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ソードアート・オンライン~黒の剣士と紅き死神~

作者:ULLR
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アイングラッド編
SAO編
  出会い

 
前書き
だいぶ空いちゃいましたね…。 

 



俺がレイと出会ったのは少し前、最前線が15層の時だった。あれは、ギルドメンバーのホルン先輩とユウリと一緒に狩をしていた時のことだった。








第11層 タフト



「ったく。どこいったあいつら……」

俺、カイトははぐれたパーティーメンバーを捜していた。今日はどうやら天気が悪いらしく、霧が濃い。故に、ブレンドの居場所を示すマーカーを追ってきても1メートル先が見えないこの状態では大体の場所にしかつけない。

ここら辺は音を聞き付けて襲ってくるモンスターもいるため、迂闊に呼んでみるわけにもいかない。
さらにいえばこの霧の天候パラメーターには特徴があって、マップの機能が多少妨害される。マーカーも大体の位置しかわからない。

「こんなことなら『索敵スキル』なり『測量スキル』を取っとけば良かったぜ……」

とかぼやいていたためか足下の枝を、

バキッ

と、やってしまったわけですよ

「oh……」

音を聞き付けた竜人型モンスター、ワイバーン・ハウント×5がPOPした。この層ではなかなか出会えないレアモンスターだ。ちなみに、レアアイテムをドロップするわけでもなく、経験値をたくさん持ってるわけでもなくただ……

「11層のくせに、めちゃくちゃ強いんだよねー……」

と、言いつつ最近スキルリストに出た刀スキルを使うため、片手用直剣から刀へ装備を換える。
こっちのほうがスキル熟練度が低いとはいえ、威力は上だ。早めに数を減らしたければ刀の方ががいい。
だが、流石に5体同時はキツいので、ひたすら後退しながらヒット&アウェイで戦闘を進めていった。

そんな戦い方が長く続けるられるはずがなく、2体倒したところでAIに学習され、突進系のソードスキルで追い詰められた。

「くっ……」

降り下ろされた剣をいなし、反撃のソードスキル―縦単発攻撃《紫閃》

一体倒したが、残り2体が左右から同時に襲いかかってきた。

(ここまでか……)

こんなゲームで死ぬのなら、その前に色々やっておけば良かった。ダメ元で幼馴染みのあの子に告ってみるとか、一度ぐらいクラスメイトで今は我がギルドの副長様のあいつに一泡吹かせるとか……。

(死に際にろくなこと考えないな……)

そんな状況でも、俺の思考は冷静だった。現実味がなかっただけだとは思うが。








だが結果を言うと俺は死ななかった。間一髪、紅いコートを着たプレイヤーに助けられたからだ。

「やれやれ、嫌な予感はよく当たるとはよく言ったもんだ……。大丈夫か?」
「あ……ああ」

そのプレイヤーは自らの身長にも迫る大きな刀(後から聞いたら大太刀というらしい)を持っていた。

「ちょっと待ってろ」

男は刀を体の右側面に引きつけるように構えた。
ワイバーン・ハウントは相手が変わっても攻撃方針を変えようとせず、突進系の技で迫ってくる。

そして、刀の攻撃範囲に入った瞬間、刀が黄色のライトエフェクトを纏って振り抜かれ、一撃でワイバーン・ハウントを葬った。












「ここは天候が霧の時、いつも以上にてごわいモンスターが出やすいんだ。気をつけろよ?」
「はい。ありがとうございました」
「どういたしまして……ところで、一人か?」
「いえ、あと二人……あ、まずいかも!」

「そうだな、ワイバーン・ハウントクラスのが何体も出てきたら、たとえ二人でもきついだろう。大体の場所はわかるか?案内してくれ」

「は、はい!」



名前も知らないプレイヤーだが、なんとなく信用はできる気がする。

(でも、なんでこんなところにいるんだろ?)

さっきの上位スキルを見る限りでは、恐らく攻略組のはずだが……。























(マズイな……)



うっかりカイトと離れてしまい、どうしたものかとユウリと相談している内にありえない数のモンスターに囲まれてしまった。

「先輩、左右から3匹ずつ来ます。右をお願いします」

相方の子はこんな状況でも恐ろしく冷静だし……。

私たちはまだ、ビンボーギルドのため、1人1人が転移結晶を使う余裕がない。

(あっても、可愛い後輩たちを置いていくつもりは無いけどね)

一番最初に来た敵に体当たりをし、よろけたところをダガーで突き、さらに体術スキルを使って左手の掌を突き出す。

勢いよく飛んでった先にいた1匹にぶつかり、同時に2体の動きを止めることに成功した。

「ラッキィ!」

構わず突っ込んできたもう一匹を3連擊ソードスキルと体術スキルで倒し、他に向かってくるのが居ないのを確認して、素早くウィンドウを操作する。
新たに現れた武器はクォータースタッフだ。状況が変わるまで、防御に徹するためだ。

