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対決!!天本博士対クラウン

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第百十一話


                  第百十一話  博士の謎
「そういえばですね」
「何じゃ?」
 小田切君はふと博士に尋ねた。博士は猫を巨大化させつつ小田切君に言葉を返す。
「博士って生まれは何処なんですか?」
「宇宙じゃ」
「いえ、それはわかっていますから」
「わかっておる、銀河系じゃ」
「そうじゃなくてですね」
 話がどうもずれていた。
「何処でしょうか、御出身は」
「出身か」
「ええ、よく考えたら僕博士のことは何も知らないんですよ」
 それに今気付いたのである。
「何をされていたとか。全然」
「実はわしはな」
「はい」
「生まれは日本じゃ」
「日本人なんですね」
「何じゃと思っておった?」
「いえ、スペイン料理がお好きですから」
 まずはそこを指摘する。
「スペイン人なのかな、と」
「コロンブスには会ったことがあるがな」
「そうなんですか」
 どうもそうらしい。信じられない話だが。
「じゃがスペイン生まれではない。れっきとした日本人じゃ」
「ロシア人とのハーフではないですよね」
「いいや」
 首を横に振ってそれも否定する。
「父も母もれっきとした日本人じゃ。これは確かじゃぞ」
「日本人なんですか」
「顔を見ればわかるだろう」
 とはいってもあまりにも怪しい顔立ちと雰囲気なのでそれがよくわからないのだった。結局はこの博士の奇人ぶりに帰結するのだ。
「違うか?」
「まあ日本人には見えますね」
 小田切君も一応はこう答える。
「言われてみれば」
「スペインは好きじゃが日本が一番落ち着くのう」
「ですか」
「うむ。そういえばじゃ」
「はい?」
「この猫じゃが」
 その巨大化させている猫を見て言う。
「どうも虎に見えてきたのう」
「っていうか博士」
 小田切君はその巨大化した虎を見つつ博士に突っ込みを入れる。
「猫が大きくなったらそのまま豹か虎ですよ」
「では早速これを真夜中にたむろしている不良共に対して放ってやろう」
 話の途中だがまた流血の事態が繰り広げられることになったのであった。


第百十一話   完


                  2008・5・27 
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