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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第85話 零治の過去 先輩との出会い

「よし、全員いるな………っていうか多いな………」

「加藤家にアルピーノ家に平行世界の皆さんもいますからね………」

「加奈………」

「………」

加奈は俺の目を見ようとはしない。
………気にしても仕方がない、今は別の事に集中しないとな。

「まずシャイデの事について話す前に俺の過去話を話そうと思う」

「過去っていつのっスか?」

「俺が傭兵を始めた頃からだな………」

俺は昔を思い出しながら話始めた。










新暦65年5月上旬………

「ぐっ!?」

俺に向かって機械から発射された大量の魔力弾が向かってくる。
当然すべて殺傷設定だ。

『マスター、気張ってください!』

「分かってる!」

自分を包むようにディストーションフィールドを張って魔力弾を防ぐ。

「味方は!?」

『約30%がリタイヤ、生死不明です!』

「くっ!?」

慣れたと思っていたがやはり辛い。
今回で傭兵として仕事をするのは三回目。
1回目が犯罪者確保の仕事。これはそこまで苦労すること無く終えられた。
ただし2回目、この時はギャングのアジト強襲という仕事内容で、何人かの傭兵が密輸していた質量兵器によって殺された。
そして今回はテロリストのアジトを空から急襲。その第1陣に傭兵の俺達が回された。

もの凄い対空砲火の魔力弾が俺達を襲う。

元々傭兵になる物好きは管理局で何かやらかして傭兵になったものが多いらしい。
その為自然と危険な仕事が多くなり、危険じゃない仕事を探す方が難しい位だ。
まあその分給料は良いのだが………

『マスター、一回離れて転移で近づきましょう!』

「駄目だ、今の俺じゃ正確に転移出来ない!」

まだ戦闘自体もままならない状態で転移に意識を集中するなんて無理だ。

「フィールドを張りながら近づく。そっちの方がリスクが少なくて済む」

『ですけどその分的になります!!魔力だって無限にある訳じゃないんですよ!?』

「分かってる、だがこっちの方が絶対ベストだ」

『マスター………』

俺は今ほどブラックサレナを使いこなす事が出来なかった。
………まあ実戦3回目って理由もあるけど、それでも転移には今以上に時間がかかったり、動きが良くなかったり問題は多かった。

「うっ!?」

周囲に散乱していた魔力弾が急に俺に集中してきた。

『ま、マスター………耐えきれない………』

「何とか持たせろ………ぐっ!?」

フィールドを貫通し魔力弾が装甲に到達し始めた。

「くそっ………」

もはや破られるのも時間の問題かと思ったとき………

『よし、到達した!魔導師部隊突撃!!』

俺が集中的に標的になってる間に味方がアジトに到達したらしい。
管理局の魔導師達が一斉にテロリストのアジトに押し寄せた。

『マスター、転移で一旦退きましょう!』

「退くって何処に!?」

『何処でも良いです!作戦が成功した以上留まる必要は無いです!!』

「………分かった、やるぞラグナル!」

『イエスマスター!!』

暫く魔力弾に耐えて……

『マスター!!』

「ジャンプ!」

俺はその場から消えた。












「で、何処だここ?」

『………恐らくテロリストのアジトの中なのでは無いかと………』

「………ラグナル?」

『私のせいだけじゃないですよ!?』

「そうだろうな。………まあ取り敢えず仕事はもう終わったし、早く逃げるべきだよな」

『そうですね、マスターも結構限界なのでそうするべきですね』

「また転移か………」

『いい加減慣れましょうよ………』

「無茶言うなよ………転移なんて転生前じゃ絶対にありえない経験でまだ勝手が分からないんだよ………」

そう言いながら俺は周りを見る。
ここは小さな個室みたいで、扉があるだけで周りには何も無い。

「………取り敢えず外に出るか」

『そうですね』

取り敢えず俺は外に出た。

「で!?」

「ん?」

自動扉が開くとそこにはこっちに走ってくる男が一人。
ウニみたいなツンツン頭で、双銃を持ちならが一生懸命逃げている。
………後ろに大勢のテロリスト達を引き連れて。

「助かった!!」

走ってきた男は個室に滑り込んで、直ぐさま扉を閉め、ロックした。

「助かっ………て無いか………」

「何ですかあなたは………?」

「ああ、俺は傭兵のウォーレン・アルストって言うんだ。………もしかしてあのやたらとバリアが固いチビッ子だよな?」

「………まあ間違いじゃ無いですけど」

「そうかやっぱり!ありがとな、おかげで五体満足でテロリストのアジトに入れたわ!!」

「もしかして盾にしてました?」

「ああ、とっても安心だった」

とってもいい笑顔でそんな事を言うウォーレンさん。
………殴っていいだろうか?

