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対決!!天本博士対クラウン

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第百五十七話


            第百五十七話  ダブルデートの時に
 小田切君のダブルデートの時に博士は。もう鉄人の強化を終えてしまっていた。
「これでよしじゃ」
「強化までどれだけかかったっけ」
「一時間だね」
 ライゾウにタロが答える。
「それだけ」
「相変わらず速いもんだよ」
「わしは天才じゃ」
 返答になってはいないがこの博士に限って返答になるやり取りだった。
「この程度はな、当然のことじゃ」
「一時間でロボットを強化って」
「普通はないよ、博士」
 ライゾウもタロも今の博士の自信満々の返答に呆れた声で述べるのだった。
「そんなにさ、迅速に」
「できるものじゃないし」
「わしの知能指数は二十万じゃ」
 最早人間の数値ではない。
「だったらこの程度は朝飯前じゃろうが」
「そうなのかね」
「さあ」
 二匹は博士の言葉に顔を見合わせて首を傾げ合うのだった。
「とにかくじゃ。これで自衛隊にじゃな」
「どうするっていうの?」
「喝を入れる」
 タロの問いに答えた。
「思う存分な」
「喝ねえ」
「自衛隊はたるんでおる」
 いきなり愛国めいた言葉になっていた。なおこの博士の国籍は日本であるが古墳時代よりこのかた日本にとっていいことをした記録はない。そもそも何時からいるかも不明である。
「日本軍はその点凄かったの」
「そんなになのかい?」
「うむ。気迫が違った」
 こうライゾウに答える。
「しかも全くな」
「そういえば博士日本軍と戦ったことあったんだっけ」
「明治維新から敗戦までな」 
 随分と長い間戦っている。
「乃木大将と帝都で大立ち回りをしたこともある」
「ふうん」
「山縣有朋ののう」
 その陸軍の法皇と言われた人物である。なお生前はおろか現代に至るまでその不人気さは特筆すべきものがある人物でもある。
「槍も凄いものじゃった」
「そういえばあの人槍の免許皆伝だったよ」
「そうだったのかよ」
 ライゾウはタロの説明を聞いて声をあげた。
「そんな相手ともやり合っていたのか」
「古きよき時代じゃった」
 こう言って昔を懐かしみだした。今ここで博士の恐るべき過去が他ならぬ博士自身によって語られるのであった。その過去の一部が。


第百五十七話   完


                  2008・12・16 
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