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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝

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第86話 電波少女と眼鏡委員長 前編

白蓮と同盟を結んで半年が過ぎ、北郷は既に刑期を終え、桃香の元に護衛をつけて返しました。

ただ、彼は思い詰めた様子をしていたと部下の報告がありました。

彼のことは気になりますが、刑期を全うしたのなら、私がとやかく言うことじゃありません。

この半年の間に美里達の官職の任官が決まりました。

諸葛瑾を「主簿」

諸葛誕を「清河国中尉」

司馬恂を「録尚門下」

司馬馗を「常山郡丞」

以上が任官内容です。

つい先日ですが、清河国にいるお爺々様から袁逢殿が隠居しにきたと文がありました。

司馬家の者達は揚羽が説得して河東郡から清河国に引っ越してくれました。

後は、揚羽の母親の司馬防殿だけなのですが、まだ隠居の歳じゃないからと頑として洛陽から離れようとしません。

ことが起きた時に、彼女を救い出すしかないですね。

私は烏桓族討伐に向け、現在、真桜に武器・武具を用意させています。

・轡、鞍、鐙の設計図を渡し、1万頭分の馬具

・6mの長槍2万本

馬具に加え、袁逢殿の伝手を利用して、涼州産馬を3000頭買い付けることにしました。

烏桓族討伐と平行して、領地改革を私の封地である清河国で行うことにしました。

私の封地なら税制をどう改変しようと朝廷から干渉を受けることはありません。

これには元黄巾賊の者達を積極的に活用しました。

商業政策として、楽市・楽座と商業振興のために街道を整備しました。

農業政策としては、清河国内の耕作放棄地、森林を切り開き新耕作地の確保し、耕作させました。

この作業には兵士達の一部を屯田兵として従事させいます。

この3年後に農民に課す税率を四公六民に変更し、税率変更前に、戸籍簿の作成と農地の検地を行わせ、正確な税収を把握しようと考えています。

戸籍簿の作成と農地の検地は毎年行うつもりでいます。

これで不作の年でも迅速に減税措置を講じることができるでしょう。

税制変更にあたって、人頭税を廃止、土地税を所有面積に応じ最大100分の1だったのを免除から最大5分の1にすることにしました。

農産物の生産力向上のために、私は自分の知識を元に5冊の農書を模写しました。

・南北朝時代の北魏王朝の賈思が編纂した「斉民要術」

・元王朝の王禎が編纂した「農書」

・明王朝、清王朝の張履祥が編纂した「沈氏農書」と「補農書」

・明王朝の徐光啓が編纂した「農政全書」

正直、私の領地でどんな農法が合うかよくわからないので、この農書を朱里と雛里に役立て貰うことにしました。

この農書の管理について、城内に堅牢な建物を建設して保管し、2人には厳重に管理するように命じてあります。

これの閲覧は揚羽、冥琳などごく一部の者に制限しました。

人権政策としては売人法と略人法を厳格に行うように令を出しました。

この施策に対し、積極的に協力しない者は処断しました。

有力豪族が私に非協力だったので、1万の軍勢で一族封滅を行い、その財産を全て没収すると、私の恫喝に恐怖した豪族によって解放された奴婢が生活に困窮することを防ぐために、3年の免税とその間の食料を保証し、耕作放棄地を彼らに与えました。

3年後は税率を五公五民にして、彼らに支給した食料分を返済させ、返済後は税率を四公六民に変更します。

医療政策としては、各県に診療所を設置しました。

今後、診療所の数を増やすに伴い医者の数が足らなくなると考え、官費で医術を学ぶための学校を創設しました。

後、私事ですが、私は家督継承に置いて、正室を重んじ、長幼の序を重んずることを公式に家臣達に述べました。

家督争いで骨肉の争いをしては国が滅ぶ原因です。

この国での成果を乱世になったら、他領までに広げるつもりでいます。

反董卓連合までに、この冀州の全ての郡は私の勢力下におくつもりです。

狙い目は霊帝が死亡して混乱した時期でしょう。

その時期に一気に他の郡に私の息の掛かった者達を大守に据えます。





多忙な日々を送っていた私に面会を求める者が2人訪ねてきました。

私は玉座に座って平伏するその者達を段上より見ています。

この場には私達以外に揚羽と冥琳がいます。

「面を上げよ」

「はっ!」

「はい~」

その2人は直接の面識はありませんが私が知る人物でした。

「劉将軍、面会の機会をいただき感激の極みに存じます。私の名は戯志才と申します」

「程立といいます~」

郭嘉と程昱です。

「遠路、この冀州までよく参られた。して、この度の来訪はどのような理由かな」

私は社交辞令を言いました。

「劉将軍の名声を聞き及び一度お会いしたくまかりこした次第です」

郭嘉が拱手しながら言いました。

「風も劉将軍にお会いしたくて来たのですよ~」

程昱は間延びした声で軽薄な感じに言いました。

程昱の態度に揚羽と冥琳が額に青筋を立てています。

「アハハ、そうか・・・・・・。それで我が領内を見た感想はどうかな?」

揚羽達が切れそうなので、私は話を進めることにしました。

「劉将軍はなかなかおもしろい方なのです~。一見して、降伏した黄巾賊を労働力とし冀州を復興しているようにしていますが~。実の処は彼らの受け皿を用意してあげているように見えますね~。その証に、彼らに賃金を払っているのです~。罪人への待遇とは思えませんね~」

