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対決!!天本博士対クラウン

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第二百九十八話


            第二百九十八話  今日子先生が来ても
 今田先生はその金色の法衣と帽子を身に着けている。しかしこれは授業の時はいつもそうなので特に驚くべきことではない。
 その格好で六人を屋敷のお庭に出してだ。そうして実際に。
「はい、こうするんですよ」
「抹茶ですか」
「それなんですね」
「茶道ですよ」
 魔法で抹茶を淹れているのであった。外にその茶道のセットをしたうえでだ。魔女の服であるが今はそれにはお構いなしということだった。
「女の子にとってお茶は必須ですよ」
「それはわかりますけれど」
「それでも」
 六人はまだ戸惑っていた。言葉にもそれが出てしまっている。
「今は。いいんですか?」
「茶道をしていて」
「はい、どうぞ」
 戸惑う六人をよそにだ。その魔法で淹れたお茶を差し出すのだった。それも魔法で出していてそれで空にふわふわと浮かんでいた。
「お菓子もありますよ」
「あっ、和菓子ですね」
「それですか」
 六人も何だかんだでお茶にもお菓子にも反応する。
「それじゃあお言葉に甘えまして」
「それじゃあ」
「どうぞ」
 またにこりと笑う先生だった。そしてここで。
 今日子先生がだ。銀色の帽子と法衣でやって来た。そうしてであった。
「今日は茶道なのね」
 やはり博士のことは全く言わなかった。
「日本のものもいいわよね」
「ええ、そう思ってね」
 今田先生はにこりと笑って今日子先生に応える。
「皆に教えてるの」
「それはいいわね」
 今日子先生は先生のその言葉を聞いて同じくにこりと笑うのだった。
「やっぱり茶道はね」
「礼儀作法も身に着くし」
「文化の勉強にもなるしね」
「だからって思って」
「流石香ちゃんね」
「有り難う」
 のどかな雰囲気のまま今日子先生もお茶に加わる。実に自然に。 
 この日はそのまま魔法での茶道だった。それはとてものどかなものだった。
 しかしだ。六人は思うのだった。
「大丈夫かな」
「そうよね、こんなことして」
「今大騒ぎなのに」
「博士を放っておいて」
 皆街の騒動のことが頭から離れないでそれでやきもきもしていた。とにかくどうにかしたかった。しかし先生達は相変わらずの調子であった。


第二百九十八話   完


                 2010・6・11 
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