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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第五話 百鬼帝国

                第五話 百鬼帝国
フローラは百鬼帝国の宮殿奥深くに案内された。そこは特別な場所であった。
「こちらです」
鬼の兵士に案内されて来たのだった。そこには二人の男がいた。
「ヒドラー元帥です」
「ジラー博士だ」
二人はそれぞれそう名乗った。
「以後見知りおき」
「こちらも」
フローラは彼等に言葉を返した。そうして奥にいる男と向かい合った。
「貴方が百鬼帝国の主ですね」
「うむ」
男はフローラに挨拶を返す。
「我が名は帝王ブライ。よく覚えておけ」
「はっ」
「話は聞いている」
ブライはすぐにフローラに述べてきた。
「我等と同盟を結びたいのだな」
「そうです」
フローラもまた彼に答える。
「我が邪魔大王国と百鬼帝国が手を結べば敵はありません」
「確かにな」
ブライもその言葉に頷く。
「それに我等は共に同じ地底の者」
「はい」
その言葉にも頷く。
「言わば同胞だな」
「だからこそです」
フローラはまた述べる。
「帝王ブライよ、今こそ我等は」
「わかておる」
ブライも不敵に笑って彼女に言う。
「我等とてそれを願っていたのだ」
「それでは」
「うむ。今こそ同盟を結ぼうぞ」
その笑みのままフローラに述べる。
「そしてこの地球を」
「地上を」
彼等はそれぞれ言う。
「我等のものに。そうだな」
「はい。それでは」
「皆の者」
ブライはヒドラー、ジラーだけでなくそこにいる全ての者に言った。
「今こそ我等が同盟の時だ。祝うがいい」
「百鬼ブラーーーーーーーーーイッ!」
「百鬼ブラーーーーーーーーーイッ!」
ブライを讃える声が木霊する。こうして百鬼定刻と邪魔大王国の同盟はなったのであった。
フローラが去ってから。ブライの間にはヒドラーとジラーだけが残っていた。ヒドラーはその中でブライに対して問うてきたのであった。
「偉大なる帝王ブライよ」
「何だ?」
ブライも彼に応えて顔を向ける。
「ヒドラーよ、申してみよ」
「邪魔大王国との同盟ですが」
今結んだばかりの同盟について言及する。
「まことに。あれで宜しいのですな」
「何がだ?」
「このまま行かれるのでしょうか」
そう帝王に問う。
「永劫に」
「それはない」
ブライはそれはすぐに否定した。
「それは向こうも同じであろう。人間もバルマーも倒せば」
「後は用済みですか」
「そうだ。いずれ奴等も倒す」
それをはっきりと述べる。
「その為の作戦も進めておけ。よいな」
「はっ」
ヒドラーはブライのその言葉に応えた。
「それではそちらも」
「うむ。しかしまずは地上だ」
ブライはそれには念を押してきた。
「地上を制圧し我等を脅かす全ての敵を排除して」
「地球の覇権を握る」
「ジラーよ」
今度はジラーに顔を向けた。
「はっ、偉大なる帝王ブライよ」
「兵器の開発を急がせよ」
そう彼に言う。
「よいな、その兵器で」
「わかっております、ブライよ」
ジラーも彼の言葉に頷く。
「それで全ての敵を」
「そうだ。全ては偉大なる鬼のもの」
自らの角にかけての言葉であった。
「鬼の前に全ての敵は滅び去るのだ」
「はっ!」
ヒドラーとジラーは彼に敬礼する。百鬼帝国が遂に動きはじめたのだった。
彼等は三重県に姿を現わした。津市にである。
「今度は三重かよ」
豹馬はそれを聞いてぼやいた。
「ったく、日本全国あちこちと」
「だが今度は違う敵だ」
健一がそう彼に告げる。
「何だ?邪魔大王国じゃねえのかよ」
「いや、また新しい敵のような」
「何や、今度は」
十三がそれを聞いて問う。
「今度は鬼でも出るんかい」
「その通りだ」
彼に一平が答えた。
「どうも百鬼帝国という奴等らしいな」
「百鬼帝国!?」
「何なの、それ」
ちずるとめぐみが聞き慣れない言葉に問い返す。
「何でも地底に長い間潜んでいた鬼の一族のようです」
小介がそう説明する。
「それで百鬼でごわすな」
「成程」
