| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

対決!!天本博士対クラウン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第九十一話


              第九十一話  休息の時
 何とか三匹まで退けた一行であったがここで小休止を取っていた。要するにお弁当を食べていたのである。
「とりあえず残り三匹」
「あと半分ね」
 そんな話をしながらお握りやサンドイッチを食べている。小百合先生の手作りである。
「順調かしらね」
「どうかしら」
 美奈子が華奈子の言葉に疑問を投げ掛けた。
「それはね」
「六匹でしょ?それでも」
「そういう問題じゃないわよ」
 美奈子はまた答えた。
「相手のレベルの問題よ」
「相手の」
「何が出るのかわからないのよ」
 美奈子は言う。
「ケルベロスだっているし」
「あれ、やっぱりいるのね」
「そうよ。今までもドラキュラとかフランケンとかゴーレムとか」
 今まで出て来たモンスターのことを出す。
「凄いのが出て来たから。何が出るか」
「けれどやるしかないじゃない」
 しかしそれに対する華奈子の言葉はあっけらかんとしていた。しかもそのあっけらかんとした言葉のままで御握りをその口の中に放り込むのだった。
「どっちにしろ。そうでしょ?」
「まあ一言で言えばそうだけれど」
「そういうことよ。案ずるよりね」
「動く方がいいってことね」
「それがこの華奈子ちゃんよ」
 右目でウィンクしてみせての言葉であった。
「鬼が出ようが蛇が出ようがね」
「相手がモンスターでもね」
「平気よ。大体相手はあの博士よ」
「天本博士ね」
「下手な妖怪よりとんでもない相手じゃない」
 その通りであった。伊達に宇宙空間に隔離された経験がないわけではない。
「そんなのの相手しなきゃいけないんだから。モンスターで怖がっていたら」
「華奈子さん」
 そう宣言する華奈子に先生が声をかけてきた。
「はい?」
「いい心掛けです」
 その明るい笑顔で告げるのであった。
「そうですか」
「そうです。ですから」
 そう述べたうえで皆に声をかけてきた。
「皆さん」
「はい」
「御飯を食べ終わりましたらまた行きましょうね」
「次の相手にですね」
「その通りです」
 そういうことであった。六人と先生は食べ終わるとすぐにしまって立ち上がった。そうしてさらに先へと進むのであった。次の相手に向かって。


第九十一話   完


                  2008・3・5 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