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久遠の神話

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第零話 炎の覚醒その十六


「そして内臓も損傷していますが」
「それでもですか」
「回復は可能です。また骨折や靭帯は損傷していても」
「身体も何とかですか」
「ですが。傷が深く」
 そうしてだというのだ。
「意識は戻られていません」
「ですか」
「御会いになられますか?」
 そうした状況でもだ。そうするかというのだ。
「そうされますか?」
「御願いします」
 すぐにだ。答えた彼だった。
「そうさせて下さい」
「わかりました。それでは」
「それで部屋は」
 三人が何処にいるか。話はそこに移った。
「何処ですか?」
「あの部屋です」
 廊下を進む、やや駆け足で進みながらだ。医者は自分の横にいる中田に対してすぐ前の右手に見える部屋を指し示して述べた。
「あそこです」
「あの部屋ですね」
「それでは」
「はい、それじゃあ」
 こう話してだ。そのうえでだ。
 中田は自分でその扉をすぐに開けてだ。部屋に入った。
 部屋の中も白くカーテンもベッドも白だった。そしてそこにいる者達も。
 三人はそれぞれのベッドの中にいた。その中でだ。
 酸素マスクを付けてだ。点滴を受けていた。頭には包帯が巻かれ目を閉じている。そのうえで一言も話さず横たわっているのだった。
 中田はその家族達を見てだ。自分の隣に来てくれた医者に尋ねた。その顔は家族を見ている。そうしながらの言葉だった。
「あの」
「はい」
「回復しますよね」
「それは」
 医者の今度の返答はよいものではなかった。
 沈んだ声でだ。彼に言うのである。
「どうも」
「無理なんですか!?」
「現状を維持するだけでも」
「維持するだけでも」
「かなりの費用が必要ですが」
「手術になると」
「億単位です」
 それだけのだ。費用が必要だというのだ。
「それでも宜しいでしょうか」
「億って」
「それだけあれば。回復の為の手術を行えます」
「三人共そんなに酷いんですか」
「正直命が無事で後遺症も見られないだけ奇跡です」
 医者は真剣な面持ちで話してきた。
「まさにです」
「そうなんですか」
「あの、それで」
「お金。三人分ですよ」
「はい、それで億単位です」
「それで何億ですか?」
 医者に顔を向けてだ。今にも壊れてしまいそうな表情で問うた。
「何億必要なんですか?」
「三億でしょうか」
「三億ですか」
「やはりないですよね」
「とても」
 その額を聞いて。予想していたが苦い顔になってだ。
 首をしきりに振りだ。そのうえで答える彼だった。
「ありません」
「維持費は」
「そっちはどうなるんですか?」
「これだけで。保険もあって」
 中田その維持費の話もするのだった。
「どうでしょうか」
「それ位なら何とかなります」
 額と保険のことを聞いてだ。中田は安堵した。本当に最悪の事態はだった。 
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