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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第二十八話 剣神現わる

                 第二十八話 剣神現わる
闇の中で。彼等は話していた。
そこが何処かはわからない。しかし彼等は確かにそこにいる。そうして話をしているのであった。
「次はあの男ですか」
「そうだ」
男の声が女の声の問いに答えていた。
「今度はな。それでいいな」
「それで宜しいかと」
女は男の言葉に応えた。反論はないようであった。
「これで三人ですね」
「その後で行くようにな」
男は女に対しても言った。
「御前もな」
「わかりました。では用意をしておきます」
「こちらの世界はあちらの世界よりも遥かに不安定なようだな」
男は今度はこう呟いた。
「それもかなりな」
「そのようです。あの二人ですが」
「どうだ、様子が」
「少し異常が見られます」
「異常だと」
男の声が怪訝なものになった。
「何があったのだ?」
「言語系統に異変が感じられます」
「言語にか」
「どうやら。こちらの世界に来た時のショックのようですが」
「ふむ」
男はそれを聞いて考える声になった。思索に入ったのがそれでわかる。
「そうか。他には異常はあるか」
「いえ」
女はそれは否定した。
「それはありません」
「そうか、ならいい」
男はそれを聞いてまずは安心したようであった。
「戦闘と情報収集に異常がないのならな」
「はい。それでは」
「予定通り行動しろと伝えよ」
男はまた命じてきた。
「もう一人にもな。わかったな」
「わかりました。それでは」
「ではそろそろ本格的にはじめる」
男はまた言った。
「わかったな」
「はい」
彼等は何処かでそう話をしていた。話はそれで終わったが動きはそうではなかった。闇の中で蠢動がはじまっていたのである。誰も知らないところで。
ロンド=ベルは何とかルナツーの戦いを凌いだ。それで一休みしていた。
「何とかなったって感じだよな」
「ああ」
シーブックがジュドーの言葉に頷く。
「皆無事だったしな。しかし」
「危ないところだったのは確かだよな」
ディアッカが言う。彼等はまた酒に食べ物で盛り上がっていた。やはりディアッカの作った料理もかなりある。
「ルナツー方面が駄目になるとかなりやばいのはわかっていたしな」
「全くだ。しかし」
ハイネがここで眉を顰めさせる。
「あの連中が何故それを知っていた?」
「偶然じゃないのは確かね」
エルがその言葉に応えて言う。顔が真剣だった。
「それだけはわかるわ」
「あれか?やっぱり」
キャオも怪訝な顔で言う。
「内通者か」
「だったらあれか?やっぱりよ」
ビーチャもまた皆と同じことを考えていた。
「あの二人か」
「可能性はかなり高いんじゃね?」
タップもそう読んでいた。
「怪しいっていえば怪しいしよ」
「けれどそれを言えばだ」
レッシィはあえてここで自分達を出してみせた。
「あたし達もそうなるんだけれどね」
「いや、それはないな」
だがそれはサブロウタが否定した。
「あんた達はそんな人達じゃない。それはわかってるさ」
「もうわかってるってことかしら」
「そうだな」
アムの言葉にダバが頷く。
「俺達は信頼してもらっているんだ」
「有り難いわね、それは」
「長い付き合いじゃない」
セシリーが笑って彼等に告げる。
「もう何でもわかるわよ」
「下着の柄だって知ってるよ」
イーノも笑って言うのだった。
「ダバの青いトランクスもアズラエルさんの紫のトランクスもね」
「あの紫って何とかならないのかしら」
ルナマリアもそれは知っていた。
「趣味悪いでしょ」
「そういえばあんた最近スカートの下スパッツよね」
ルーはそれも知っていた。
「その下は黒だけれど」
「黒っておい」
シンがそれを聞いて突っ込みを入れる。
「また随分と派手だな」
「派手じゃないですよね」
「普通ですよね」
フィリスとエルフィは顔を見合わせて言い合う。
「私今日は紫ですし」
「私は黒の刺繍入りです」
「派手だろ、それって」
ケーンはあまりにも赤裸々な言葉に思わず突っ込みを入れた。
「まあ皆お互い下着位知ってるけれどよ」
「男は全員トランクスだしね」
モンドが男ものの下着について述べてきた。
「基本的に」
「あれが一番じゃないのかな」
ライトもまたそれは同じである。
「ボクサーパンツはいいけれどあのさっぱりした感じがいいんだよ」
「ブリーフは皆ないのね」
アスカはここでブリーフを出してきた。
「ビキニとかは」
「それは嫌だな」
アスランはふとここでトラウマを思い出した。
「はじめて見ちゃった、先生の白いブリーフって話があるからな」
「それは言うな」
イザークは今のアスランの言葉に顔を青くさせた。
「りんって奴の漫画だったな」
