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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第五十四話 望まれぬ訪問者

             第五十四話 望まれぬ訪問者
「ふむ」
「どうなさいました、御主人様」
ある部屋の中で。ノートパソコンを見て声をあげたシュウにチカが問う。
「また二つ出て来ました」
「二つ?」
「三つと言うべきでしょうか」
こう言葉を変えもした。
「ここは」
「シャドウミラーみたいなのがまた出て来たんですか?」
「その通りです」
こうチカに答えるのだった。
「どうやら。今度は」
「今度は」
「さらに面白い存在のようですね」
含み笑いを浮かべての言葉であった。
「この世界の均衡を考えるうえで」
「また何か色々と出て来ますね」
チカは素直に感想を述べた。
「どうなってるんでしょうか」
「どうなってると思われますか?」
逆にチカに問い返してきた。
「この事態は」
「さて」
こう言われてもチカにわかる筈もない。首を捻るだけだった。
「どうしてでしょうか。そういえば」
「ここにこそ大きな謎があるのですよ」
シュウはまた笑って述べる。
「ここにこそね」
「はあ」
「バイストン=ウェルにしろ」
まずはこの世界だった。
「セフィーロにしろ違う世界です」
「ですよね、確かに」
「シャドウミラーもまた」
続いて彼等について言及する。
「どうしてこちらの世界に来たのか、です」
「介入したいからってわけじゃないですよね、やっぱり」
「彼等の意志とはまた別です」
シュウの返答はまた実に変わったものだった。
「それとは別に」
「何かあるんですか?」
「一つ。大きな意志が存在しているのですよ」
「意志が!?」
「そうです」
シュウはまた語る。
「それです」
「意志って。神様みたいなもんですか?」
「ええ」
またチカの言葉に頷いてみせてきた。
「そうですね。それに近いでしょう」
「またまた謎が出ていますけれど」
「いえ、出たのではないのですよ」
シュウはそれは否定する。
「むしろ」
「むしろ?」
「アクターが揃ってきているのです」
「役者が、ってことですか」
「そのアクター達が今集まる」
シュウの言葉が少し真剣なものになった。
「ストーリーは。少しずつ進んでいます」
「そうですか。それじゃああたし達がすることは」
「今はまだです」
だがシュウは今は動かないと言った。
「まだです。いいですね」
「わかりました。じゃあそういうことで」
「はい。それでは今は」
「寝ていいでしょうか」
チカは不意にこんなことを言ってきた。
「寝るといいますと」
「いえね、あんまり天気がぽかぽかしてるもんですから」
いつもの軽い調子でシュウに言う。
「眠くなっちゃって。それでですよ」
「だからですか」
「それでいいでしょうか御主人様」
あらためてシュウに問う。
「寝てしまっても」
「ええ、どうぞ」
そしてシュウもそれを認めて頷くのだった。
「私は構いませんよ」
「わかりました、それじゃあ」
シュウのその言葉を聞いて彼の影の中に入るのだった。
「これで。お休みなさい」
「ええ。さて、私も」
シュウもここでノートパソコンを切るのだった。そのうえで呟く。
「休みますか」
こう言ってパソコンの前から姿を消す。そうして何処かへと姿を消すのであった。
闇の中にその三人はいた。見れば彼等は子供であった。女の子が二人に男の子が一人。彼等は闇の中で向かい合って話をしていた。
「デュミナス様が言っていたわ」
まずはピンクの髪の女の子が言った。
「何て?」
「そろそろ仕掛けてって」
男の子に述べる。
「もういい時間だからってね」
「そう、わかったよ」
少年は少女のその言葉に頷いた。
「じゃあティス、僕はね」
「ええ。デスピニス」
少女はもう一人いる少女に声をかけた。見ればその少女は髪が長い。
「あんたも。いいわね」
「ええ」
おどおどした調子で答えた。
「わかったわ」
「で、ラリアー」
ティスはまた少年に顔を向けそれと同時にその名を呼んだ。
「どうするの?動くことは動くけれど」
「僕は。あっちに行くよ」
「ああ、あっちね」
「うん」
こくりと頷くラリアーだった。
「ティスはどうするの?」
「何かあの人達もう出たがっているのよ」
「もうなんだ」
「随分喧嘩っ早い人達だからね」
こう話すのだった。
「だからよ。あたしも行くわ」
「どっちが先になるのかな」
「あんたと一緒にいるあのでかいのは後でしょ」
「確か」
ティスに対して答える。
「そうだったと思うけれど」
「じゃああたしが先よ。デスピニア」
またデスピニアに声をかけた。
「行きましょう。いいわね」
「うん」
