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魔法少女リリカルなのは Sunlight

作者:朱槍
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漂流編
  第1話 最後の任務

 
前書き
大復活!! 

 
墓地


男は墓の前でしゃがみ手を合わせる。
墓の周りには彼の他に男性が2人女性が2人子供が1人いた。

「さてと・・・・。」
やがて彼は立ち上がった。

「・・・・行くのか?」
2m超の大男ヴィクター=パワードが彼に言った。

「ああ、皆とは挨拶は済ませたしな。」
そう言って周りを見渡した。
見渡した墓に大切な仲間達の名が刻まれていた。

【剣持 真希士】

【防人 千歳】

【防人 衛】

【中村 剛太】

【武藤 斗貴子】

彼は最後に自分の妻の墓を見詰めた。

「そうか、では俺も行くとしよう。」

「蝶野?」

蝶の仮面を付けた男蝶野 功爵<蝶人パピヨン>が彼の隣に立つ。
「あいつは俺の人生の楽しみでもあった。」
パピヨンは先程彼が手を合わせていた墓を見る。

【武藤 ソウヤ】

墓にはそう刻まれていた。

「それをクソにも劣る理由で横から取り上げられたのだ。
 少々灸を据えてやらねば気が済まん。」

「そっか・・・・ありがとな蝶野。」

「別にお前に礼を言われる覚えはない。」
パピヨンはそう言って先に歩き出した。

「お義父さん・・・・・。」

「爺ちゃん、何処かに行くの?」
 女性と9歳位の子供が不安そうな顔で彼を見る。

「ああ。
 爺ちゃんは、ちょっとお仕事に行かないといけないんだ。」

「爺ちゃんも居なくなるの?」
少年は涙を溜めた瞳で彼を見る。

彼はしゃがんで少年と目線を合わせながら頭を撫でた。
「大丈夫。
 爺ちゃんは、ちゃんと帰って来るから。」

「でも・・・・父さんは帰って来なかった・・・・・。」

「・・・・・それじゃあ、こうしよう。」
すると彼は少年の手を取ってお互いの小指を絡ませた。

「指切りげんまん嘘ついたら針千本の~ます。
 ・・・・大丈夫、爺ちゃんは絶対に帰るから。」

「・・・・・・うん。」
少年は頷いた。

すると、もう一人の女性ヴィクトリア=パワードが彼に訊ねた。
「最後に聞きたいんだけどアナタは【アイツ】をどうする気でいるの?」

「投降の意思が有るなら捕縛して戦団に送る。
 無いなら抹殺するしかない。」

「ふ~ん。
 てっきり【息子の仇】として殺すのかと思った。」

「あいつは最後まで戦士として戦った。
 ならそれを仇だから殺すなんて事をするのは、あいつの生き様に泥を塗る事になる。」
そして彼は何処からか出現した帽子を被り言った。

「だからオレは大戦士長ガーディアン・ブラボーとしての最後の任務。
 けじめをつけてくる!」
そして、彼は歩き始めた。






「話は終わったか。」
墓地の入り口でパピヨンは腕を組んで待っていた。

「ああ、行こう。」

「武藤、この件が終わったらお前はどうするつもりだ?」

パピヨンの質問に彼は少し黙りやがて上を向いた。
「今は・・・・考えてない。
 でも、そろそろオレは次の世代に任せようと思ってる。」

「そうか。
 では行くか。」

「ああ、決着をつけに・・・・・。」
彼らは空に飛び立った。
武藤カズキと蝶野功爵は決戦の地へと向かう。





~Kazuki side~

地下施設


『グォォオォォォォォォォォオォォォォ!!』
大量の化物ホムンクルスがオレ達に向かって襲い掛かる。

「粉砕・ブラボラッシュ!!」

オレはパンチの高速ラッシュでホムンクルスを纏めて吹き飛ばす。
もう何十回目もの迎撃。
そろそろアイツの居場所に着くのも近いかもしれない。

「ニアデス・ハピネス!!」

『ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!?』

蝶野も黒色火薬の武装錬金<ニアデス・ハピネス>でホムンクルスを一掃する。

「げはぁぁっ!?」

しかし、蝶野も吐血し息を大きく乱している。
そもそも蝶野はこういった持久戦は大の苦手だ。
このまま戦いが長引くほど不利になるのは明らかだ。

『グルァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』

再びホムンクルスが襲い掛かって来た。

「いい加減、鬱陶しい!
 纏めて吹き飛ばしてやる!!
 ニアデス・・・・げほっ?!」

「蝶野?!」

蝶野の体力が限界に近づき膝を着いた。
致命的な隙。
オレは慌てて<特殊核鉄改[SS]>を操作して蝶野を守る。
しかし、蝶野守った事で出来た隙をホムンクルスがついてきた。

「核鉄ぇぇぇ!!核鉄ぇぇぇぇぇぇ!!!」

「くっ!」

攻撃を防ぐ為に胸に手を当て核鉄を起動させようとする。
だが

「イギャッ?!」

「なっ!?」

オレが武装錬金する前にホムンクルスは腹から真っ二つに両断された。
一体何が起きたんだ!?
すると、斬られたホイムンクルスの後ろに日本刀を持った貫禄のある老人が立っていた。
そして、オレはこの老人を知っていた。
同時に驚いた。