「イザークもそれ以上言うな」
今度はミゲルが彼を止める。
「思い出すと嫌な気持ちになる」
「嫌な気持ちで済まないし」
ヒメもそれは知っていた。
「それについて言うのは止めようよ」
「全くだ」
それにレイが頷く。
「既に思い出した。嫌なものだ」
「まああれだよね」
キラが必死に話を普通にしようと動く。
「この料理美味しいよね」
「サンドイッチは私よ」
クリスが出て来た。
「美味しいでしょ」
「うん、クリスのサンドイッチはいつも最高さ」
バーニィもここにいる。
「だからついつい食べ過ぎてね」
「もうおのろけなんですね」
フォウはそんな二人を見て微笑みを浮かべる。
「私もカミーユの為に何か作ればよかったかしら」
「あら、フォウもこれで案外」
エマもそんなフォウを見て微笑む。
「のろけてるみたいね」
「カミーユがしっかりしないからね」
プルが笑ってそのカミーユに声をかける。
「ファさんともどうなのかしら」
「どうなのかって」
カミーユはあまり気付いていないような顔をしていた。
「どうもないけれどな」
「面白くないな」
プルツーは今のカミーユの言葉に本当に面白くなさそうな顔になった。
「それは」
「鈍感な男の子ってそれはそれでいいものよ」
マーベルは笑ってそれも肯定するのだった。
「焦ったらかえって面白くないわ」
「まあ限度によるけれどね」
カナンがそれに乗る。
「あまり度が過ぎたら」
「勇はその点はな」
「積極的だな」
「おい、俺なのか」
勇はニーとトッドの言葉に面食らう。
「そこで」
「御前のヒメちゃんとのあれは」
「そう言われてもおかしかねえぞ」
二人の突っ込みは厳しい。勇はたじたじとなっている。
「私も今日は結構作ったのよ」
ファはそう言って中華料理の山を出す。
「皆で食べてね」
「おお、これは」
「かなりいけますね」
ダイゴウジとジュンが絶賛する。
「美味いぞ、これは」
「量も多いですし」
「大体うちの部隊ってあれですよね」
「そうね」
キーンがヒカルの言葉に応える。
「女の子は殆ど料理上手で」
「助かります。私もですけれど」
「ただしだ」
バーンはここで暗い顔になる。
「そうでない者は」
「それは言わない約束だ、バーン殿」
酷似した声のギャブレーが止める。
「いいな」
「そういえばよ」
ギュネイが辺りを見回していた。
「今回そうした面々がいないな」
「別にいないくてもいいとは思わねえか?」
リョーコがその彼に突っ込みを入れる。
「死にたくねえだろ、あんたも」
「ミサトさんもそうなんですよね」
シンジはここでポツリと呟く」
「家事の方は」
「あの人も凄いよね」
ジャックの言葉は凄いであった。
「何かああした感じの声の人って」
「家事ができないみたいね」
アンナマリーもそれを言う。
「どうやら」
「そんなレベルか?」
ビルギットはそれ以上だと言うのだった。
「あの人達のは」
「私も時々お料理失敗しちゃうけれど」
ミリアリアの料理は時々地雷が混ざるのだ。かなりましになってきているが。
「艦長のは。かなり」
「十傑集クラスの威力があるよ、絶対」
カツの言葉も容赦がない。
「あれを食べて平気な人って」
「あの三人だけかな」
アキトは腕を組んで考えて述べた。
「やっぱり」
「俺達じゃないよな」
「まさか」
スティングとアウルがそれを聞いて顔を曇らせる。
「生憎俺達の身体は」
「普通なんだけれど」
「あんた達じゃないから安心して」
その彼等にシラーが言う。
「そんなレベルといったらやっぱり」
「あいつ等ね」
「そうですね、常夏三人組」
フレイにヒカルが答える。
「やっぱりあの人達しかいませんね」
「あいつ等なあ」
ここでリョーコが難しい顔になる。
「どういった身体してやがるんだか、全く」
「普通にスペックが強化人間レベルらしいね」
サイが答える。
「マジか、それは」
「はい、そうです」
彼はジョナサンの言葉に答える。
「そうかよ、それで改造していたのかよ」
「改造しなくても性格はあれか」
ヒギンズの突っ込みは実に容赦がない。
「困ったものだ」
「けれど戦力にはなる」
アンナマリーはそう述べる。
「貴重なな」
「そうですよね、それは確かに」
カズイもそれは認めるしかなかった。
「けれど何か」
「実はさ、俺」
ここでトールが皆で小声で囁く。
「あの三人下手したらニュータイプじゃないのかなって思ったりしたけれど」
「勘もいいしな」
ショウは今のトールの言葉に応える。
「けれど違うな」
「あれはあれでってやつじゃないの?」
チャムはこう言う。
「異常能力者っていうだけで」
「少なくともコーディネイターではないですね」
ニコルの言葉は正しかった。
「普通にその能力があるだけで」
「それって凄いことじゃねえのか?」
ディアッカは今のニコルの言葉に首を捻る。
「そもそもよ」
「まあここは普通に超人的な能力の持ち主が一杯いるけれどね」
マサトの言葉であった。