『2人共、呑気に話してる場合じゃありませんよ、電子扉がもたなそうです』

「おっと、不味いな………さて、どうするか………」

「余裕そうですね………」

「いや、かなり焦ってるよ。このままじゃやばいわ!!」

そう言って大笑いするウォーレンさん。
何でそんなに笑っていられるんだこの人………

「ラグナル、転移は間に合うか?」

『………無理ですね、ジャンプする前に敵に攻撃されると思います』

「ならグラビティブラストチャージ、扉を破った瞬間発射して道を作る」

『イエスマスター』

ラグナルの返事の後、腹部に魔力が集まっていく。

「何するんだ?ガキンチョ?」

「道を作ります、邪魔なんで後ろにでも下がっていて下さい」

俺がそう言うとちゃんと言うことを聞いて俺の後ろに下がるウォーレンさん。

そして、扉が破られた瞬間、

「グラビティブラスト、フルバースト!!」

チャージした砲撃魔法を放った。








「いやぁ、凄いな君!」

その後、ウォーレンさんと共にアジト内を走り回っていた。

管理局の魔導師も突入し、テロリスト達もやんわやんわしてる筈なのに、まだアジトの中にはテロリスト達がまだ多くいるみたいで追っ手がかなり居た。

まあ何を言いたいのかというと、

「やってください先生!」

「レールガン、発射!」

両腰のレールガンから速度のある魔力弾を敵に発射。
相手はプロテクションを張るが、それを破壊し、相手に直撃した。

「おおっ、凄い威力!」

テロリストの相手は大体B〜AA位。
俺がAAAあるので、AAが相手でなければ相手にならない。

「そんな小さな体で凄いよな………先輩も頑張んないとな!」

「………そう思うなら戦って下さい」

「いや、先輩は力を蓄え中」

この人は自分の方が傭兵経験が長いということで自分の事を先輩と呼べと言ってきた。
無視しても良かったのだが、無視して名前を呼ぶとしつこく先輩と呼べと言ってくるので俺が折れた。

