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Fate/magic girl-錬鉄の弓兵と魔法少女-

作者:セリカ
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無印編
  第二十七話 方針、そして疑惑

 アリサの家に着いてから、まず庭にある檻の方に向かう。
 アリサの話ではそこに拾った犬がいるとのことだ。
 そして檻の中には

「やはりアルフだな」
「うん」

 なのはにアリサ達に聞こえないように耳打ちする。
 すずかの腕の中にいるユーノも頷いている。

 と俺達の姿を見て、急に元気をなくしたアルフ。
 どうかしたか?

「念話で怪我とフェイトちゃんの事を聞いてみたんだけど」

 アリサ達の前では話せないか

「アルフ」

 声をかけながら檻の隙間から手を伸ばすと喉を鳴らし頭を擦り付けてきた。

「士郎、あんたこの子知ってんの?」
「ああ、知り合いが飼っていたはずだが、なんでここにいるかがわからない」

 事情を聴きたいが念話が使えない俺では直接声に出してもらわないとどうにもならないので

「先に行っててくれ。すぐに行く」
「だけど……」

 困惑するアリサだが

「大丈夫、行こう」
「先行ってるね」

 すずかとなのはに手をひかれ渋々ながら

「サッサと来なさいよ」

 屋敷の方に向かう。
 それに合わせ、ユーノが俺の肩に跳び移る。
 だがすずかは何も言わない。
 恐らく魔術に関する事と察してくれているのだろう。

 そして、なのはに頷いて見せる。
 なのはも笑い頷いてアリサ達と屋敷の中に消えた。
 さて、監視機械が来ているという事は見ているはずだ。

「クロノ、いるんだろう?」
「ああ」

 俺の呼びかけにモニターを出して返事をするクロノ。
 どうやらエイミィさんも一緒のようだ。
 それにしても

「ずいぶん対応が早いな」
「僕がここに来る間に連絡しておいたから」

 さすがユーノ手際がいい。

「はあ、僕としてはサーチャーに平然と気が付いている士郎の方が信じられないが」
「まあな。
 さてアルフ、その怪我の事、フェイトの現在おかれている状況。全て話してほしい」
「ああ、だけど」

 アルフはどこか困惑しながら俺とユーノ、モニターを見る。

「信じていいんだね」

 それは懇願のような問いかけであった。

「無論だ。もしフェイト達に何かしようというなら俺が力を貸す」
「士郎、管理局をろくでなしみたいな言い方はよしてくれ。
 約束する。正直に話してくれれば悪いようになんかしない
 エイミィ、記録を」
「大丈夫、してるよ」

 俺達の言葉にユーノもアルフに頷いて見せる。
 アルフは項垂れながらゆっくりと話し始めた。

 アルフの話をまとめると
 ジュエルシードを欲してるのはフェイトの母親、プレシア・テスタロッサ
 そのジュエルシードを集めるようにフェイトに命じているとのこと
 さらに集めることが出来なかった時など事あるたびに虐待を繰り返しているという事

 で、この前の魔法攻撃である。
 フェイトを狙ったように放たれた魔法にアルフの我慢も限界を超え、プレシアに掴みかかったが返り討ちにあい、なんとか転位。
 そしてアリサに保護されたと

「クロノ、どう思う?」
「士郎やなのはの証言、状況等から見てもアルフの言葉に嘘や矛盾はない。
 プレシア自身はアースラへの攻撃という件もあるから逮捕の理由には十分だ。
 艦長の命があり次第、プレシア・テスタロッサの逮捕に動き出すだろう」

 確かに
 管理局を知らない俺などが管理局に刃を向けるとなれば、法や常識の違いからやむを得ないとも判断は出来る。
 だがプレシアは違う。
 管理局を知り、その法律の中で生きてきた人だ。
 知らないでは済まない。

「なのはにはどう伝えるつもりだ?」
「大丈夫。ちゃんと聞いたよ。全部」

 クロノに問いかけたつもりだった言葉に返ってきた返事はなのはの声。
 それと共になのはの姿が映ったもう一つのモニターが表示される。

「アースラを通してなのはにも伝えていたんだ。
 それに彼女には知る権利がある」
「はあ、それならそうと言ってくれ。
 で、なのははどうする?」

 モニターを通して、なのはに問いかける。

「私は……私はフェイトちゃんを助けたい。
 これはアルフさんの思いと私の意志」

 そこに映るのは強い瞳。
 迷いも、曇りもない、真っ直ぐ見据えた瞳

「フェイトちゃんの悲しい顔は私もなんだか悲しいの。だから助けたいの悲しいことから。
 それに友達になりたいって伝えた返事をまだ聞いてないしね」

 海上での戦いの後、揺らいでいた瞳はそこにはなかった。
 揺らぐ事のない強い思いを抱いた者の顔だ。

「士郎、君はどうするつもりだ?」
「今さらだ。
 もとより我が剣は、なのはとフェイトのために執ると決めた。
 ならばフェイトを助け出し、なのはの願いを叶えるのは当然だろう」