「僕だってクローンだったし出自も様々だし」
「そうですね。そうしたことは気にしても仕方ないですし」
キラもそうした考えに至っていた。
「大した問題でもないです」
「大した問題は他にあるしな」
頭にネクタイを巻いて胡坐をかき右手に一升瓶を持つカガリが述べる。スカートだが平気で胡坐をかいている。
「何故あのライダーは途中でプロデューサーと脚本が変わった?」
「カガリ様、ですから」
「あれはねえ」
「前の人が予算と時間滅茶苦茶だったから」
アサギ、マユラ、ジュリがカガリに対して言う。
「仕方ないですよ」
「おもちゃだって売れなかったし」
「路線変更も聞き入れなかったし」
「だからそれが駄目だ!」
しかしカガリは言うのだった。
「そんなのだからいい作品はできないんだ!」
「いやね、カガリ」
出来上がっているカガリにユウナも言う。
「浪漫は大事だよ。けれどあれは幾ら何でも」
「じゃあ御前はあの路線変更が許せるのか!」
「当然じゃないかな」
ユウナはここではあくまで良識派であった。
「あれだけ無茶苦茶やっていればね。話も進んでいなかったし」
「正直あれは三年か五年はかかっていましたね」
アズラエルも言う。
「そうしたことを踏まえれば。僕がスポンサーなら即刻更迭を要求しています」
「アズラエル、御前まで!」
カガリはさらに激昂しだした。
「普段は浪漫だ何だと言っておきながら!」
「幾ら何でもあれはないです」
しかしアズラエルはまだ言う。
「無茶にも限度があります」
「あのプロデューサーと脚本家は許せん!」
カガリは右手の酒を飲んでまた叫ぶ。
「腕の二三本はへし折ってやる!」
「それは出来ないわね」
レイがポツリと今のカガリの言葉に呟く。
「腕は二本しかないから」
「あのライダーはそのまま続けるべきだった!」
「馬鹿言え」
しかしそれにシンが反論する。当然彼も顔を真っ赤にして酔っている。
「あんなのが認められるか。それにあの脚本家の何処が悪い」
「全部だ!」
カガリはそうシンに反論する。
「何もかもがだ!私はあの脚本家の態度が嫌いなんだ!」
「いいんだよ!それが面白いんだから!」
シンもシンで言う。
「何処かの夫婦よりずっとましだろ、それに」
「あれは論外だ」
何故かそれには同意するカガリであった。
「あんなのは作品じゃない」
「わかったな、そういうことだ」
「ああ、わかった」
「そもそもあれはライダーか?」
シンの言葉は言ってはならないものだった。
「鬼だろ、バイクも最初出なかったし」
「そうなんだよなあ、あれって」
デュオもそれに頷く。
「車も運転しねえしな」
「バイクに乗ってこそライダーだ」
トロワの意見はこうであった。
「バイクに乗らないのはライダーではないだろう」
「最低限のルールがある」
ヒイロも言う。
「それを忘れたならば完全にそれではなくなる」
「発想はよかった」
ウーヒェイはそれは認める。
「だがプロデューサーの暴走を止められなかったのは痛かったな」
「仕方ないですけれどね」
カトルの言葉は達観もあった。
「あの人だけはね。酔ったカガリさんより危険ですから」
「私はあの域なのか」
「自覚しろ、自覚」
シンがカガリを横目で見て言う。
「だから猿山の大将になるんだ」
「言うにこと欠いて今度は猿か」
「猿が去る」
イズミの駄洒落も来た。
「お後が宜しいようで」
「・・・・・・今のは流石にな」
シンも言う言葉がない。
「凍ったどころじゃないな」
「とにかくさ」
トウマが怯んだ間に二人の仲裁に入った。
「楽しくやろうぜ。あれだって後期は後期なりによかったじゃねえか」
「まあな」
カガリもそれを認めるだけの度量はあった。
「確かによかった。あの脚本家も実のところはいい」
「だろ?何だかんだいってわかってるじゃないか」
「しかしだ」
それでもシンに対して言う。
「もう一人の女性脚本家の方が好きだ、私はな」
「ああ、それはな」
そしてシンもそれに同意する。
「あの人はいいな」
「何だ、御前もか」
「不思議と俺達は他人のような気がしないみたいだな、あの女性脚本家には」
シンはさらに言う。
「答えは聞いていない、って言葉がいいよな」
「最初からクライマックスとかね」
マサトもまた言う。
「ああした言葉って好きだよ、僕も」
「何とか話が収まってきたみたいだね」
ユウナはそれに満足していた。
「一時はどうなるかと思ったけれど。じゃあ」
また酒をここで出す。
「飲みなおすか、皆で」
「さんせ~~~~~い」
こうして皆またしても酔い潰れるまで飲む。何だかんだで仲のいい面々であった。
その中にいたトウマだが。朝起きた時は完全に二日酔いであった。苦しい顔で皆がザコ寝しているところから這い出たのであった。
「ああ、頭痛え」
「あれ位で?」
その彼にメイリンが声をかけてきた。彼女もここにいたのだ。
「だらしないわね、皆あれ位じゃ全然平気よ」
「皆が凄過ぎるんだよ」