大作と大次郎はそれを聞いて納得して頷く。
「それにしても鬼とは」
「退治してくれと言わんばかりでごわす」
「それでさ、小介」
日吉が彼に問う。
「その百鬼帝国って強いの?」
「どうやらかなりの科学力を持っているようです」
小介は彼に応えて述べる。
「おそらく恐竜帝国のそれに勝るとも劣らないでしょう」
「あいつ等とかよ」
「また厄介な相手のようだな」
豹馬と健一はそれを聞いて述べる。
「しかしだ。どのみち相手をしなくちゃいけない」
「そうですね」
神宮寺の言葉に麗が頷く。
「彼等もまた地上を脅かすのですから」
「それじゃあ今度は三重県ね」
マリが言う。
「何かもうちょっと金沢で遊びたかったけれど」
「おいおいマリ」
洸がマリのその言葉を聞いて苦笑いを浮かべる。
「遊びに来てるんじゃないんだぞ」
「わかってるわよ、けれど」
それでも彼女は言う。
「金沢って奇麗な街だし。お魚だって美味しいし」
「そうだな」
それに一矢が同意してきた。
「俺も戦いが終わったらエリカと一緒にここに来たいな」
「はい」
それにルリが同意して頷いてきた。
「そうされるといいです。一矢さんにとっていい思い出になります」
「そういえばさ、ルリちゃん」
ナナが彼女に問う。
「ルリちゃんってお兄ちゃんにずっと好意的よね。どうして」
「一矢さんを見ていると応援したくなります」
ここで微かに笑ってきた。
「一矢さんならきっとどんな困難も乗り越えられる。そう思えるのです」
「俺がか」
「はい。エリカさんとのことも」
かなりの苦難であった。しかし彼はエリカを救い出した。
「この戦いのことも。私は一矢さんに人の強さを教えてもらいました」
「いや、俺はそんなに強くはないさ」
しかし一矢はこう言うのだった。
「俺は。ただエリカと一緒になりたかった。だから」
「それが凄いんだ」
しかし京四郎が彼にこう言う。
「京四郎」
「皆駄目だろうって思ったさ」
また一矢に言う。
「相手はバルマーで敵の司令官の妹さんだ。誰だってな」
「けれど一矢さんはそれを退けられて」
ルリはまた述べる。
「エリカさんと一緒になることができました。それこそが本当の強さです」
「それがある限り御前は大丈夫だ」
京四郎が親友として声をかけた。
「俺も最初は。駄目だと思ったけれどな」
「お兄ちゃんを見ていたらね」
ナナも笑って述べる。
「何でもできるんだって。思えたから」
「そうなのか」
「ですから今回も行きましょう」
ルリがまた言った。
「次の戦いへ。いいですね皆さん」
「おうよ!」
「最初からそのつもりだ」
豹馬と健一が応える。
「では全軍三重県へ」
ルリはあらためて指示を出した。
「そして」
「勝つぜ!」
最後に豹馬の声が響いた。そうして彼等は津市に向かうのだった。
津市に到着するともう百鬼帝国の軍勢が郊外にまで来ていた。そこでロンド=ベルを待ち受けていたのであった。見ればかなりの数であった。
「来たな地上人共」
後方にある巨大な移動要塞から声がした。
「我等は百鬼帝国。地上を我等がものとする為に来た」
「やいやい、どういうつもりだ!」
勝平が彼に対して言う。
「攻めて来るなんてよ!」
「だから言っておろう。地上を我等がものにすると」
「そういう手前は誰だ!」
勝平は今度は違うことを問うた。
「早く言いやがれ!」
「我が名はヒドラー」
そう言って己の姿を見せる。
「百鬼帝国の軍を預かる者だ」
「つまりは敵の司令官ね」
恵子はそれを聞いて述べる。
「敵の」
「そういうところだ」
ヒドラーもそれに答える。
「そこの小娘はわりかし頭の回転が速いな」
「どういたしまして」
「それでヒドラー元帥か」
宇宙太が彼に問うてきた。
「今度は何だ?」
「あんた、ここに来たのは街を制圧に来たんじゃないな」
「わかるのか」
「わかるさ、小手調べといったところか?」
彼はそう読んできた。
「俺達の戦力を確かめに」
「それもある。しかし」
「しかし?」
「ここで倒すつもりでもある。人間共の中で最も強い戦力を持つ貴様等をな」
「やれるもんならやってみやがれ!」
勝平はいきり立って彼に返した。
「俺達だってそう簡単にはやられねえぞ!」