「し、秋水先輩!?」

「武藤、待たせたな。
 これより戦闘に加勢する。」

「どうして、秋水先輩が此処に?!」

「お前達が決着をつけに行くことを姉さんから聞いたんだ。」

「え?
 聞いたってこの場所って仮にも戦団でもトップシークレット・・・・・。」

「毎度のパターンだろ・・・・・。」

「ああ・・・・・。」

頭の中で笑顔で戦団の情報にハックしてる桜花先輩の顔が浮かんだ。

「けど、正直結構マズい状況だったんで助かりました!」

「ふん、余計な事をするからそういう事になる。」

「助けたのにそりゃないだろ?!」

「この蝶人たる俺があの程度で死ぬわけなかろう。」

もうあれだ、こんなやり取りを数十年も繰り返すと怒る気も起きないな。

「ところで、よく一人で来れましたね。
 オレ達も吹き飛ばしては強引に進む感じだったのに。」

「実は来ているのは俺だけじゃないんだ。」

「そうなんですか!?
 他に誰が・・・・・」

そう訊ねている途中で凄まじい破壊音が聞こえた。
何十体ものホムンクルスを吹き飛ばしてそいつは現れた。

「ようやく追い着いたか。」

「ヴィクター!?
 何でオマエが!?」

「今回の件を少しでも手伝えればと思ってな。
 後をつけさせてもらった。
 オマエには借りも多いしな。」

ヴィクターはそう言って大戦斧の武装錬金<フェイタルアトラクション>を構える。

「武藤、奴の下までの戦闘は俺達が引き受ける。
 今は体力の回復を優先するんだ。」
 
秋水先輩はオレ達に指示を出し日本刀でホムンクルスを斬り捨てる。

「わかりました。
 お願いします。」
 
オレ達はこの案に甘えることにした。
頼もしい二人の戦友のお陰でオレ達はドンドン先へと進む。
そして






「扉か!」

目の前に鋼鉄の扉が見えてきた。

「間違いなく・・・・・奴がいるな。」

「ああ!」

蝶野の言葉に同意する。
扉の向こうにアイツの存在が感じられた。

「武藤!此処は俺達が死守する!!」

「オマエは決着をつけて来い。」

「了解!!」
先輩達の援護を背にオレは扉に向かって走る。





「武装錬金!!」





胸に埋め込まれた核鉄。
オレの命を起動させる。
そして、右手に武装が形成される。
突撃槍の武装錬金<サンライトハート改>。
もう数え切れない程の激戦を共に駆け抜けた相棒を握る。

「エネルギー!全!開!!」

槍はその名の通り太陽の輝きを放つ。

「突き抜けろ!オレの武装錬金!!」

鋼鉄の扉は粉々に砕け散る。
そして、扉の先にはアイツがいた。

「ようやく追い詰めたぞ。
 外院 碓氷。」
 
男は名を呼ばれてこちらを向く。
そして、ドブ川が腐った様な目と歪みきった笑顔で言った。

「やはり、ここまで来ましたか。
 大戦士長・・・・・・いやブラボー。」
 
~Kazuki side end~

「碓氷・・・・戦団に投降する意思はあるか?」

カズキは鋭い視線で碓氷を睨む。

「ない。
 それに貴方自身もこの言葉がお望みではないのか?
 息子の仇を討つ理由が出来た訳ですし。」

「そんな事は関係ない。
 オレはこれ以上の犠牲を出させない為に此処に来た。」
 
カズキのその言葉を聞いた碓氷はさっきまでの表情が嘘の様に消え。
まるで汚物を見る様な目でカズキを見た。

「相変らずの偽善者振りですね。
 まさか、此処には純粋な正義感だけでいるとでも言う気ですか貴方は?」

「・・・・・そうだな、全く私情が無いといえば嘘になる。
 だがそれはソウヤを殺された恨みなんかじゃない。
 仲間を裏切り信頼していくれた戦友を騙まし討ちしたオマエに対する怒りと。
 オマエの裏切りに気付けなかった自分の甘さだ。」
 
カズキはサンライトハート改を碓氷に構える。

「だから、けじめをつけに来た!
 大戦士長として!!
 嘗てのオマエの師として!!
 オマエをここで止める!!!」
 
真っ直ぐな瞳でそう言い放った。
すると碓氷は感情と言うものが感じられないほど無表情になった。
彼が聞きたかったのはそんな言葉ではなかった。
見たかったのはそんな顔ではなかった。
聞きたかったのは息子を殺され殺意の篭った叫び。
見たかったのは憎悪を撒き散らす表情。
彼は落胆した。