トウマは苦しい顔でそう応える。見れば皆平気な顔で起きて朝飯に向かっている。
「けれどよ、俺は」
「だったらトウマ」
ここでアイビスが彼に声をかけてきた。
「これを飲むんだ」
「味噌汁か。そうそう、これって」
その一杯の味噌汁を見て声をあげる。
「二日酔いに凄い効くんだったな」
「だから飲むといい」
アイビスは笑顔で彼に言う。
「有り難う、アイビスさん」
「スレイの作ったものだ」
「スレイさんが?」
「そうだ」
ここでエプロン姿のスレイが出て来た。
「私だって女だ。料理はできるぞ」
「そうですよね、それはまあ」
「とにかく飲め」
トウマに飲むように急かす。
「いいな」
「わかりました。それじゃあ」
それを受けて飲んでみる。すると。
「あっ」
「どうだ?」
「美味しいです」
それがトウマの感想であった。
「それもかなり」
「そうか」
スレイはそれを言われて微笑む。
「だったらいいがな」
「スレイさんって確か北欧系ですよね」
「そうだが」
「それでお味噌汁こんなに上手いんですか」
「ツグミに教えてもらった」
それが理由であった。だから知っているのだ。
「そういうことだ。わかったか」
「ええ、それなら」
トウマも納得がいった。飲んでいる間に二日酔いが取れていく。
「おかわりいいですかね」
「ああ、どんどん飲んでくれ」
今のトウマの言葉に機嫌をよくさせるスレイであった。
「こちらとしても有り難い言葉だ」
「それじゃあ」
「あたしも作ったんだ」
アイビスはここでベーコンエッグを出してきた。
「よかったら食べてくれ」
「アイビスさんも作れるんですね」
「一人暮らしが長かったからね」
くすりと笑ってトウマに言うのだった。
「あらかた作られるよ」
「へえ、そうなんですか」
「意外かい?」
「意外っていうよりいいですね」
それがトウマの感想であった。
「そういうのって」
「そう言ってもらうと有り難いよ。じゃあまだ食べるかい?」
「はい、御願いします」
その横ではアラドがゼオラに食べさせられている。ゼオラはここでもお姉さんであった。
「ほら、ゆっくり食べて」
ガツつくアラドに対して言っている。
「急に食べるとお腹に悪いわよ」
「ちぇっ、ゼオラがゆっくり過ぎるんだよ」
「気をつけてるのよ」
ゼオラはそうアラドに言葉を返す。
「ゆっくり食べるのが身体にいいから」
「たっぷり食べる方が身体にいいだろ?」
「違うわよ、ゆっくりよ」
ゼオラは少しムキになってアラドに言い返す。
「お腹がびっくりするじゃない、急だと」
「大丈夫だって、俺の胃はかなり丈夫だからさ」
「そういう問題じゃなくてね」
そんな話をしていた。彼等は何処となく姉と弟に見える。しかし本人達にその自覚はなく相変わらず二人で言い合いながら朝食を採るのであった。
それが終わってからであった。朝のトレーニングとシャワーを終えた一同のところにまた敵襲の報告が届いていた。
「今度は何処なんだ?」
「大気圏のすぐ側だ」
クワトロがアムロに答える。
「そこにまた混成軍が集まっている」
「そうか。またあの連中だな」
「うむ。それでだ」
「出撃なんだろ?今回も」
アムロはこうクワトロに言葉を返した。
「だったらすぐにでも行くか」
「いや、残念だがすぐにはできない」
「ルナツーか?」
「ホワイトスターが不穏な動きを見せている」
それが理由であった。
「軍を出してきている。彼等にも警戒が必要だ」
「じゃあどうするんだ?」
アムロはそれを聞いて顔を曇らせてきた。
「若しあの敵が地上に降下すれば厄介なことになるぞ」
「まずは出撃する」
ここでブライトが二人に言ってきた。
「ホワイトスターと大気圏の間に布陣する」
「どちらにも対処出来るようにだな」
「そうだ、そうしてメインはあの謎の敵だ」
これがブライトの作戦であった。ホワイトスターのバルマー軍を牽制しつつ謎の敵と戦う。彼の考える作戦はおおまかに言ってこうしたものであった。
「それでどうだ」
「いいんじゃないのか?」
アムロはブライトの話を聞いてこう述べた。
「それで」
「そうだな」
クワトロもそれに賛成して頷く。
「それがベストではないにしろ最もいい方法だ」
「よし、では総員出撃だ」
ブライトは言う。
「それでいいな」
「ああ。しかし」
ここでアムロはまた顔を曇らせる。
「何だ?」
「あの敵の正体はまだ全然わからないんだな」
「残念だが何の手懸かりもない」
ブライトは首を横に振ってアムロに答える。
「残骸からは何の手懸かりも見つかってはいない」
「そうか。なら仕方ないな」
「わかっていることもない」
ブライトはこうも言うのだった。
「何一つとして」
「だが。鍵はあるな」
アムロの目が鋭くなった。
「それは多分」
「あの二人だな」
クワトロもそれは気付いていた。
「おそらくは彼等が」
「だが。容易には正体を見せないな」
