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星河の覇皇

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第五部第三章 巨大戦艦その七


 まずは花形の戦闘機だ。連合の戦闘機は汎用性が高い。大気圏内でも外でも全く同じように使用出来る。当然宇宙空母の艦載機にも使う事が出来る。
 やはり大型であった。そしてエンジンは二つある。機体の後ろに備え付けられている。
 武装はビームガトリングガンニ門とミサイル十発である。大型ながら翼の大きな可変翼からするとどうやらスピードよりも運動性能を重要視した設計であるようだ。
「あのミサイルが主要武器の様だな」
「それの射程次第で戦い方が違ってくるな」
 マニア達はそう話し込んでいた。
「チョム大将、レイミー中将」
 八条は中央政府の高官達の席にいた。そこで技術部のリーダーの二人に声をかけた。
「あの戦闘機、タイガーキャットのミサイルですが」
「はい」
 二人はその言葉に頷いた。
「射程はどれ位ですか」
「今までのミサイルの六倍程です」
 二人は答えた。
「六倍か」
「はい。そして十発同時に発射出来るようにしました」
 開発は主にチョムのチームが行った。宇宙のことを考えると彼のチームが主体になるのは当然であった。
「十発・・・・・・。そのコントロールはどうなっていますか」
「それは搭載されているコンピューターで制御されます。標的に狙いを定めるとコンピューターの誘導に従い敵を捕捉、追撃します」
「運用は」
「当然大編隊です。それで押し切ります」
「ふむ」
 八条はそれを聞いて暫し考え込んだ。
「一機の敵機を無数のミサイルで狙い、撃墜していくのですね」
「はい」
 彼等は答えた。
「一発のミサイルでは逃げられる可能性が高いですが無数のミサイルで狙うとそれは容易にはいきません」
「確かに。おそらくそれはかなりの腕利きでも不可能でしょうね」
 彼は考えながら言った。
「やはり数ですか」
「そうですね。戦闘機もそれがまず肝心です」
 チョムが答えた。
「これは他の機種にも言えることですが」
「攻撃機や爆撃機もですか」
「はい」
「それもこれから説明させて頂きます」
 チョムとレイミーが言った。するとパレードは戦闘機から攻撃機に移っていた。
 攻撃機はそれ程大型ではなかった。だが攻撃機として見た場合であり、先程のタイガーキャットと同じ位の大きさがあった。
 攻撃機は翼が十字であった。そしてあちこちに武装を備えていた。
「また重武装だな、大きさの割に」
「それを考えました。艦艇や基地を攻撃する為です」
「名前は何といいますか」
「炎龍です。こちらは中国風の名前にしました」
「何故中国風に」
 それを少し不思議に思った。
「戦闘機がアメリカ風なので。趣向を変えまして」
「それ程悪い名ではないと思いますが」
「まあ。結構いいと思いますよ」
 少なくとも攻撃機には合う名前だと思った。
「かなり攻撃時間が長そうだな」
 八条はやはりその重装備に注目せざるを得なかった。それは今まで見たことがない程のものであった。
「はい、それを念頭に置き開発しました」
 今度はレイミーが発言した。
「そして装甲、コーティングを特に強化しました。戦車の様にね」
 彼はそう言って不敵に笑った。
「まさか。それは言い過ぎでしょう」
 流石に八条もそれは本気にしなかった。
「いえ」
 だがここでチョムが首を横に振った。
「それは本当です。おそらくビーム高角砲の直撃を受けてもそうそう墜ちはしません」
「本当ですか、それは」
 彼はそれを聞き思わず声をあげた。
「はい、実際に試してみました」
 テスト飛行や耐久のチェックはパレード前に入念に行われた。その結果この炎龍は予想を上回る防御力を持っていることがわかったのだ。
「我々もこれ程までとは思いませんでした」
「そうか。それだけパイロットの生存が高まりますね」
「はい。それに長く戦うこともできますよ」
「うん」
 続いて爆撃機であった。
 爆撃機は二十世紀にあったような大型ではない。艦載機としても運用される為小型である。戦闘機や攻撃機と同じだ。
 ややずんぐりした形で翼が鴎のそれの様になっている。どうやらその胴に兵器を搭載するようだ。
「これは一撃離脱を考えました」
 チョムが言った。
「まず敵に急接近し、攻撃を仕掛けます。そして高速で離脱します」
「では速度はかなり速いのですね」
「はい、戦闘機に匹敵するものにしました」
「成程。ところで一つ聞きたいことができたのですが」
「何でしょうか」
「戦闘機と攻撃機、爆撃機の巡航速度は同じなのでしょうか」
「当然です」
 二人はそれに対して胸を張って答えた。
「それは設計当初から考えていたことです」
「そうでなくては何の意味もありません」
「それはよかった」
 八条もそれを聞いて安心した。護衛がなくては攻撃機も爆撃機も満足に敵に接近することはできない。それを考えるとこれは戦術として当然のことであった。
 そして偵察機や電子機等も来た。これも今までの機体より電子装備や偵察機能が格段に上昇しているようだ。そして大きさも艦載機に相応しかった。
「それにしても数が多いな」
 それはもうパレードの数ではなかった。空を覆わんばかりの数であった。
「これも宣伝ですけれどね」
 八条は笑って言った。数を多くしたのは彼であった。それにより連合の物量を多く見せる為なのだ。
「はい。我々の物量を知らしめる意味でもこれは大きいですよ」
 ここでサルラムーンが言った。彼もこのパレードに列席していたのだ。
「我々がどれだけ膨大な物量を誇っているか、他国はそれを見ただけで考えるでしょう」
「国内の不穏な勢力も」
「はい、これはそうした宣伝では実にいいですな」
 彼は満面に笑みをたたえて言った。
「さて」
 ここで一同姿勢を正した。
「いよいよ艦艇ですな」
「そうですね」
 八条は顔を上にあげて頷いた。そして彼は来るであろう連合の新型艦船を待っていた。
「来たぞ!」
 観客達が声をあげた。 
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