「そうだ、そう簡単にやられるわけにはいかない」
隼人がここで言う。
「御前達にはな」
「ふん、流石と言うべきか」
ヒドラーはそう彼等に返した。
「神を倒しただけはある」
「そうだ!」
甲児が言った。
「今度は鬼を倒してやる!覚悟しやがれ!」
「いいこと言うじゃねえか、甲児」
マサキが甲児の言葉に乗ってきた。
「鬼退治だ、派手に行くぜ!」
「おうよ!」
「皆、用意はいいな!」
凱が仲間達に声をかける。
「今度の敵は百鬼帝国だ!容赦するな!」
「了解です、隊長!」
「派手にやってやるぜ!」
ボルフォッグとゴルディマーグが凱に応える。そして他の仲間達も。
「全軍攻撃用意!」
大文字が指示を出す。
「百鬼帝国の軍を退ける。いいな、諸君!」
「はい!」
「敵がいるなら叩き潰すだけだ!」
「ふふふ、こうでなくてはな」
ヒドラーはロンド=ベルの面々の言葉を聞き不敵に笑う。
「面白くはない。それでは我々もまた」
「百鬼ブラーーーーーーーーーイ!」
「百鬼ブラーーーーーーーーーイ!」
百鬼帝国の兵士達が叫ぶ。そうして進撃をはじめてきた。今戦いがはじまったのであった。
まずは百鬼帝国が動いた。数を頼りに押し寄せて来る。
「いいか!」
フォッカーが仲間達に声をかける。
「まずはひきつける。いいな」
「ええ、わかってますよ」
柿崎が彼に応える。
「まずは焦らずに」
「そうだ、引き付ければいい」
フォッカーはそう彼に返す。
「そしてだ」
「遠距離攻撃の用意に入れ!」
今度はグローバルが指示を出してきた。
「主砲発射用意!」
そしてマクロスも攻撃に入るように言う。
「狙いは定める必要はない」
「広範囲への攻撃ですね」
クローディアが問うてきた。
「それで敵全体にダメージを」
「そうだ」
グローバルは彼女に答える。
「わかったな」
「わかりました。それでは全軍」
「うむ」
今度はクローディアの言葉に頷いた。
「わかったな」
「了解です、では主砲発射用意を」
クローディアが復唱する。
「それで」
「いいな。全軍だ」
それを全軍に伝える。
「まずは広範囲にダメージを与え」
「はい」
またグローバルの言葉に頷く。
「それから次の攻撃に入る、いいな」
「わかりました」
こうして全軍遠距離攻撃に入る。既にそれが実行可能なマシンは全て攻撃態勢を整えていた。彼等の動きはあくまで迅速であった。
「よし、今だ!」
最初に攻撃に入ったのは輝であった。
「ミサイル発射!マックス、ミリア!」
「はい、わかってますよ隊長」
「続きます」
二人は冷静に輝に言葉を返した。
「照準は既に合わせています」
「だから」
「仕掛ける。今だ!」
三機のバルキリーから無数のミサイルが放たれる。そうしてそのミサイル達が百鬼帝国のマシンを次々に撃つのであった。
ミサイルだけではなかった。ビームやファンネルも攻撃を浴びせる。それはグローバルの指示通り百鬼帝国全軍に浴びせられそれだけでかなりのダメージを与えていた。しかし当然ながらそれだけで敵を全て倒せるわけではなくかなりの数が残っていた。百鬼帝国軍はダメージをものともせずさらに進んでくる。しかしそこにまたロンド=ベルは攻撃を仕掛けた。
「必殺!」
クロトが飛び出た。そうして前にいる敵を次々よミョッルニルで粉砕していく。
「鬼退治やらせてもらうよ!」
「おいこらクロト!」
そこにオルガが声をかける。彼は既にシャニと共に遠距離攻撃に入っていた。
「あまり前に出るんじゃねえ!」
「何でだよ!」
「邪魔なんだよ!」
実に素直な言葉であった。
「つまりウロチョロしてっと一緒に撃つぞ!」
「御前の攻撃なんかに当たるもんか!」
クロトはそうオルガに言い返した。
「そんな下手糞な攻撃なんかね!」
「何だとこの野郎!」
オルガはその言葉に激昂を見せてきた。
「俺が下手糞だっていうのかよ!」
「その通りじゃねえか!シャニもね!」
「何?」
今度はシャニが反応を見せてきた。
「俺が下手だと」
「違うのかい?」
「違うな」
シャニは一言でそれを否定してきた。
「俺は天才だ。俺が攻撃を外すことはない」
「だったら僕に当てられるかい!?」
「なら・・・・・・死ね」