彼等も怪しいとは思っていたがそれでも確実なものがないのだ。だから断言出来なかったのだ。だからこそ今は鍵であるだけであったのだ。
「まだな」
「いずれ動くだろう」
クワトロの返答はこうであった。
「だがそれは今ではない」
「待つということだな」
「待つというのも大事な仕事なのだよ」
一瞬だがシャア=アズナブルの顔になった。サングラスの奥で。
「時としてな」
「それで御前は待つというのだな」
「待っていてもそれがどうでもよくなる時もあるがね」
またシャアの顔に戻って言う。
「時として」
「それはクワトロ=バジーナの言葉か?」
アムロはそんなクワトロに対してあえて問う。
「どうなんだ、そのところは」
「クワトロ=バジーナと思ってくれ」
それがクワトロの言葉であった。
「私はクワトロ=バジーナとして生きているのでね」
「そうか。ならそう考えさせてもらう」
アムロはそれを受けてこう答えた。
「クワトロ=バジーナの言葉としてな」
「そうしてくれ。では行くとしよう」
あらためてアムロに対して言う。
「戦場へ」
「わかった、じゃあ行こう」
「うむ」
こうして彼等は戦場に向かった。ブライトの作戦通り大気圏とホワイトスターの間に布陣する。丁度両軍も布陣していた。
「あの敵には指揮官はいないな」
ブライトはまず謎の敵を見て言った。
「目新しい敵もいない。それでは」
「ここはこれまでと同じでいいだろう」
シナプスがここでこう提案する。
「あの敵に対してはな」
「そうですね」
ブライトも彼の言葉に頷く。だが問題は彼等だけではないのだ。
「しかし、バルマーは」
「あちらは特に動く気配はありません」
タケルが報告してきた。
「兄さんもいるようですが」
「マーグがか」
「はい、それでも積極的に動く気配はありません」
確かにそうだった。バルマー軍はあえて動こうとはしない。こちらの様子を見ているだけであった。ヘルモーズもいるがやはり動きはしないのだった。
「司令」
ヘルモーズの艦橋でロゼがマーグに問うていた。
「今回は攻撃されないのですか」
「あの敵が気になるんだ」
マーグはそうロゼに答える。
「まだ何もわかっていないから」
「そうですね」
ロゼはマーグのその言葉に頷く。
「彼等の正体は。何もわかってはいません」
「ここはどういった存在なのか見ておきたい」
マーグはまた言う。
「だからここはあえて動かない、いいね」
「わかりました。ですが」
ここでロゼの目が鋭くなる。
「どちらかが我々に攻撃を仕掛けて来た場合」
「その場合は容赦する必要はないよ」
マーグもこうロゼに答える。
「反撃を浴びせる。いいね」
「わかりました」
そうマーグに答える。彼等は様子を見ているだけであった。ロンド=ベルと謎の敵との戦いを。
両軍の戦いはもうはじまっていた。謎の敵は地球には降下せずにロンド=ベルに全軍を挙げて向かって来たのであった。
「地球には降下しないのか」
「ということは」
彼等はそれを見て考える。
「ここに来ていたのは奴等の戦術か?」
「だとすれば」
指揮官がいる、そう考えた。しかし指揮官は見当たらなかった。少なくともそれらしき存在は今の敵の中には誰一人として見当たらなかった。
「おかしいわね」
タリアがこのことに眉を顰めさせる。
「指揮官がいないとこういうことは出来ないのだけれど」
「そうですね」
それはアーサーもわかる。彼もその顔をいぶかしめさせていた。
「どういうことでしょうか、これは」
「隠れているのかしら」
タリアは次にこう考えた。
「何処か近くに」
「じゃあ伏兵が!?」
「可能性はあるわね」
タリアとて艦長を務めこの戦いにおいても数多くの修羅場を潜り抜けている。だからこうした時に働く勘はかなりのものであるのだ。
「問題は何処からだけれど」
「そうですね。一応各方向に警戒をしておきましょう」
「ええ、じゃあまずは」
「皆いいかしら」
タリアは総員に告げる。
「伏兵が隠れている可能性もあるわ。気をつけてね」
「了解」
「まあそうかもな」
彼等はそれを聞いて頷く。
「そういうことだから。メイリン」
「はい」
総員に告げたうえでメイリンにも声をかける。
「ミネルバもレーダーを効かしてね」
「わかりました。ミノフスキー粒子もありませんし」
「どういうわけかしらね」
ここでタリアはふと気付いた。
「ミノフスキー粒子を散布しないなんて。モビルスーツだって持っているのに」
「これも罠でしょうか」
「そう考えるのが妥当ね」
ここでは勘ではなく読みを働かせた。それでアーサーに言う。
「さもないとおかしいわ」
「そうですね。じゃあやっぱり何かありますか」
「絶対にね。それに」
敵が近付いて来ている。丁度ミネルバの射程内にまで。
「来ているわよ」
「タンホイザー、いけます」
アーサーが告げてきた。
「どうされますか?」
「決まっているわ」
艦橋に座り前を見据えて答える。
「攻撃目標敵一個小隊」
「了解、あの小隊ですね」
「そうよ。艦の前方にいるマシンを退避させて」
