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IS インフィニット・ストラトス~転生者の想いは復讐とともに…………~

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number-3 actuality

 
前書き



現実。


 

 
夜神鳥麗矢は織斑一夏という人物に落胆していた。


どこか期待していたのかもしれないが、その期待は大きく違っていたことを一目見て分かってしまった。


妙に馴れ馴れしい。同じ男であるから仲良くしていこうという気持ちは分からなくもない。だが、最初っから距離が近すぎる。こちらとしてはそこまで仲良くしていこうという気持ちはない。


先ほどは久しぶりに会った幼馴染と話していた。


――――その幼馴染と話していればいいじゃねえか……


もううんざりしている。もう極力関わらないことに決めた。


今は二時間目と三時間目の間の休み時間。幸いまだこちらには来ておらず、あの幼馴染と話している。今のうちに逃げようとした時であった。


「ちょっと、よろしくて?」


隣に座っていた女子に話しかけられたのは。


麗矢は反射的に「よろしくない」と返してしまいそうになったが、喉まで出かかったそれを呑みこんで、そちらを向く。


「まあ! 返事も返さないなんて――――」


高飛車なお嬢様。
それが麗矢が抱いた第一印象だった。


セシリア・オルコット。
年齢は15~6歳、イギリス国家代表候補性。
幼いころに両親を亡くし、今まで自分一人の手でオルコット家を守ってきた人物。
今、セシリアが男に対して持っている感情は――――嫌悪。
父親がずっと頭を下げてばかりで、母親の機嫌を損ねていた。
身近にいた男の不出来、これが今のセシリアを作っている。


「――――話を聞いていますの!?」


バシン!と音を立てて麗矢の机を叩いた。
話を聞いていない麗矢に腹を立てたみたいだ。


「話? 俺はお前に話すことなんてない。お前はただ自分の実力を他人に示したいだけで、周りのことなんて考えようともしない。そんな屑は男を貶すことなんてできることじゃない。」


「――――なっ!!」


鐘が鳴る。流石にブリュンヒルデである織斑先生には逆らおうとは思わないようだ。聡明な判断である。


一時間目、二時間目と副担任の山田先生が教卓に立っていたが、三時間目は違うようだ。織斑先生が教卓に立っている。


「では、授業に入る前にクラス代表を決める。」


クラス代表。
簡単に言ってしまうとクラスのまとめ役である。自薦、他薦問わない、と言っているがそうなってしまうと、物珍しさにクラスにいる男子に矛先が向かう。現に他薦で一夏と麗矢があげられている。一夏は思わず席を立ってしまったが……麗矢はそんなことはない。
話を聞いているのかも怪しいが窓の外から視線を外さない。


「――――納得がいきませんわっ!!」


バシン!と机を叩いて席から立ち上がったセシリア。
やはり、男がクラスの代表になるのは納得が出来ないようだ。そのうえ、同じ島国であるのに日本を非難し、挙句の果てには男を極東の猿扱い。


男をそうやって差別するのはまだいい。それが今の風潮だから、女尊男卑。


だが、ISを開発したのは日本人である。篠ノ之束。
今のセシリアの発言はイギリスの発言ともとられてしまう。なぜなら、国家代表候補生だから。
候補生ながら国を背負っているのだ。これでは外交問題までに発展してしまう。


織斑一夏は世界最強を姉に持つ一般人である。そう、ただの一般人である。
ただの一般人がイギリス――――一国を非難しようが一一般人の意見として扱われる。
だが――――国家代表候補となると話は別である。


それを知ってか知らずか……織斑先生は止めようとしない。


それどころかセシリアを面白そうに見ている。
さらに一夏とセシリアの話が麗矢にまで飛び火してきた。


どうすれば辞退できるか、そればかりを考えていたが……それは無理であった。
二人で納得して、一人が納得できないまま織斑先生がまとめた。


「では、クラス代表決定戦を来週の月曜日に第三アリーナで行う。出場者は織斑一夏、セシリア・オルコット、夜神鳥麗矢の三人だ。各自準備するように。それでは授業に入る」


――――ああ、そんな……


麗矢は千冬の性格を分かっているため諦めつつも目立たたないようにしようと決めていた。


それが叶うかは別としておく。



     ◯



そのあとの授業は憂鬱になりながらも何とかこなした。そして麗矢が待ち望んだ放課後である。


麗矢は教室にいた。まだ寮の部屋番号を教えてもらっていなかったためである。一夏も当然のごとくいる。何かと話しかけてくるが――――基本的には無視である。これでも諦めずに話しかけてきたが。


そこへ副担任である山田真耶が教室に入ってきた。


「織斑君。これが寮のカギです。はい、麗矢君にも。」


真耶が一夏と麗矢にカギを手渡す。麗矢の部屋番号は『2061号室』である。


「では、私はこれで。さようなら。」


麗矢はそっけなく挨拶をし、教室を静かに出ていく。真耶にも有無を言わせないように急ぎ出て行った。麗矢の後ろで「道草はしないでくださいねー。」と聞こえたが、麗矢はすたすたと去っていった。


一夏は悲しそうであったが麗矢には関係がなかった。


校舎から出て五分。道草をすることもなく寮へと着いた麗矢。部屋も苦労することなく見つけることが出来た。


――コンコン


まずはノックで中に人がいるか確かめる。――――返事はない。
鍵を開けて部屋の中へ、ベットにいる気配はない。
安心して窓際のベットに座る。送った荷物はベットの下にあった。
麗矢はベットに横になる。


今日一日が一番疲れた。
織斑一夏にセシリア・オルコット
あの二人は疲れる。こっちの気分を損ねてくる。イライラするやつらだった。
本当に疲れた。


――ガチャッ


扉を開ける音がした。
麗矢が顔を向けると、そこにいたのは――――


「あら? あなたが私の同居人ね。私は――――」


水色の髪が外側にはねている。胸についているリボンは上級生を現している。おそらく二年生であろうか。麗矢にとってその顔をとっても見覚えのあるもので。


IS学園の生徒会長更識家十七代目当主、更識楯無。


夜神鳥麗矢と更識楯無。


どこかであった二人は寮の一部屋で再会をした。


 
 

 
後書き
コメントを返すことは難しいですが、くれるとうれしいです。

これからも暇つぶしに読んでいただければ、と。 
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