話が完全にあさっての方にいっていた。三人は三人で勝手に喧嘩をはじめてしまっていた。
「今ここでな。オルガ共々」
「俺もかよ!」
「うざいんだよ」
オルガまで巻き込んでいた。
「御前等二人」
「ならこっちだって容赦しねえぞ!」
オルガは実際にシャニに照準を合わせてきた。
「ここで決着をつけてやる!」
「来い」
「望むところさ!」
三人は勝手に喧嘩をはじめた。だがお互いには当たらず百鬼帝国の面々を薙ぎ倒していくだけであった。何だかんだで彼等も活躍していた。
「何はともあれあいつ等も活躍してんだな」
ケーンは三人の派手な活躍を見て言った。
「それも派手によ」
「こうなったら俺達だって負けていられないな」
「全くだぜ」
ライトの言葉にタップが頷く。
「元祖三銃士はな」
「誰が三銃士なのよ」
アスカがエヴァから三人に突っ込みを入れる。光子バズーカで遠距離攻撃を仕掛けている三人に対して彼女は遠距離攻撃から近距離攻撃に移っていた。
「あんた達の何処が」
「じゃあ何なんだよ」
ケーンはアスカに突っ込みを入れる。
「俺達は」
「三馬鹿でしょ、あんた達は」
アスカはいつもの言葉を彼に返した。
「それ以外の何なのよ」
「だから三銃士だって言ってるだろうが」
ケーンも負けてはいない。
「いい加減人の話を聞けってんだよ」
「五月蝿いわね、そんなのどうだっていいじゃない」
アスカもアスカで開き直ってきた。敵を倒しながら。
「あたしだってね、人の話は聞いてるわよ」
「そうか!?」
タップがそれに異議を呈してきた。
「とてもそうは見えないけれどよ」
「残念ながらそうだな」
ライトがそれに頷く。
「アスカはどうもな。素直じゃないし」
「それがどうしたっていうのよ」
「素顔は可愛いのに」
「当然よ」
ライトの言葉に乗ってきた。
「あたしみたいな美少女はね。そうはいないわよ」
「性格はかなりあれだけれどな」
ケーンがまた言う。
「素直じゃねえけれどな」
「ああ」
「本当は仲間思いなのにな」
「色々言ってくれるわね」
アスカもムッとしてきた。
「御前が仕掛けてきたしよ」
「まあね。それでさ、三馬鹿シリーズその一」
新たな仇名であった。
「その一かよ」
「だって三人組多いから」
理由はそこであった。
「だからよ。それでね」
「で、何だ?」
「悪いけれど援護御願いするわ」
話がようやく本題に入った。
「後ろから。派手なの頼むわよ」
「やれやれ、最初からそう言えよ」
タップがそれに突っ込みを入れる。
「何か回り道したぜ」
「まあこれもいつものことだしな」
ライトはいつもの調子であった。
「じゃあレディー」
あえて気取ってアスカに言う。
「今からいいかな」
「ええ。けれどさ」
アスカはまた言葉を付け加えてきた。
「何か?」
「レディーっていうよりはね」
「いうよりは?」
「フロイラインって呼んで欲しいわ」
アスカの母国であるドイツ語を出してきた。顔が少し赤くなっている。
「御願いできる?」
「フロイライン、ねえ」
ケーンはその言葉の響きに微妙な顔を見せてきた。
「似合わねえよね」
「ああ」
タップがまた頷く。
「フロイラインって柄じゃ」
「けれど頼むわよ」
アスカは顔を赤くさせたまま返す。
「そう呼んで欲しいのよ」
「わかったよ。じゃあよ」
ケーンが最初に口を開いてきた。
「フロイライン。援護してやるぜ」
「ええ、御願い」
こうして三人はアスカ達の援護に入る。援護攻撃は上手くいきまた百鬼帝国のマシンが薙ぎ倒されていく。戦局はロンド=ベルが圧倒していた。
「おいおい、数だけかよ!」
マサキが言う。
「威勢のいいわりによ!」
「おい、どっかで見た髭のおっさん!」
甲児がヒドラーに言った。
「口で言う割には大したことねえな!」
「ふん」
だが彼は甲児の言葉に感情を露わにはしなかった。冷静なままである。
「力はわかった」
「力だと!?」
「そうだ。貴様等の力はな」
ハドラーは自信に満ちた声で言うのだった。まるで負けてはいないかのように。
「これでな」
「じゃああれかよ」
甲児はそれを聞いて言い返す。
「今の戦いは小手調べっつうのかよ」
「その通りだ、兜甲児よ」
「しかも俺の名を知ってやがるのか」
