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対決!!天本博士対クラウン

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第三百八十四話


                  第三百八十四話  やっぱり死んだ
 まずはだ。捕まえたヤクザ者なり不良なりにだった。
 無理矢理にだ。アルコールを飲ませるのだった。その中で。
「うむ。メタノールも入っておったな」
「早速何人か泡吹いて死にましたよ」
 早速普通に人を殺す博士だった。
 しかしそのことには何一つ思わずだ。さらにだった。
「ではじゃ。ウォッカ二リットル分を飲ませたな」
「ええ、っていうかウォッカそのものを飲ませましたから」
 九十六パーセントのその鬼の如き酒をである。博士が飲ませたことは言うまでもない。
「もう全員意識が怪しいですよ」
「ではその者達を全員まずは水風呂に放り込む」
 まずはそれだった。
「そしてそれからじゃ」
「サウナですね」
「そして暫く経ったら水風呂に戻す。それを繰り返す」
 言いながらロボットに運ばせる。そうしてだった。
 冷水の風呂に放り込み骨の髄まで冷やしてからだった。
 サウナに放り込む。それを繰り返した。
 するとだ。残ったのは。
「一人もおらんのう」
「二十人いたんですが」
「全員死んでしまったか」
 本当にものが壊れた様な感じの博士の言葉だ。
「やはり酒を飲んでサウナに入ると死ぬのじゃな」
「心臓と血管に悪いですからね」
「脳の血管が切れて死んだ者もおるな」
「急性アルコール中毒で死んだのもいますよ」
「飲み過ぎじゃな」
 自分が無理矢理飲ませたことはどうでもいい博士だった。
「しかしよくわかったぞ」
「だから調べるまでもないんじゃないんですか?」
「少なくとも退屈凌ぎにはなった」
 やはり人命はどうでもいい博士だった。
「ではよしとしよう」
「それで死体は」
「ふむ。今しがた造り上げたキメラの餌にしようぞ」
「またキメラですか」
「鵺じゃ」
 あの頭が猿で身体が狸、手足が虎、蛇の尻尾のあの獣である。平安時代に出て来たと言われている。あまりにも有名な合成獣だ。
「それを造ったからのう」
「鵺って肉食でしたっけ」
「肉食に改造しておいて。ヤクザ者だのを襲わせる為じゃ」
 そうして食い殺させるのは言うまでもない。
「その為にじゃよ」
「そういう風に改造したんですか」
「では早速餌をやろう」
 その鵺にだというのだ。
「二十人分じゃ。食いきれんかったらそれはそれで使い道がある」
「他の獣の餌にするんですね」
「そういうことじゃよ」
 やはり何でもないといった口調の博士だった。人権思想は天本博士の辞書にはないのだ。


第三百八十四話   完


             2011・5・5 
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