ここでもおどおどとした調子で頷くのだった。
「わかったわ」
「さてと、どうなるかしらね」
ティスは考える顔をしてから一言述べた。
「この星じゃね」
楽しそうに笑う。しかしその笑みは何処か機械、いや人形めいていた。彼女達がそのことに気付いているかはどうかは別にして。
パリ。ここで一組のアジア系の少年少女が遊んでいた。
「なあショウコ」
「何、お兄ちゃん」
名前を呼ばれた茶色の髪の小柄な少女が自分よりやや年輩の青い髪の少年に言葉を返す。
「パリに来たけれど何か日本の方がいいな」
「そうかしら」
「ああ。何か変に飾ってるよ」
顔を少し顰めさせていた。
「ハウステンボスとあまり変わらない場所だってのにな」
「ハウステンボスはオランダじゃないの?」
「あっ、そうだったか」
「ここはパリよ」
それをまた言う。
「気をつけてね。コウタお兄ちゃん」
「ああ悪い悪い」
妹に言われてコウタは素直に謝る。二人は今橋の上にいてそこからセーヌ河を眺めているのである。そのセーヌ河を見てコウタは言う。
「クレープ食いたくなったな」
「さっきお昼食べたばかりじゃない」
「それでもだよ」
兄は言う。
「腹が減ったから仕方ないだろ」
「もう、食べてばかり」
「じゃあそのクレープだけれどな」
今度は妹の話を聞かなかった。
「どの屋台がいいかな」
「そう言われても」
ショウコも首を捻るしかなかった。
「何処がいいかしら」
「わからねえのかよ」
「だって。パリははじめてよ」
それが一番の理由だった。
「どのお店が一番かどうかなんてわからないわよ」
「おっと、それもそうか」
「そうよ。それに」
理由はまだあった。
「パリって言っても広いし」
「だよな」
これにはすぐに頷くことができた。
「こんなに広いなんてな」
「東京や大阪と同じね」
「ああ」
妹の言葉に対してまた頷く。
「何か道に迷いそうだな」
「小道もあるし」
「じゃあ。あそこにするか」
とりあえずといった感じで手近にある屋台を指差した。
「クレープだよな、あれ」
「見たらわかるじゃない」
見れば確かにクレープ屋だった。丁度客がそれを買って食べている。
「じゃああれでいいや。食おうぜ」
「ええ、わかったわ」
二人はそのままクレープ屋に行き一つずつ頼んだ。そのうえで二人仲良く食べるのだった。クレープの甘さと美味さが二人を幸せにする。
「なあ」
その幸せの中でコウタは妹に声をかけた。
「何?」
「ロンドンじゃ派手な戦闘があったんだよな」
「ええ」
兄のその言葉に頷く。
「そうよ。ロンド=ベルとグラドスの」
「ここにも来るかな」
コウタの今度の言葉はこうだった。
「ロンド=ベルは」
「さあ」
兄のその言葉には答えられなかった。首を捻ってしまった。
「どうかしら、それは」
「来ればいいよな」
楽しそうな笑顔を見せた。
「じゃあクレープもう一ついくか?」
「まだ食べるの?」
「腹が減ってるから仕方ないだろ」
こう妹に言い返す。
「御前はいいのかよ」
「私は別に」
そう言って断る。
「食べたいのならお兄ちゃんだけね」
「わかったよ。それじゃあ」
彼だけ買って食べる。そんなことをしながらパリを楽しんでいると。やがて空が暗くなった。
「何だ?」
「雲?」
それに気付いて上を見上げるとそこにいたのは。
「なっ、バルマーか!?」
「いえ、違うわ」
ショウコはコウタのその言葉を否定した。
「あれはバルマーのものじゃないわ」
「じゃあ何なんだよ!」
「わからないわよ。けれどあれは」
『修羅だ』
不意に誰かの声がした。
「えっ!?」
『修羅だ』
また声がした。
『あれは修羅だ』
「修羅って一体」
「何なんだよ」
コウタも言う。しきりに周囲を見回す。だが誰もいない。
「そもそも誰なんだよ急に」
「本当に。誰?」
『ロア』
ここで声がした。
『エミィ』
もう一つ。また声がしたのだった。
『君達に力を貸してもらいたい』
『御願い』
「御願いって何よ急に」
ショウコにはもう何が何なのかわからなかった。
「力って」
「そうだよ。俺達に何なんだよ」
『俺達は幾多の戦いを経てきた』
『けれど。実体をなくして』
「実体をなくしたっていうとあれかよ」
コウタはそれを聞いて思った。
「幽霊かよ」
『いや、違う』
それは否定する。
『違うが。戦えない』
『この世界にも来ているのに』
「この世界!?今上にいる連中かよ」
『その通り』
また声が答えた。
『修羅』
『そして他にも』
「他にもって」
ショウコもさらに訳がわからなくなっていた。
「何が何だかわからないけれど」
「で、俺達にどうして欲しいんだよ」
『共に戦って欲しい』
「一緒に!?」
『そうだ』
またコウタに言ってきた。
『だから。君の身体を』
『貸して。地球の為に』
「地球の為に」
「ねえお兄ちゃん」