 俺はさも当然だとクロノに笑って見せる。

「こちらとしても君達の協力はありがたい。
 フェイトに関してはなのはに任せる。
 それでいいか?」

 クロノの言葉にアルフも頷く。

「なのはだったね。
 頼めた義理じゃないけどお願い、フェイトを助けて
 あの子、いま本当に一人ぼっちなんだよ」
「うん。大丈夫、任せて」

 これでなのはとフェイトの決着はつくだろう。
 そして、なによりもここにきてアルフというカードを得ることが出来た。

「クロノ、アルフがここにいるという事はプレシアの場所はわかるか?」
「ああ、移動さえしてなければわかる。
 もし移動していてもフェイト・テスタロッサが一人なら転位すれば補足は可能だろう。
 それにアルフの情報から移動の形跡もたどる事は出来る」
「なら、前に言った囮作戦を使おう。
 なのはとフェイトが持つジュエルシードを賭けて戦う。
 フェイトが勝てばアルフからの情報とフェイトの転位先から位置を補足しプレシアの逮捕に。
 なのはが勝てば恐らくプレシアが干渉してくる。その時に補足すればいい」

 俺の言葉にクロノは一瞬で納得し、エイミィさんはなるほどといった感じで頷く。

「なるほどね。なのはちゃんが勝ったらフェイトちゃんをを保護し、プレシアを捕縛。
 フェイトちゃんが勝っても、最終的にはプレシアのところに戻るんだから、プレシアの居場所でフェイトちゃんを保護できる。
 で私たちは二人が戦っている間に補足の準備さえしておけばいいと」
「はい」

 アルフがフェイトの補助をしない今、フェイトが下手に転位すればそこからも追うこともできる。
 そして、なによりもフェイトは絶対に保護する必要がある。

「士郎の考えは分かった。
 艦長にも伝えておくよ」
「頼んだ。
 アルフ、今日アルフを引き取れるように話はつけておく」
「ああ、士郎もフェイトの事頼んだよ」

 アルフの頭を撫で、アリサ達の待つ部屋に向かう。

 だが一つだけわからないことがある。
 プレシアの最終的な目的である。
 ジュエルシードを用いて一体何をしようというのだろうか。

「ジュエルシードを複数用いてやろうと言うんだから厄介な事には間違いないだろうが」

 その時、視線を感じて、歩みを止める。

「士郎?」

 急に歩みを止めた俺にユーノが声をかけてくるが、申し訳ないが今は無視する。

 管理局の監視機械?
 違う。
 機械的ではなく、もっと魔術的なモノ。

 空をゆっくりと見上げる。
 空間に僅かだが揺らぎがある。
 遠見の魔法か?

「プレシア、お前はなぜフェイトを受け入れ平穏に暮らすという選択が出来ないのだ」

 俺の言葉に空間の揺らぎが乱れて消えた。

「士郎、今のはどういう意味?」
「なに、プレシアに対する問いかけだよ。
 さ、なのは達が待ってるから行こう」

 会った時、答えを聞けるといいのだがと思いつつ、なのは達の待つ部屋に再び歩き始めた。




side プレシア

 気がつかれていた。

「さすがというべきかしらね」

 使い魔が残していった異質な剣が気になり、フェイトと対峙していた子の魔力を追ってきたらすぐに見つかった。
 あの使い魔が生きていたのは意外だったけどどうでもいい。

 あの者は確かに別の技術を持っている。
 街に張られている結界もミッド式の魔法とは明らかに異質のものだ。

 だけどその異質ゆえに私が目指す場所の知識を持っていれば

「辿りつく道は近付くわね」

 機会があれば聞いてみたいものね。
 機会があればね。

 今までフェイトが持ち帰ったジュエルシードを見つめる。
 もうすぐ、もうすぐ、私は

 「お前はなぜフェイトを受け入れ平穏に暮らすという選択が出来ないのだ」

 先ほど私に向かって放たれた言葉が頭をよぎった。

「フェイトを受け入れる?
 出来るはずが、許されるはずがないじゃない」

 バカらしい。
 こんな問いかけなど忘れてしまえばいい。
 背もたれに身体を委ねてジュエルシードを見つめる。

 だが、あの私に向けた問いかけが頭からなぜか離れなかった。




side リンディ

「なるほどね」

 クロノから士郎君に提案されたジュエルシードを囮に使った作戦を改めて伝えられたのだけど

「確かにアルフさんがいれば問題はほぼ解決するわね」

 なのはさんとフェイトさんの戦い。
 なのはさんが勝てばプレシア女史が動くでしょうし、そこから位置は補足出来る。
 フェイトさんが勝っても転位先を追えるように準備さえしていれば補足は出来る
 どちらが勝っても負けてもプレシア女史の居場所にはたどり着ける。
 もし補足しきれないとしてもアルフさんの情報から移動の形跡を辿ることもできるでしょう。

