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万華鏡

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第十四話 成果その五


「そうしたことが大事だからね」
「本当に健康管理なのね」
「そうよ」 
 こう琴乃に医者の口調で話す。
「それが大事だから」
「じゃあお薬を貰うのは」
「最後よ」
 まさにそうだというのだ。
「最後の最後よ」
「最初は健康管理なのね」
「そうなの」
「うちのグループは皆風邪にかかりそうね」
 景子は笑ってこうも言った。
「プラネッツはね」
「どうしてなの?」
「だって皆頭悪くないから」
 だからだというのだ。
「皆風邪にかかるわね」
「つまりそれて」
「そう、何とやらは風邪ひかないから」
 笑ってこう里香にも話す景子だった。
「だからね」
「その言葉も実際は」
「違うっていうのね」
「真面目に言うと人の知能指数ってあてにならないから」
 里香はその数字から話す。
「だからね」
「あれってあてにならないの」
「実は知能指数が高くてもおかしな行動する人いるから」
 そえでだというのだ。
「あまりあてにならないの」
「そうだったの」
「ナチスの高官でゲーリングっていたけれど」
 ナチスのナンバーツーで航空相だった。空軍の国家元帥でもあった。
「ナチスがどうかはもう言わないけれど」
「知ってるわ、私も」
 琴乃は里香のその話に頷いて述べた。
「どっかで聞いたことがあるわ」
「ゲーリングのこと?」
「うん、知能指数は高かったのよね」
「ええ、そうなの」
「それでもよね」
「そうなの。確かに知能指数は高かったけれど」
 ニュルンベルグ裁判で生き残っていたナチスの高官達の中ではだ。流石にヒトラーやゲッペルス程ではなかったのだ。
「それでもね」
「ゲーリングっていい話ないわよね」
「麻薬中毒だったこともあるし」
 傷の痛み止めでモルヒネを使っていたがそれにだったのだ。
「それに作戦も酷かったらしいし」
「そうだったらしいわね」
「最後はどうしようもなくなったから」
「だから知能指数は」
「そう、あまりあてにならないのよ」
「高くてそれでわかるものじゃないのね」
「私思うけれど」
 里香は考える顔で琴乃に話す。
「人って知能指数じゃなくてね」
「それじゃなくて?」
「大事なのは努力だと思うから」
 こう言うのだった。
「お母さんにいつも言われてるの。人間最初は駄目でもね」
「それでもなのね」
「そう、努力が大事だから」
 俗に言われていることだが里香はあえて言うのだった。
「そしてそれ次第で人間って変われるって言われてるの」
「最初は駄目でも」
「駄目な奴は何やっても駄目って言う人いるじゃない」
「ええ、いるわね」
「それは絶対に間違いだってね」
 里香は何とか走りながら琴乃に話していく。
「お母さんいつも言ってるの」
「駄目な奴は駄目っていうのは」
「ほら、私だって最初は全然走られなかったじゃない」
「ええ」
 本当に最初の頃はそうだった。里香はすぐに肩で息をしていた。 
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