「そうです……か!!」

物陰から現れたテロリストの魔力弾をフィールドで防いだ後、両手に展開したハンドガンで相手を撃つ。

「やるねえ!!」

「少しは………」

その次の言葉を言おうとしたとき、天井からテロリストが落ちてきた。

「何が………!?」

『魔力弾です。それも超高速の六連射の魔力弾………』

「油断はダメだぜ、少年」

両手の双銃を降ろし、ガンマンみたくクルクル回す先輩。

「クイックバレット、超高速の魔力弾」

「………あなた何者ですか?」

「前にも言ったろ?ウォーレン・アレスト、君より長く気ままに傭兵やってる男さ」

ドヤ顔で言う先輩の顔はとてもウザかった………












「さて、気づかない内に余計な物を見つけちまったかな………」

先輩と共にアジト内をさ迷ってるといつの間にか奥についてしまったみたいで、そこには大きな機械と共にリーダー格みたいな男と補佐の男がいた。

「おいおいおいおい、下の奴らは何をしてやがったんだ………」

「全員管理局の相手をしているはずでしたが………」

「何だよ、話が違えじゃねえか………ったく、頼りねえおっさんだぜ………」

顎髭を生やした白髪の男が呟く。
肌の色は褐色で、目付きが鋭い。

「で、そこの2人がここまで来たネズミか?」

「そうみたいです」

「ちっ、使えねえ奴等だ………」

吐き捨てる様に言う男。

「まあ時間までの暇つぶしにはなるか。おい、俺のデバイスを渡せ」

「えっ!?ですがボス!!」

「お前は先に逃げりゃいい。死にたくなけりゃ早く渡して行きな」

そう言って追い払う様に側にいた部下の男を下がらせた。

「さて、誰だか分かんねえが少しは楽しませろよ?地獄に堕ちろ、バルバドス、セットアップ」

男が光に包まれ、自身程大きな斧を担ぎ、漆黒の騎士甲冑を着込んだ男がそこに居た。

「さあ、殺し合いを始めようか?」

男はそう言って俺達に微笑んだ。









『ま、マスター………』

「何なんだよアイツは………」

俺はそんな奴を見て、心底怯えていた。
初めて味わう圧倒的な威圧感、体を硬直させるほどの殺意、そして禍々しく感じる魔力光。

魔法を使い始めてまだ対して経っていない俺にとって勝てる見込みが無い相手だった。

「………コイツはヤバイな」

先輩も額から冷や汗が流れていた。
直感からコイツは危険だと感じたのだろう。

「先輩………」
「気張れよ、援護をする余裕も無さそうだ」

そう言った瞬間先輩が双銃を構え魔力弾を放った。
しかしその魔力弾をもの凄い速さで斧を振り、消し去る男。

「何だこれは?おもちゃか?」
「出鱈目な奴………だったら!!」

そう言って連射する先輩。

「無駄無駄!!」

大きさに似合わず、鋭く、細かく振るわれる斧が先輩の連射する魔力弾をはじいた。

「これで終わりなら拍子抜けだ。暇つぶしにもならん」

「………なら少しは期待に答えようか」

「ん?これは………」

気がついた時には相手の周辺にはさっき飛ばした魔力弾が消えずに残っていた。

「バーストバレット、ワイドエリアシフト」

周辺にあった魔力弾が一斉に爆破。相手を飲み込んだ。

「凄い、これなら………」
『駄目ですマスター、こんなんじゃ………』
「面白い、少しはやるじゃねえか………」

しかし煙から現れた男は無傷では無いにしてもピンピンしていた。
相変わらず斧を担ぎ上げたまま、仁王立ちしてその場に立っている。

「これはショックだな………」
「さて、見るのはこれくらいにして、今度はこっちから行かせてもらうぞ」

男は斧を上に掲げ、魔力を斧に込め始めた。

「コイツはやばそうだな………」

先輩が呟いてこっちを見るが、俺はその場で固まって全く動けない。

「おいおい………」

「ふん、雑魚には用はねえ。先ずは貴様を消すだけだ!!ボルティックブレイカー!!」

斧に溜めた魔力を一気に放出した。
強大な魔力はどんどん大きくなっていき、先輩を完全に飲み込んだ。

「先輩!!」

飲み込まれる瞬間もしっかりと見えた。これは無事であるはずが無い………
そう思ったが………

「………幻影か」

「あんなの食らったら一発で御陀仏だからな」

気がつくと先輩は相手の男のこめかみに銃を構えていた。

「久しぶりに手応えのある相手に会えたのかもな。最近は弱い魔導師ばかりで飽き飽きしていた所だ。………だが、ここまでだな」

そう言うと男が懐から何かの機器を取り出した。

「転送装置!?」

「悪いが、俺は逃げるぜ。巻き込まれたく無いからな」

「逃げるのか?」

「良いことを教えてやる、ここは後数分で爆発する。元々このアジトはフェイクで邪魔な管理局の高官とその部下を消し去る為にある奴が仕組んだものだ。俺はその計画の実行犯のリーダーみたいなもんだ」

「爆発?」

「俺の名前はバルトマン・ゲーハルトって言う。バルトとでも呼んでくれ。お前は?」

「ウォーレン・アレスト」

「ウォーレン、生き残ったらまた殺り合おうぜ」

男はそう言い残して消えていった。

「バルトマン・ゲーハルト………確かSランクのベルカ式魔導師で聖王教会出身の次元犯罪者。罪は管理局の魔導師大虐殺だったか?今まで生死は聞いていなかったが生きていたなんてな」