程昱はアメを舐めながら淡々と言いました。

「劉将軍は『罪を許さず』と風聞より聞き及んでいましたが、何故、降伏した黄巾賊を救われるのですか?」

程昱の話を継ぐように、郭嘉が言いました。

「許したつもりはない。冀州は現在、黄巾の乱により荒れ果てている。それを復興させ、民の生活を元の状態にすることが私の役目だと思っている」

私は自分の素直な気持ちを言いました。

「つまり、降伏した黄巾賊が冀州を復興するために働くことが罪を償うことと仰るのですね~。なるほど。なるほど」

程昱は感情の篭らない表情でアメを舐めていました。

「劉将軍の考えに感服いたしました。地獄の獄吏という風聞を耳にしておりましたので、恐ろしい方かと勘違いをしておりました」

郭嘉は私の話に感動したような表情をしています。

「程立と戯志才よ。よければこの常山郡に逗留していかないか?」

2人は路銀稼ぎにこの地に寄ったと思い、気を利かせて言いました。

上手くいけば彼女達も引き込めるかもしれないです。

「本当なのですか~。それはありがたいです~」

程昱は淡々と言いました。

「真ですか? 劉将軍、実は路銀が心もとなかったもので。ただで逗留するのは何ですので、客将として使っていただけませんか?」

郭嘉は私の申し出に本当に感謝しているようでした。

「劉将軍、風も客将でお願いするのです~」

「そうか・・・・・・。見た処、お前達は文官のようだな。ならば、知恵を貸してはくれないか」

「私でよろしければどうぞ」

「良いのですよ~」

郭嘉と程昱は私の話を了解してくれました。

「私は幽州の郡大守と組んで烏桓族の討伐を行おうと考えている。それで妙案は何か無いか」

揚羽と冥琳は私が郭嘉と程昱に提案したことに興味深そうな表情になりました。

「前もって言って置くが、良い献策であればお前達を従事中郎に取り立ててやろう。お前達が望めば討伐にも同行させる」

「えっ! ほ、本当でございますか?」

郭嘉は私の申し出に驚いています。

「劉将軍、申し上げにくいのですが、風は士官するとは一言も言っていないのですが~」

程昱は飄々と言いました。

「風、あなた何を言っているんです! 劉将軍は従事中郎の官職に任官してくださると言っているのですよ」

郭嘉は程昱の不躾な発言に対し慌てて程昱を嗜めようとしました。

「稟ちゃん。でも、私達は客将で働かせてくださいとお願いしたじゃないですか~」

程昱は郭嘉の顔をボーとした表情で見て言いました。

「そ、それは言いましたけど・・・・・・」

程昱の言葉に郭嘉は元気無く口を閉じました。

「程立、深く考えることはない。烏桓族討伐までお前達が居なくとも構わない。私はお前達の献策の内容を鑑みて、その地位に相応しいと判断した上で任官するつもりだ。その後、官位を辞して私の元を去ろうとも咎めはしない」

私は真剣な表情で言いました。

「それで、劉将軍は良いのですか~? あなた様の風評に傷が付くかもしれませんよ~」

程昱は私を感情の篭らない目で凝視していました。

「去るという者を引き止めても意味がないだろう。無理に引き止めたとしても良い結果は生まない。だが、才ある者を官吏として召し上げることは民の為になる。そのためならば、風評など傷つこうが構わない。そもそも真に才ある者が風評如きに惑わされるとは思わない。そのような者を私は必要としない」

私は程昱の目を真っ直ぐに見て言いました。

「そうですか~。劉将軍、それでは謹んで献策させていただきますね~」

程昱は私をしばらく凝視した後、口を開き言いました。

「ちょっと、風。私からじゃ・・・・・・」

郭嘉は程昱と私の会話に無理矢理入ってこようとしました。

「稟ちゃん、誰が先でもいいじゃないですか~。劉将軍はちゃんと判断してくれるはずですよ~」

「はぁ・・・・・・。風が先でいいです」

郭嘉は顔を項垂れて言いました。

「劉将軍、烏桓族を討伐されると言いますが、その目的は何なのでしょうか~」

程昱は急に真剣な目つきになり私に尋ねてきました。
 
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