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対決!!天本博士対クラウン

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第百六十五話


第百六十五話  毒蛇地獄
 博士は車椅子に乗ってその組織のビルに向かう。途中警官が呼び止めるが当然ながらそんなものは全く気にしてはいない。
「何かパトカーや機動隊が後ろから来ていますけれど」
「ギャラリーに丁度よいのう」
 今回は彼等はそうだと思っているのだった。
「いいことじゃ」
「いいことって」
「わしの新たなる伝説の一ページの観客は多い方がいい」
「伝説ですか」
「毒蛇地獄じゃ」
 博士は言う。
「それがこの伝説の名前じゃよ」
「毒蛇地獄ですか」
 小田切君はここであることに気付いた。
「そういえばですね」
「何じゃ?」
「毒蛇はいいんですけれど」
 それを使うのはわかった。ところがであった。
「けれどその毒蛇は一体何処にいるんですか?」
 そのことを尋ねるのだった。見ればそんなものは何処にも見えはしない。それこそ二万匹もいるというのにだ。博士の言うにはであるが。
「二万の毒蛇は」
「すぐにわかる」
 博士はこう答えるだけだった。自動で動く車椅子に乗って前を見たままの返答だった。
「すぐにのう」
「すぐにって」
「さて、見えてきたな」
 今度は小田切君には答えなかった。
「組織のビルがのう」
「ですね」
 小田切君にもそのビルは見えた。やたらと大きな、そして外観は立派なビルである。だがどういうわけか妙な禍々しさを漂わせてもいる。
「あそこですね」
「さて、それではじゃ」
 博士はなおも前に進みながら述べる。
「その伝説を創るとするか」
「蛇がいないですけれど」
「では見せよう」
 博士はここでニヤリと笑ってみせてきたのだった。
「その蛇をな」
「それで蛇は何処に」
「見るのじゃ」
 博士は不意に車椅子から立ち上がった。
「わしのあらたな発明も」
「発明もあるんですか」
「ただ毒蛇だけを研究していたわけではない」
 それだけに留まらないのがこの博士である。
「そう、これじゃ!」
「なっ、それは!」 
 小田切君も驚愕した。何と博士はここで思いも寄らぬ行動に出たのであった。その行動とは何か。


第百六十五話   完


                  2009・2・19 
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