ショウコはそこまで聞いて兄に顔を向けて声をかけた。
「悪い人達じゃないみたいよ」
「ああ、そうだな」
コウタもそれは感じていた。
「どうやらな」
「それでロアさんでしたっけ」
『そうだ』
『私はエミィよ』
ショウコの言葉に応えてきた。
『俺達は修羅、そしてこの世界にいる様々な勢力と戦う為に』
『実体をなくしてもここに来たのよ』
「そうか、それなら」
コウタは遂に決断した。
「じゃあ一緒に戦うぜ。いいな」
『頼む』
『是非共」
「身体を貸したら私達はどうなるの?」
『そのままよ』
エミィの声が答えてきた。
『だから安心して』
『戦うのは一緒だが』
「ならそれでいいぜ」
コウタはそれで納得した。
「じゃあよ。俺と一緒に戦うのは」
『俺だ』
ロアが名乗り出てきた。
『そして貴女とは』
「私なのね」
『そう。御願い』
また言ってきた。
『していいわよね』
「私も覚悟は決めたわ」
ショウコもまた兄と同じ決断を下した。これで決まりだった。
「よし、それなら!」
「やるわ!」
強大は同時に叫んだ。
「ロア!」
「エミィ!」
それぞれのパートナーの名を叫ぶ。
「今ここでな!」
「力を貸して!」
『わかった』
『それなら』
二人が兄妹と重なる。すると。そこから二人は突如として姿を現わした巨大なマシンに乗り込んだ。それは。
「このマシンは」
「一体」
『Gコンパチブルカイザーだ』
二人にロアが答える。
『これで修羅と戦うんだ』
『頼むわ。私達もいるし』
「わかった。それなら」
「修羅は。何処に」
「出たな」
見れば目の前に。長い髪を持つ何処か人を思わせるマシンが姿を現わしたのだった。それは先程空にいて二人が見上げたあの修羅だった。
「Gコンパチブルカイザー」
「あれが修羅か」
『そうだ』
ロアがコウタに答える。
『まさしくあれがだ』
「おい、修羅!」
コウタはその修羅に対して問うた。
「御前は一体何だ!」
「フォルカ」
彼はまずこう名乗った」
「フォルカ!?」
「そうだ。フォルカ=アルバーク」
今度は己の姓も述べた。
「これが俺の名だ。そして俺は」
「修羅だっていうんだな」
「ロア、ここでも貴様と戦うのだな」
『その通りだ』
ロアの意識が彼に答える。
『実体はないがそれでもだ』
「わかった。ならば来い」
フォルカはそれを聞いて頷くのだった。Gコンパチブルカイザーのモニターには赤い髪の精悍な顔の男がいた。
「ここでもまた・・・・・・貴様と戦う!」
「なっ、もう来たのか!」
「しかも・・・・・・速い!」
コウタもショウコもその動きを見て叫んだ。
「こんな攻撃受けたら!」
「それこそ・・・・・・生きては」
『大丈夫だ』
ロアが驚く二人に告げてきた。
『俺が覚えている』
「あんたがって」
『ショウコも安心して』
『エミィ』
今度はエミィがショウコに声をかけてきた。
『私が知ってるから』
「貴女が知ってるって」
『動いてみて』
ショウコに言ってきた。
『かわせるから』
「わかったわ。お兄ちゃん」
エミィの言葉を聞いたうえでコウタに対して声をかける。
「やってみましょう。ひょっとしたら」
「あ、ああ」
コウタも妹のその言葉に頷くのだった。
「わかった。それじゃあ」
「あっ、本当に」
その時わかったのだった。
「動ける。そんな」
「この動き、一体」
『俺達と御前達は一体になった』
『だからなのよ』
二人がまた言ってきた。コウタ達に対して。
『一緒に戦うと言ったな』
『だから』
「そうか。それでか」
「私達も今こうして動けるのね」
「ふむ。相変わらずの動きだな」
自分の攻撃をかわされたフォルカはそれでもそんなに驚いてはいなかった。
「だがこの程度はいつものこと。ならば」
「させるかよっ!」
その前にコウタは反撃に出た。やはりロアと一緒になっていたからこそ動けるのだった。
「俺だって都合がわかれば」
「負けないんだから!」
ショウコもそれに続く。二人の心も重なった。
「喰らえっ!」
「これで!」
「ショルダーキャノン!」
「これなら!」
肩から攻撃を放つ。それをフォルカに向けた。
「くっ!」
フォルカは間一髪それをかわした。だがそれで間合いが離れてしまった。
「攻撃も相変わらずというところか。流石だな」
「ちょっと貴女」
ここでショウコがフォルカに声をかけてきた。
「何だ?」
「一体何者なのよ」
それを彼に問うのだった。
「いきなり出て来てこうして喧嘩売るなんて。尋常じゃないわよ」
「どうやら御前達は俺達については知らないらしいな」
「そこまで共有されてはいないみたいだな」
「そうね」
コウタとショウコは今のフォルカの言葉で気付いた。
「身体を借りているのか。意識は混ざり合わずに」
『その通りだ』
ロアがフォルカのその言葉に頷いた。
『コウタもショウコも俺達とは違う』
『だから。二人の意識までは』