「先輩………」

「おお、大丈夫だったか?」

「すいません、全然役に立てなくて………」

「いいって、大人だってアイツの殺気には怯える奴だっているんだ。ガキのお前ならなおさらな………それに元々真面目にやる気は無かったみたいだしな」

「それでも何も出来なかった………」

「だから………」

そんな事を話していると………

『警告、後30秒でここ一帯1キロを消滅させます』

ここにある大きな機械がそう告げた。

「この場をどうにかするのが先だな」

先輩の言葉に頷き、俺達は大きな機械の元に走った………










「全然分かんね」

とても良い笑顔でそう言う先輩。
機械の元に向かい、見た瞬間そう言った。

「壊しちゃまずいですかね?」

「駄目だろうな、分かんないけどこういうのは破壊したら直ぐに爆発するんじゃね?」

『マスター、こうなったらいちかばちか転移で逃げるしか無いのでは?』

「………だよな、普通に逃げ切れる訳じゃないよな………」

いちかばちかに賭けるか………

「先輩、提案があります」

「転移だろ?いいぜ、俺もお前に賭けるよ」

「………軽すぎじゃないですか?」

「大丈夫だって、なるようになるさ」

笑顔でそう言う先輩に呆れながらも肩に入っていた無駄な力が抜けた気がする。

「ラグナル」

『準備はOKです』

「座標は………まだ特定出来ないけど取り敢えず遠くに飛べば………先輩、しっかり捕まっていて下さいね、行きます!!」

「ああ、頼む」

「ジャンプ!!」

そして俺達はその場から消えた………













「ここは………」

『どうやらあの場所から4キロ程離れた湖の近くですね』

「何とかなったって事だな」

そう言って先輩と共に大きく息を吐いた。
その瞬間大きな爆発が巻き起こり、強烈な爆風が4キロ離れた俺達の方にも伝わってくる。

収まった後、アジトの上空には大きなキノコ雲が出来上がっていた。

「………多くの人が死んだな」

「………そうですね」

流石の先輩も大きなキノコ雲を見つめて真面目な顔で呟いていた。

「取り敢えず降りて、一旦落ち着くか」

先輩の提案を俺は了承した。








「こういう事を言うのはあんまり良くは無いと思うけど、取り敢えずお互い無事で良かったな」

「………そうですね」

初めて見る悲惨な光景に俺は大分参っていた。
軽はずみで始めた傭兵だが、実際はとても悲惨な現状だった。
リリなのの世界だって事に安心しきっていたのかもしれない、転生前の世界でもこういう戦争みたいな事はあった。それなのにアニメの世界ではそんな事ありえないと心のどこかで思っていたのだろう。

ここはアニメの世界であるが、アニメのままというわけでは無いのに………

「大丈夫か?」

「大丈夫………では無いですね、こういう経験は初めてなので………」

「そうか………なあお前は何で子供なのに傭兵になったんだ?お前ほどの魔力があれば普通に管理局でも上の階級までいけるだろうに………」

話題を変えるためか、俺に話しやすいだろう話題を振ってきた。
実際は話しづらい内容だが………

「俺は管理局を良く思ってません。それが理由です。」

「良くね……………なあガキンチョ?」

「俺は有栖零治です、いい加減名前で呼んでくれませんか?」

「おっと、そりゃ失礼。零治は正義だと言い張る管理局が悪だと言うのか?」

「全てとは言いません。だけど大きな組織ほど、大きな闇を抱えています。光と闇の関係の様に………」

「………お前本当に子供か?」

「よく言われます」

「………可愛くないガキ」

そう言って俺達は互いに笑いあった。
そんな2人を包むように木々の隙間から光が差し込み、2人を照らす。

「キノコ雲が晴れてきましたね」

「そうだな……………なあ零治」

「はい?」

「俺と組まないか?」

「先輩と?」

「ああ、傭兵の仕事を2人で協力してやっていくんだ。今回の事だってお互い1人では駄目だった。だけど2人だったら………」

「乗り越えられた………」

確かに先輩の言う通り、今日の出来事はどちらか片方だけだったら駄目だった。
あの男との勝負では先輩が居なければ俺は確実に殺されていたし、俺が居なければ先輩は無事に脱出出来なかった。

「それにずっと見ていたけど、魔法を使い始めてまだ間もないだろう?変わった魔法みたいだけど戦い方も教えてやれるし………」

「………嬉しい申し出ですけど本当に俺で良いんですか?」

「何言ってんだ!俺とお前は絶対にベストパートナーだせ!」

そう言って先輩は俺の背中を叩いた。

「これからよろしくな、相棒!」

こうして俺はこの世界で始めて大事な人が出来た。











三日後………

「ここが………」

巨大なクレーターの空いた地面を見つめる1人の女性。
金髪の髪をなびかせ、険しい顔でその穴を見つめていた。

『テロリストの隠し持っていた新型の爆弾の性能らしいです。ここまで酷いとは………』

「そうね………アルベルト少将率いる一軍を消滅させるほどですものね………」

『シャイデ執務官………』

「私は大丈夫、クヨクヨしてたらアルベルト先生に怒られるからね。だけど必ず私が犯人を捕まえるわ」

そう言って、花束を穴に投げ、その場を後にした……… 
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