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ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者

作者:黒神
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第四十六話 反逆


「はあああ!!!」

「くっ・・・」

闇慈とアザゼルは協同戦を張って、カテレアに戦いを持ちかけていた。戦闘隊形は闇慈が前衛で突っ込み、アザゼルが後衛で光の槍を次々と飛ばしていた。二人は初めて一緒に戦うのだが戦い慣れしている事が原因なのか息の合った戦闘を繰り広げていた。

「おらおら。死神ばっかに気にしてると俺の槍がお前を串刺しにするぜ?カテレア」

アザゼルはカテレアを嘲笑うかのように次々と光の槍を飛ばした。カテレアは魔力の波動でそれを弾き飛ばすが・・・

「俺の事も気にしないとデスサイズ・ヘルの錆になってしまうぞ?」

今度は魔力を篭めたデスサイズ・ヘルを振りかざしている闇慈がカテレアに斬りかかった。

「し、しまっ・・・」

「止めだぁぁぁ!!!」

闇慈は取ったと思ったが・・・ここで意外な人物からの横やりを受けた。

「はっ!!」

「何っ!?」

闇慈は咄嗟にカテレアの攻撃を中止すると、その横やりをデスサイズ・ヘルで受け止めた。闇慈は離れ、アザゼルと肩を並べるとその人物を確認した。

「・・・どう言うつもりだ?ヴァーリ」

その人物は白い鎧を身に纏った『白龍皇』こと『ヴァーリ』だった。闇慈は人を射殺せる程の鋭い眼光をヴァーリに当て、疑問を問いかけた。

「・・・チッ。ここで反旗するつもりか?ヴァーリ」

「そうだよ。アザゼル」

ヴァーリはアザゼルの言葉は軽く返したが、闇慈にはそれが怒りの引き金となった。

「ヴァーリ!!貴様はカオス・ブリゲートに寝返り、アザゼルや和平派を裏切るつもりか!?」

「裏切り?違うな。俺はあくまで『協力』のつもりだ、黒衣の死神」

「何故そんなことになったのか教えてくれないか?ヴァーリ。まあ粗方検討は付くけどな・・・『オーフィス』か?」

「アザゼル。誰だ?『オーフィス』と言う人物は?」

「カオス・ブリゲートのトップさ。神が恐れたドラゴン・・・[無限の龍神]『ウロボロス・ドラゴン』の力を宿し、最強の座に君臨している者だ」

「ウロボロス・・・だと・・・!?」

世界神話を趣味として読んでいる闇慈はその名前を聞いて驚愕の顔を示した。

「しかし。その人物とこの裏切りになんの関係がある?」

「スカウトされたのさ。アースガルズと戦ってみないか?・・・とね。俺には断る理由はない。自分の力を試してみたいと思っていたからな」

「例えそれが・・・世界を破滅に導くことになってもか!?」

「俺の存在意義は強い奴と戦うこと。それが出来るのなら俺は構わないさ」

「っ!!貴様と言う奴は!!」

闇慈は堪忍袋の尾が切れそうになったがアザゼルが抑えた。ここでギャスパーを連れた研究部の部員たちが戻ってきた。

「闇慈!!」

「イッセー!!ギャスパーを連れ戻すことが出来たんだな」

「ギャスパーが自分の血を受け入れたお陰だ」

「ぼ、僕はイッセー先輩のお陰で変わることが出来ましたぁ」

ギャスパーは一誠を見ながら笑みを零した。それを見た闇慈はホッと心を撫で下ろした。しかし感動の再会もここまでだった。ヴァーリが再び口を開いた。

「丁度良い。お前たちに俺のフルネームを教えてやる。俺は『ヴァーリ・ルシファー』だ」

それを聞いた闇慈を含めた和平派は驚愕の顔を示した。

「俺は死んだ先代の魔王ルシファーの血を引く者だ。しかし、両親は旧魔王の父。そして人間の母との間に生まれた混血児だ」

「だからセイクリッド・ギアを宿してのか!!」

「そう言う事だ、黒衣の死神。それから・・・」

ここでヴァーリはここで一誠に目を向けた。

「お前の事は調べさせて貰った、赤龍帝。お前の両親のこともな」

「だから何だってんだ!?」

「まさにつまらないの一言だな。こんな奴が俺のライバルなのかと思うと落胆よりも笑いが出てしまった。そこで俺は貴様を『復讐者』に変えてやるよ」

(復讐者?・・・何を言うつもりだ?)