「ユウリ、大丈夫?」
「はい、問題ありません。プレイヤーの反応があります、カイトが来たようです……え?」
「どうしたの?」
「反応が2人分……1人はカイトのようですが……」

そんな会話をしている内にソレは起こった。

大きな刀を持った男が現れ、刀を振るう。

それに巻き込まれたモンスターは一撃で爆散する。

モンスターは新たに現れた敵に次々と突進していくが、それらは例外なく消えていく。

時間にして1分半、それが殲滅にかかった時間だった。

「無事か?」

あまりに唐突に話しかけられたので、最初は誰が声を発したのかすらわからなかった。

「先輩、ユウリ!!」
「あ、カイト!!」

そこへカイトがやってきて、そっちに気を取られたせいで、無視された形になった男はそれを気にすることなく、歩みよって来て、

「ここは霧の多い日は入らない方がいい。ついこの間もここの性質を知らずに入った攻略組のプレイヤーが命からがら脱出したそうだ」
「こ、攻略組の人がですか……はい、これから気を付けます」
「では、これで」
「待って下さい」

去っていこうとする男を引き止めたのはユウリだった。

「何か?」

「名前と拠点にしてる層を教えて頂きたいのです。後日御礼に伺います」

すると、男は頭をかいて、

「名はレイ。ソロだ。拠点はその時の最前線。……御礼なんて考えなくていいから。日課で午前は攻略、午後は下層プレイヤーの支援をやってる」

その時の驚きは今も忘れない。まだ、ゲームが始まってまもない頃、攻略組の人が始まりの街付近で戦闘テクニックのレクチャーをしていると聞いて、私達も何回か見に行ったのだ。あいにく、その人の顔は覚えていないが、多分同一人物だろう。


「ではな」













これが後に紅き死神と呼ばれるソロプレイヤーレイと、後の最強ギルド血盟騎士団に双璧を成すギルド、聖譚曲楽団(オラトリオ•オーケストラ)の創設メンバーの出会いだった














……現在、


最前線、第35層 ミーシェ







「だーかーらー!!絶体にこっちだってば!!」
「いやいや、先輩の勘って外れるから……一度、大通りに出て誰かに聞きましょう」
「……こっちよ」

「「さすがユウリ」」

まったく……よく迷子になる人達ですね。あんな複雑な構造をした東京に住んでいたくせに。

宿から、迷宮区に近い門まで行くのにも迷子……迷宮では勿論迷って、エンカウントするモンスターを片っ端から戦闘……ハイレベルプレイヤーになる訳です。

「よう。また迷子か?」
「レイさん。おはようございます」

最前線で戦う攻略組の仲間入りをしてから、レイさんにはよく会うようになりました。
今も知り合いの雑貨屋さんと協力して、中層プレイヤーの資金と技術面でのサポートを続けているそうです。
おかげで、攻略組に成り上がる人が増え、攻略ペースは上がりましたが、未踏破迷宮区の探索やボスでの戦闘に慣れない人達の犠牲が増えるという弊害が障じ、その件で心労が耐えないようです。

「午後からは私達が迷宮区の巡回をします。レイさんは予定通りにしてください」
「ああ、度々悪いな。そうさせてもらう。気を付けてな」
「はい」
「じゃ、行ってくるぜ!!あっそうだレイ。旨いピザみたいな食べ物見つけたんだ。今度食いに行こうぜ!!」
「レイ君、欲しい食材があるから、今度取ってきて。20層にあるから」
「わかった。また今度な」

















去っていく3人を見送り、そろそろ行こうかと自分も歩き始める。

他のプレイヤーのことなど始めは何も気にしなかった。

手助けはしても、特別な思いは抱かなかった。任務だから、終われば恐らくは会うことはないから。

だが、何人かの人達に対して抱いた『親愛』の気持ち。

力が及ぶなら守りたいと思うようになった。


だから、








「お前達は、必ず帰してやるよ……」









――あの世界へ

 
 

 
後書き
レイ君、キャラ変わったね。
変えたの俺か……orz
クールキャラで行くはずが、なんかフレンドリーな感じに(笑)

初めてのオリジナルストーリーどうでしたか?自分で話を作るのは初めてなので不安です。
考えてくださった方々どうもありがとうございます。
他のオリキャラも随時登場します。

次回は、またオリストーリーかそれとも黒の剣士編か……。
まあそれは後で考えよう!
個人的にはアスナとカイトのバッタリシーンを書くのを楽しみにしています。

補足、レイが使っている大太刀は一層ボスのドロップ品ではありません。
語彙がなくて作中で説明ができない自信があるので今書きます。
一層ボスのドロップ品は後で登場予定のレイのユニークスキル「両刀」のブラフです。
あ、ネタばれすぎた…。
大丈夫!わかっていても楽しくできると思う!

でわ…。 
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