「そうですか・・・・・・。
 では、問答は終わりです・・・・・・死ね。」

すると、部屋の壁を突き破って6体の大型ホムンクルスが現れる。

「コイツは!?ホムンクルス月華か?!」

「そうです。
 嘗て貴方方がムーンフェイスの計画を阻止する時に相手した奴を改良した物です。
 名をホムンクルス月華弐式。」
 
『ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』

月華弐式は凄まじい威圧感を放ちながら威嚇した。
しかし、カズキは不適に笑っていた。

「これが、オマエの切り札か碓氷。
 だとしたら・・・・・オレをナメ過ぎだ。」

月華弐式はその巨大な手でカズキを押し潰そうとする。
カズキはそれを余裕で回避する。
そして、コートから核鉄を取り出す。

「特殊核鉄[VS]起動!!」

カズキの左手に武器が形成され握られる。
それは彼の最愛の人物【津村 斗貴子】の武装錬金<バルキリースカート>の鎌だった。
鎌を月華弐式の顔面に突き刺し横に離脱した。

「エネルギー!!全開!!!
 サンライトスラッシャー!!!!」
 
爆発的なエネルギーと加速。
その破壊力は目標の月華弐式以外に近くにいた2体も巻き込んで粉砕した。
残りの3体がカズキを襲う。 
しかし、その3体の月華弐式の顔を黒い蝶の大群が覆った。

「まったくもってその通りだ。
 そんな骨董品を強化した程度でオレを相手にしようとはな。
 往け!!黒死の蝶!!!」

黒き蝶の大群が一斉に爆発し月華弐式を吹き飛ばす。
パピヨンがカズキの近くに着地する。

「蝶野、外のホムンクルスは?」

「粗方片付いたので此方に来た。
 ・・・・・・武藤。」

「ああ。」

カズキは短く返事をすると首元に迫っていた何かを掴む。
掴んだのは奇襲を仕掛けてきた碓氷の腕だった。
そして、そのまま拳に力を入れる。

「しまっ・・・・」

「直撃!ブラボー拳!!」

凄まじい威力で放たれた拳は碓氷を端の壁まで吹き飛ばした。

「げはっ?!!」

「オマエの鉤爪の武装錬金【ディメンションポーター】。
 特性は空間移動、オマエがこのタイミングで奇襲を仕掛けてくるのは読めてたよ。」

「ぐくっ、相変わらず凄まじい威力ですね・・・・。
 ようやく修復した左肩が粉々だ・・・・。」

碓氷がフラフラと立ち上がる。
しかも殴られた左肩は完全に吹き飛んでい皮一枚で繋がっている様だった。
そしてカズキは吹き飛んだ肩を見て気付いた。
傷口が人間とは全く別物であることを。

「碓氷・・・・オマエやっぱり。」

「ええ・・・ホムンクルスですよ。
 もっとも、パピヨンと同じ不完全なね。」

「何だって?」

「私は力が欲しいだけだ。
 食人衝動などマイナス以外なんでもない。
 だから私は不完全の方を選んだ。
 別に人間であることに執着もないですし。」

「なるほど、貴様もこのオレと同じく超人になろうとしたか。
 だが・・・・・貴様如きがオレと同じ存在など虫酸が走る!!」

パピヨンはニアデス・ハピネスを展開する。
カズキもサンライトハートを構える。

「大戦士長にその宿敵相手に片腕だけ・・・・。
 自殺行為にも程がありますね・・・・・ここは退かせてもらいます。」

碓氷がディメンションポーターを構えた。

「逃すと思うか。
 それに逃げられたとしても戦団の情報網はオマエも知っているだろう。
 絶対に逃げられやしない。」

カズキがそう言うと碓氷は黙る。
そして・・・





「フフフ・・・」





笑った。





「何が可笑しい。」

「いや、貴方方はどうやら私の武装錬金の特性を誤認している様ですね。」

「何だと!?」

「空間移動は本来の特性の副産物!
 本来の特性は・・・」

碓氷が空間を切り裂き裂け目が生まれる。
しかし、その裂け目は過去最大級の大きさだった。

「自らのダメージをエネルギーに変換し次元を超える!
 そして、ソウヤと貴方の攻撃でようやく溜まりましたよ!!
 世界を超えるほどのエネルギーがね!!!」

「世界を・・・超えるだと!?」

「ソウヤに超・蝶・成体の外殻は破壊されたが核はまだ生きている!
 こいつの修復も核鉄の研究も新たな世界でするとしよう!!
 さらばだ!!!ガーディアン・ブラボー!!!」

碓氷は裂け目に入っていく。
超・蝶・成体の修復や核鉄の研究を他の世界で行う。
それはこの世界の火種をその世界に持ち込むという事。
そしてそれは、その世界に住む全く関係ない人々を地獄に叩き落とすという事だ。
そんな事をカズキが許すはずがなかった。

「そんな事・・・させるものかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

カズキは閉じようとする裂け目に突撃する。
次の瞬間・・・





カッ





凄まじい爆発が起きた。

「くっ!?
 武藤ォォォォォォォォォ!??」

爆発が収まる。
徐々に舞っていた煙が晴れ始める。
そして





其処には何もなかった。 
 

 
後書き
どうも皆様!
久し振り、または初めまして!
作者の朱槍DEATH!!
この度、漸く就職活動が終了し今作を復活させる事が出来ました!
にじファン時代からの読者の皆様大変お待たせしました!!
これからも【魔法少女リリカルなのは Sunlight 】の応援よろしくお願いします!! 
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