「了解、これよりミネルバはタンホイザーを発射する」
メイリンがそう通信を入れる。
「艦の前方にいるマシンはすぐに退避して下さい」
「わかったぜ」
「それじゃあ」
皆それを受けて射撃コースを空ける。それで充分であった。
「視界クリアー」
「照準合わせました!」
「わかったわ。タンホイザー発射!」
「撃て!」
タリアの次にアーサーが言う。こうしてミネルバから一条の光が放たれ敵のガザCの小隊を貫いた。そうして敵を屠ったのであった。
ミネルバのタンホイザーが反撃の狼煙になった。それまで攻撃を仕掛けていたのは謎の敵だったがそれがロンド=ベルに代わる。彼等はそのまま攻撃を浴びせていった。
「数が多くても伏兵がいてもなあ!」
ジャーダはその手にスラッシュリッパーを動かしながら叫ぶ。
「纏めて潰せば意味がないんだよ!」
そのスラッシュリッパーで敵を斬っていく。まるで生き物の様に暴れ回るそれが敵を切り刻み炎へと変えていく。彼もまた見事な戦いぶりを見せていた。
そうして敵をかなり倒しロンド=ベルの優位が確定した時だった。彼等から見て右斜め上に新たな敵が姿を現わしてきたのであった。
「やはりな」
ブライトはそれを見ても特に驚くことはなかった。
「出て来たか」
「そうですね」
彼にトーレスが応える。
「予想通りです。しかし」
「ああ」
トーレスの言いたいことはわかっている。それは。
「やはりここでも指揮官はいませんね」
「戦艦もないな」
そうした機体や指揮官が乗ることの多い戦艦もない。そこに気付いているのだ。
「どういうことだ、この敵は」
「相変わらずミノフスキー粒子も散布されていません」
サエグサも言う。
「ここまで何の策もありませんと」
「かえって策だと思ってしまうな」
「しかしよ、ブライトさん」
カイがブライトに声をかけてきた。
「どのみちあの敵も相手にしないといけないぜ」
「そうですね」
それにハヤトも頷いてきた。
「放ってはおけませんよ。数もかなりですし」
「それはわかっている」
ブライトも二人の言葉に応えて頷く。
「まずは前の敵を倒して」
「その後であの連中だよな」
「その流れでいいですね」
「ああ、それで行く」
そう二人にも答えた。
「ではな。頼むぞ」
「了解ってね」
「それじゃあ僕達も」
「ただなカイ、ハヤト」
ここでリュウが二人に声をかけてきた。
「んっ!?リュウさん」
「何ですか?」
「左に今レーダー反応があった」
リュウはそれを二人に告げる。
「一機だが気をつけるようにな」
「反対側にって」
「一体誰が」
「敵ですね」
セイラは直感でそれを悟った。
「おそらくは今目の前にいる相手の」
「まあそう考えるのが妥当だよな」
スレッガーもそれに応えて言う。
「それが指揮官だったらやばいな」
「そうだな」
ブライトは右手を顎に当てて考える。そうしてまた言うのだった。
「そのマシンの到着までどれ位だ?」
「三分です」
リュウが答える。
「今の敵の到着までには一分ですが」
「二分あるか」
「誰が行くかって問題になるな」
スレッガーは言う。
「指揮官とかだったら厄介なんだが」
「俺が行こう」
ここでゼンガーが名乗り出て来た。
「少佐がか」
「敵が指揮官ならば相手にとって不足はない」
ゼンガーは毅然として言う。
「この斬艦刀にとってもな」
「わかった。それではそちらは頼む」
ブライトは彼の言葉を受けて決断を下した。
「では主力はこのまま敵の部隊に向かう」
「わかりました」
「それでは」
今度はアポリーとロベルトがそれに応えた。彼等はもうクワトロの周りでそれぞれのシュツルム=ディアスを操り戦っている。
「すぐにでも」
「彼等を倒しましょう」
「うん。こうなればバルマーが動かないのは幸いだな」
「そうですね」
今の言葉にケーラが応えてきた。
「気にはなりますけれどね」
「気になるのと実際に戦うのとじゃ大きな差だしな」
アムロがケーラの今の言葉に突っ込みを入れる。
「戦う敵が一つしかいないっていうのはいいことさ」
「そうですね」
「じゃあブライト」
アムロもまたブライトに声をかけてきたのだった。
「その敵はゼンガー少佐に任せて俺達は」
「このまま敵の主力を倒すぞ」
「ああ。丁度今来た」
ここでまたアムロが声をあげた。
「集まっているな。それなら」
攻撃態勢に入る。そうしてその背中からフィンファンネルを出すのだった。
「フィンファンネル!」
複数のフィンファンネルが縦横無尽に動く。そうして迫って来た敵の一団を瞬く間に撃墜していく。白い流星のこの攻撃が合図となりまた激しい戦いに入った。だがここでクワトロは妙な気配を感じたのであった。
「やはり。妙だな」
「どうしたんですか、大尉」
「クェス、君は何も感じないか」
同じニュータイプである彼女に問うた。
「何がですか?」
「この気配、これは」
「あっ、これは」
今彼女も感じた。
「そんな、二人も」
