃあ馬鹿なんだな、やっぱり」
「貴様に言われたくはないわ!とにかくだ!」
彼はそれでも言う。
「やあやあ遠からん者は音に聞け!近くば寄って目にも見よ!」
「名乗りか」
「はい」
一矢にルリが答える。
「間違いありません」
「何か万丈そっくりだな」
「どうやらダンディズムを理解する人がバルマーにもいるようで」
「我こそはドバン家当主バラン=ドバンなりぃぃっ!!」
「それ前に聞いたぜ」
「一回でいいだろ」
「そうだよな」
「黙っておれ、小童は!」
ケーン、タップ、ライトに対して叫ぶ。
「まだ続きがあるわ!」
「げっ、まだかよ」
「ひょっとして今度は」
「日輪が出るのか、ひょっとして」
「だから聞いておれ!」
また三人に対して叫ぶ。
「ここからが大事なのだ。聞け!」
さらに続ける。
「威風堂々、清廉潔白!音に聞こえた御主等の力正面からこのドバンの鉄球で確かめてくれよう!」
「よし、バラン!」
トウマが最初に叫ぶ。
「その言葉と心、受け取ったぜ!」
「うむ!では孫殿」
「ええ」
また孫に顔を向けてきた。名乗りの後で。
「後はわし等に任せるのは」
「ではそういうことで」
「うむ」
「待ちなさい!」
しかしここでクスハが叫ぶ。
「むっ、娘御か」
「孫光龍!」
彼の名を叫ぶ。
「貴方だけは許さない、絶対に!」
「これだけは認めるよ」
孫は苦い顔でクスハに対して言う。
「どうやら僕は君を見くびっていたようだよ」
「そんなこと。関係ない!今は!」
「けれど。今度はこうはいかないよ」
激昂するクスハを睨みつつの言葉だった。
「ブリックリン君、君もね」
「くっ・・・・・・」
「そういうことさ。それじゃあ」
「くっ!」
孫は姿を消した。クスハは歯噛みするしかない。だがまだ戦いは終わってはいなかった。
「全軍攻撃せよ!」
バランが姿を現わした全軍に指示を出す。
「よいな。一気にだ!」
「面白い。正面から正々堂々とかい」
「その通り!」
バランは万丈に対して答える。
「さあ我が力の陣、打ち破れるか!」
「面白い、やってやらあ!」
トウマがそれに乗った。
「今日もここで。やらせてもらうぜ!!」
「トウマ、わかっておろう!」
「ああ!!」
二人は楽しむ笑みを浮かべながら対峙する。
「わしの相手は御主よ!」
「全力で行くぜ!」
「全力で受けてやるわ!」
対峙しながらそれぞれの口で叫ぶ。
「俺の拳!これで!」
「わしの鉄球で!」
「叩き潰してやるぜ!」
「粉砕してくれるわ!」
二人は一騎打ちをはじめた。その周りではもうロンド=ベルの面々が死闘に入っている。マシンはどれもバルマーのものであった。
「やはり数が多いな」
「そうですね」
マシュマーにゴットンが答える。彼等も前線にいるのだ。
「まあバルマーだからわかっていましたけれど」
「わかっていたか」
「いつものことじゃないですか」
こうマシュマーに言う。
「バルマーの数が多いのは。そうでしょ?」
「うむ、確かにな」
ビームライフルを乱射しつつゴットンに答える。
「バルマーは数で押す、か」
「それよりもマシュマー様」
ここでゴットンは話題を変えてきた。
「どうした?」
「あの孫って奴ですけれど」
「あの男がどうしたのだ?」
「一体何者なんでしょうね」
彼が言うのはそれであった。
「何者か、か」
「最初はガンエデンにいて」
「うむ」
まずはそれだった。
「で、今はバルマーと何かありそうですし。何者なんでしょうかね」
「わからんそういえばそうだな」
「そうですよね。正体不明もいいところですよ」
「バルマーと関係があるようだが」
マシュマーもそれを言う。
「だが一体どうして彼等と関係があるのか」
「つくづくわからない男ですよ」
「そのわからない男だけれどさ」
二人にキャラが言ってきた。
「何だ、キャラ」
「また出て来るだろうね」
「出て来るか」
「それもすぐにね」
キャラはこう見ていたのだ。
「その時は用心しておいた方がいいよ」
「わかった。その時はな」
マシュマーもキャラのその言葉に頷く。