「そうか、ならいい」
エミィの言葉も聞いてそれでわかった。納得した顔で頷くのだった。
「ならば言おう。俺達は修羅」
「それはさっき聞いたがな」
「その命を削って闘う。だからこそ」
「来るわ、兄さん!」
ショウコが不意に叫んできた。
「攻撃が。それもかなりのものが」
「何っ!?」
「受けろ!!」
フォルカは構えと共に叫ぶ。
「機神猛撃拳!」
「な、何ィ!!」
それはコウタにかわせるものではなかった。ガードするのがやっとだった。しかしそのガードを以ってしても。コンパチブルカイザーは大きなダメージを受け吹き飛ばされるのだった。
「ぐっ・・・・・・」
「俺の扇をガードするとはな」
フォルカは彼がまだ生きているのを見て言うのだった。
「流石と言うべきか。だが次は逃がさん」
「負けてたまるか・・・・・・!」
コウタはまだ無事だった。何とかマシンを操りながら立ち上がってきた。
「何かわからねえけれどな。俺は負けるのが大嫌いなんだよ!」
『やれるのだな』
「当たり前じゃねえか!」
ロアの声にも応える。
「この程度の傷で!潰れるかよ!」
「そうよ、私だって」
それはショウコも同じだった。
「何が何だかわからないまま闘ってるけれどそれでも!」
『じゃあ。やりましょう』
「ええ」
エミィにも応える。
「負けないわよ。絶対に!」
「よし、ならば今度で止めだ」
フォルカは立ち上がるGコンパチブルカイザーを見据えてまた構えに入った。
「俺の最大の技でな」
「来やがれ!」
コウタもまた身構えていた。
「何を受けてもな。俺も!」
「よし、ならば!」
「来なさいよ!」
ショウコも叫ぶ。
「私とお兄ちゃんは絶対に!」
「行くぞ!」
遂にフォルカが攻撃に入ろうとする。その時だった。
パリに。突如として軍勢が姿を現わしたのだった。
「むっ、あれは」
「まさか」
「ロンド=ベル!?」
三人は彼等を見てそれぞれ声をあげた。
「ロンド=ベル。こちらの世界の軍か」
「まさかここで出て来るなんてな」
「お兄ちゃん、通信よ」
ショウコが兄に伝える。
「そのロンド=ベルから」
「おっ!?」
「はじめまして」
通信に出て来たのはレフィーナであった。
「貴方達は一体」
「俺はコウタっていうんだ」
「ショウコといいます」
「コウタ君にショウコさん」
「ああ、コウタ=アズマ」
あらためてレフィーナに名乗った。
「それが俺の名前さ」
「ショウコ=アズマです」
続いてショウコも名乗った。
「私が妹で」
「俺が兄貴さ」
「そうなのですか。御兄妹で」
「あれ、驚かないのかよ」
コウタはそれが少し意外であった。
「驚かないとは?」
「いや、だからさ」
「どうしてロボットに乗っているとか」
「ああ、それ俺達の中じゃ普通だから」
タスクが出て来て言った。
「そういうあんたはあの」
「ああ、シングウジ=タスク」
自分から名乗ってみせた。
「知ってるよな、俺のことは」
「何かギャンブラーの」
「負けてばっかりの」
「・・・・・・何で負けてばっかになってんねん」
ショウコの言葉に落ち込んでしまった。
「俺いつも勝ってるのにな」
「負ける時が酷いからよ」
そのタスクにレオナが突っ込みを入れる。
「だからいい加減ギャンブルなんてことは」
「何かあの人達って」
ショウコは二人のやり取りを見て思った。
「私達に似てるかも?」
「そうか?」
「ええ、何となく」
兄にも答える。
「そんな気がするわ」
「気のせいじゃないのか?」
『いや、気のせいじゃない』
ロアもショウコの言葉に賛同してきた。
「そうかね」
『そうだ。御前は少ししっかりしろ』
「そっちかよ」
思わずロアに突っ込みを入れた。
「何なんだよ、ったくよお」
「それはそうとしてよ」
レオナがここで言う。
「んっ、何だ?」
「レーダーに反応よ」
タスク達に答えた。
「あの敵機だけじゃなく」
「!?確かに」
「レーダーに反応です!」
レフィーナとユンがほぼ同時に声をあげた。
「敵機、パリ東方に出現!」
「数は!?」
「およそ四百!」
ユンが告げる。
「出ます!連邦軍のマシンです!」
「えっ!?」
皆それを聞いて驚きの声をあげた。
「連邦軍のマシンがここで!?」
「シャドウミラーか!?」
誰もがこう思った。しかしそれは違っていた。
確かに連邦軍のマシンが多かった。しかしその中心にいるのは。見たこともない、異様なシルエットの二機のマシンだった。彼等が中心にいたのだ。
「あのマシンは一体」
「見たこともないぞ、どちらも」
誰もが首を捻る。
「おい」
フォルカはここでその彼等に声をかけた。
「出て来る必要はない。帰れ」
「悪いけれどね」
一機にいたのはティスだった。彼女がフォルカに応える。
「こっちも仕事だから」
「仕事だと」
「そ、そうです」
デスピニスがおどおどとした様子で彼に答えた。
