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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜

作者:カエサル
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BFO編ーダブルファイター編ー
  38.決勝波乱

 
前書き
第38話投稿!!!

ついに開始される決勝戦!!
その相手とは思いも寄らない人物だった。 

 


俺たちは一切言葉をかわさずに会場の手前まで足を運んだ。無言の中、会場からは観客のプレーヤーたちの声が聞こえてくる。

『さて〜!それでは、選手の入場だ!!』

実況者の声がスピーカーを通し鳴り響き、観客のテンションがMAXに到達する。

『まず!大番狂わせの強さ!優勝候補を次々と倒してきた新生ペア!!シュウ&レイナ!!』

俺が会場に足を一歩踏み出そうとした時、レイナが俺の腕を掴み引き止める。

「どうしたんだ?」

「まだやってないじゃんか」

そう言って、レイナが拳を突き出す。

「そうだったな」

俺も拳を突き出し、レイナの拳とぶつける。

「それじゃ、行こっか」

「おう!」

会場へと俺たちは同時に足を踏み入れた。決勝戦とあって凄いプレーヤーの数だ。観客席を覆い尽くすだけでなく通路までも埋め尽くすほどのプレーヤーの数だ。

『そして!!最強、最凶、最恐の三つ揃ったサイキョウペア!!ルート&グランド!!』

向こうの方から現れる二人の人影。一人は、ゴツイ体にかなりの装甲の黒い服を着た男と俺と同じく腕のみに防具をつける白いコートを着る男。

『それでは、試合を開始します!!』

実況者の声とともに目の前に"30"の数字が現れる。いつものように徐々に数字が減っていく。

(こいつらは今までの相手とは違う!実力なのか不正を行っているのかは、わからないが........全力でぶっ潰す!!)

3!

2!

1!

0!

『試合開始!!』

実況者の開始の声とともに地を蹴る。俺はゴツイ方をレイナが白い方を相手にするようなフィールドが形成される。相手は動かず俺たちが来るのを待っていたようだ。

先制攻撃。両腕を刃のように伸ばし、両腕が黄金の光を纏う。手刀が出現し、地を右足で踏み切り空中に跳び上がる。そのまま二本の手刀を相手目掛けて振り下ろす。だが、相手は避けるのではなく自分の腕の装甲で防御する。装甲の腕が俺を弾き飛ばす。
地の着地し、体勢を立て直す。

「この程度か.......」

「な、訳ねぇだろ!」

挑発にのり再び地を蹴り駆ける。右手刀を前に突き出し、そのまま突進。再び左腕でガードされるがガードされた腕にコンマ1秒遅れで腕を下を突くように左手刀を繰り出す。

二刀流突撃技《ダブルサーキュラー》
あの半仮想空間での模倣スキルの記憶が俺の体を動かした。二刀流スキルといえど手刀で再現できないわけではない。

完全に相手をとらえた。回避する手段など存在しない。そう思った瞬間、左手刀が急激に重くなる。

「なっ!」

そのせいで手刀の位置は、ズレ中心のクリティカルポイントに当たるはずがただかするだけとなった。するとフリーとなっている相手の右腕が青白い光を放ち俺の首元に飛んでくる。それをギリギリのところで回避し、相手と距離を再びとる。

「ほぅ、中々の反応速度だ」

「そりゃどうも。あんたこそ、中々のいかれぐわいだぜ」

どこかでしたような会話に過去の記憶を探る。相手も何かに気づいたらしく目を尖らせる。

「お前......まさか.......如月か....」

「......やっぱりか。.......ってことはあんたがあのいかれた男ってことか」

「いかれた男とは.......変な呼び方をするな。俺は、ルートだ」

この男がルート.......そして、スグを奪おうとしている男.......