「我々もな」
「我々もですか」
「どうもあの男は」
今度はゴットンに応える。
「クスハとブリットに執心だ。だが二人を守る為にも」
「そういうことですか」
「そうだ、わかったな」
「ええ、そういうことでしたら」
素直に微笑んでマシュマーに応える。やはり人柄はいい男だ。
「私もやれるだけやりますよ」
「命をかけてな」
「いや、それは」
それはゴットンにとっては勘弁して欲しい話だった。
「まあできることだけってことで」
「全く。だから御前は」
こうは言ってもそれ以上は言わなかった。マシュマーも彼のことはわかっていたからだ。彼等も戦いを続ける。正面からの激突は次第に質で勝るロンド=ベルの優勢となっていた。
「ううむ、相変わらずの強さよ」
「手前もな!」
バランはトウマと闘っている。その中で話をしていた。
「けれどな。俺達はここで負けるわけにはいかねえんだよ!」
「母星の為か」
「そうだ、そして皆の為」
トウマは言う。
「負けるわけにはいかねえんだよ!」
「ほう、さらに成長したな」
バランは今のトウマの言葉を楽しげな笑みで受け取った。
「面白い。では今日はこれまでとしよう」
「何ィ、帰るのかよ!」
「その通りだ。こちらの戦力は最早貴様等の相手になるものではない」
そこまでやられていたのだ。冷静な戦局分析ができないバランではない。
「だからだ。これで帰ろう」
「勝負はお預けってわけかよ」
「その通りだ。ではまたな」
「やいバラン!」
トウマは退くと言うバランにさらに言う。
「何じゃ、今度は」
「今度こそケリをつけてやるからな!覚悟しておけ!」
「その言葉そのまま貴様に返そうぞ!」
バランもバランでこう叫ぶ。
「また来る!楽しみにしておれ!」
こう言い残して戦場から姿を消した。ロンド=ベルは勝利を収めた。しかしこれで話が終わったわけではなかった。ロンド=ベルの面々にとっては。
「それでどうなんだ?」
「ブリットのことね」
「ああ、そうだ」
カイがラトゥーニに対して答える。
「大丈夫なのか?」
「命には別状はないわ」
ラトゥーニはこう答えた。
「けれど」
「傷は深いか」
「ええ。クスハも必死で看病しているけれど」
「起き上がれそうにもないか」
「暫くは。それで」
「クスハも消耗しているな」
精神的にもだ。それが問題だったのだ。
「休ませるべきだが」
「言っても聞かないの」
ラトゥーニは首を横に振った。
「どうしても」
「あいつにしては珍しいな」
「気持ちはわかるわ」
ガーネットが言う。
「あたしだってね。そんな時は」
「そうだよな。俺もだ」
ジャーダもそれは同じだった。
「若しそうなったらな」
「だが。このままではクスハもだ」
それもカイはあくまでクスハを気遣う。
「何とか休ませなければならないのだが」
「しかし今はどうしようもない」
ギリアムはそれはもう諦めていた。
「今はな。クスハの好きなようにさせておけ」
「それしかないのか」
「そうだ。今はそっとしておくことだ」
「・・・・・・仕方ないな」
カイもそれに従うことにした。遂に。
「それならばな」
「じゃあせめて」
ラーダが言う。
「彼女が疲れないようにしましょう」
「そうだな、俺達ができることはそれだけだからな」
ジャーダがラーダのその言葉に頷く。
「だから今は」
「二人にさせてあげましょう」
「二人か」
「そうだな」
皆で頷き合う。今はクスハをそっとすることにした。しかし問題はまだあった。
「何故バルマーが出て来た」
アムロはそれに疑念を抱いていた。マシュマー達と同じ疑念だった。
「あそこで。何故だ」
「ガンエデンの従者でしたよね」
カミーユがそこを指摘する。
「確か」
「そうだ。ガンエデンとバルマーは全く別の筈だが」
「いや、そこだ」
だがクワトロはここで言った。
「ガンエデンだが」
「どうした、シャア」
「あれはユダヤ的だ」
「ユダヤ的か」
「そうだ。ガンエデンだ」
まずはこのガンエデンという名に注目する。
「ガンエデンは楽園だ」