「ではプレシア女史の捕縛作戦はこれでいきましょう」
「はい」
「了解」

 私の言葉にしっかりと頷く、クロノとエイミィ。
 さてここからが本題

「エイミィ、データは?」
「はい。存在するものは全て」

 表示されるいくつもの映像や画像。
 その全ては士郎君と士郎君が使用した武器に関するもの

「士郎君が使用した高ランクの武器は?」
「えっと……ジュエルシードを破壊した赤い槍、先日の海上で使用した歪な矢と空飛ぶ盾。
 今のところはこの三つですね」

 なのはさんから渡されシーツをはぎ取った時の槍の画像。
 その他に弓に番えた矢の画像、そしてプレシア女史の次元跳躍攻撃を弾いた時の盾の画像。

「その他に模擬戦で使用してた剣が二種類に、巨大な岩の塊の剣」

 モニターに並ぶいくつもの画像
 私達が目にしたものはこれだけ。

「この中でランクやわかっている事は?」
「槍については使用時の情報がないので断言はできませんが、ユーノ君の言葉とジュエルシードを破壊したという事実からSランク以上。
 矢に関しても最低でもAAAランク。
 盾に関してはプレシア・テスタロッサの次元跳躍攻撃を弾いたことからS+ランク以上だと推測されます」

 確かにユーノ君が前に「その槍が音速を超えるような速さで魔力が最低でもSランクぐらいはある」って言ってたわね。
 それにしてもAAAにSランクってまあ、とんでもないものを平然と使ってるのね。

「それにしても魔術と魔法は魔力の質も違うんだな」
「うん。使うのは魔力らしいけど恐らくリンカーコアとは違う魔力だね。
 おかげで観測や計測がし難いし」

 クロノやエイミィも興味深そうに士郎君の持つ武器を見ている。

「それにしても味方にしたら頼もしいけど敵になれば間違いなく恐ろしい事になるわね」
「それは間違いないかと」
「ですね」

 私の言葉に二人が頷くのも無理はない。
 非殺傷設定がない魔術。
 勿論それも恐ろしいけど、AAA以上のモノを自由に使いこなしていること自体が驚異なのだ。
 それに魔法、いや魔術を使っても魔導師のように魔法陣が出ないので隠密性にも優れている。
 もしあの矢が放たれれば武装局員が多少集まったところでまとめて消し飛ぶでしょうし。
 ジュエルシードを破壊した槍なんて防ぐという事自体不可能よね。

「でも少し疑問なんですよね」
「? どういう事エイミィ」
「えっと……これです」

 エイミィが出した映像はクロノとの模擬戦の後投げた剣を回収し、外套にしまうようにそれを武器庫に転送する映像。
 そこには霧散するように消える剣の映像が映っていた。

「武器が霧散した?」
「クロノ君もそう見えるよね。
 それに術式が違うにしても転位系の魔術を使っている割にはどう調べても空間に何の影響もないんですよ」

 確かにそれはおかしいわね。
 いくら術式等が違っても転位するなら多少なりとも空間に影響は出る。
 それに士郎君の武器庫も気になる。

 武器庫には一体どれだけの武器があるのか?
 それに海上で使用した矢を平然と爆破させていたがアレと同等ランクの矢がいくつもあるのか?
 それとも同じ矢が複数存在するのか?
 それに士郎君は魔術師としては三流と言っていた。
 なら武器庫から自分のところに武器を転送する際の座標はどのようにして出しているのか?
 それに本当に武器庫にある武器を自由に転送できるのならなぜ拳銃を持ち運ぶのだろうか?
 士郎君が転位させた武器は全て剣や弓、盾などのミッドだけでなくこちらの世界でも原始的な武器だ。
 確かに拳銃などは動作不良などを起こす可能性がありナイフ等を持つ事は間違ってはいない。
 魔術が使えない事を想定して武器を持ち歩くのも間違っていない。

 だけど転送して使う武器全てがこの世界の現代の主流ともいえる拳銃ではなく剣などの前世代的な武器なのだろう?
 現に銃を使っているのだから武器庫に銃を入れておいて好きな時に手に転位させた方が都合がいい。

 こうして考えてみるといくつか妙な違和感がある。

「この件の片がついたら聞く必要があるのかもしれないわね」

 だけど答えることはないかもしれない。
 というかその可能性の方が高い。
 それでも知っておかないと悪い。

「……特にフェイトさんをこちらに抱えるようになったらね」

 二人に聞こえないようにつぶやく。
 私達としても現在の状況をみる限りフェイトさんが自発的に行動を起こしたとは判断してはいない。
 プレシア女史に虐待という強迫により動かされていると判断している。
 そうなるとフェイトさんを保護または逮捕すればややこしい事になる可能性もある。
 そう、なのはさんとフェイトさんの味方と宣言している士郎君が何らかの干渉をしてくる可能性だ。
 そうなった際には、まずないとは思うのだけど最悪の可能性として一戦交えることも考えておかないといけない。

 本当に問題が山積みね。
 願わくばフェイトさんの事も、士郎君の事も無事に終わる事を 
 

 
後書き
続いて二話目でした。

さてさて無印編も大詰め。

A's編の話も少しでも手がけていかないと。

次回更新も同じく来週予定です。

ではでは 
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