「ですから私達は貴方の援護に」
「そんなものはいらん」
しかしフォルカの態度は相変わらずだった。
「俺は一人でやれる」
「あれだけの数がいても?」
「そうだ」
ティスにもつれない言葉だった。
「だからだ。帰れ」
「そうしたいのはやまやまになったけれどね」
彼女もフォルカの態度に機嫌を悪くさせていた。
「それでもこっちも仕事なのよ。だからね」
「好きにしろ」
またしてもつれない言葉だった。
「御前達が戦いたいのならな」
「ええ、そうするわよ」
頭にきたような言葉だった。
「デスピニス、やりましょう」
「う、うん」
まずはティスに対してこくりと頷く。
「わかったわ。フォルカさん」
「今度は何だ?」
「御気をつけて下さい」
こう彼に声を贈るのだった。
「私達も頑張りますので」
「この場合は有り難うと言うべきなのか」
それがわからないといった感じの言葉だった。
「だが。御前も気をつけろ」
「は、はい」
またおどおどとした様子で頷く。
「有り難うございます」
「じゃあ行くよ」
ティスが指示を出した。
「ロンド=ベルだったわね。覚悟しなさい」
「じゃあ行くか」
ラウルが最初に前に出た。
「派手にな!」
「全軍攻撃開始です!」
レフィーナが指示を出した。
「攻撃目標前方の敵軍!」
「了解!」
両軍は戦闘に入った。その中で。フィオナがコウタに声をかけてきた。
「いける?」
「ああ!」
大きな、はっきりとした声での返答だった。
「これ位でな、いちいちよ!」
「わかったわ。じゃあ頼むわ」
それを聞いて安心したように微笑むのだった。
「どうやらあの長い髪の毛のマシンは相当手強いみたいだけれどね」
「ああ、それはな」
彼だからこそそれはわかるのだった。
「あの強さ、半端じゃねえ」
「一機で駄目なら援護するわ」
リオも来た。
「それでいいかしら」
「いや、俺がやる」
しかしコウタは彼女のその申し出を断った。
「俺達は一人じゃないからな」
「一人じゃない」
「私もいます」
ショウコが出て来た。
「お兄ちゃんと二人で」
「何かそうなっちまったんだよ」
コウタは少し照れ臭そうに述べた。
「だが。それならそれでいいさ」
「そうなの。何かあたしと全然違うわね」
フィオナは自分のことを思いながら述べた。
「そこんところは」
「じゃあとにかく頑張ってね」
リオはこう声をかけるしかなかった。
「死んだら駄目よ」
「はじめてで死んでたまるかよ!」
コウタは相変わらず強気だった。
「おい、そこの御前!」
「フォルカだ」
「そうだ、フォルカ!」
あらためて彼の名を叫ぶ。
「さっきみたいにはいかねえからな!」
「ならば・・・・・・来い!」
フォルカもそれに応えてまら拳を繰り出す。
「ここで貴様を倒す!」
「こっちもな!」
彼等の熾烈な戦いが行われる。その横ではロンド=ベルが謎の軍勢と戦っていた。とりわけラウルとフィオナはその中であの二人と対峙していた。
「見て、デスピニス」
ティスがデスピニスに声をかけた。
「どうしたの?」
「あのマシン、ひょっとして」
「何かあるの?」
「ええ、ひょっとしたらだけれど」
またラウル達のマシンを見る。
「あれは」
「デュミナス様の探しておられた?」
「そうよ、その可能性ありわよ」
こうデスピニスに告げるのだった。
「だから。いいわね」
「ええ。できることならその技術を」
「手に入れたいわね」
また言うのだった。
「いいわね」
「わ、わかったわ」
ティスに対しても少しおどおどとしていた。
「それじゃあ」
「!?何だこいつ等」
「どうしたの、ラウル」
「いやさ、あいつ等」
ラウルは目の前の二人の気配に気付いたのだ。
「俺達を見ていないか?」
「私達を?けれどそれって当たり前じゃない」
こう告げるのだった。
「戦ってるんだから。そうでしょ?」
「いや、それとは違ってよ」
「違うの?」
「ああ、何かよ」
また言う。
「おかしなものがあるぜ」
「確かに」
ラウルのその言葉にミズホが応えた。
「あの二人。何かエクサランスに注目しているは」
「どうしてでしょうか」
ラージもそれに気付いて言う。
「エクサランスに何が」
「わからねえ。けれどこいつは何かしてくるぜ」
「それで。どうするの?」
「やることは決まってるんだよ」
ラウルはフィオナに対して答えた。
「戦う。そうだろ?」
「結局それなのね」
だがそれでも悪い気はしていないのだった。
「まあいいわ。それじゃあ」
「行くぜ、フィオナ」
「バックアップは任せて下さい」
ラージがハガネから通信を入れた。
「僕達はあの二人のマシンを調べますので」
「御願いしますね」
ミズホも応える。彼等は並んでティス達に向かう。
ティス達も迎え撃つ。まずはティスが攻撃に入った。
「親と子があってねえ」
「親と子!?」