「一体何を言っているんだ?」
ファンネルを放って攻撃を終えたギュネイがそのクェスに問う。
「二人がって・・・・・・ムッ!?」
「ギュネイ、君も感じたようだな」
「ええ、まあ」
そうクワトロに答える。
「けれどこんなことが」
「不思議なこともある」
クワトロはその気配に対して言及するのだった。
「二人もいるとはな」
「御前も感じたのか」
アムロもまたクワトロにこう声をかけてきた。
「今の気配を」
「君と同じだよ、おそらく感じた時間もな」
アムロに対しても答える。
「何もかもな」
「そうか。じゃあやはりあれは」
「おいおい、有り得ないぜこれってよ」
ジュドーもまた同じものを感じているようであった。だからこそ話に入って来たのであろう。
「しかしだ」
ハマーンもまた同じものを感じていた。
「この戦い自体がそもそも普通ではない。ならば」
「有り得るってことか。これも」
やはりカミーユも感じている。ニュータイプ能力を持つ者全てが感じていたのだ。
「ハマーン」
ミネバが少し怯える声でハマーンに通信を入れてきた。
「だが一方の気配、これは」
「はい」
ハマーンも警戒する顔でミネバに応える。
「同じものでも一方はさらに」
「激しいものではない。邪悪よ」
ミネバはこう表現したのだった。
「邪悪なものを感じるわ。これが近付いて来たら」
「御安心下さい、ミネバ様」
ハマーンはここではミネバの心を安からしめることにした。
「私がいます。ですから」
「守ってくれるのね」
「いつもと同じです」
声が優しいものになっていた。
「ですから。御安心下さい」
「わかったわ。じゃあ御願いね」
「ええ。それにしても」
ミネバが落ち着いたところでまた気配に対して言うのであった。
「あの男と同じで違う。これは」
「ハマーン様」
マシュマーがここでハマーンに声をかけてきた。
「どうした?」
「敵がまた迫って来ております」
そう報告してきた。彼はビームライフルで敵を一機屠っていた。ビームで貫かれた敵がそのまま炎に変わる。その中でハマーンに対して言うのであった。
「ここは」
「わかっている。ならば」
ファンネルを放つ。それで彼女もまた多くの敵を倒していくのであった。
ゼンガーは今誰の前にもいない。しかし気配は感じていた。
「姿を現わすのだ」
その気配に対して告げる。
「俺の前に。いざ!」
「よかろう」
気配が応えた。そうしてその何かが姿を現わしたのだった。
「えっ、あれって」
「まさか!」
そのマシンを見てクスハとブリットが声をあげた。
「嘘、そんな筈が」
「だがあれはやっぱり」
「我はウォーダン」
そのマシンから声がした。
「ウォーダン=ユミル!メイガスの剣なり!!」
「ウォーダン=ユミル!!」
「誰なの、それって!」
それを聞いたカチーナとガーネットが思わず声をあげた。
「しかも今の声ってよ」
「ああ」
ライも必死で冷静さを保ちながらリュウセイに応える。
「間違いない。しかし」
「まさかこれもまた」
アヤはある疑念を抱いた。
「クローン!?けれどどうして」
「メイガスに敵対する者は全て破壊するッ!!」
ウォーダンと名乗る男はそう叫ぶとダイゼンガーに向かった。そうしてその巨大な太刀を繰り出してきた。
「むっ!!」
「一意専心!!」
こう叫んで剣を出してきた。
「斬艦刀、一文字斬り!!」
「少佐!」
「うろたえるな!」
彼だけが落ち着いていた。そうして己の斬艦刀でその一文字斬りを受け止めるのであった。
「ぬっ、我の攻撃を!」
ウォーダンはそれを見て言う。
「我が斬艦刀を受けきったか」
「見事な太刀筋だ」
受けたゼンガーもそれを認める。
「貴様、何処でその剣を手に入れた」
「答える必要はない」
しかしウォーダンはその問いに答えようとはしない。
「だが一つ言っておく」
「何だ?」
「俺の名はウォーダン」
それを言うのだった。
「ウォーダン=ユミル。ゼンガー=ゾンボルトなどではない」
「けれどあれは」
「そうですわ」
ラトゥーニの言葉にシャインが続く。
「少佐のもの」
「それで違うというのは」
「あの声に名乗り、斬艦刀ってよ。ど、どう考えたって!」
「そうよ、それしかないわよ」
アラドとゼオラも狼狽しながら言い合う。
「少佐しか」
「それで別人って」
「も、もしかしたらそっくりさんの別人とか」
「あんなトンデモ野郎が他に何人もいるか!」
カチーナはラッセルに突っ込みを入れる。
「一人だけでも凄いんだぞ!」
「双子の弟とかっていう線はなし?」
「そうだよね、現に少佐は今ここにおられるし」
リオの言葉にリョウトが応える。
「クローンじゃないって言ってるし」
「だよね、それだと」
「俺に兄弟はいない」
ゼンガー自身がそれを否定する。
「また同じ剣を使う者も知りはしない」
「じゃあ一体誰なのよ」
エクセレンも流石に今回はいつもの軽さがない。
「やっぱりクローンじゃないの?ここは」
「だとしてもだ」