手刀を今一度構え直す。ルートにめがけて体を突進させる。

「うおおぉぉぉぉっ!!」

叫びとともに体全体を使い、相手に攻撃の隙を与えないほどの嵐の如き攻撃を繰り出す。すると再び、急激に手刀が重くなり体勢が崩れる。

その瞬間を狙っていたようにルートの青白く光る腕が俺の首元に直撃する。

「グッハ!!!」

衝撃が首から体全体に広がり、壁に向かい吹き飛ばされる。壁に激突し、HPのかなりもってかれる。この世界において手刀の発動中は防御力がかなり低下するせいでダメージ量が異常に受ける。

「な、なん......だ。.......いまの.....」

手刀が急激に重くなり体勢そのものを崩された。そして、それがわかっていたかのようにあいつは俺の首元に合わせてラリアットを打ってきた。

つまりあいつはそれが起きることもわかっていた。
ということは.........

「どうした。もう終わりか......」

「まだに決まってんだろ.......」

「そうか、なら........死ね.....」

ルートの拳が赤色に光り、拳を振り上げる。

(クッソ!体、動かねぇ......)

拳が振り下ろされる!

「危ない!!」

人影が急に乱入し、目の前のルートを吹き飛ばす。

「大丈夫、シュウ?」

レイナが俺の前に立ち、俺を守る。吹き飛ばされたルートが起き上がり、こちらを向く。

「クソっ!!痛ぇじゃねぇか、女」

「だらしないな、ルート。あれぐらい避けろ」

「けっ!あんな女に手こずってるテメェに言われたくねぇよ、グランド」

二人が同時にこちらを向く。

「立てる、シュウ?」

「ああ、大丈夫だ」

重い体を起き上がらせ、相手と向かい合う。

「気をつけろよ、レイナ。ルートの方は確実に不正をしてる。それを暴かねぇと勝つことは出来ない」

「それじゃあ、任せて」

レイナは笑顔でこちらを見るとルートとグランドに向かって突っ込んで行く。

「レイナ!!」

レイナとルートが激しい攻防を繰り広げる。

「クッソ!あのバカ!」

レイナの元へ行こうとすると俺の目の前に白いコートの男が立ちはだかる。

「邪魔だ。退け!」

「退けと言って、退くやつがいると思うか?」

勢いをつけてグランドが駆けてくる。グランドの両腕が緑色に光り、俺に向けてラッシュを繰り出す。それを両腕の手刀でなんとか防ぐ。徐々に壁に追いやられていく。壁までいけば俺はラッシュを避ける術はなくなる。

(それなら.....)

両刀に力を一気にいれ、猛攻してくる両拳を力を入れた両刀で横に弾く。無理やりに作り出した一瞬の隙に膝を一気に曲げ、相手の懐に侵入。そして右足を主軸とし一気にその場で回転する。

二手刀流旋回技《双嵐転》
グランドは、何発か受けたあと距離をとろうと後ろに飛び退く。だが二本の手刀を前に突き出し、地面を思いっきり蹴っ飛ばし、グランドに突進。

二手刀突進技《深海衝》
二本の手刀は、グランドの体を貫き、グランドは地面に倒れこみ"LOSE"の文字が浮かび上がり姿が消える。

「ふぅ〜」

一息間を置き、レイナとルートが戦っている方向見る。するとそこには、残りHPがイエローゾーンに突入し必死で攻撃に耐えているレイナと嵐の如き攻撃を放つルートが視界に映る。

「クッソ!」

地面を強く踏み込みレイナの元へと駆ける。

(頼む!間に合ってくれ!!.......頼む!!)

その瞬間、目の前に映る視界の色が消え去る。そして全ての世界がネガ反転したように変わる。

(なっ!?何だ......これは!!?)

視界に映り、振り下ろされる拳がまるでスーパースローを見ているかのように遅くなっている。だが、俺の体に遅くなった感覚はない。

(これなら......行ける!!)

