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ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者

作者:黒神
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第四十二話 男女


「『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』?」

一誠の問いかけにリアスが答える。

「そう。それがギャスパーの持っているセイクリッド・ギアの名前。とても強力なの」

「さっきも聞いたんですけど、目に映ったものの時間を停止させるなんてやっぱり反則ですよ」

「俺も同感だぜ。時間を止められたら何にも出来ないじゃないですか!!」

「あら。イッセーの『ブーステッド・ギア』と、それにアンジの『デスサイズ・ヘル』だってかなり反則よ?」

「そうですか?」

ここで祐斗が割って入った。

「確かに、力を十秒毎に倍増させるブーステッド・ギアや・・・」

それ続け、小猫も続ける。

「・・・ありとあらゆる『生』を切り裂き、『死』を導く鎌。デスサイズ・ヘルもある意味反則です、闇慈先輩」

「でもデスサイズ・ヘルはその度に魔力を注ぎ込まなくちゃならないから、結構キツイよ?」

「・・・それでも反則です」

「そうかな?」

闇慈と小猫の討論が少し続くと一誠が話題を変えた。

「それでも、リアス部長。時間停止なんて強力なセイクリッド・ギアを持った奴をそう簡単に下僕に出来るんですか?ビショップって二つなのにどうして『悪魔の駒』を一つしか消費してないんですか?」

「確かに。時間停止みたいな強力な力はどう見ても一つじゃまかなえないと思います」

「それは『変異の駒(ミューテーション・ピース)』のお陰よ」

「ミューテーション・ピース?」

「イービル・ピースと何が違うんですか?」

疑問の声を発したイッセーと闇慈に、祐斗がリアスの代わりに『変異の駒』の説明を始める。

「通常の『悪魔の駒』とは違い、明らかに駒を複数使うであろう転生体が、1つで済んでしまったりする特異な現象を起こす駒の事だよ」

「部長はその駒を有していたのです」

朱乃も説明に参加し、祐斗が更に続ける

「だいたい上位悪魔の10人に1人はひとつぐらい持っているよ。『悪魔の駒』のシステムを作り出した時に生まれたイレギュラー、バグの類らしんだけど、それも一興としてそのままにしたらしいんだ。ギャスパーくんはその駒を使った1人なんだよ」

「話を戻すけど、彼は類希な才能の持ち主で、無意識の内に神器の力が高まっていくみたいなの。そのせいか、日々力が増していってるわ。上の話では、将来的に『禁手(バランス・ブレイカー)』へ至る可能性もあるという話よ」

「うわあ・・・ただでさえ危険なセイクリッド・ギアなのに、それがさらに禁手に至ったりしたらほぼ最強なのでは?」

闇慈がゾッとしている態度でリアスに問いかけるとそれにリアスが答えた。

「そう、危うい状態なの。けれど、私の評価が認められたため、今ならギャスパーを制御出来るかもしれないと判断されたそうよ。私がイッセーと祐斗を『禁手』に至らせた事のお陰かしら」

一誠は未完成とは言え、『禁手』状態でライザー・フェニックスを倒した。祐斗も聖魔剣『ソード・オブ・ビトレイヤー』を発動させることが出来た。それらのお陰でリアスの評価がグンと上がり、その褒美がこれなのかもしれない。

「能力的には朱乃に次いで二番目なんじゃないかしら。ハーフとはいえ、由緒正しい吸血鬼の家柄だし、強力な神器も人間としての部分で手に入れている。吸血鬼の能力も有しているし、人間の魔法使いが扱える魔術にも秀でているわ。とてもじゃないけど、本来『僧侶』の駒1つで済みそうにないわね」

ギャスパーの能力の高さに闇慈は感心の声を発した。

「ギャスパーって本当に凄い眷属だったんですね」

「ヒィィィ!!ゴメンナサイですぅぅぅ!!」

「別に怒っている訳じゃないんだけど・・・。あ、でもリアス先輩。ヴァンパイアって太陽が苦手なのでは?」

「それなら心配はいらないわよ、アンジ。ギャスパーの親のヴァンパイア一族は『デイウォーカー』と言う、日中でも歩くことが出来る能力があるの。それに彼は人間の血も引いているから無闇に血を吸う必要もないの」

「ヒィィィ!!血はダメですぅぅぅ!!レバーも生臭いからダメですぅぅぅ!!」

何とも言えないギャスパーの性格に闇慈は、あははと苦笑するしかなかった。ここで毒舌の小猫のツッコミがギャスパーを襲った。

「・・・へたれヴァンパイア」

「うわぁぁぁん!!小猫ちゃんがイジメルぅぅぅ!!」

「まあまあ。好き嫌いは誰にでもあることだからそこまで言うのは可哀想だよ、小猫ちゃん」

と言うことからギャスパーの教育は今日初めて会った4人と小猫が引き受けるようになった。イッセーとゼノヴィアは脅しで言うことを聞かせようとしていた反面、闇慈は優しく接しようとしたが・・・

「うわぁぁぁん!!死神ぃぃぃ!!怖いですぅぅぅ!!」

リアスから闇慈の秘密を聞かされたギャスパーは頑なに闇慈を拒んだ・・・。

「僕って・・・そんなに怖いのかな?」

「・・・ドンマイです、闇慈先輩」
 
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