「どういう意味!?」
ラウルもフィオナも今のティスの言葉に顔を向けた。その時だった。
不意にもう一機のマシンが来た。それがティスのところにまで。
「行くわよ!」
「なっ、二機でかよ!」
「ラウル!」
二機でラウルに襲い掛かる。それを見たフィオナが叫ぶ。だがラウルはその同時攻撃を間一髪でさけることに成功したのだった。
「大丈夫だったのね」
「な、何だこいつ!」
攻撃をかわしたラウルはティスのマシンを見据えて言う。
「急に一機増えてそれで」
「あたしのテュガテールは普通じゃないのよ!」
「普通じゃねえ!?」
「そうよ。親のマシンと子供のマシンがあるのよ」
「だから親子かよ」
「そうよ。わかったらね!」
また攻撃をラウルに対して繰り出してきた。
「そのマシン渡しなさい!あんたの命には興味ないから!」
「何かこのエクサランスに何があるのか知らけれどな!」
ラウルは話が読めないままティスに言葉を返す。
「はいそうですかで渡すわけにはいかないんだよ!」
「あんたの都合は聞いてないのよ」
だがティスもまた言い返すのだった。
「こっちにはこっちの都合があるんだからね!」
「させるかよ!」
二人の戦いが行われる。その横ではデスピニスがフィオナと対峙していた。
「おかしなマシンね」
「気をつけて下さい」
ラージがフィオナに対して声をかけた。
「あのマシンの複数の顔に不気味なものを感じます」
「不気味なもの!?」
「はい」
そうミズホに告げるのだった。
「あのマシンは他のマシンとは違います」
「異様なのはわかるわ」
それは感じていた。
「あの幾つもの顔。一体あれは」
「御免なさい」
「御免なさいってあんた」
デスピニスに急に謝られて言葉を返す。
「謝るなんて戦場じゃないでしょ」
「私、私は」
「!?この娘まさか」
「フィオナ!」
ラージがフィオナに対して叫ぶ。
「気をつけて下さい。あのマシン!」
「!こいつ!!」
「悲しい・・・・・・」
デスピニスは一言呟いた。
「けれど。デュミナス様の為に」
「ひ、光が!」
「フィオナ、上です!」
ラージは咄嗟に叫んだ。
「上に。跳んで!」
「え、ええ!」
フィオナは跳んだ。それで何とかかわそうとするが。しかし一瞬遅れた。
「ううっ!」
「フィオナ!」
「だ、大丈夫よ」
右脚にダメージを受けただけだった。致命傷は何とか避けたのだった。
「まだ動けるわ。けれど」
「手強いようですね」
「ええ。何、こいつ」
デスピニスのマシンを見据えて言う。
「子供だけれどその戦闘力はかなりのものよ」
「ええ、確かに」
「こっちもだ」
ラウルもティスとの闘いの中で応える。彼もまた防戦一方だった。
「あのマシン。あれは」
「どうするの、ラウル」
ミズホが彼に問うた。
「この相手。かなり危険よ」
「一人だけじゃ何とかなるんだがな」
「こっちもあんたに何とかさせないわよ」
ティスはまた彼女の都合を出すのだった。
「デュミナス様の為にね!」
「そう、デュミナス様の為に」
デスピニスも言う。
「ここでそのマシン!」
「悪いけれど下さい」
「いい加減にしろっての!」
「そうよ!」
だが二人も二人でまた言い返す。
「御前等何処の誰かわからねえけれどよ!」
「このエクサランスをはいそうですかで渡すわけにはいかないのよ!」
「なら腕づくよ!」
「御免なさい」
ここでもデスピニスの様子は変わらない。
「手に入れてやるわよ!」
「デュミナス様の為に」
二人はラウルとフィオナに向かう。二人の戦いは続く。だがその頃ロンド=ベルは既に敵軍の殆どを倒してしまっていた。ここで黒い怪鳥を思わせるマシンが姿を現わした。
「あのマシンは」
「ラージ?」
「二人共、今はもういいよ」
ラージは出て来るとこう二人に告げたのだった。
「もういいって?」
「うん。戦力がなくなったじゃないか」
また二人に告げた。
「だから。ここは」
「撤退しろっていうことね」
「その通り」
ティスに対して答えた。
「わかったね。じゃあ」
「そうね。忌々しいけれど」
ティスは周りの戦局を見回して答えた。見れば既に戦場に残っているのは彼女達三人とフォリカしかいない。これではどうしようもなかった。
「そうさせてもらうわ」
「わかったよ。じゃあデスピニス」
今度はデスピニスに顔を向けて問うた。
「君もそれでいいね」
「う、うん」
こくりと怯えたように頷く。
「わかったわ。じゃあ私も」
「フォルカさん」
「話は聞いた」
ここでコンパチブルカイザーとの間合いを離した。
「撤退か」
「それでいいですね」
「まだ闘いたいがな」
一応はこう述べる。
「だがこちらに誰もいなくなったとあっては仕方がない」
「はい。ではそういうことで」
「そこのあんた」
「何だ!?」
ラウルはティスの言葉に忌々しげな顔を向けて問うた。
