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対決!!天本博士対クラウン

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第四百二十四話


                  第四百二十四話  大きくなる時
 美樹の母はだ。娘に話すのだった。
「お母さんの胸が今より大きかった時はね」
「それは何時だったの?」
「それは二つあったの」
 一つではなくだ。複数だったというのだ。
「それだけあったの」
「二つっていうと?」
「まずは美樹が生まれた時よ」
 美樹を見てだ。そうして言ったのだった。
「その時に大きくなったのよ」
「私が生まれた時に」
「それが最初なの」
 そしてだ。もう一つはというと。
「あとはね」
「うん、もう一つは」
「信也が生まれた時よ」
 美樹から見てだ。弟がだというのだ。
「その時にもなのよ」
「っていうと」
 ここまで聞いてだ。美樹は察した。そのうえで母に尋ねた。
「あれ?赤ちゃんが生まれたら」
「そうよ。胸は大きくなるのよ」
「お乳をあげるからよね」
 それのせいだとだ。美樹は察したのである。
「だから大きくなるのよね」
「どうしてお乳が出るかっていうとね」
 母はそのことも話した。
「自然とね。自分の赤ちゃんがいとおしくてそうして育てたいって思うからなのよ」
「それで大きくなるの」
「そうよ。これでわかったかしら」
「そうだったのね」
 話を聞いて頷く美樹だった。 
 そのうえでだ。こんなことも言う。それは何かというと。
「じゃあ赤ちゃんができる度に。女の人って」
「胸が大きくなって。自分の子供を可愛いって思うものなのよ」
 どうして可愛いと思うのか、愛していると思うのかはもう言うまでもなかった。理屈でもなかった。それは自分の子供だからである。
 そのことをだ。美樹もわかってだ。 
 自然と微笑みだ。こう母に言った。
「じゃあ私も何時か」
「そう、お母さんになればね」
「まずは結婚してそうしてね」
「お母さんになるのよ」
 母も笑顔だ。そして美樹も。
 笑顔でだ。また自分の母に答えた。
「いいお母さんになるね。お母さんみたいに」
「有り難う、それじゃあね」
「そうなるように頑張るから」
 こうした話になったのだった。美樹は胸のことからそうしたことを学んだ。胸は何によって大きくなるのか、そのことを学んだのである。


第四百二十四話   完


                2011・9・20 
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