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万華鏡

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第十一話 流鏑馬その十


「あるわよ」
「やっぱりそうなるの」
「まだまだ将来のことはわからないけれど」
「それでもなのね」
「あっ、髪の毛を剃る宗派ばかりじゃないから」
 このことはかなり変わってきている。
「前にもお話したけれどね」
「髪の毛はそのままでいいけれど」
「そう、お坊さんの袈裟を着たりね」
 景子はこの宗教の話もした。
「天理教の服とか法被とかも」
「天理教の人って絶対に黒い法被着るよな」
「そうそう、あれね」
 美優と彩夏はその服の話をした。
「普段から着ててな」
「天理市なんか凄いわよ」
 奈良県天理市だ。その天理教の本部がある場所で日本で随一の宗教都市でもある。
「あそこ行ったら至る場所にね」
「法被の人いるんだな」
「あの法被も目立つわよね」
「だよな」
 二人はその法被の話をして景子も言う。
「私もあの法被着る可能性あるから」
「似合うんじゃないか?」
 美優はその景子のスタイルを見てこう述べた。
「景子ちゃんならな」
「あっ、似合うの」
「うん、絶対にな」
 似合うというのだ。
「景子ちゃんならな」
「じゃあ本当にね」
「この町にも天理教の教会あるけれどな」
「八条分教会よね」
「あの教会結構大きいよな」
「あそこはね」
 景子は美優のその言葉に頷いた。555
「信者さんで凄い人がいるから」
「凄い人?」
「うちの学園の理事長さんがそうなのよ」
「おい、うちの学園の理事長っていったらよ」
 美優は景子の今の言葉に幾分引いて返した。
「あれじゃねえか。八条グループの総帥だろ」
「そうよ、そこのね」
「凄過ぎるだろ」
 旧財閥系の世界的企業グループだ。それこそ世界有数の資産を誇る。
「そんな人が信者だとな」
「寄付が凄いらしいのよ」
「だろうな、やっぱり」
「お菓子の差し入れ、うちの神社もそうだけれど」
「それも多いんだな」
「こっちは普通の信者さんだけれど」
「山月堂のだよな」
 八条町にある老舗の和菓子屋だ。ただし作っているのは和菓子だけではない。
「あそこのお菓子もか」
「うん、あるから」
「凄過ぎないか?理事長さんからの寄付もあるってなると」
「とはいっても寄付は殆ど全部大教会の方に持って行くらしいわ」
「大教会?」
「あっ、お寺と同じでね」
 景子は大教会と聞いて首を捻った美優にわかりやすい様に寺から話した。
「総本山みたいなのが天理市の教会本部で」
「そこが一番上だよな」
「そのすぐ下に大教会っていう大きな教会があるのよ」
「で、あの教会は」
「そう、八条分教会はその大教会の一つ奥華大教会の直属の教会の一つで」
「直属の教会も幾つもあるんだな」
「奥華大教会は大きい方の大教会で直属だけで三十二あるのよ」 
 それだけの直属の分教会を持っているというのだ。 
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