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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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便利な魔法

<メルキド>

城塞都市メルキドは周囲を高い壁に囲まれており、外敵の侵入を阻む造りになっている。
唯一の出入り口は北側に存在し、この場所以外からの進入は容易ではない。


アルル達一行は、そんなメルキドの最も奥に位置する、一際大きな屋敷の前へと訪れていた。
「ここに『魔の島』へ渡る方法を知っている人が居るのね…」
アルルは確認するかの様に、一人で呟いてみる…
少しでも早く魔の島へと渡り、オルテガを助け出したいと考えているのだ。

アルル達は遠慮することなく屋敷内へと入って行く…
そして皆が唖然とする!
「ず、随分と荒れてますね…」
最初に口を開いたのはティミー。

そう、彼の言う様に屋敷内は荒れ果てているのだ!
まるで廃墟の様な屋敷内にリュカは、
「あ゙~!こういう散らかった場所キライ!もう帰ろうよぉ」
と、愚図り出す。

「勝手に入ってきて我が儘を言うな!」
リュカの文句に答えたのは、薄暗い屋敷の奥から出てきた、神経質そうな執事風の老人だ。
「お!?ジイさんか…此処に住んでいる老人ってのは!?」
「ふん!確かにワシはここに住んでいるが、お前さん達が探してる人物ではない!ワシゃただの使用人だ…魔の島へ渡る方法を知っている人物(ヤツ)は奥にいる。ワシはヤツの世話をしている使用人だ!」
とても使用人とは思えない口調の老人に、アルル達は言葉を失う…

「何だ…お前じゃないのか…つーか使用人のクセに偉そうだな!この屋敷の主の世話をしてるんなら、もっとちゃんと仕事しろよ!何なんだよ…この屋敷内の汚さは!?掃除しろバカ!」
相変わらずリュカだけは何時もの調子で不平を言う。
「ふざけるなバカ!碌に金も払ってないクセに、こんな無駄に広い屋敷を掃除できるか!あの老いぼれが死なない様に、食事の世話をしてやってるんだ!それだけで十分だ!!…だいたい寝たきり爺なのだから、ベッドの周りだけをキレイに保っておけば問題ない!他の所までワシ一人で面倒見切れるか!」

「…金、貰ってないのなら…何で何時までも世話してんの?…優しさ?…財産狙い?」
「あの死に損ないに財産なんか残ってないわい!…世界を救う勇者の為に、魔の島への渡り方を伝えようと、今まで死なないでいたんだ…見捨てるワケにもいかんだろう!」
どうやら口は悪いが、義理堅く優しい人物な様だ。
「ふ~ん…どうでもいいけどね!」
「お前が聞いてきたんだろ!どうでもいいとか言うな!」

「そんな事より…そいつは奥に居るんでしょ?……さっさと用事を済ませて、こんな汚い屋敷から出ようぜ!」
「ふん…気を付けろ。…ヤツの周りにはバリアが張り巡らせてある。迂闊に近付くと痛い目に遭うぞ!」
「何だバリアって…?」
使用人の爺さんは、そこまで言うとさっさと自室に戻っていってしまう…

「行っちゃいましたね…」
リュカと使用人の会話に唖然とするティミー…
「勝手だなぁ…まぁいいか!行けば分かるよね」
そんな事は気にしないマイペースな(リュカ)
これまで以上に遠慮することなく、気ままに奥へと進んで行く。


「バ、バリアって…コレ?」
それは奇妙な光景だった…
屋敷の一番奥の部屋に入ると、ソコはかなりの広さで入口から遠くにポツンと天蓋付きのベッドが置かれてるのみ…アルル達の位置からは随分と離れている。

しかし何が奇妙かというと…床がバチバチと放電しているのだ!
「うわぁ~………とてもじゃないですが、あのベッドまでは行けそうにないですね…」
「相変わらずだなぁティミーは…試してもいないうちに諦めるなんて…」
「い、いや…しかしコレは危なそうじゃないですか!?」
父の呆れた言葉に、思わずムキになって言い返すティミー。

「先ずは試してから考えようよ。………つー事で、行けカンダタ!」
「え!?俺なのかよ!何か偉そうな事を言ってるけど、結局は自分で試さないのかよ!?勝手すぎるだろ!」
リュカの身勝手さに激怒するカンダタ!
「そうですよ父さん!あんだけ偉そうな事を言ったのだから、ここはご自分で試して下さいよ!」

「ヤだよ!絶対バチッときそうじゃん!痛いのヤダもん」
「試してみないと分からないと言ったじゃないですか!」
「うん。だからカンダタで試すんだよ。つーワケで、さっさと行け!」
もう開いた口がふさがらない…ビアンカですら頭を押さえて首を振る。
「それに使用人の爺さんは、あのベッドで寝ているヤツの世話をしてるって言ってたじゃん…見かけ倒しで何て事はないのかもしれないよ。…ほれ行けよカンダタ!」

「リュ、リュカさん…流石にちょっと…カンダタさんをイジメ過ぎなのでは…?」
「ハツキは優しいなぁ…でも考えてごらん。この場合、誰を犠牲にするのが一番良いのかを………ほ~ら、カンダタだ!」
誰に何を言われても揺るがないリュカ理論!
「お父さん…こう言う時は魔法で何とかしましょうよ…」
そんなリュカ理論に真っ向から挑むのは、娘のマリー…
「魔法で?…どんな?」

「皆さんは『トラマナ』って魔法を知ってますか?」
「え、トラマナって…毒の沼地を歩いてもダメージを受けなくする魔法よねマリー!?」
「…正確には、足下からのダメージを受けなくする魔法です…お母さんは使えましたよね!?」
「えぇ………トラマナ!」
ビアンカが促される様に魔法を唱えると、アルル達全員に足下から淡い魔法の光が包み込む。

「さぁ…コレでバリアの床も大丈夫ですよ!あのベッドまで進みましょう」
解決策を示したマリーが、嬉々と前進を促した。
だが、凄まじい放電のバリア床に、誰もが踏み出せずにいる…
マリーすらも、少しだけビビッちゃっている為進もうとしない…

「よし…こう言う時は………」
事態を進める為に、リュカが言った台詞は………

(アレですね!)



 
 

 
後書き
頑張れカンダタ!
負けるなカンダタ!!
みんなが君の犠牲を期待しているゾ! 
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