「貴様のことは有名だ」
「おっ、そりゃいいな」
有名と言われて悪い気はしない。とりわけ甲児のようなタイプは。
「俺も有名になったもんだぜ」
「ちょっと甲児君」
調子に乗る甲児を見てさやかが声をかける。
「褒められてるんじゃないわよ」
「おっと、そうか」
「そうかじゃないわよ。全く」
「けれどよ、やっぱり有名だって言われたらよ」
「気持ちはわかるわ。けれどね」
さやかはまた注意する。
「よく考えてよ。敵に知られてるのよ」
「俺のこと全部かよ」
「そうよ。だから」
「ふむ、弓さやかか」
ヒドラーは今度はさやかに顔を向けてきた。
「貴様のことはもまた知っている」
「つまり研究済みってことね」
「そうだ。ロンド=ベルのことは事前に研究している」
そう答えてきた。
「貴様等全員のことはな」
「へっ、また随分と慎重じゃねえか」
甲児はそれを聞いて言う。
「そこまで俺達のことを知りたいのかよ」
「全ては勝つ為に」
そう甲児に述べる。
「我等百鬼帝国がな」
「では聞こう」
今度は竜馬が問うた。
「ヒドラー元帥」
「何だ」
「御前達は俺達を完全に滅ぼすつもりだな」
そうヒドラーに問う。
「だからこそ。俺達を研究してきたんだな」
「その通りだ」
隠しはしなかった。笑いながら言うのだった。
「貴様等に勝利し、この地上を我等がものとする」
「地上に出るというんだな」
今度は隼人が問うた。
「人間にかわって」
「ふふふ、それこそ我等が悲願」
笑ってまた答える。
「我等百鬼帝国のな。だからこそ」
「そんなことさせてたまるかよ」
弁慶が声を強くさせた。
「俺達だってな、この地上で生きる為に」
「それは我等も同じこと」
ヒドラーはまた言い返す。
「光溢れる地上に。住む為に」
「引かないってのかよ」
武蔵が言った。
「どうしても」
「そう、どうしてもだ。これは戦いなのだ」
ヒドラーの言葉が傲然としてきた。
「我等鬼と貴様等人間のな。だからこそ」
「わかった。なら受けてやる」
隼人が応える。
「その戦いをな」
「ふふふ、降伏はないぞ」
ヒドラーは笑って言った。
「これは種の生存をかけた戦いなのだからな」
「それはわかっている。なら俺達だって負けられない」
竜馬は述べる。そこには確かな意志があった。
「絶対にな」
「では我々も引きはしない」
「ああ、勝ってみせる」
互いに言い合う。迷いはない。
「そして地上を俺達の手に」
「我等が奪ってみせようぞ」
そう言葉を交わし退いていく。ここでの戦いはこれで終わったのだった。
百鬼帝国との戦いが終わるとロンド=ベルはまずは退いた。そこからまた話に入った。
「また新たな敵か」
最初に口を開いたのは大文字であった。重厚な声が大空魔竜のブリーフィングルームの中に響く。
「それも地下の勢力だ」
「地下ですか」
それを聞いてタケルが声をあげた。
「またしても。バルマーがいるっていうのに」
「敵がまた一つ増えたってわけだね」
次に声をあげたのは万丈であった。タケルが深刻な顔なのに対して彼はどうも軽さと穏やかさが見える表情であった。それは余裕であろうかそれとも万丈の性格なのだろうか。
「まあこれも想定していたさ」
「想定していたのか」
ナオトがその万丈に対して問うた。
「新たな敵が出ることも」
「何となくだけれどね。勘で」
「勘、ねえ」
ミドリがそれを聞いて首を傾げさせた。
「万丈さんって勘も鋭いのよね」
「そういえばそうだよな」
それにサンシローが頷く。
「外れたことはないよな」
「まあ何となくわかるんだよね」
万丈はまたにこりと笑って述べた。
「あくまで何となくだけれど」
「じゃあ聞きたいんだけれどよ」
今度はヤマガタケが万丈に問うた。
「また新しい敵が出るのか?あの鬼以外にも」
「多分ね」
万丈はそのヤマガタケにも答えた。
「一体どんな相手かはわからないけれど」
「そうですか。何かまた地底の勢力かも知れないですね」
「そうだな」
リーがブンタの言葉に頷いた。
「あんな勢力がまだ残っていたんだ。ひょっとするとな」
「しかしだ。ここで問題がある」
ピートが一同に対して述べてきた。
「問題?」