「今日はここまでにしといてあげるわ。感謝しなさい」
「へっ、今度はそうはいかねえからな」
「私もこれで」
デスピニスも撤退に入った。
「帰ります」
「そうなの」
「また。御会いしましょう」
「待て!」
コウタはまだフォルカを追おうとする。
「決着はついてねえぞ!」
「それはまた今度だ」
フォルカも口惜しげに言葉を返す。
「いいな、まただ」
「ちっ、いいところだったのによ」
「何はともあれ終わったのね」
悔しがる兄に対して妹は安堵した感じだった。
「これで」
「あいつとの戦いは終わっちゃいねえよ」
コウタの言葉は相変わらずの感じだった。
「逃げられるなんてよ。冗談じゃねえぜ」
「ところでだ」
悔しがったままの彼に対してテツヤが声をかけてきた。
「んっ!?何だ?」
「よかったらだ」
コウタに対して声をまたかける。
「俺達と一緒に戦わないか」
「あんた達とか」
「そうだ。見たところ君達はまだ学生だが」
「休学中です」
ショウコが答えた。
「日本は戦乱が激しくて」
「そうか。それで学校自体がなんだな」
「そうです。それで」
理由はそれだった。実は甲児や勝平も同じ理由である。
「パリに来ていたんですけれど」
「奇遇と言うべきか」
「奇遇なんてもんじゃねえよ」
コウタがテツヤに述べてきた。
「いきなりロアが来てこれだぜ」
「ロア!?」
「ああ。何か知らねえけれど出て来てよ。それで」
「また色々とあるのだな。君達も」
「話せばかなり長くなるぜ」
こう断ってきた。
「それでいいのなら話すぜ」
「わかった。では頼む」
「ああ」
コウタとショウコはあらためて話をする。こうして二人の事情はわかった。そのうえでテツヤはまた二人に対して誘いをかけるのだった。
「それで。どうだ」
「あんた達とだな」
「そうだ。君達次第なんだが」
「わかった。それじゃあよ」
コウタが応えた。
「何か他に行き場もないしな」
「私も。旅行どころじゃなくなったし」
「そもそもよくこんな時に旅行なんてしていたな」
「そういえばそうね」
タスクとレオナが話をする。
「まあ景品で当たってな」
「それでだったんです」
二人も答える。
「パリだパリだって浮かれていたら」
「こんなことになるなんて」
「まあよくあることだよ」
「ロンド=ベルにいればね」
タスクとレオナはまた二人に述べる。
「それでだ。君達は我々に参加してくれるのだな」
「ああ」
コウタは今度はダイテツに答えた。
「宜しく頼むぜ」
「わかった。ではクロガネに入るといい」」
「クロガネか」
「嫌なのか?」
「いや、別に」
それは否定するのだった。
「構わないさ。飯が美味いんなら何処でもな」
「もう、お兄ちゃんたら」
ショウコはそんな兄に対して困った顔を向ける。
「いつもそうなんだから」
「いいだろ。それよりもよ」
コウタは妹の言葉を退けてまた言う。
「今度こそあのフォルカって野郎を叩き潰すぜ」
「フォルカですか」
ラージがその名を呟いた。
「そういえば彼が言っていた」
「何ですか?」
「え。あの修羅という言葉です」
ミズホの問いに答える。
「修羅というのは何なんでしょうか」
「そういえば」
彼等はそれに気付いた。ラージの今の言葉で。
「また異世界の存在らしいが」
「一体何者なんだ」
「わからないわよね、いきなりだし」
フィオナがぼやいた。顔を見上げて。
「しかもやたら攻撃的な感じだし」
「あとよ。それとは違うあのガキ共だよ」
ラウルはあの子供達のことを気にしていた。
「あの連中は何なんだ?」
「あの子供達ですね」
「そうだよ。変なマシンだったしな」
ラージの言葉に答える。
「あの連中も気になるよな」
「そうですね。しかもエクサランスを狙っているのが」
「何故だろうな」
ラウルはここで首を傾げさせた。
「あの連中。俺達に何を」
「以前より異世界の勢力がこちらに来ることが頻発している」
エイブが言った。
「我々にしろセフィーロにしろ」
「私達はエメロード姫に召還されたんだ」
光はこう説明した。
「このことはもう話した筈だ」
「ああ、それはわかっている」
ショウが彼女の言葉に頷く。
「俺も似たような理由だったからな」
「しかし。不思議なことだ」
バーンがふと気付いた。
「これまで平穏だったバイストン=ウェルにルーザ妃の様な人物が出て」
「今までいなかったのよね、確か」
海がバーンに問うた。
「そうだ。しかし彼女の変化とショット=ウェポンの召還」
「あいつもだったな」
「あの時は不思議に思うことはなかった」
バーンはショウにも告げる。
「だが。セフィーロのことといいこうまで異世界の勢力が入り混じるとなると」
「しかもですわ」
風が口を開いた。
「どの世界でも危機が迫っておられるようですけれど」
「セフィーロもそうだったしな」
トッドがそこを指摘する。