闇慈が疑問に思っていたが、ここで想像を絶する言葉が出てきた。

「俺がお前に両親を殺してやるよ。そうすればお前は少しは身の上が上がって面白くなるだろう。どうせお前の両親は歳を取って、普通に死んでいく。大して変わりはないだろう?」

「貴様・・・ふざけるなぁぁぁ!!!」

闇慈はヴァーリの身勝手で外道的な言葉に堪忍袋の尾が完全に切れ、切りかかろうとしたが・・・

「殺すぞ・・・この野郎」

一誠の怒りは闇慈の数倍あった。

「確かに俺の両親はお前にとって軟弱な存在かもしれねえ。けどな・・・俺をここまで育ててくれた最高の両親なんだよ!!てめえの好き勝手で両親を殺されてたまるかぁぁぁぁぁ!!!」

『Welsh Dragon Over Booster!!!!』

イッセーの叫びと共に[赤龍帝の鎧]『ブーステッド・ギア・スケイルメイル』が発動し、イッセーはヴァーリに飛び掛った。

「イッセー・・・」

「黒衣の死神。ヴァーリは赤龍帝に任せるぞ!!俺たちはカテレアの相手をしなきゃなんねえからな」

「話は終わりましたか?私たちもこんな戦いを終わらせ、『オーディン』にも動いて貰わなくてはなりません」

(もうここまで来たら何も驚かないな・・・北欧神話の最高神か)

「おいおい。横合いからオーディンに奪わせるつもりか?あまり俺の楽しみを奪うなよ?・・・消すぞ」

アザゼルは持っていた光の槍の他に短剣を所持していたが、それがひかり始めた。

「それは・・・セイクリッド・ギアなのか?アザゼル」

「そう言うこった。と言っても人工神器だけどな・・・禁手化!!」

光がアザゼルを包み、それが晴れると黄金の鎧を身に纏い、右手には巨大な光の槍を持っているアザゼルがいた。

(何て力の大きさだ・・・今の僕でも勝てるかどうか)

闇慈はアザゼルの力に少し冷や汗を流した。

「まさかそれほどの力を有していたなんて・・・だとしても!!私は偉大なる真のレヴィアタンの血を引く者!カテレア・レヴィアタン!!忌々しい堕天使に負けはしない!!」

カテレアは青黒いオーラを身に纏いアザゼルに飛び掛った。そしてアザゼルも光の槍を持って対応したその刹那・・・カテレアから鮮血が飛び散った。

「ぐっ・・・ただではやられません!!」

カテレアは自身の腕を触手のように変えるとアザゼルの左腕に巻きつけた。そして何やら術式のようなものが表れた。

「あれは自爆用の術式!!」

リアスは驚愕の声を上げた。アザゼルは触手を離そうとしたが取れないようだった。

「この触手は私の命を糧に作ったもの。斬る事なんて不可能!!」

「お前は俺だけしか見えてないのか?」

「何を・・・!?」

カテレアが疑問の声を上げた瞬間・・・アザゼルとカテレアを繋いでいた触手が見事に真っ二つになった。闇慈は魔力を篭めたデスサイズ・ヘルで叩き斬ったのだ。

「そんな・・・私の触手が!!」

カテレアが声を張り上げた瞬間に、腹部にアザゼルの光の槍が・・・そして胸部から闇慈のデスサイズ・ヘルの刃が突き刺さり、カテレアはそのまま霧散してしまった。

「「チェックメイトだ」」

アザゼルと闇慈はそれぞれの得物をかざし、カツンとぶつけ合った。
 
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