| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

戦国異伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八話 清洲攻めその九


 彼等は一気にだ。また銃を放った。
「撃て!」
「撃て!」
 その鉄砲が再び火を噴くのだった。それでまた信友の軍の動きが止まった。
「何、またか!」
「また鉄砲を放ってきただと!?」
「速い!」
 それで動きを止めてしまった。しかもだ。
 今度は至近である。それだけに威力が凄かった。鉄砲を受けた足軽達は文字通り吹き飛ばされてしまった。そしてそれだけではなくだ。
「よし、次はだ!」
「はい!」
「あれですね」
「そうだ、突け!」
 林の命令であった。今度は彼が指示を出したのだ。
 するとだ。途方もなく青く長い槍が突き出されてだ。それで敵を突き刺した。
「くっ、今度は槍だと・・・・・・」
「何という長さだ」
「我等の槍より遥かに長い」
「これは近寄れんぞ」
 彼等はそれで動きを止められてしまった。近寄ろうにもそのあまりにも長い槍に止められてしまう。どうにもならなかった。
 それで攻めあぐねる。太膳もこれはどうしようもなかった。
「おのれ、再び鉄砲を放つだけではなくか」
「あの槍はです」
「途方もない長さです」
「ですから」
「そうだな、近寄ることができぬ」
 太膳は忌々しげに足軽達に返した。
「これではな」
「弓も来ました」
「このままでは」
「くっ、こちらも鉄砲を出せ!」
 太膳は忌々しげにこう命じた。
「そして弓もだ。急げ!」
「は、はい!」
「それでは!」
 彼等は何とか反撃を仕掛けようとする。だがそこでだった。
 彼等から見て左側にだ。法螺貝の声があがったのだ。
「何っ、まさか」
「また敵か!?」
「織田信長の軍か!」
「来たというのか!?」
 驚いてみるとだった。その通りだった。
 柴田は軍勢の先頭に立ってだ。こう命じるのであった。
「よいか、一気に突き崩す!」
「はい、そのうえで」
「敵を左に追いやるのですね」
 これは信長の軍から見てである。
「それで勝てますね、この戦」
「間違いなく」
「そうだ。勝つぞ!」
 柴田は槍を手に叫ぶ。
「この戦い、我等が貰った!」
「行くぞ、勝ちはわし等のものだ!」
「清洲はもらった!」
 柴田が率いる軍勢は突き進みそうしてだ。慌てふためく信友の軍勢の側面を突き崩した。それで信友の軍は総崩れになってしまった。
「ここで側面から衝くか」
「そう来るというのか」
「これがうつけの戦だというのか!?」
 信友の家臣達は総崩れになる己の軍勢を見て愕然となっていた、
「戦上手だというのか」
「あのおおうつけがか」
「ええい、怯むな!」
 その中でだ。信友だけは諦めてはいなかった。
「まだ戦える。踏ん張るのだ!」
「で、ですが殿」
「兵達は最早」
「どうなっておるのだ」
「右に流れています」
「そちらに押されています」
 そうなっているというのだ。実際にその通りだった。
 信友の軍は信長の軍に正面での攻撃を防がれそして彼等から見て左翼を攻撃されてだ。成す術もなく右に流れていたのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