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ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者

作者:黒神
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第四十八話 冥界

「冥界に帰る!?」

駒王学園の1学期が終了し、夏休みに入って数日が経った。一誠は自宅でリアスの言葉に驚きの声を上げた。祐斗や小猫も先ほどイッセーの家に着いたらしい。
そして余談だが、一誠の家は朱乃とゼノヴィアも住む事になり、ホームステイする人数があまりに多くなったためリアスが改装を施してくれたみたいだ。お陰で一誠の家は普通の住宅から豪邸へと大きく変わった。中には様々な施設まで施されているみたいだった。

「夏休みだし、故郷に帰るのよ。毎年のことなのよ」

しかし一誠はリアスから置いてけぼりにされると涙を流していたが、リアスは一誠の頬を摩りながら、一緒に連れて行くつもりだと一誠に言い聞かせた。

「俺も冥界に行くぜ」

「僕も冥界に行くことって出来ないんですか?」

その場に居る全員が声の発した方を向くとアザゼルと闇慈がテーブルに隅に置いてあったイスに座っていた。

「ふ、二人ともどこから入ってきたの!?」

リアスが二人に問いかけた。

「うん?普通に玄関から入ったぜ?」

「僕は途中でアザゼル先生と出会って、イッセーに家に行くって言ってたので一緒に来ただけですよ?」

「でも気配を全く感じませんでした」

禁手に至っている祐斗でさえ、入ってきたことに気付かなかったようだ。

「それはお前らの修行不足だ。まあ、アンジに至っては影が薄いからな。分からなくて当然だ」

「何か酷い言い様ですね!?アザゼル先生!!僕はそんなに影は薄くないですよ!?」

「それで・・・冥界に行ってのスケジュールだが・・・」

「人の話を聞いてください!!」

「・・・ドンマイです、闇慈先輩。先輩は死神だから仕方ないです」

「止め刺さないで・・・小猫ちゃん。そしてそれフォローになってないよ・・・」

~~~~~~~~~~~~

そして冥界に行く当日となった。服装はアザゼルを除いた生徒全員、制服だった。
闇慈の両親には研究部の遠征だと言い伝えてきた。そして闇慈が冥界に入れるかどうかは、問題ないようだ。本来ならば冥界に人間は入ることは出来ないが、死神になりつつある闇慈は冥界には入れるようだった。
今回の帰省には訳もあった。新人悪魔の紹介も兼ねているらしく、一誠の他にアーシア、ゼノヴィアも冥界に行かなくてはならないみたいだった。勿論二人は冥界に行くことを承諾してくれたみたいだった。

「さあ。行くわよ」

しかしやってきたのは最寄の駅だった。闇慈はこんな所に冥界への入り口があるのか?と疑問に思っていた。ここで駅のエレベーターに入り、リアスが何やらカードみたいなものを電子パネルかざすと、本来なら上に行くエレベーターが、下へと動き始めた。

「この駅の地下には、秘密の階層があるのよ」

「つまりそこが冥界の入り口ってことですか?」

「そう言う事よ、アンジ。さあ、3番ホームまで歩くわよ」

全員がエレベーターから降りると何やら人工的な空間に出た。初めて来た闇慈たちは人間界とは何か違うように感じていた。そして駅のホームに着くと斬新なデザインと形をした列車がホームで待っていた。そしてそれを堂々とリアスが説明する。

「グレモリー家所有の列車よ」

そしてリアスの先導に中へと入っていった。

~~~~~~~~~~~~

一誠は列車に揺られ、トランプなどで時間を潰していた。しかしその間に一誠の恋人候補達に詰め寄られ、一誠はタジタジとなっていた。
一方、闇慈は休みたいために少し離れた所で、ゆっくりと仮眠をとっていた。

「スースー・・・ん?」

闇慈は何やら違和感を感じ、少し眼を開けて何か見ていると、小猫が可愛い寝息を立てながら闇慈にもたれ掛かりながらスヤスヤと眠っていた。

「こ、こ、小猫ちゃん!?」

闇慈は一瞬戸惑ったが寝ている小猫を起こすのも悪いと思い、そのままにしておき、外の風景を楽しんだ。
冥界と言いつつも自然はあるようだった。そして大きく違っていたのは『空』が青ではなく、紫色をしていたことだった。

(色んな意味で僕はラッキーなのかもしれない。本で読んだことしかない場所に僕はこうやって立っている。この経験はこの先の人生においてどんなことに役に立つのかな?)

闇慈は一人哲学的なことを考えていると・・・

「ちょっとすみませんな。入国の手続きをしたいのですがよろしいですかな?」

闇慈が声のしたほうを向くと髭を生やした老人が車掌らしい帽子をとって尋ねてきた。それに基づき小猫も目を覚ましたようだ。

「貴方はこの列車の車掌さんなんですか?」

「ホッホッホ。初めまして、私はこの列車の車掌をしております『レイナルド』と申します」

「ご丁寧にありがとうございます。僕は『黒神闇慈』です。よろしくお願いします」

「なんと・・・貴方が『黒衣の死神』ですかな?」

「僕の事を知っているのですか?」

「知っているも何も、冥界では有名ですぞ?ライザー様や先の大戦の堕天使コカビエルを若いながらに倒した注目のまとですぞ」

闇慈はそれを聞くと頭を抱えてしまった。なるべく目立たないようにしていたが冥界の情報力を甘く見ていたようだった。

「まあまあ。有名になることは悪いことではないですぞ?まあ話はここまでとして入国手続きをしますぞ?」

そう言うとレイナルドは特殊な機械を闇慈と小猫の顔に当てると、承認の音らしきものがなった。

「これで手続きは終了ですぞ。では列車の旅を彼女さんとごゆるりと」

「えっ!?」

「・・・っ!?」

レイナルドはそのまま奥へと行ってしまったが、闇慈と小猫にとってはまだ時間が止まっているような感覚だった。そして顔を見合わせると恥かしくなったのか、お互いに顔をみることが出来なかったみたいだ。

~~~~~~~~~~~~

そして列車はグレモリーの本邸に到着した。アザゼルはそのまま、魔王達との面会があるのか列車に乗ったままだった。そしてアザゼルを除いた部員が列車から降りると・・・

『リアスお嬢様。お帰りなさいませ!!』

花火やら音楽など、リアスたちを迎えているようだった。小猫たちは慣れているみたいだったが、アーシアと一誠は場違いのように感じているのか、身を寄せ合っている。ゼノヴィアは一人呆然としていた。闇慈は少し驚いたようだったが、すぐに心を持ち直した。

「ヒィィィ。人がいっぱい・・・」

ギャスパーはまだ大人数に慣れていないのか、闇慈の背中の裏に隠れた。そしてメイドの中にグレイフィアの姿があった。

「お嬢様、お帰りなさいませ。道中、ご無事で何よりです。眷属の皆様も馬車へお乗り下さい。本邸へ移動します」

そう言うとリアス達は馬車に乗り移ると、移動を開始した。
 
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