「そうだ。どの敵を優先的に相手にするかだ」
「そうだな、それだ」
サコンがピートのその言葉に同意して頷いてみせてきた。
「バルマーもいればそうした勢力もある。どちらを先に叩くかだが」
「どちらにするか、か」
大文字はサコンのその言葉を聞いて腕を組んだ。
「バルマーか百鬼帝国か」
「それだったらまずは中を相手にした方がいい」
鉄也がそう提案してきた。
「中?」
「そうだ。バルマーは外から来る。しかも今は戦力を退けている」
「しかし百鬼帝国は違う、と」
大介が鉄也に対して言った。
「そういうことだね、鉄也君」
「そうです、まずは中にいる相手を優先的に倒してそれから万全の態勢でバルマーに挑みましょう。内憂を地球に抱えたままじゃあまりにも危険です」
「戦略ってやつだよな、それって」
甲児がそこまで聞いて言った。
「そうだ、甲児君。今はそれでいこう」
「何か俺そういうのよくわからないけれどよ」
甲児は鉄也にそう前置きしたうえで述べてきた。
「いいんじゃねえの?とにかく先にぶん殴る相手決めるのはよ」
「何か甲児の言い方ってあれよね」
マリアがそれを聞いて口を開いてきた。
「喧嘩みたい」
「だってそうじゃねえかよ」
甲児はそのマリアに対して反論した。
「喧嘩じゃねえか、こういうのって」
「まあ確かに」
「ちょっとマリア」
同意して頷くマリアをジュンが嗜める。
「そこで頷いたら」
「まあマリアらしいけれどね」
ひかるは笑ってそんなマリアを見ている。
「そういうところが」
「あたしもそうだしね。とにかく目の前にいる奴をぶっ飛ばさないと」
「マリア、幾ら何でもそんな表現は」
今度は兄が顔を顰めて嗜めてきた。
「まずいと思うんだが」
「いいじゃない兄さん、どっちにしろ戦うんでしょ?」
「確かにそれはそうだが」
「だったらいいじゃない。とにかく先に鬼ね」
マリアはそう鉄也に聞く。
「鬼退治と洒落込みましょうよ」
「よし、それなら決まりだわさ」
ボスもそれを聞いて言う。
「派手に暴れるわよ~~~ん」
「暴れるのはいいですけれどボス」
ボスにムチャが声をかける。
「何だわさ」
「おいら達相手のこと何も知らないでやんすよ」
「何っ!?」
「そういえばそうですよ」
今度はヌケが言った。
「鬼ってだけで何にも」
「うっ、そういえば」
「そうだな、二人の言う通りだ」
隼人がヌケとムチャの言葉に頷いてきた。
「俺達は相手のことを何も知らない。ここは情報収集も必要だな」
「といってもどうするんだよ」
その隼人に弁慶が問う。
「何処にいるかさえわからない相手だってのによ」
「そうだよな。それでどうやっとよ」
武蔵も言う。
「情報を集めればいいんだよ」
「いや、それならあてがある」
ここで宙が言った。
「宙」
「あてがあるというと」
「父さんだ」
宙はそう甲児と竜馬に答えた。
「親父さんがかよ」
「俺の父さんは邪魔大王国のことも知っていた。若しかしたらあいつ等のことも」
「知っているっていうんだな」
「ひょっとしたらな」
そう一同に述べる。
「少なくとも聞いてみる価値はある」
「そうか」
「じゃあそれで決まりだな」
一同は宙のその言葉を聞いて述べた。
「博士、それで」
「うむ」
そのうえで大文字に顔を向ける。大文字もそれに応えた。
「では諸君、次の行く先が決まった」
「はい」
皆大文字の言葉に頷く。
「一旦司馬博士のところに行く。そして彼等のことを聞くことにしよう」
「了解」
「それじゃあすぐにも」
皆頷く。これで方針は決まった。
「全軍そちらへ」
「百鬼帝国に警戒しながら」
「しかし。あれだな」
宙がここで言った。
「どうしたんだ?」
「いや、何か嫌な予感がするんだ」
そう皆に語る。
「嫌な予感?」
「俺の思い過ごしだと思うんだがな。こうも次から次に新しい敵が出て来るとまた」4
「今度も出て来るというのか」
「ああ。まさかとは思うけれどな」
今度はコウに言った。
「闇の帝王みたいなのがな」
「それはあるかも知れないな」
万丈が宙のその言葉に頷いた。
「万丈、御前もそう思うのか」
「僕も勘だけれどね。そんな気は確かにする。ひょっとしたら」
「おいおい、またここで訳わかんねえ敵が出て来るのかよ」