「ああ」
アムロがクワトロの今の言葉に頷く。
「楽園の思想はヘブライだ。それに」
「それに?」
「バルマーの十二支族」
バルマーについても言及する。
「ユダヤの十二支族と同じだ」
「!?そういえば」
ミサトもここで気付いた。
「エヴァもまた」
「そうだったな。死海文書だ」
「それにカバラも関わっていますし」
「ガンエデンと何か関わりがあるのか?」
「そしてバルマーとガンエデンも」
これはクワトロの言葉だ。
「何か関係があるのか」
「まだわかりませんね。何も」
「そうだな。今はな」
ミサトとアムロが言った。
「しかし似ているものがある。それに」
「それに?」
「碇司令は死んでいたな」
「ええ」
ミサトはアムロの言葉に答えた。
「そうですが」
「本当に死んだのだろうか」
彼はふとこう言うのだった。
「死んではいないと」
「まさかとは思うが」
ふと思ったのだ。
「あの人のことだ。生きている可能性もある」
「ですが生きているとすれば何処に」
「わからない。しかしガンエデンにはいなかった」
これは間違いなかった。
「こちらのガンエデンにはな」
「!?そういえば」
今度はカミーユが気付いた。
「どうした、カミーユ」
「ガンエデンは女でしたね」
「そうだったな」
「おかしくはないですか。ユダヤなら」
カミーユもユダヤのことは知っている。だから言えるのだった。
「男の神の筈です」
「男の神か」
「ユダヤ教は極めて男権的なのは確かです」
アムロにミサトが述べる。
「それは確かです」
「だがガンエデンは女だった」
「おかしくはありませんか。ユダヤだと」
「いや、そうした例はある」
だがここでクワトロが言った。
「例がある!?」
「クワトロ大尉、それは一体」
カミーユとミサトがここでクワトロに問う。
「何ですか!?」
「その例とは」
「リバイアサンだ」
彼が出したのはそれだった。ヘブライの巨大な海竜である。そのあまりもの巨大さで有名になっている海の獣である。かつては他の神話の邪神の家臣だった。
「リバイアサンですか」
「本来リバイアサンはつがいだったのだ」
クワトロは言う。
「だが雄だけが残ったのだ」
「雄だけが」
「そうだ。そして箱舟にも雄と雌がそれぞれ乗った」
そうして全ての動物を救った。ノアの箱舟の伝承だ。
「女だけというのはユダヤ教ではまずない」
「それではつまり」
ミサトはここまで聞いてある考えに及んだ。
「男のガンエデンもいると」
「そしてそれはまさか」
「いや、有り得る」
今度はアムロがミサトとカミーユに答えた。
「それもな。やはり」
「そうですか」
「ではひょっとするとバルマーも」
「誰もそれについてはわからないがな」
アムロは今は断定は避けた。
「しかしひょっとするとだ」
「今後はそれも見ていきますか」
「そうだな」
クワトロがミサトの言葉に頷いた。
「それもだな」
「では今は補給を受けよう」
アムロは戦いに話をやった。
「先程の戦いでかなりの燃料弾薬を消耗している」
「確かに」
それにミサトが頷く。
「バルマー軍は連続して攻撃を仕掛けてくることが多いですし」
「それを考えるとな。ここはやっぱり」
「うむ」
クワトロがアムロの言葉に頷いた。
「そうしよう、ここはな」
「わかりました。それでは」
「あの孫光龍」
アムロは彼の名も呟いた。
「また出て来るだろうな」
「そうだな、おそらくは」
「わかるのですね」
「いや、わかるというよりは」
アムロがミサトに答える。
「感じるんだ」
「気配をですね」
「何となくだけれどな。来ると思う」
「そうですか。ではやはり今のうちに」
「そうしよう。次の戦いに備えて」
「ええ、それでは」
彼等はまた補給を受けることになった。戦いの中で。ブリットの傷は深くそれだけ戦力が落ちていても。それでもまだ戦わなければならなかったのだ。

第五十九話完

2008・5・6
 
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