「バイストン=ウェルも危機って言えば危機だったしな」
「ラ=ギアスもよ」
セニアが話に加わってきた。
「ヴォルクルスの復活なんて。一歩間違えたら」
「シャドウミラーの世界でも戦乱に覆われていた」
ラミアが呟いた。
「やはり。複数の世界で危機が訪れているな」
「しかもだ」
謎はまだあった。それに言及したのは加持だった。
「何か俺達の周りがやたら偶然に囲まれているしな」
「偶然ですか」
「エヴァだってそれに近いだろ?」
シンジの言葉に応えるのだった。
「俺だって何だかんだで生きているしな。俺だけじゃなく」
「加持さんだけじゃなく」
「偶然でこんなに異世界の勢力がやって来たり色々な勢力が出て来るか?」
「それは確かに」
言われてみればシンジもおかしいと思うのだった。
「妙ですよね。こんなに偶然が重なるなんて」
「ガイゾックにしろバームにしろ暗黒ホラー軍団にしろそうよね」
アスカが言った。
「滅茶苦茶な勢力が出て来ているわよ」
「偶然ってのはたまたま起こるから偶然なんだよ」
加持はまた言った。
「だからな。それが重なると」
「おかしいですよね、やっぱり」
「おかしいなんてものじゃない」
またシンジ達に述べた。
「しかも。よく見たら」
「シュウ=シラカワ博士?」
アキトはいぶかしむ顔でシュウの名前を出した。
「あの人が出たらいつも」
「シュウか」
マサキはその名を耳にして険しい顔になった。
「今のあいつにはドス黒いものはねえけれどな」
「そうね。ヴォルクルスの呪縛はなくなっているわ」
セニアが言う。
「けれど。彼が出たら間違いなく何かがあるから」
「グランゾンでしたでございますわね」
モニカは妙な文体の言葉を出した。
「シュウ様の乗っておられるであられるマシンは」
「そうよ。文章おかしいなんてものじゃないけれど」
さりげなく妹の文章に突っ込みを入れる。
「その通りよ。今はネオ=グランゾンだけれどね」
「あれは確か」
ルリが述べた。
「地上とラ=ギアスとゲストの技術を集めたものです」
「ゲスト!?ああ、あの」
リューネはゲストのことを思い出した。
「異星人のね」
「そうだったな。あのインスペクターと同じ兵器を使う」
ヤンロンも言った。
「その彼等だ」
「そういえばゲストやインスペクターについても」
「全然わかっていないような」
テュッティとミオが気付いた。
「わかっていない勢力が多いのも」
「何ていうか困りものって感じ?」
「だよな。わからねえことばかりだよな」
マサキがそこに突っ込みを入れた。
「まあシュウとあのグランゾンに何かあってもあいつと戦うことはもうなさそうだな」
「そうだね」
それにシモーヌが頷く。
「今のあいつとはね」
「ああ。しかし謎が多いな」
「偶然が続き全ての世界が危機にある」
加持は話をまとめた。
「おかしな話だな」
「こっちの世界じゃ特にね」
ミサトも険しい顔になっていた。
「宇宙怪獣は特に」
「原種もいた」
大河は彼等を話に出した。
「彼等にしろ。宇宙に危機を及ぼす存在だった」
「そうした存在が多過ぎる?」
命は首を捻った。
「不自然なんてものじゃないですよね」
「そうだ。おかしいなんてものじゃない」
凱も言う。
「しかもそれが地球に集まるなんてな」
「謎が謎を呼ぶってわけか」
ダイゴウジが呟いた。
「燃える展開だな」
「燃えるのはいいのですが」
ルリは突っ込みを入れる。
「ヤマダさん」
「ダイゴウジだ。何だ?」
「ヤマダさんのエステバリスはかなりのダメージを受けています」
「何っ!?」
ダイゴウジにとっては衝撃の事実だった。
「何時の間に」
「無茶な戦闘ばかりされるからです」
ルリの言葉は容赦がない。
「ですからゼダンではかなり念入りな修理を必要とします」
「じゃあ若しそれまでに敵が出たら」
「それでも出られますか?」
「当然だ!」
ダイゴウジは変わらない。この程度では。
「俺が死ぬ筈がない!だからだ!」
「わかりました。それでは応急処置はしておきます」
「ああ、頼む」
「他のマシンもですが」
「俺のブラックサレナも?」
「はい」
アキトの問いにも頷く。
「その通りです」
「若しこの間に襲われたらまずいな」
「そうねえ。こういう時に鍵って来るし」
ハルカも言う。
「困ったことに。それがパターンだから」
「とにかくゼダンに行かないといけませんね」
「その通りです」
ルリは今度はメグミの言葉に応えた。
「ではゼダンに」
「了解」
「それじゃあすぐに」
彼等はパリを後にしてゼダンに向かった。戦いはここでは終わったが謎がまた出て来た。謎が謎を呼び彼等の戦いは続くのだった。

第五十四話完

2008・4・16  
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