さらに一歩を踏み出し強く地面を蹴り上げる。




(もうダメっぽいかも......ゴメンね。........シュウ)

圧倒的なルートの力の前に防御することしかできず攻撃を繰り出せない。しかも、ルートに攻撃を繰り出そうとすると急に手や足が重くなり体勢が崩される。

これがシュウの言っていた不正なのはわかってるけど原理がわからない限り防ぎようもない。体が急激に重くなり体勢が崩れ、それを狙っていたようにルートはにやけ、赤色に光る腕を振り上げられ、そのまま腕があたしに向かって振り下ろされる。

(ゴメンね。.........シュウ)

負けを覚悟して目を瞑ると誰かの雄叫びとともに何かが殴られるような音が鳴り響く。

「えっ?」

目を開けるとそこには、黒いコートを身に纏い、右腕が青白く光る少年の姿が目に映る。

「シュウ!」

「悪い、待たせたな」

シュウは、吹き飛ばされたルートを今まで見たこともないくらいの怖い形相睨みつけている。

「痛ぇな!」

吹き飛ばされたルートが起き上がりこちらを睨みつける。

「ここで待ってて」

シュウは笑顔でこちらを向き、あたしの頭に手を乗せ、撫でる。

「すぐに終わらせてくるからさ」

シュウが体をルートの方に向ける。

刹那!!
一瞬のうちにシュウが駆け出す。




「おりゃぁぁぁ!!」

雄叫びをあげ、両腕の手刀をルートに向けて斬り込む。

(相手に隙を与えるな!!技すら使わせる隙を与えるな!!)

嵐の如き攻撃を繰り出し続ける。.......が、次の瞬間.......体が急激に重くなる。体勢が崩れ、ルートが両腕が赤く光る。

「クッソ......!」

「これで終わりだ........直葉はもらっていくぞ、如月」

(こんなんで終わらせるかよ!!)

「うぉぉぉぉぉ!!」

雄叫びとともに、再び世界から色が消え去り、ネガ反転した世界が広がる。遅く振り下ろされる、ルートの拳。その拳を手刀で迎え討つ。拳と手刀が触れ合った瞬間、世界に色が戻る。そして、手刀が拳を弾く。

「なに!?」

「おりゃぁぁぁ!!」

弾き飛ばした瞬間、手刀を消し右腕を後ろに引く。右腕が青白い光りを纏う。そしてそのまま拳を前へと突き出す。

単発攻撃《ストレートショット》
青白い光の拳がルートの顔面をえぐる。

「グッァ!!」

地面で悶えるルート。

「これで終わりだ.........ルート」

「この程度で.......終わらせるかぁぁぁ!!」

雄叫び.......いや、叫びのような声を上げながら立ち上がり俺に向かって突っ込んでくる。

するとさっきまでとは比べものにならないような重さが体を襲う。

(こいつ......もうお構いなしか.......)

「不正がばれてもいいのかよ.....」

「お前を倒せればそれでいいはわぁ!!」

ルートから拳が振り下ろされるが.......外れる。多分、俺の拳が目に当たったようで視界がボヤけているのだろう。

「テメェがその気なら........俺も.....!!」

重い体を無理やり動かす。手刀を発動させる。

(この世界でも出来るはずだ!!)

さらに手刀を発動させた両腕を後ろに引く。黄金色の光の内側に緑色の光が纏われる。そして右と左の手刀を交互にルートの体を高速突き刺す。

二手刀・ラッシュ複合ソードバトルスキル《連炎銃(バースト・ガトリング)》
いくらあいつのスキルが俺の体を重くしようとも......この世界の主体となっている《バトルスキル》によって起きるシステムアシストにまでは干渉出来ない。

二本の手刀が連続でルートの体に突き刺さっていく。

「これで終わりだぁぁぁ!!」

最後の一撃がルートの心臓部を貫く。そして"LOSE"の文字が浮かび上がり姿が消える。

『試合終了ぉぉ!!』

観客の歓声が響く。

『なんということでしょう!!最強のペアを新生ルーキーが撃破すると誰が予想したでしょう!!優勝は........シュウ、レイナ、ペア!!』

再び観客の歓声が響く。



こうして俺たちの大会は"優勝"という二文字で幕を閉じた。 
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