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対決!!天本博士対クラウン

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第三百九十六話


                第三百九十六話  人間花火
 人間の体内に花火を埋め込み。そのうえで。
 空中に打ち上げ爆発させる。この人間花火が博士の手によって開発された。そして早速だ。
 夜空にだ。犠牲者達が大砲で打ち上げられていく。
「う、うわあああああああーーーーーーーーっ!」
「死にたくないーーーーーーーーーっ!!」
「助けてくれーーーーーーーーーーっ!!」
 例によってだ。暴力団員やチーマー達が捕らえられ花火を埋め込まれて打ち上げられてだ。空中で四散し夜空に大輪を咲かせるのだった。
 その大輪を見ながらだ。博士はワインを楽しんでいる。そのうえでこう小田切君に話すのだった。
「わしは花火も好きなのじゃよ」
「花火の製造もできたんですね」
「あんなものは簡単じゃ」
 伊達に知能指数二十万ではない。ないのは人格だけだ。
「それこそ寝ながらできる」
「本当に楽にですね」
「できるものじゃ。しかしこうして花火になって打ち上げられてじゃ」
「バラバラに飛び散って悲惨な死体になってますよ」
「それがまたよいのじゃ」
 相変わらず人権なぞ全く無視する博士である。
「花火となり飛び四散して果てる。よいではないか」
「殺される方はたまったものじゃないですね」
「そんなことはどうでもいいのじゃよ」
 やはりこう言って終わらせる博士だった。
「とにかくじゃ」
「花火どんどん打ち上げてますね」
 つまりだ。その花火の数だけだ。
「死んでますね」
「さて、今日は二百発あげるとしよう」
「二百人も殺すんですね」
「そうなるのかのう」
「立派な虐殺ですよ、これって」
「ああ、わしは虐殺も趣味じゃ」
 とにかく碌な趣味を持っていないのだ。生体実験に大量破壊兵器の開発と製造、改造手術にこうした非人道的な遊戯が博士の趣味なのである。とにかく危険な人物なのだ。
 その博士はだ。虐殺についてもこう言うだけだった。
「まあ。虐殺でも大輪の花となればよいではないか」
「それ、殺される方は絶対に思いませんから」
「小悪党は減らすに限る」
 博士は少なくとも小悪党ではない。人類史上最悪のマッドサイエンティストである。
「小者は好かんからのう」
「そしてその小者をなんですね」
「花火にしてやっているのじゃよ」
「だからいいんですか」
「さて、気分も乗ってきた」 
 赤ワインを楽しみチーズをつまみにしながらの言葉だ。
「それではじゃ」
「それでは、ですか」
「二百では満足できん。六百じゃ」
 三倍に増えた。犠牲者の数が。
「思いきり楽しむか」
「今夜だけで六百人ですか」
 小田切君は冷静に言う。その目の前でだ。花火が次々に大輪を咲かせていた。命の花火を。


第三百九十六話   完


                 2011・6・14 
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