二人の言葉を聞いて勝平が声をあげる。
「何か話がややこしくなってくるぜ。またよ」
「ややこしくなるのはいつもでしょ」
勝平に恵子が言った。
「勝平はどっちかというとそっちの方がいい癖に」
「おい、そりゃ何だよ」
思わずその恵子に文句をつける。
「それじゃあ俺が揉め事大好きみたいじゃねえか。失礼な奴だな」
「その通りだろ」
今度は宇宙太が言ってきた。
「どっちにしろ戦わなくちゃいけないんだ。それだけのことだ」
「それもそうか。じゃあ俺はこのまま前に出て来る連中をぶっ潰してりゃいいんだな」
「それはまた単純過ぎるけれど。まあそうね」
「御前はそうやってろ。その方が俺達も楽だ」
「ちぇっ、何か腑に落ちない言われ方だな」
勝平はここで無理に納得しようとした。ところがそうは話がいかなかった。
「けれど。そうはいかないかも知れない」
言ったのはエイジだった。
「エイジさん」
「おそらくバルマー軍はまた来る。その時はマーグ司令の軍だけとは限らない」
「そうだよな。あのユーゼスみてえなのが来るってのも考えられるんだよな」
リュウセイがエイジのその言葉に曇った顔を見せる。思い出したくないものを思い出してしまい、曇ってしまった。そうした顔であった。それがそのまま出ていた。
「あんなのがな」
「いや、バルマーはもっととんでもない奴等がいる」
エイジの顔はリュウセイのそれより曇っていた。暗く沈んだ顔だった。
「とんでもない!?」
「そう。バルマー外宇宙方面軍」
その名前を出してきた。
「彼等は。あのユーゼス=ゴッツォよりも酷い連中なんだ」
「あのユーゼスよりも!?」
「そんなになのか」
それを聞いてアヤとライが声をあげる。
「司令のハザル=ゴッツォ。この男は最悪だ」
「ハザル=ゴッツォ!?」
「バルマーで最悪の男だ」
リュウセイに語る声が険しくなる。どうにもならない程に。
「バルマー人以外を人間と見なさない。傲慢で残忍な男だ」
「そんな奴は何処にでもいるね」
沙羅がそれを聞いてその整った顔を顰めさせる。
「本当にね。嫌になるよ」
「それどころじゃない」
だがエイジの言葉はこうであった。
「前にも話したがギガノス軍もいるんだ」
「ギガノス!?」
今度は雅人が声をあげた。
「バルマー軍外宇宙方面軍にだよね」
「そうなんだ。だからこそ彼等の相手は」
「厄介なんだな」
「一般市民すら平気で狙う」
亮にも答える。
「何っ!?」
「おい、マジかよ」
忍が顔を顰めさせてきた。
「そんな奴等だったらよ、洒落にならねえぜ」
「だからなんだ」
エイジの顔が曇る。
「彼等を相手にするなら。全てを守らなくてはいけないんだ」
「ブライト」
そこまで聞いてアムロがブライトに顔を向けてきた。
「これは。大変な相手みたいだな」
「ああ」
ブライトも友の言葉に頷く。
「そうだな。どうやら平和はまだまだ遠いな」
「そんな。折角イルイちゃんを助け出したのに」
カツがその言葉に顔を曇らせる。
「それで終わりじゃないなんて」
「カツ、残念だけれどそういうものだ」
「カミーユ」
「戦争は終わらない。そうした奴等がいる限りは」
「そうね」
カミーユの言葉にエマが頷く。
「残念だけれどね。本当に」
「カツもわかている筈だ」
カミーユはまたカツに言った。
「そうした奴等にはどうするしかないのか」
「ああ」
カツも項垂れて頷いた。
「そうだね。それは僕も今までのことで」
「ラウ=ル=クルーゼもそうだった」
キラが言う。
「あの人も。あのまま放っておけば」
「プラントだけじゃなかったな」
アスランが彼に応える。
「世界が大変なことに」
「俺達はだから倒した」
今度はシンが言う。
「あいつをな」
「いてはいけない奴等もいるからな」
ムウはここであえて軽い口調を見せてきた。
「フラガ少佐」
「あいつだけじゃなくな。色々と」
「いてはいけない」
「つまりはこういうことですね」
キラに代わってラクスが答えてきた。
「武器を持たない人達にまで危害を加えようとするならば。それは罪であると」
「まあそういうことだ」
ムウはラクスのその言葉に笑ってみせてきた。
「だからさ。そういう相手は」