キョウスケがそのエクセレンに言う。
「かなりよくできている。完璧なまでにな」
「完璧って」
「あれはまさに少佐だ」
「そんなのが敵にいるってまずいじゃない」
それは言うまでもない。エクセレンの顔が曇る。
「少佐の相手になるってそれこそ」
「俺の相手となれるのは俺のみ」
ゼンガー自身がここで断言すらする。
「それならば」
「貴様が相手ならば相手にとって不足はなし!」
ウォータンの言葉もそのままゼンガーのものであった。
「かかって来るのだ!」
「言われずとも!」
ゼンガーもそれに応える。
「貴様の相手、心ゆくまで務めよう」
「貴様の斬艦刀と俺の斬艦刀」
互いに構える。戦いは静から動に移る。
「どちらが上か確かめようぞ!」
「参る!」
二人の影が交差した。そうしてその次の瞬間には。
互いの左肩が破損した。やはりここでも互角であった。
「俺の左肩に傷を」
「やるな」
互いにその傷を見る。そうして言い合う。
「腕は全くの互角か」
「ならば一瞬の油断こそが命取りとなる」
そうした勝負であった。二人の戦いは激しい緊張の中にある。
しかし。ここで水が入るのであった。
「ヴォータン」
「貴様か」
ウォータンは謎の声に応える。
「ここは帰るのだ」
「俺は今敵と戦っている。それでもか」
「そうだ」
その口調は有無を言わせないものであった。その声で告げる。
「我が本隊が来る。だからこそ」
「戻れというのか」
「わかったら戻れ。いいな」
「わかった。ゼンガー=ゾンボルトだったな」
「そうだ」
ゼンガーはウォータンの問いに応える。
「わかった。覚えておこう」
「覚えてどうするのだ?」
「また会おう。この場は去らせてもらう」
「どういう事情かわからんが主部は預けるということだな」
「その通りだ。それでよいな」
「わかった」
ゼンガーもそれを受ける。それを受け入れない程ゼンガーも器が小さくはない。
「ではまた会おう。それでいいな」
「うむ、それではな」
ウォータンは姿を消した。そうして戦場に残っているのはロンド=ベルだけとなっていた。だが彼等の前にはまだ敵がいた。
「今度はバルマーだな」
「そうですね」
サエグサがブライトの言葉に応える。
「まだ彼等がいました」
「さて、どう動くか」
ブライトは艦橋でまだ動きを見せないバルマーの軍勢を見て呟く。
「連戦だが。止むを得ないな」
「艦長」
だがここでトーレスが報告してきた。
「どうした?」
「バルマーの軍勢が退いていきます」
「撤退しているのか」
「はい、どうやら彼等には戦う意志がないようです」
トーレスはこうも報告する。
「どうされますか?追撃は」
「いや、それは止めておこう」
しかしブライトはそれを許さない。動かないというのだ。
「今はな」
「ダメージが大きいですか」
「そうだ」
その理由はそれであった。先の敵との戦いでロンド=ベルもかなりのダメージを受けエネルギーや弾薬もかなり消耗していたのだ。
「無理は出来ない。だからここでの追撃は止めておこう」
「わかりました。それではゼダンに撤退ですね」
「ああ。本音を言うと追撃を仕掛けてバルマーの軍勢を少しでも減らしておきたいのだがな」
ブライトも本音ではこうであった。
「だが。今のままではな」
「仕方ありませんか」
「全軍ゼダンに撤収だ」
ブライトはあらためて指示を出す。
「それでいいな」
「ああ、わかった」
アムロがラー=カイラムのモニターに出て応えた。
「じゃあ今からそちらに戻るぞ」
「わかった」
謎の男ウォータンとの戦いもあったがロンド=ベルは今回の戦いも凌いだ。しかしそれで終わりではなくゼダンに戻ると思わぬ来客がいた。それは。
「シュウ」
「久し振りですね、マサキ」
シュウがそこにいた。チカも当然一緒である。
「元気そうで何よりです」
「どうしてここにいやがる」
マサキは半ば喧嘩ごしにシュウに問うてきた。
「手前、今度は一体」
「何、少しお伝えしたいことがありましてね」
「俺達にか」
「そうです。貴方達が今戦っている敵についてですが」
ロンド=ベルにとっては今現在最も気になる話であった。シュウはそれについての情報を持っているというのだ。これは聞き逃せないことであった。
「それについてですが」
「何か知っているっていうんだな」
「その通りです」
そうマサキに答える。
「お話して宜しいでしょうか」
「勿体ぶらずに早く言いやがれ」
マサキは焦った調子でシュウに対して言う。
「あいつ等は一体何なんだよ、何処から来たんだ」
「それについて今からお話しましょう」
シュウは落ち着き払った様子でロンド=ベルの面々に対して話をはじめた。
「彼等の正体、それは」
ようやくロンド=ベルも今戦っている敵について知ることになった。その正体とは。

第二十八話完

2007・12・8  
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