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万華鏡

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第十話 五月その八


「やってみること。琴乃ちゃん先生になりたいわよね」
「子供の頃からね」
「先生も大変だけれど」
 それでもだというのだ。
「なりたいものがあるならね」
「頑張ることなのね」
「それが大事だから」
 こう娘に言ったのである。
「体育教師になりたいならね」
「ダンスもなの」
「ちょっと軽音楽部だと」
 難しい顔でさらに言う母だった。
「体育じゃないからね」
「体育の先生って大体体育大学とか体育学科からなるのよね」
「まあそういう学校だしね」
「そうよね。体育学科ね」
「琴乃ちゃん入られると思うけれど」
 だがそれの条件は、というのだ。
「やっぱり軽音楽部だとね」
「畑が違うのね」
「どうしても音楽か英語になるかしら
「英語なのね」
「そう、英語ね」
「英語だったら」
 琴乃は自分の英語の成績を思い出す。それはどういったものかというと、
「普通よね、私の英語の成績って」
「そうね、普通ね」
「どっちかっていうと文系の方が得意だけれど」
 所謂国語、社会、英語の系統の科目だ。琴乃は数学、理科の系列と比べるとそちらの方が得意なのだ。
 だからこう言うがその英語もだった。
「微妙ね」
「もうちょっと努力してみる?」
「そうしたら違うかしら」
「まずは努力よ」
 母はそれが第一だと娘に話す。
「何でもね」
「お母さんいつも言ってるわよね」
「先生になりたいのならね」  
 実は琴乃は科目はどれでもよかったりする。先生にはなりたいがだ。
「まずは努力してね」
「何か自分でも数学とか理科の先生ってイメージじゃないし」
「それはお母さんも思うから」
「じゃあやっぱり文系で」
「軽音楽部ならね」
 やはり英語になるというのだ。
「英語ね」
「やっぱりそうよね」
「別に国語とか社会でもいいと思うけれどね」
「けれどどっちにしても」
「まずは勉強ね」 
 それを努力してだというのだ。
「それからよ」
「勉強ね」
「頑張ってね。琴乃ちゃん成績もどうしようもないって程じゃないから」
「そもそも八条学園の普通科って」
「それなりの成績だから入られたでしょ」
「結構頑張って勉強したし」
「それならよ。もう少し頑張ってね」
 そうして学力を上げてだというのだ。
「そうして夢を掴みなさい」
「夢ね」
「簡単に掴める夢はないわよ」
「何かスポーツ漫画みたいな言葉ね」
「けれど事実よ」
 夢は遥か上にあるものだ。その夢を掴む為には飛ばなければならないが飛ぶにはだというのである。そういうことだ。
「夢は頑張らないとね」
「そういうことね」
「そう。じゃあこのお話はこれで終わりで」
 そしてだというのだ。
「後はね」
「御飯よね」
「その後でだけれど」
 微笑んでの言葉だった。
「デザートね」
「今日は何なの?」
「月餅よ」
 中国の菓子だ。中華街によく売っているものでありかなりの歴史を誇る菓子でもある。 
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