「退けるしかない」
「そういうことですね」
フィリスとエルフィの二人が今度は言った。
「誰であっても」
「ああ。そうするのが俺達の仕事だしな」
「じゃあ話は決まりですね」
ジャックが声をあげた。
「誰であろうともそんな相手は」
「潰すしかないな」
ハイネが応える。
「そうだな」
「ああ」
今度はミゲルが頷く。
「といってもシン」
そのうえでシンに声をかける。
「御前はかなり熱くなるからな。そうした相手であっても」
「落ち着けってことか」
「その通りだ」
そのシンに声をかけたのはレイだった。
「御前はそれが肝心だ。いいな」
「あとあんた達もよ」
ルナマリアはディアッカとイザークにも声をかけた。
「特にイザーク、あんたは」
「俺だと!?」
「そう。あんたが突っ走るとニコルに負担がかかるから。注意してよね」
「まあ僕は別に」
ニコルは苦笑いを浮かべている。
「いいですけれど」
「それにあれよね」
ここでキーンが密かに囁く。
「ダンクーガの人達とかトッドとか」
「そうね」
マーベルが彼女に応える。
「気をつけないといけないわね」
「俺もかよ」
トッドは名前を出されて苦笑いを浮かべてきた。
「そういう連中って嫌いでしょ?」
「ああ」
しかしキーンのその言葉には頷く。
「あんまりな。関係ないのは巻き込みたくはない」
「そうよね。だから」
「安心しな。それでもクールにやるさ」
だがトッドはこう返す。
「俺も場馴れしてるしな」
「そうなんだ」
「当たり前だろ。ずっと戦ってきたんだからな」
また言った。
「馴れてるさ。ただし」
「目の前に出たら容赦はしない」
「そういうことさ。少なくともクールにはやらせてもらうぜ」
「何か結構やばそうなのいるわよね、ロンド=ベルは」
リムルも苦笑いを浮かべる。
「何気に」
「全くだな」
頷くニーの顔は晴れない。
「俺も。自信がない」
「そうした相手を前にしたら?」
「ああ。落ち着ける自信がない」
また言う。
「どうしてもな」
「そう。ニーも」
「そうした相手がいると思うだけでな」
これがニーの本音だった。
「嫌な気分になってしまう」
「まあそれが普通さ」
オリファーがそんなニーをフォローするように声をかけてきた。
「俺だって自分の家族が狙われたらな。しかも武器を持たないとなるとな」
「オリファー」
マーベットは夫のその言葉に顔を向ける。
「相手を許せない。しかしそこを抑えてな」
「やるしかないのよね」
「そうね」
マーベットは今度はリムルの言葉に頷いた。
「どんな時でも」
「さしあたってはだ」
話が一段落ついたところでブライトが言った。
「今は地下勢力に戦力を集中させよう」
「そうですね」
彼の言葉にミサトが頷く。
「バルマーに対してはまた現われてから」
「現われてから!?」
それを聞いてアスカが声をあげる。
「何かそれって」
「残念だけれど仕方ないのよ」
返すミサトの言葉の切れは今一つだった。
「何時来るかわからないしね」
「そうなの」
「そうよ。まあどうせすぐ来るわよ」
「何か嫌な言葉」
「御前がいる方が余計にな」
またシンが言わなくていいことを言う。
「嫌な感じだぜ」
「何よ、それ」
そしてアスカもそこに顔を向ける。
「あたしに何か言いたいの!?」
「ああそうだよこのジャジャ馬」
「何よ、このタツノコの出来損ない」
「それは一体どういう意味だ、おい」
「ふん、答えは聞いてないわよ」
二人は睨み合いをはじめた。いつものように。
「あんたにはね」
「じゃあ聞いてやるよ」
売り言葉に買い言葉でシンも乗る。いつものように。
「それで今度こそ」
「白黒つけようじゃないの」
「またはじまったのね」
レイはそんな二人を見てポツリと呟く。
「仲がいいんだから」
「ま、まあそうだね」
シンジは今一つ腑に落ちないがレイのその言葉に頷く。
「喧嘩する程って」
「この赤毛猿!」
「このタツノオトシゴ!」
アスカとシンの喧嘩のゴングが鳴った。皆それをにこやかな笑顔で見ているのだった。

第五話完

2007・8・29
 
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